良い子の皆さんも悪い子の皆さんもこんにちは、小町です。今日は皆さんにお兄ちゃんと八千代さんのラブラブっぷりと何かずれている付き合いを小町視線でお送りします。それでは愛の彼方に行ってキュー!
「…………」
「…………」
今ソファに座っているのは読書中のお兄ちゃんと八千代さん。テレビを見る時とかはお兄ちゃんの膝の間に座っている八千代さんですが、読書中や手元で行う趣味をする時はお兄ちゃんと背中合わせで座っています。別にもたれ掛っている訳でもなくただ身を寄せてるだけ。小町の少しませてるお友達は「彼氏と○○した」とか「△△した」とか「へー」としか思わない事ばかりですが、「ただ本を読んでるだけだよ?」と不思議そうな顔されると、ラブラブ過ぎてこっちが身悶えそうです。今飲んでるブラックコーヒーが甘く感じます
「……近い内、何処か遊びに行こうよ」
「あー……、前回はビリヤードだったな」
この二人は基本家でのんびり派なのですが、八千代さんは気まぐれに遊びを提案します。頻度が高くないのでお兄ちゃんも「あーそだなー」で済まし、出掛けるので八千代さんはもうお兄ちゃんの手綱を握っているという真実! ちなみに今までは、ボーリング、スケート、ビリヤードです。どうやらショッピングよりスポーツを楽しむ信条の様ですね
「あっ、フリークライミングだったか? あれやりたいと言ってたろ」
「そうだったね、君はそれでいいかな?」
「おー、後で調べとくわ」
「よろしく頼むよ」
言葉のキャッチボールは3往復で終わりを告げ読書に戻る二人。うん、サッパリのスッキリのサラッサラッでぇす。ええ、小町は高校生カップルは性欲の塊だと思っていましたが違うんですね、そうですね。いやこの二人がプラトニックなだけでしょうか?小町が理解するには少しむずかしいです
「んぁ……、少し寝ようかな」
「おう、おやすみ」
八千代さんはよくお兄ちゃんの膝を枕にしている、と言っても仮眠をとる時だけです。でもまあ八千代さん良く寝ますし遊びに来た日は最低でも1時間は寝てますから毎日枕にしてるようなものですけどね。ちなみに八千代さんがお兄ちゃんを膝枕してるところは小町が知る限り一度もありません
「すぅ……すぅ……」
「…………」
のび太君も目を見張る程の早さで眠りに落ちていく八千代さん、お兄ちゃんは本を読みながら片手間に小町にしてくれた様に、何時かカーくんにしてあげた様に頭を優しく梳かす様に撫でていく。……小町としては、あまり面白くない
「くぅ……ん……」
「…………」
八千代さんはお兄ちゃんには勿体無い程ポイントが高い。身長は小町より低い、体系も「ボンキュッボン」とは遠くかけ離れ「シャシュッシャ」ぐらいだと思っている。……これは八千代さんには内緒ですよ?とにかく体系がロリなのは置いといて、料理は小町と同等かそれ以上、運動も恐らく平均以上、勉強も解りやすく効率的に教えられて、お兄ちゃんのオタク趣味にも偏見が無くて、独特の世界観を持っているから例え専業主夫になりたいと言っても真剣に検討しそう、それに小町の事も大事にしてくれている
「んっ?!」
「うぉ、わ、悪い」
お兄ちゃんがウトウトしながら読んでいた本が手から滑り落ち八千代さんの額にクリティカルヒットした、流石に痛みやらで眠れなくなったのか額をさすりながら読書を再開している。今更だけど八千代さんの読んでいるのはお兄ちゃんから借りたライトノベル。ヒロイン達が心に闇を抱えた主人公を攻略する「これラノ?」で3冠達成したやつ
「この主人公は面倒な人だね」
「まぁ、ファンの間では攻略難易度エクストリームと言われてるしな」
「君も中々面倒な人だったよ、エクストリーム?」
「別にそこまでじゃ無いだろ、……現にお前に攻略されたしよ」
偶に、偶にですよ? お兄ちゃんの方が乙女な気がする時があるんですよ、今なんて顔逸らしてボソッと「現にお前に攻略されたしよ」ですよ?お兄ちゃんが読んでる本とかでヒロインが「……バカ」とボソッと言うぐらい乙女な感じですよ?お兄ちゃんは何を目指してるかな、お嫁さん? 八千代さんがその気になればお兄ちゃんはお嫁さんになりそうだからヤバイ
「小町さん、なに複雑な顔をしているのかな?」
「いえっ、小町の事なんか気にせずイチャッイチャッしてください」
「それはもう少し表情を隠してから言ってくれ」
「えっ、嘘」
パッと顔を覆ってみるも、自分の表情は見えない。……あれ?
「もしかして、鎌掛けた……的な?」
「そんな簡単に掛かるとは思わなかったけどね」
「んで、どうした」
「んー……」
どうしたもこうしたも、少し恥ずかしく感じるから自分の口では言いたくない。でも鈍感ごみいちゃんが察してくれるわけないか、うん、部屋に戻ろ。画面の前の皆さん今日はお開きで
「ごめん。少し電話出てくるよ」
「いてらー」
「……あれ?」
す? 急に八千代さんの電話が鳴り始めた為、会話が中断される。ササッとドアの向こうに移動した八千代さんが何か話してるが口元を覆いながら通話してるせいで内容までは聞くことが出来ない。……2分も立たぬうちに戻ってきた
「悪いけど買い物頼まれちゃってね、今日はさよならだよ」
「ん、そうか。道中気を付けろよ」
「うん、じゃあね」
……もしかして八千代さんに悟られた?! そうとしか思えない、あのタイミングで電話が来てしかもおつかいを頼まれるなんて偶然はそう起こらない、そんなの小町にも解りますよ!とにかく玄関までに聞き出さなきゃ
「……八千代さん、小町のせいですか?」
「何を言ってるかまるでわからないね、君は何をしたのかな?」
「え……と……」
「言いたくないなら別にいいよ、じゃあまた明日ね」
「……はい」
八千代さんは隠す気も余りないからそれが本物か偽物かわからなくなる時がある。でも今日はすっごい分かりやすい、要するに今日はお兄ちゃんに好きなだけ甘えていいという事ですね!ならなら、善は急げ!
「おにぃちゃ~ん」
「お、おう。どうした、頭ぶつけたか?」
語尾にたっ~~ぷりハートマークを付けた呼びかけは頭を心配された。ですがここで終わるわけにはいかないんだ!明日も八千代さんが遊びに来るだろうから!
「小町は少し寂しいのです!と小町は小町はツンツンしてみたり!」
「どこのクローンだ。……じゃあこい」
お兄ちゃんは八千代さんのおかげかスキンシップに前より寛大になりました、ベタベタ触るのはうっとうしがられますが。とにかく膝の上にドーン!
「ごふっ!」
「やはりお兄ちゃんの乗り心地は良いどすなー」
「お兄ちゃんは下腹が痛いよ……」
やはり小町がお兄ちゃんのことが大好きなのはまちがっていないのです! 同じくらい八千代さんも大好きですけどね! 小町の兄離れは当分ありえません!