東方神実郷~『仮面ライダーバロン』、駆紋戒斗が幻想入り~   作:火野荒シオンLv.X-ビリオン

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シオン「今回はちょっと短めで、一応前後編形式になるぞ」
霊夢「珍しいわね……いつもなら普通に1万近く行くのに」
シオン「続けて書くのがちと面倒だった」
霊夢「おい」


第14話 売られていたロックシード

幻想郷も秋が終わりを告げ始め出したある日……

その日戒斗はチルノと大妖精の二人を連れ、人里から魔法の森へと通ずる道を歩いていた。

 

「……本当にこの先に、その『香霖堂(こうりんどう)』と言う店があるんだな?」

「はい、この先をまっすぐ進めば、辿り着きます」

「でもなんで急にこーりんの所に案内しろって言い出したの?」

『キィィ』

 

現在彼らは香霖堂と呼ばれる建物に向かっており、主に大妖精の案内を受けながら歩いている……

その際チルノは、何故香霖堂へ向かうことになったのかを戒斗に尋ねるも、彼は何も言わず、そのまま突き進んでいく……

と、やがて歩いているうちに、うっすらと建物らしきものが見え始め、それを見た戒斗は大妖精に「あの建物か」と尋ね、彼女はコクリと頷いていた。

 

外見は瓦屋根の目立つ和風の一軒家………その隣には大きな倉があり、更にその近くには、見事なまでの桜の木が

丸々一本生えていた。

しかし戒斗は外見などに対し何も関心を持たず、和風でありながらドアになっている入口に立つと、ドアを思いきり開いていた。

 

突然強くドアを開き、バン!と強い音をたてられたためか、彼の後ろにいた二人は思わずビクリと肩を震わせながら驚く。

同時に建物の中にいた者たち---と言うものの二人しかおらず、一人は近くで本を読んでいる少女で、もう一人はカウンター越しに座っている銀髪で眼鏡を掛けた男---も何事かと言わんばかりの表情で、彼の方に視線を向けていた。

しかし戒斗は気にせず、ズカズカと眼鏡の男に歩み寄ると、突然彼の胸元に掴みかかっていた。

 

「え、っと、お客さんかな…?悪いけど、あまり扉を乱暴に……っ!?」

「「∑戒斗(さん)!!?」」

「…貴様がここの店主だな」

「そ、そう、だ……!それ、が、どうし……ぐっ!?」

 

突然胸元を掴まれ、眼鏡の男………"森近 霖之助(もりちか りんのすけ)"は苦しそうな表情をしながら、自分が店主だと告げる。

しかし戒斗は一向に彼の首を離さず、それを見た大妖精たちが慌てて彼を止めていた。

 

「かかか戒斗さん落ち着いてくださいっ!?こーりんさんと何があったのか知りませんけど、ひとまず!ひとまずその手を!!?」

「そうだよ戒斗!何いきなり首絞めてるの!?」

「…そうだな……まだ用件を言わないといけなかったな………」

「っ、はぁ…!す、すまない……チルノ…大妖精……」

 

二人の説得のお陰で、戒斗は少し冷静になったのか、乱暴ながらも霖之助を解放する。

霖之助は首を押さえながら苦しむも、大妖精たちに礼をいいながらゆっくりと戒斗へと視線を向ける。

 

「……で、戒斗君だっけ……僕に突然掴みかかってきたけど、一体何の用だい?少なくとも君と僕は、今日ここで初めて出会った、初対面の筈……」

「御託はいい……これを見ろ」

「!これは確か……」

 

戒斗はポケットから何か取り出すと、カウンターの前に放り投げる。

……それはドングリやマツボックリ、クルミ等が模されたロックシードで、それらが数個ほど、彼のポケットから出てきていた。

それを見た霖之助は驚いた表情をしており、チルノが「ロックシード!?」と叫びながら戒斗に尋ねる。

 

「え、何でこんなに!?しかも同じ柄ばっかりの……まさか売る気?」

「馬鹿が。そこのロックシードは、そこの店主がここ最近"売っていた"ものだ」

「「∑ええっ!?」」

 

彼の言葉にチルノたちが叫び、霖之助の方を見る。

そして肝心の霖之助はというと………何がどうなっているのかと言わん張りの表情をしていた。

 

 

 

~~~

 

 

 

それは遡ること3時間ほど前………

この時戒斗はチルノたちと一緒ではなく、一人ふらっと出歩いていた……

 

「…ここが人里から博麗神社へと繋がる獣道とやらか……確かに人間が何も準備なしにここを通ろうとすれば、険しい道のりだろうな……」

「---た、助けてくれぇ!!?」

「…?」

 

戒斗が静かに呟きながら博麗神社へと続く獣道を見ていると、何処からか助けを呼ぶ声が聞こえる。

それに気づいた戒斗が声が聞こえた方角へと視線を向ける……

すると一人の男が必死に何かに逃げているように走っており、男の後ろには………なんと初級インベスが追い掛けるように走っていた。

それを見た戒斗は驚くも、すぐに冷静になり、バロンへと変身して初級インベスを瞬時に撃破する。

そして変身を解除すると、先程インベスに追われていた男が彼の元まで歩み寄って礼を告げていた。

 

「あ、ありがとうごぜぇやす……!突然あんなモノノケみたいなのが現れて……」

「ふん、礼などいらん……それより、今さっき貴様を襲ってたやつはどこから現れた」

 

先程のインベスを見た戒斗は、やはりまだどこかに幻想入りしたインベスたちが徘徊しているのだろうと考えながら、男に尋ねる。

しかし、男から返ってきた返事は予想外なもので、「それでしたら」とポケットから何かを取り出す。

 

「これ……とは別なんですが、これとおんなじやつを弄くってたら………頭上に変なのが現れて、そこからさっきのモノノケが…」

「!…おい、貴様……これをどこで手に入れた…?」

 

……男が見せてきたものは、マツボックリが描かれたロックシードであり、それを見た戒斗は目を見開きながら、男に尋ねる。

それに対し男は「香霖堂っつー場所で買ったんだ」と証言し、それを聞いた彼は、男から持っているロックシードを回収(見せてきたやつ以外に2つも所持していた)、同時にすぐさまその場所へ向かうことに決めていた。

 

 

 

~~~

 

 

 

「……それがここまでやって来るまでの経緯だ」

「ま、まさかそんなことが……」

 

ここまで来るまでの経緯を簡潔的に話し終えると同時に、霖之助はガクリと膝をつく。

どうやら彼自身ロックシードについて詳しく知らなかったらしく、それに対し酷く後悔しているようだった。

 

「そんなことになるなんて……僕は何て取り返しのつかないことを……!」

「全くだな…」

「あれ、ですけどこーりんさんの程度の能力って確か、『道具の名前と用途が判る程度の能力』だったはずですよね?使い方がわからなくても、どういったことができるのかは分かるはずでは……」

 

大妖精は霖之助の持つ能力のことを思い出し、チルノもそう言えばと呟く。

が、彼女の疑問を霖之助は即座に答えていた。

 

「いや、確かに調べたよ……ただ分かったのは名称と、これを使いこなせば凄いことになると言う、あやふやな表現だけだったよ……」

「あやふやって……」

「前にも似たような事例はあったのですか?」

「たまにあるときはあるね……けどその時は大抵体調が優れない時とかだから……最初にこれらとは別のやつを売った時は普通だったし」

「最初に売ったとき、だと?」

 

霖之助の言葉に戒斗は興味を示す。

 

「あ、あぁ……そもそもロックシードはつい最近拾ってきたばっかりでね……それはもうかなりの数が無縁塚に落ちていたんだよ」

「…無縁塚?」

「共同墓地みたいな場所だよ。僕はそこで秋の彼岸の時期には無縁仏の火葬や埋葬といった弔いをするんだ。その際ついでに外の世界から流れ着いた物を広い集めているんだ。どうやらあそこは幻想郷の結界がなぜか緩くなっているらしくて、そこから外の世界のものが流れてくるんだ」

「そんな場所があったとはな……それで、その無縁塚と言う場所でロックシードを?」

「あぁ……数十個ほど拾ってね。その時は持ち帰ってからじっくり調べてみようと思ったんだけど……帰ってきていざ調べようとした瞬間、白いフードを被った人が来たんだ」

「…まさかそいつが……」

「そう、最初にロックシードを売ってくれと頼んできたんだ」

 

霖之助はそう言いながら、当時の状況を話し続ける。

……その白いフードを被った人物は、店にやって来るや否や、早々にカウンターの上に置かれたロックシードを指差し、それを売ってくれないかと頼んだらしい…

その言葉を聞いた霖之助は最初はまだ商品にするかどうかは決めてないとその人物に告げたものの、その人物はなおも頼むから売ってくれとしつこく要求したらしく、仕方なく売ってしまったらしい……

その後彼がロックシードを購入し、2日程過ぎた頃に、急にロックシードが売れ始めたらしいのだ。

 

「まさかあんなに売れるなんて思いもしなかったよ……元々持ち帰った個数が少なかったとはいえ、今はもう2つしか残ってなくて……」

「…気になるな、そのフードのやつ」

「?どゆことー??」

『キィィィ?』

「∑!?チ、チルノ……君のそのポーチの中の生物って確か……」

「今はそのインベスは無視してろ……森近の話が本当なら、そのフードのやつは森近がロックシードを持ち帰って、能力で調べようとした瞬間、この店に入りロックシードを売れと言ったんだろ……都合がよすぎないか?」

「あ、確かに……」

 

一通りの話を聞いた戒斗は、あまりにも都合よくそのフードの人物が入店している事に違和感を持ち、一同も納得する…

しかしその後すぐにチルノが「でもさー」と戒斗の方を向く。

 

「もしかしたら偶然かもしれないよー?もしくは戒斗みたいにあっちの世界からやって来てて、ロックシードのことを知ってる人だったというのもあり得るし」

「その可能性もあるが……」

「と、ともかく!まずはロックシードを買ったお客さんの所に行って回収しましょう!!」

「あぁ、分かってる……今すぐに行こう。朱鷺子(ときこ)君、すまないが留守番しててくれ」

「えっ」

「戒斗、アタイたちも行こう!!」

「分かっている……」

 

霖之助は大妖精の言葉に頷くと、すぐさま出掛ける仕度を行う。

そしてその辺でずっと本を読んでいた、朱鷺子と呼ばれた少女に留守番を頼むと、戒斗たちは香霖堂を後にしていた。

そして…………留守番を任され、ポツンと突っ立っていた朱鷺子はというと………

 

 

 

「……私、ここの店員じゃあないんだけど……」

 

 

そう呟きながら、立ち読みしていた本を持ったまま店のカウンターまで向かっていった。




今回は気分的に短めにしたかった←
いや、なんでしょう……あまり一度に多く書き詰めようって気になれなくて………


今回は香霖堂の店主であるこーりんが誤って引き起こしてしまった出来事を(戒斗的に仕方なく)解決することになるーという形にしてみました……こーりんファンの皆様、すまぬ←土下座
と言っても、今回ばかりはある意味被害者ではありますけど……
因みに自分は基本こーりん呼びですね。単にそっちの方が呼びやすいので。

ロックシード売買でシドを思い出した人、壁挟まれの刑←理不尽
無縁塚に有ったロックシードに関しては、基本的に貴虎兄さんが処分した分の何割かがこっちに流れてきたって感じですね……つか、どれぐらい残ってたのだろうか……
そしてチラリと出てきたが故に店番を任された朱鷺子ェ…

次回はとりあえず事件解決するとこまでですね。
因みに犯人はシドではありません(断言)

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