東方神実郷~『仮面ライダーバロン』、駆紋戒斗が幻想入り~   作:火野荒シオンLv.X-ビリオン

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シオン「今回は今さらかよと言わんばかりの、東方Projectの尤もの醍醐味についての話です」
チルノ「ほんと、今さら過ぎない?」
大妖精「い、今までの内容が内容だったから……仕方ないと……」
シオン「因みに今回の話の最後に、戒斗に馴染み深いスペシャルゲストをご用意しています」
戒斗「…葛葉やザックとかじゃないだろうな?」
シオン「それは読んでのお楽しみ、というわけで、本編どうぞ~」


第17話 スペルカードルール

霧の湖―――そこは常に深い霧に包まれており、本来人が立ち入ること自体稀な場所…

その霧の湖から少し離れた場所……そこにポツンと、一軒の小屋が建っていた。

周りに湖と大きな屋敷以外何もない場所に建っており、何も知らない者たちには何故そこに建っているのだろうと思うであろう……

 

 

 

「---何故俺がこんなことを…」

「すす、すいません…!家の片付けを手伝わせてしまって……!」

「ちょっと戒斗ー、ぼさっとしてないでちゃんと掃除してよー」

 

 

 

…しかしそこでは現在、戒斗たちがその小屋の掃除をしていた。

どうやらこの小屋は大妖精が住み家にしているらしく、現在戒斗とチルノの手伝いを得た状態で小屋の片付けを行っていた。

 

「…しかし……貴様もちゃんとした住み家を持ってたんだな」

「え、あ、はい……と言っても、たまたま使われなくなってたこの小屋を見つけて、勝手に住んでたんですけど……」

「使われなくなった、だと?」

「はい……多分、あそこに住んでいる方々が原因かと…」

 

大妖精はそう話しながら外に出ると、湖の岬にある大きな館を見る。

 

「あの館か……ずっと気になってはいたが、あれはなんだ?」

「あれは紅魔館(こうまかん) と呼ばれる場所で、とても強大な力を持った吸血鬼が住んでいるんです」

「吸血鬼……西洋の妖怪か」

「他にも強い実力を持つ方々が住んでいらっしゃって、それでここまで近づくのが怖くなった人間の方々が来なくなったのだと……」

 

彼女の言葉を聞いた戒斗が成程なと呟きながら、紅魔館の方を眺める。

と、何気にさっきまで片付けをちゃんとしてたチルノが怒りながら彼らの元まで歩み寄る。

 

「ちょっとー!何二人だけ暢気に外を眺めてるのよー!!」

「あ、後、ごめんチルノちゃん…!」

「…そこの馬鹿がうるさいから、さっさと終わらせるぞ」

「あ、今アタイに向かってバカって言ったな!?ちょいと表出ろ!」

「俺はもう出ているだろ」

 

怒っている彼女に気付いた大妖精がチルノに謝り、戒斗はさらりとチルノを馬鹿にしながら、掃除を再開しようと歩み出す。

 

「---あぁぁぁぁぁ!」

---バッシャーーン!!

「「「!?」」」

 

……と、同時だった……突然誰かの悲鳴が聞こえたかと思った瞬間、湖に勢いよく何かが落ち、激しい水しぶきをあげる。

何事かと思い三人が湖の方を見ると、そのすぐ後にに再び水しぶきが上がり、そこから見慣れた少女が現れる。

 

「---っだぁぁぁ!!服が濡れたぁぁぁぁ!!!アリスのやつ、派手にぶっとばしやがって……!」

「霧雨…?」

「ん?戒斗じゃねーか……それにバカと大妖精も…こんなところで何してるんだ?」

「ちょっと、何でアタイだけバカ呼ばわりなのよ!」

「ま、魔理紗さんもいったいどうされたんですか……?」

 

少女……霧雨魔理沙がびしょ濡れの状態で湖から出てくると、声をかけてきた戒斗たちに気付き、彼らの元まで浮遊してくる。

 

「…空から勢いよく落ちてきたみたいだが……インベスかなにかにでも襲われたのか?」

「んぁ?違う違う……ちょっと弾幕ごっこがヒートアップしすぎて…」

「…弾幕ごっこ?」

「あれ、お前弾幕ごっこ知らないのか?」

「ごっこと付くからには遊びか何か…」

「―――ちょっと魔理沙、何悠々と話しているのよ」

 

弾幕ごっこという単語を聞き首を傾げる戒斗に魔理沙が軽く動揺していると、突然空から魔理沙を呼ぶ声が聞こえる。

その場の全員が上を振り向くと、そこには青のワンピースのようなノースリーブに、ロングスカートを着用し、肩にケープのようなものを羽織った、金髪の少女が宙を舞っていた。

金髪の少女はそのままゆっくり地上に降りながら、魔理沙の方を向く。

 

「全く、ちょっと強くふっ飛ばしすぎたかなと思って後を追いかけてみれば……これは試合放棄したも同然よね?」

「おいおい待ってくれよアリス…そりゃあねーだろ?」

「…霧雨の知り合いか?」

「あら、よく見たら貴方は確か…」

「およ?お前、まだ会ってなかったんだな…ほら、前にお前と大妖精が魔法の森の茸の胞子にやられたとき、私の家に連れて来られただろう?その時お前らを運んだ張本人さ」

 

魔理沙の言葉を聞いた戒斗は、金髪の少女……アリス・マーガトロイドの方を見る。

一方のアリスはというと、髪の毛を軽く弄りながら、彼らに話しかける。

 

「まさかこんなところでまた出会うなんてね…大妖精もだけど、あの後は大丈夫だったかしら?」

「あぁ…その後別の意味で、頭が痛くなったがな…」

「そ、そういえばお礼を言っていませんでした…この前はありがとうございました…!」

「礼なんていらないわよ。あの時は私も魔理沙に用があっただけだから…それよりも、こんな場所で何をしているの?」

「大ちゃんの家の掃除だよ!」

「今こいつの言ったとおりだ。反対に聞くが、貴様らは何をやっている?さっき霧雨から弾幕ごっこという言葉を聞いたが…」

「え、もしかして貴方…知らないの?」

 

戒斗の言葉を聞いたアリスは先ほどの魔理沙同様驚いたような顔をする。

……この幻想郷は、先代の博麗の巫女たちと八雲

紫が作った結界『博麗大結界』が存在する……が、その結界は強い妖怪同士が争うと、崩壊してこの幻想郷の存在がなくなってしまう可能性があるといわれている。

その上、妖怪同士が本気で争っても、互いに力を消耗しあうだけらしい……

しかし、妖怪たちも当然生きていく上で互いに争うことがあるし、かといってずっと戦わずにいれば、その力が衰えてしまう……その為過去に幻想郷を創り上げた賢者と呼ばれる存在たち……そして先代の博霊の巫女が、いくつか決闘法をを作り上げたとのこと。

 

「んで、月日が流れ、ちょうど何年か前に起きた異変を境に、霊夢が新しく決闘ルールを作った。それがスペルカードルール………通称弾幕ごっこだ」

「そしてそれが思いのほか妖怪たちに影響を与えてね……今となっては弾幕ごっこが何かしらの揉め事や紛争を解決したりするものになってるわ。他にも、ただの人間が唯一妖怪と対等に戦えるってのも利点ね」

「そんなものがあるとはな……それで、その決闘というのはどんなものだ」

「そーだなぁ……まず一般的なルールとしては、基本的には殺さないこと……なんだけど、これは当たり所によってはポックリ逝っちまうから、その辺は無視してくれ。それ以外だと、チルノとかがエネルギーの玉みたいなの飛ばしてあるのは見たことはあるか?」

「あぁ」

「ならよかった。あぁいうのを弾幕として扱うんだ。と言っても別にナイフやらなんやらでもいいし、直接ぶん殴りに行ってもいいけど」

「直接ぶん殴りに行く時点で、弾幕と関係ないだろうが」

 

 

説明する魔理沙の言葉に戒斗は思わず突っ込みを入れていくも、構わず魔理沙は説明を続けていく…因みにこの時チルノと大妖精は長くなりそうだと思ったのか、掃除を再開していた。

 

「んで、弾幕ごっこは相手に見せ付ける……つまりは美しさ重視、相手に攻撃するよりも人に見せることを重視するんだ。けど、だからと言って意味のない攻撃をしてはいけない……つまり相手にちゃんと攻撃しつつも、美しさを保たないといけないんだよ…その点においてはある意味精神面での勝負って訳よ。他にも、決闘名にもあるスペルカード……前に私がビームみたいなのを放っただろ?あれみたいな必殺技みたいなやつを一通り攻略されたり、体力が尽きると負けになる。んで、負けたら素直に負けを認めるんだ。例え戦う余力が残っててもな」

「…面倒なものだな、そのルールは」

「やっぱそう感じるかー……そういう意味では特に美しさとか微塵も興味ないやつは、別の決闘法でやってるらしいからなー……でもそれだと大抵妖怪側がやり過ぎちゃうから、妖怪もそのルールでやってたりしてるんだけど…第一、派手にやりすぎたら霊夢に決闘と関係なしに問答無用で退治されるし」

 

一通りの説明を聞いた戒斗は、その複雑なルールに顔をしかめる。

それについては同意できるのか、魔理沙はうんうんと頷く。

が、彼らに割って入るようにアリスが話し出す。

 

「仕方ないでしょう。妖怪は人間と違って能力の差が違いすぎる……けどだからって、当然人間も大人しくやられる訳にはいかない。だからこそ、そういう決まり事を入れることで、均衡を保っているのよ」

「均衡、な……」

「ま、よーするにスペルカードルールがあるからこそ、今まで幻想郷が消えてなくなる、なんてことが起こらなくて済んでるんだ。昔は相当酷かったって紫のやつが言ってたぜ」

「…」

 

アリスに続き魔理沙も呟くと、それを聞いた戒斗は少しだけ不服そうな顔をする。

…それもそのはず、彼は『弱肉強食』を信条にしている……それ故に、力よりも美しさ等で勝敗を決するのはあまり好きでないのであろう……

彼の表情を見てなんとなく察したアリスが「ともかく」と言いながら彼に告げる。

 

「別にそれが嫌なら嫌で構わないけど、一応何かあった時のためにはスペルカードルールで戦うのも手の内の一つって覚えておきなさいな」

「それに関しては承知した」

「ほんとかなぁ……あ、でもお前、そうなるとスペルカードは持ってないんだよな」

「あぁ。それはどこかでもらえるのか?」

「いんや、ただの紙にペンか何かで書いて、自分で作るんだ。あらかじめ技の名前と、その技名を体現した技をいくつか考えておいて、その技名を契約書形式に記した紙を任意の枚数所持しておくんだ。その契約書こそが、スペルカードそのものになる。つまり技自体は自分で考えて作らなくちゃいけないんだ…ほら、こんな風によ」

 

ふと戒斗がスペルカードを持ってないことに気付いた魔理沙が彼にスペルカードについて説明する。

戒斗は彼女から『恋符 マスタースパーク』と書かれたスペルカードを受け取ると、それをじっくりと眺める。

 

「…わざわざ名前まで考えないといけないのか…」

「あぁ。それも、弾幕ごっこで使うときは必ずカードを使うって宣言しないといけないんだ。だから不意打ちはできないってことになる…まぁ、別に技名まで叫ばなくてもいいらしいし、相手に使ったって分かりさえすればいいらしいから、技によっては奇襲はできるはずだぜ」

「そうか…因みに枚数制限はあるのか?」

「持つ分に関してはいくらでも構わないけど、本番で使用する分についてはカードを使う回数も宣言しないといけないわ…そうじゃないとルール上下手したら終わらないもの」

「成程な…しかし技まで考えないといけないとなると、面倒だな……作るのはまた今度にするか」

((なんか、そのまま作らずにいそう…))

 

流石に技まで考えないといけないのを考えた戒斗は、場所が場所というのもあり後回しにすることにしていた。

それを傍で聞いていた魔理沙たちは心の中で大丈夫なのだろうかと心配しながら彼を見ていると、一区切りがついたのかチルノたちが小屋から出てくる。

 

「戒斗ー終わったー?」

「あぁ、たった今な」

「ほんとですか?ちょうどよかったです、今からお菓子を作ろうと思ったので…魔理沙さんたちも一緒にいかがですか?」

「お、いいのか?ありがた「ちょっと待ちなさい」ぐぇっ!?…何だよアリス…」

「アンタ、忘れてないでしょうね?さっきの弾幕ごっこで、私が勝ったらこの間借りパクした魔導書を返すって」

「ちょ、あれをお前の勝ちにするのは…あ、すんません負けは認めますしちゃんと返しますから笑顔で上海(しゃんはい)人形から包丁受取るのやめてくれーーっ!?」

 

一緒にどうかと誘われた魔理沙が厚意に甘えようとしていると、アリスから服を引っ張られ止められる。

どうやら戒斗たちと遭遇する前にしょうもない理由で弾幕ごっこをやってたらしく、それを聞いた戒斗が「そういえば弾幕ごっこがヒートアップしてたとか言ってたな」と思い出す。

そして湖に落ちた後、彼らと暢気に話してた為試合放棄とアリスはみなしたらしく、魔理沙がそれはないだろうと言うも、どこからか現れた人形から包丁を笑顔で受け取るアリスを見て、彼女はおとなしく負けを認めていた。

 

 

 

~~~

 

 

 

アリスが魔理沙を連れて少しした後……戒斗たちは大妖精の家でおやつを食べていた。

チルノはベスに小さく割ったクッキーを与えながら満面な笑みを浮かべており、ベスもキィーキィー鳴きながらクッキーを食べている。

それを警戒するような目で見つめてる大妖精に対し、それが妙に気になったのか隣に座っていた戒斗が彼女に声をかける。

 

「どぉベス?美味しい?」

『キィー!キィー!!』

「そう?よかった!」

(…気のせいかな……なんか、美味しくないって言ってる気がする……)

「…大妖精、どうした」

「はひっ!?ど、どうもしてませんよ!!?」

「…なら何故慌てる…」

「あ、いや、すいませ……急に話しかけられたので、つい……」

 

突然話しかけられたせいか、大妖精は驚きながら顔を赤くし理由を話す。

それを聞いた戒斗はそうかとだけ呟くと、テーブルの上のクッキーを1つつまみ、口に運んでいた。

と、突然チルノが「ところでさー」と彼に向けて尋ねてくる。

 

「ねぇー戒斗ー、今日はあの二人からスペルカードについて話聞いてたみたいだけど、なんか考えてるの?」

「今のところは何も思い浮かばん……第一、今日その事を知ったばかりだからな」

「…ふと思ったんですけど、本来ならその、インベスとかも……弾幕ごっことか……」

「無駄だ。やつらは余程の上位種ではない限り、まともな知能は持ち合わせてない。現に貴様も襲われただろう。そういう意味では決闘をせず、堂々と殺した方がいい」

「そ、そうなんですか……」

『?キィィ?』

 

ふと大妖精が弾幕ごっこの存在を考えたら、インベスもそれに適用されるのではと思い戒斗に尋ねるも、彼はそれを即座に否定する。

現に今まで彼女たちが遭遇したインベスは、どれも本能で襲いかかるものばかりだった……それを考えると、彼の言う通り、決闘を行わずに退治した方がいいということになる。

それを聞いた彼女は目を閉じながら静かに考える。

 

(…その内この子も、襲いかかってくるのかな……だとしたら、やっぱり……)

『キィィ!キィィ!!』

「あ、こらベス!大ちゃんのとこにいっちゃ…!」

「………………!?!!?」

 

と、彼女が目をつむっている間に、いつの間にかベスが彼女と3センチほどの距離まで近付いてきており、チルノの声で気付いた彼女は声にならないほど驚きながらその場を離れようと立ち上がる。

…が、その際軽く足を滑らせてしまい、そのまま戒斗の方へ向かって倒れてしまっていた。

 

「あっ、ちょ……わぁぁ!?」

「ぐぉ……!?」

「∑大ちゃん大丈夫!?」

「いたた……ってわぁぁぁぁぁ!?すすすすいません戒斗さん!だだ、大丈夫ですか!!?」

「…大丈夫だからさっさと降りろ……!」

「わっ、わぁぁぁぁ!?すいません!すいませんんん!!!」

「こらベス!大ちゃんに近付かないようにって言ったでしょー!!」

『キィィ?』

 

大妖精は倒れた際に戒斗の真上に乗ってしまったことに気付くと、顔を赤くしながら彼に謝罪をしており、一方のチルノはベスに向かって叱るも、ベス自身悪気とかがなかったのか首を傾げている…

その一方で大妖精は早く退こうと体を動かすも途中で再び足を滑らせ、そのまま床へ頭をぶつけており、それを見た戒斗はやれやれといった表情で立ち上がる。

 

「…全く、お前は少しは平常心を持てないのか…」

「うっ…す、すいません……」

「―――戒斗ー、この中にいるんでしょー?」

「…?この声は確か…」

 

と、突然玄関の扉の向こうから、誰かが戒斗を呼ぶ声が聞こえる。

それが聞こえた彼は玄関まで歩み寄り、扉を開く。

そして扉の先にいたのは紫で、彼は彼女を見るなり何しに来たと尋ねる。

 

「…やはり八雲か…何しに来た」

「あら、やっぱりいた。さっきから声掛けてたのに返事がないどころか騒がしかったけど…何してたの?」

「中で唐突な事故に巻き込まれただけだ。……それで、俺に何の用だ」

「何、大したことはないわ…ちょっとお使いに行ってもらいたくて……ね?」

 

 

 

~~~

 

 

 

場所は変わり、幻想郷のとある一角………そこは人々や妖怪からは『冥界』と呼ばれており、罪の無い死者が成仏するか転生するまでの間を幽霊として過ごす世界が存在する……

その冥界のとある場所に、一際大きな和風の屋敷が存在していた。

 

 

 

「―――幽々子(ゆゆこ)様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「うわぁぁぁぁぁぁんごめんってばぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

…そして現在、その屋敷―――白玉楼(はくぎょくろう)と呼ばれる建物で、二人の少女が建物の中をドタバタと走り回っていた。

その内の一人……もう一人を何故か追い回している少女は、白いシャツに青緑色のベストと短めの動きやすいスカートを着用し、胸元には黒い蝶ネクタイと頭に黒いリボンを付けた、銀色に近い色をしたボブカットで、もう一人の追われている方は少し薄い水色に季節に沿った模様が施された着物を着ており、三角頭巾のようなものが付いた薄い水色の帽子を被った、ピンクのショートヘアに似た髪型の少女で、その追われている少女はぜぇぜぇと息を荒くしながら、ふらふらと逃走していた。

が、ボブカットの少女が「てぇい!」と叫びながらピンク髪の少女に飛び掛かり、ピンク髪の少女はあっけなくその場で捕まっていた。

 

「きゃー!!」

「はぁ、はぁ……ようやく捕まえましたよ……!」

「んもぉぉぉごめんてば妖夢(ようむ)ー!!」

「謝って済む問題じゃあないですよ!?人が楽しみにしていたプリンを五日も連続で食べられたら!!」

「だからごめんってばぁぁぁぁ!!」

 

泣きながら謝るピンク髪の女の子―――西行寺(さいぎょうじ)幽々子に対し、ボブカットの女の子―――魂魄(こんぱく)妖夢ははたから聞いたらしょうもない理由だなと言われんばかりのことに対し怒りをあらわにしており、幽々子は泣きながらその場を逃げ去ろうとする。

しかし妖夢はそんな彼女をしっかりと離そうとせず、必死に取り押さえる。

 

「お願いぃぃぃ!今度私がじかに買いなおしてくるから許してぇぇぇぇ!!」

「それはそれで信用ならないです!大体この間もそう言って…」

「―――おいおい、帰ってくるなりなんなんだ、この状況はよぉ」

「「!」」

 

と、彼女らの間に割って入るかのごとく、誰かの声が聞こえる。

その声に気付いた二人がその方角を振り向くと、そこには黒い服と黒い帽子を被り、両手には長いネギを覗かせた買い物袋を持つ男が立っていた。

それを見た妖夢は何故か慌てており、一方の幽々子は妖夢を払い除け何事もなかったように振る舞いながら、暢気な声でお帰りなさいと男に告げる。

 

「うわぁ!?いいいいつ戻ってきたんですか!?ってわぁ!?」

「あらあら、お帰りなさい」

「さらっと護衛とのやり取りをなかったことにするなよ……全く、揃いも揃って子供だねぇ」

「あぁそういえば、四季映姫様の所に用事が…」

「ちょ、早まんなって!!それだけはやめろ!!」

 

男は先程の彼女たちのやり取りを見ていたのか子供扱いをする。が、直後に幽々子が放った言葉を必死に引き留めていた。

それを見た彼女はふふっ、と軽く笑いながら、妖夢に夕飯を頼み、その場を素早く立ち去っていた。

 

「さて、妖夢、後は夕飯の準備、お願いねー」

「あっ、ちょ…幽々子様、まだ話は……!後でまたさっきの件の事言いますからねー!!」

「…あれで冥界に住む幽霊たちの管理を任されているって言われてるもんだから、お前さんも苦労してるな」

「ひ、皮肉か何かですか、それは……あ、後……頭を乱暴に触らないでください…」

「さぁなー…っつー訳で、俺も先に風呂に入ってくるぜっと」

「あっ、ちょ……シドさーん!!」

 

妖夢をからかいながら、シドと呼ばれた男は買ってきた食材を彼女に渡し、その場から立ち去っていく。

そんな彼に対し妖夢は何を思ってか、大声で彼の名を叫んでいた。

 




というわけで、今回登場したサプライズゲストは、みんな大好き(多分)!シドの野郎でした!!
……絶対誰もこいつのこと予想してなかっただろうなぁ……←
シドに関してはまた後程。


今回出てきた大妖精の家は、参考文献(主にpi○iv大百科)だと霧の湖に生息しているというのがあったので、昔人々が使ってた小屋を勝手に借りて暮らしているって感じにしました。
一応今後も大妖精の家は出すつもりですねー。

今の今まで話題に出せずにいた弾幕ごっこと、ついでに出そうにもどこで出そうか迷ってたアリスを出すことができました。
特にアリスに関してはほんといつ出そうかって迷ってました……その結果が今回の話ですが。
そしてほんと今さらだなと言わんばかりの弾幕ごっこ……もといスペルカードルール。
これも参考文献(これもp○xiv大百科中心に)を見ながら書いてたのですが……明らかに戒斗にはぜってぇ向いてねぇなって思いましたね……ルールが完全実力主義を否定するとされてるし、ある意味戒斗の性格に向いてなさすぎる……
といっても、一応何回かは戒斗にスペルカードルールをやらせるつもりでいますね。一応は。

あと、参考文献読みながら思ったことがもう1つ……スペルカードって、ただの紙だったんですね……原作やってないのもあって知らなかったです。
……というかたまにいろんな東方の二次創作見てますけど、誰も自分みたいに参考文献引用してここまで説明する人ってあんまりいないですよね……何でわざわざここまでめんどいことやっんだろ、自分。

作中で戒斗が言ってましたが、多分インベスには弾幕ごっこどころか他の決闘すら持ちかけようとしても絶対無理です。
オーバーロードならまだ決闘に応じてくれそうだけどなぁ……絶対ロシュオさんとついでにデュデュオンシュ以外ルール破りそう←
そういう意味ではもう、バッサリその場で倒した方が早いんですよね……世の中は非情である←←

そしてラストら編で白玉楼組登場&まさかのデモンn……違った、シド登場。
……流石にいないと思うけど、誰が出るか最初から予想してた人、いたら「俺は人間を越えるんだぁぁぁ!」ってコメント欄に叫んでください←
シドに関しては実は前々から(7割おふざけで)出す予定だったんですよねぇ……
一応今後も登場させます。というか次回辺り普通に出します。


次回は……まぁ、何となく読んでてわかるとは思うので、あえて言わないです

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