東方神実郷~『仮面ライダーバロン』、駆紋戒斗が幻想入り~ 作:火野荒シオンLv.X-ビリオン
チルノ「因みに更新が止まってた理由は?」
シオン「最後に更新した時期辺りから就活とかしてました(白目)」
霊夢「んで、そこから諸事情で更新が停止して、挙げ句の果てには『打ち切りになったんですか?』という一言評価が来てたわね」
シオン「少なくとも、よほどのことがない限り打ち切りにするつもりはない!というわけで、今回は戒斗がにとりに会いに行く話です。ついでに今回も後書きはなしです」
昨日のミニインベス事件が過ぎ、次の日……その日戒斗とチルノは"妖怪の山"と呼ばれる、天狗や河童などのような、それなりに知名度が高い妖怪が住む山……その麓にある"玄武の沢"と呼ばれし場所にやって来ていた。
「…本当にこの辺りに、河童共の寝座(ねぐら)があるんだろうな」
「あるに決まってるじゃーん……なかったら最初からここに来てないでしょー?というか戒斗も胡瓜持ってよ……」
戒斗は垂直状に切り立った柱状の岩壁に囲まれたこの沢を見渡しながら、大量に胡瓜が入った袋と、黄色いポーチをぶら下げたチルノに尋ねる。
……そもそも彼らがここに来た理由、それはこの沢に住まう河童の1体……河城にとりという人物に会いに来たからだ。
何故わざわざ彼女に会うためだけに、この様な妖怪だらけの山の麓まで来たのか……その理由は戒斗が彼女に、野宿していても妖怪に襲われなくなるテントなどを造ってもらおうと考えてるからだ。
この玄武の沢に住まう河童たちは鉄鋼や建築・道具の作成などの技術を持ち、そのにとりという少女は他のものたちに比べ、ずば抜けてそれらの技術に精通していると言われているとの事……
それを聞いた彼は、いつまでもチルノの家に寝泊まりするわけにはいかないというのもあり、にとりという少女に妖怪を寄せ付けないための道具を造ってもらおうと思い、わざわざこのような場所まで赴いてきたのだ。
「…この辺に本当にあるとすれば、この川の下……もしくはあの滝の裏か……チルノはどこにあるか知っているか」
「いや、あんまり知らない。たまに冒険する時しかここに寄らないもん」
『キィィ?』
「あ、こらベス、勝手に出できちゃだーめ」
チルノが首を横に振ると同時に、昨日のミニインベスが彼女のぶら下げていたポーチのようなものから顔を出す。
彼女はミニインベス(命名:ベス)を無理矢理しまおうとしているが戒斗はそれを無視し、辺りを見回す。
…辺り一面、崖に包まれており、その中で滝が流れ落ちる、というなんとも幻想的な光景であるが、彼にとってはさっさと河城にとりに逢いたいと思い、滝の裏手まで歩いていく……
と、滝の裏手に近づく瞬間、何故か彼はその場で足を止めていた。
同時に何故か戦極ドライバーとバナナのロックシードを構えており、それを見たチルノは首を傾げる。
「どしたの戒斗?ドライバーなんか用意して……まさかインベス!?」
「いや、違う……何者かが滝の下に潜んでいる」
「滝の下……それってもしかして……」
戒斗の言葉にチルノは何かに気付いた………瞬間だった。
突然滝から何者かが数人ほど飛び出し、彼らを囲う。
戒斗がその者たちの顔を見ると「やはりな」と呟く。
……彼らを取り囲んだ者たちは、様々な服を着ており、男女という区別もされているが、その一部の者たちの頭には、皿のようなものが乗せてある……
つまり現在彼らを取り囲んでいるのは、多少見た目は違うが、河童たちであるということになる。
しかしその河童たちはその手に武器を持っており、彼らに向けて警戒心を放っている…
と、その内の一人の男性らしき河童が、戒斗に向けて尋ねてくる。
「貴様、何者だ。何をしにここにやって来た」
「…どうやら門番のような存在みたいだな」
「答えろ。そこのバカで有名な氷の妖精はともかく、貴様、人間だろ。何故この様な場所にやってきた」
「ちょ!?バカで有名な氷の妖精ってアタイのことだよね!?」
さらっと馬鹿にされたチルノは叫ぶが、他の者はそれを無視する。
一方の戒斗は未だに戦極ドライバーを構えながら、素直に用件を告げる。
「ここに河城にとりという、道具作りに一番精通しているという河童に用がある。そいつの元まで連れて行け」
「にとりにだと……?人間が彼女に何の用がある」
「俺はつい最近この世界にやってきた人間だ……泊まるような場所がなく、どちらにしろ野宿ですごそうと思ったが、他の奴らに危険だと言われ、邪魔されてな……その際河城にとりという河童の噂を聞いた。そいつに野外でも安心して寝れる道具一式を作ってもらおうと思って、わざわざこの地まで赴いた。…これが用件だ」
「…成程…だが、それだけの理由で彼女に会わせるとなるなら、胡瓜だけでは足らん。我々ならそれで充分だろうが、現在彼女は何か研究材料を欲している。少なくとも、彼女に寝具一式を作ってもらうなら、それ相応の、研究材料となる何かを提供するしかないぞ」
その河童は彼の用件と理由を聞き、納得したが、彼の話を聞く限り、胡瓜だけじゃ用件を受け入れてもらえなさそうだ……
が、少なくとも中には入れてもらえそうなので、戒斗は胡瓜を提供し、同時にせめて彼女に合わせろと告げる。
それを聞いた男性河童は、対価もあっさり渡してきたことからか、敵としての認識を解除し、快く申し出を承諾していた。
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「うわぁー!すっごーい!」
『キィィィ!!』
「…この滝の裏に、こんなものを作っていたとはな…」
「我々の技術を舐めてはいけない……物資があれば、更に麓にまで技術開発を進めることだってできるのだぞ」
「まぁ、それしたら烏天狗たちとかに怒られますけどねー。『自然をこれ以上壊すな!!』って」
「こらそこ!余計なことを喋るな!!」
河童たちの案内を受け、戒斗たちは滝の裏側にある洞窟を潜り抜けていくと……広い空洞に出ていた。
その一帯は幻想郷には無い、言わば外の世界の、現代的な建物がズラリと並んでいた。
その殆どが家なのだが、あまりにもの光景に、戒斗は思わず感心してしまう…
「……確かに貴様ら河童の技術は凄まじいということがわかった………だが幻想郷には外の世界の技術などほとんど存在しないのだろう。何故こうも巧妙に外の世界のものを作れるんだ?」
「あぁ、その辺は稀に我々が八雲紫に外の世界のものを持ってきてもらってくれるのだよ」
「そうそう!この間は確かセンタクキ?……ってやつを持ってきてくれたんだ!!」
「それに道具の使い方に関しては、香霖堂の店主に聞いてるからな。今はそのセンタクキと呼ばれるものを解体して、構造を変えて製作してる段階だな……と、話している間に、彼女の住まいに着いたぞ」
男性河童の言葉を聞き、戒斗たちはその場で足を止める。
……彼らの目線の先には、他のものと比べて少し大きく作られた、ラボみたいなものが聳え立っていた。
近くに立てられている立札には『河城にとり』と、ご丁寧に名前が書かれている。
それを見た戒斗は案内した河童たちに礼を軽く告げると、インターホンらしきものを見つけ、それを押す。
そしてピンポーンとその場に鳴り響くと、中から声と足音が聞こえてくる。
「はいはーい……ったく………今忙しいのに……どなたですかー………って、人間?」
「貴様が河城にとりか」
「そうだけど……アンタ誰?」
玄関の扉が開くと、そこから現れたのは、他の河童と似たような格好だが、胸元に鍵穴のついたペンタンドをぶら下げており、ウェーブのかかった外ハネの髪をした青髪の少女………
少女を見た戒斗は彼女………河城にとりに話し掛ける。
「駆紋戒斗だ。今日は折り入って貴様に製作してもらいたいものがあって、ここまでやって来た」
「私に?なんでまた……というかまず何を造ってもらいたいのよ?」
「妖怪などを寄せ付けないテントだ」
「帰ってください」
だが、戒斗が用件を告げると、同時ににとりは扉を閉めようとする。
戒斗は突然の行動に驚きながらそれを止めると、そのまま訳を聞いてみる。
「!?何故だ!!」
「いや、だってさ……私も色々忙しいのにそんな明らかに造りが面倒なのをやらなきゃいけないのさ…というかなんで私がテントとかを作らなきゃいけないの……そして扉を無理矢理開こうとすんなこの野郎…!」
(うわぁ……これ、たぶん造ってもらう以前の問題だなぁ)
扉を必死に開けられまいと抵抗するにとりの会話を聞きながら、チルノは心の中で呟く。
一方で彼らを案内した河童たちも「やはり胡瓜だけではダメか」と呆れるように見ている。
しかしそんな彼らを気にせず、未だに戒斗とにとりは互いに言い争っていた。
「てゆーかアンタ、なんで私に頼むの!他のやつに頼めばいいだろ!」
「それは貴様が他の河童たちよりずば抜けていると聞いたからだ」
「へぇー、わかってるじゃないか。だが断る!というか普通のテントだけならまだしも、そこから妖怪避けを付け加えるとなるとほんと面倒なんだけど!それに私、マジックアイテムとかの類いになるやつは苦手だから!」
「だができなくはないだろう。できるまで気長に待つことぐらいはできる。交渉としては今手持ちにある残りの胡瓜で手を打つ。だから作れ!!」
「断る!なんだいその態度は!いくら河童の中で人間と交友的な私でも、アンタみたいなやつはお断りだよ!!そんなに造ってほしければまず、ありったけの金でも用意しな!!」
「……金だと?」
と、金と言う言葉を聞いた戒斗が、扉から手を離す。
それに伴い反動でにとりがバランスを崩し、後ろに転がっていく。
その際打ち所が悪かったのか、にとりは頭を押さえるが、涙目の状態で戒斗に尋ねてくる。
「……アンタ……もしかしてだけど、胡瓜だけで事を済ませようとしてたんじゃあないよね?」
「そうだが……まさか金がいるのか?」
「当たり前だ!そんな胡瓜だけで大事な資材とかを無駄にできるか!商売舐めんな!!こちとら遊びじゃあねぇんだぞ!!」
「あー……そういえばアンタ、筋金入りの『しゅせんど』ってやつって言われるぐらいだったわね……」
にとりの言葉に戒斗は驚いていると、近くにいたチルノがポツリと呟く。
だが、確かに物を作るのには、当然資金も必要となる……それにここの河童たちの生活面を考えると、明らかに胡瓜だけでは成り立たない。
流石にそれは当然かと彼は思う……が、そもそも彼はそんなお金など所持していない……
そうこう考えてる間ににとりはゲスい顔をしながら、彼にお金を要求してくる。
自分から振った話とはいえ、思わぬ方向に向かっていくなか、チルノが小さな声で話しかけてくる。
「おうおう?どうした?金はないのか??ないならとっとと帰りな……いや、ここでさっきまでしていた作業を邪魔したので賠償金を取れるか?」
(チッ……まさかここで金銭面で問題が起こるとはな……!というより、何故金銭面の方を誰も教えなかった……!)
(どうする戒斗?あの様子だと、言い掛かりつけてでもお金よこせって言ってくるよ?)
『キィィ』
(どうもこうも、こいつとは話にならん……今回は諦めるしかないな)
(だね……流石にアタイも今のにとりに関わりたくないし)
流石の戒斗もこればかりはどうしようにもないと考えると、そのままこの場から立ち去ろうとする。
何故にとりに何も言わずに去ろうとするのか………それは先程から彼女は、戒斗からどうやって金を巻き取ろうかをひたすら考えているからだ。
彼らの方から尋ねてきたので流石にどうかと思うが、余計なことは避けたいと思ったのか、彼らはその場から去ろうとする。
だが、それに気付いたにとりが彼らの前に立ち塞がると、いちゃもんをつけてきた。
「ちょちょちょ!何勝手に帰ろうとしてるの!貴重な時間を割かれたのは落とし前つけてもらうよ!!」
(にとりのやつ、今日は何か造ってたのか?)
(さぁ?)
「そこ、煩いよ」
「ッ……自分で蒔いた種は、自分で始末するしかなさそうだな……!」
戒斗は軽く舌打ちしながら戦極ドライバーとバナナロックシードを取り出す。
が、それを見たチルノが流石にそれは駄目だと思い、慌てて止めに入っていた。
「ちょ、戒斗!?流石にそれは駄目でしょ!?」
「離せチルノ!邪魔をするな!!」
「いーや離さない!気持ちはわかるけど離したら大変なことになりそうだから離さないぃぃぃ!!」
『キィィィィ!!!』
「ぐっ……いい加減……」
「なんだその黒いものはーっ!!?」
「「…は?」」
戒斗が無理矢理チルノとベスを払おうとした瞬間、突然にとりが叫ぶ。
同時に彼女は戒斗の元まで歩み寄ると、そのまま戦極ドライバーを強奪し、ジロジロと見ていた。
突然の出来事に二人は唖然とした表情になるが、そんなのを知ってか知らずか、にとりが戒斗に話しかけてくる。
「なんだこれ……アンタ、これ、何に使う道具なの?」
「……貴様、それに興味を持ったのか?」
「うん。なんだかこれは金儲けになりそうな予感がしてね……!んで、これは何なの?」
戒斗の言葉ににとりが頷きながら、目をキラキラとさせて彼を見つめてくる。
戒斗は彼女に対し困惑するも、ふと、あることを思い出す。
「(そういえば、見張りの河童共が言っていたな……こいつはここ最近、何か研究材料を欲していると。そして今、戦極ドライバーに興味を持っている……)……別に教えても構わんが、条件がある」
「おっと、そこで条件と言うとなると、確実にアンタの注文の品を造れって事だよね?……いいよ、やってあげようじゃないか」
「流石にそこは理解が早くて助かるな」
彼の要求は見事に彼女に受け入れられ、彼自身上手くいったと考える。
…と、そんな彼に対しチルノが服の袖を引っ張って耳打ちしてくる。
(…ねぇ戒斗……その条件はやめた方がいいんじゃない?アタイ、やな予感しか感じないんだけど……)
(ここまで来たんだ、造られるなら良いに越したことはない……それにどうせ、ドライバーとロックシードをいじくる程度で済むだろう)
「おーし、それじゃあ家に上がってくれ」
チルノの言葉に戒斗は心配は要らないと告げていると、にとりが家に入ってくるように告げる。
その言葉に戒斗は頷くと、戒斗は彼女の自宅に入っていき、それを見たチルノも慌てて彼の後を追っていった。
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にとりの家に入るなり、彼女は戒斗に戦極ドライバーのことを一生懸命尋ねてくる。
その際彼は教えるだけ教えておいた方がいいだろうと考え、自分が知る範囲で彼女に使い方などを教えていた。
「……ざっとこんなもんだ。後は他にどんなことができるかは、俺も知らん」
「成程……アンタ自身が知らない部分は、その戦極ドライバーのデータにインプットされてるかもしれないからいいけど、逆にこれを量産すれば食料問題になっても大丈夫って訳か……しかも戦闘用にも造られてるなら、さぞかし人間たちには有用だね」
「というかアタイ、それ経由でご飯要らずになるなんて初めて聞いたんだけど」
戒斗の話を一通り聞いたにとりはまじまじと戦極ドライバーを見つめる。
そして何故か戒斗の方を向くと、彼に話しかけてくる。
「因みにそれって、アンタしか使えない設定になってるんだよね?」
「あぁ。前に俺と瓜二つのやつがこれを使おうとしたが、ベルト自体が反応すらしなかったからな」
「ふーん……ねぇアンタ、今ここで変身して見せてよ」
「…なんだと?」
突然の申し出に戒斗は眉をピクリと動かす。
何故この場で変身しなければならないのか……そう思った彼は彼女に尋ねようとするが、その前に彼女が何処からかスイッチのようなものを取り出し、ポチッとボタンを押していた。
すると部屋の至るところから穴のようなものが現れると、その穴から鎖のようなものが飛び出し、そのまま何故か戒斗の四肢を捕らえていた。
その光景にチルノは叫び、戒斗もどういうことだとにとりに向かって叫ぶ。
「∑戒斗ォォォォォ!!?」
「なっ!?……河城!どういうつもりだ!」
「どういうつもりって……一応これ、戦闘用のスーツも形成できるようになってるんでしょ?だったら実物のスーツとかを見てみないと、データだけじゃあ想像もつかないじゃん……というわけで、今回は"人体実験"込みで調べさせてもらうよ。何、痛くはしないからさ……ふへ、ふへへへへへへぇ………」
にとりはそう言って不気味な笑い声を発しながら、戒斗にじわりじわりと近づいてくる。
……明らかに何か危険すぎると感じた戒斗はチルノに鎖を凍らせて引き千切って壊そうと思い、彼女の方を向く。
……が、既にチルノはおらず、確実に逃げたのが目に見てわかった。
「ッ!チルノ!鎖を凍らせ……!あいつ……逃げたな………!!」
「さぁーて、そんじゃあまずはそのロックシードごとのアーマーの強度を知りたいから、レッツ、変身♪」
「くっ……来るなら来い!!俺は決してこれだけでは屈したりなど……!」
………その日から約3日間、にとりの家から、何かを豪快に削るような音や何かを豪快に叩いてる音と共に、一人の男の苦しみが混ざった声が度々聞こえたのは、言うまでもない……