自己満足で描いた女オリ主の話~自書女主話~   作:最下

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人(仮)の家

ピンポーンとチャイムの音を響かせるのは朝と同じく比企谷家。中からはパタパタとスリッパで動き回る音が聞こえる。私の今回の目的は小町さんとの距離を縮めること。朝の会話で分かった事は、小町さんが協力的な事と、小町さんは比企谷さんに対して絶対的なカードになる事。この二つのメリットはとても大きい、何たって昼食を共にできたのも小町さんのお蔭だからね。

 

 

「はいはーい、って八千代さん?どうしましたか?」

「やあ、いきなりすまないね。もしかして勉強中だったかな?」

「いえ、大丈夫ですけど。というか朝の喋り方はやめちゃったんですか?」

「え」

 

 

「変えた」じゃなくて「やめた」?つまり……それって……まさか……初対面でとっくにバレてたという事……だね。ふふ、はぁ、どうしよう中々ショックだよ。いや、今日は落ち込みに来たわけじゃない。

 

 

「ま、まあね。比企谷さんも受け入れてくれたから自然体で喋らせてもらうよ。それはともかく、今日は未来の可愛い後輩さんの為に差し入れですってね。」

「はっ!このビニール袋は!?」

「『今注目の甘味特集!!』でやってたコンビニスウィーツだよ、どうぞ。」

「ありがとうございます!……ピコーン!八千代さんも一緒に食べましょう!」

 

 

心の中でニヤリ。小町さん、君は私の期待通り動いてくれて本当に助かるよ。まあここでバイバイでも印象付けになるからどっちでも構わないけどね。AとBの分岐点、どっちに進んでもゴールは同じになる作戦。それでも、Aに進んだ方が楽だから助かるよ。ありがとね。

 

 

「おや、いいのかな?」

「はい、どーぞどーぞ!」

「ならお邪魔させてもらうよ。」

「はーい、一名様お屋敷に案内しまぁす!」

「それを言うなら『お座敷』じゃないかな」

 

 

テヘッと舌を出して誤魔化す小町さん、とても可愛い。あれだね、可愛いって得だね。許すというより言葉通り誤魔化される感じだよ。私もテヘッとしてみれば……多分凄く不気味がられそうだね。これは小町さんみたいに、眼がクリクリっと大きくて活発な女の子だから似合う行動だろうね。少し羨ましいよ。

 

 

「あっ、八千代さん。猫大丈夫ですか?」

「猫?大丈夫だよ。」

「ならカーくん出ておいでー」

「おお、可愛い猫さんだね。カーくんでいいのかな?」

「はい、名前はカマクラでーす!名付け親は勿論、小町!」

「じゃあよろしくね。カマクラさん。」

 

 

ナーゴという返事を聞いてから軽く撫でる。うん、毛並がいいね。猫にしては少し太いかもしれないけど、そこがまた丸々としていて可愛い。少し夢中になりながら撫でてると私の手を振り払って奥に引っ込んでしまう、……前から動物に懐かれないからもう慣れちゃったよ。昔、動物園の『モルモットふれあいコーナー』で死にもの狂いで逃げられた時は流石に泣きそうになったけどね。

 

 

「あっ、カーくん!」

「気にしないで小町さん。長く触らせてくれたから十分だよ。」

「え。十秒も撫でてないのにですか?」

「まあね。」

「うう、小町が悲しいです」

 

 

感受性が豊なのか凄く悲しそうな顔になる、それも一瞬ですぐにいつもの小町さんに戻る。それにしても、どこが?って聞かれたら言葉が詰まるけど、兄妹というだけあってどこか似てるね。なんだろう、雰囲気?少し違うかな。もっと心根に近いものなんだろうね。それを知るにはまだ遠すぎるし知らなすぎる。

 

 

「とにかく、これ食べようよ。」

「そうですね!じゃあ飲み物入れてきます、何にしますか?」

「コー……いや紅茶をお願いできるかな?」

「えーとダージリンとアッサムがありますけど」

「ダージリンがいいな。」

「かしこかしこまちましたー!」

 

 

……よく噛まないね。取り敢えずボンヤリ立ってても邪魔だろうし側の椅子に腰掛ける。私が買ってきたのは、「プレミアムロールケーキ」「ピュアカスタードプリン」「ピュアティラミス」「フォンダンショコラ」の四つ、スポンサーはもちろんローソンです。まあ定番は抑えたから嫌いって事はないだろうね。

 

 

「こちらダージリンになりまーす。」

「……ありがとう。さて小町さんはどれがいいかな?お先にどうぞ。」

「むー、小町は、小町はロールケーキ!」

「私はティラミスにするかな。」

 

 

ちなみに「こちら○○になります」という日本語はおかしい、「こちら○○です」が正しい、

別に料理は変化しないし今は一体何なんだという疑問が生まれるからね。ついでに指摘しなかったのは面倒だった、という理由ではないよ、ホントウダヨ?それは置いといてロールケーキとは予想通り過ぎてビックリだよ。

 

 

「それでそれで?八千代さんはお兄ちゃんのどこが好きなんですか?」

「そうだね、眼かな、眼。」

「眼!?……これはもしかして一気に高ポイントの嫁候補なのでは」

「小町さん?そんなに驚くことかな。」

 

 

凄く驚かれた、後半はよく聞こえなかったけど……ポイント?候補?とにかく一番最初の話題が恋話なんて最近の中学生は進んでるね。私も恋の一つや二つしとくべきだったかな。

 

 

「いえ、兄の眼が好きという人は初めて見たので、でもー小町はーお兄ちゃんの眼を含めて全て好きみたいな?あっ今の小町的にポイントが高くて」

「私の事は置いといて、小町さんは好きな人はいるのかな?比企谷さんを除いてね。」

「んー、とりあえず兄が一人立ちできるまで小町はそういうの無さそうですねー」

 

 

ふうん、そういうもんなんだね、中々面白いと思うよ。取り敢えず小町さんは比企谷さんに恋人ができるのを望んでるみたいだね、でも君の愛は兄妹愛と一括りにできるものなのかな?まあこんなに可愛い妹さんに愛されて比企谷さんは幸せ者だね。

 

 

「君は可愛いね、是非私の妹にならないかな?」

「はい!今、兄を貰うと小町がついてきますよ!」

「おや、それは豪華だね。でもお高いんでしょう?」

「いえいえ!それが今なら兄を愛すだけ!お求めの方は下記の電話番号に今すぐお電話を!」

 

 

ひとしきりおふざけが終わってお互いにスウィーツをつまむ。愛する、ね。眼を愛する自信はあるけど他はどうだろう。容姿は一般的に眼を除いて整ってる、容姿は合格。性格は道路側を歩いたり歩幅を合わせてくれたりしてくれるプラス面とマイナス面の面倒くさがり屋、パーソナルスペースの広さとかがあるけど私にとって問題ない。まあ、まだ知らないところも多いけど凄く優良物件かな?

 

 

「……まだ知らなすぎるかな。」

「え?」

「小町さん。比企谷さんの事をもっと知りたいな、お願いできるかな?」

「いいともー!兄が帰ってくるまでたっぷりお話します!あっご飯食べていきます?」

「いや、それは流石に悪いよ。」

「いえいえ!兄と二人っきりの食事だけじゃなくてー未来の義姉ちゃんとご飯食べたいなー」

 

 

おねだり上手だね。それにさっきの断り方だとこれに返すことができなくなっちゃう。そうなると私が言えることは一つだけ

 

 

「そこまで言うならいただきます。」

「それじゃあ、兄のお話をはじまりはじまりー!」

 

 

 

ちなみにこの後は、小町さんとメールアドレス交換したり、帰ってきた比企谷さんに小町さんが「ご飯にする?お風呂にする?そ・れ・と・も」の所で「や・ち・よ?」とやったら凍り付いたり(サプライズ成功)、普通にご飯食べたり、小町さんの勉強を見たりした、泊まっていってというお誘いをされたりした。お泊りは流石に断ったよ。

 

 

………

八千代の日記

 

とても楽しい一日だったよ。あと小町さんから「明日の九時ごろ小町の家で遊びましょう」というお誘いが来たから乗ることにしたよ。楽しみな休日だね。


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