自己満足で描いた女オリ主の話~自書女主話~   作:最下

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これからは八千代×八幡です。お楽しみあれ


八幡さんとの時間

 

 

 

「…………」

「え、マジでやんの?」

「嫌かな?なにも減らないと思うけど」

 

「…………」

「恥ずか死すんだろうが」

「大丈夫、例え君が亡くなっても君への感情は無くならないよ」

「そこは心配して無いから」

「おや、分かりきってる事だったのかな?」

 

「…………」

「そうじゃ……。はぁ分かった、こい」

「ふふ、失礼するよ」

 

「…………」

「……うん、これはいいものだね」

「はいはい、満足ですかぁお姫様。」

「うん、これからもよろしくね」

「えぇー」

 

 

「甘ぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああい!!!!!」

 

 

「うぉ!?」

「ど、どうしたのかな小町さん」

 

 

突然叫びだす小町さん。お、驚いたよ、それに甘い?MAXコーヒーに砂糖を追加したのかな?……なんてね。流石にこれはくっつき過ぎかな?

 

 

「どうしたもこうしたも有りませんよ!? 自分の現状を見て仰ってください!」

「だってよ。ほらどけ」

「お断りだね」

 

 

因みに今は何時かの様に私が八幡さんの足の間に座ってもたれ掛っている。暖かくて気持ちいいしもたれ掛った時に時に伝わる心音は精神を落ち着けてくれる。何より八幡さんとくっついて居られるというのが好い。

 

 

「いや、小町的には義姉ちゃんがお兄ちゃんとラブラブなのは有りなんですけど」

「なら願ったりじゃないかな」

「でも、何と言うか……こう……」

 

 

ふむ、何か引っかかるようだね。何かな。小町さんを上から下まで眺めてみる。うーん、小町さん。空中に円を描いても私には何も伝わらないよ。分からないなら色々試してみようかな

 

 

「小町さん。おいで」

「何ですか?わひゃ」

「ぎゅー、かな?」

 

 

小町さんを呼び寄せて抱きしめてみる。義姉ちゃんと呼んでくれるなら私の大事な義妹だからもう遠慮する気も躊躇う必要も無い。元から大して遠慮してた訳じゃ無いけどね。

 

 

「こ、小町ポイントがカンストしそうになりました……」

「ふふ、遠慮なくカンストしなよ。私の可愛い義妹さん」

「キュン」

「そこまでにしておけ、マリア様が見てるぞ」

 

 

男の子の八幡さんとは違って小町さんの体は柔らかい。身長の差も少ないから抱きしめる事が出来る。八幡さんだと抱きしめるではなく抱き付くだからね。

 

 

「む、八幡さんも来るかな?」

「どうしてその結論に至った」

「二人纏めて抱きしめられるチャンスかな?ってね」

 

 

とにかく小町さんを放すとしよう。何時か八幡さんと小町さん、カマクラさんも纏めて抱きしめてみたいな。

 

 

「あっ……」

「ごめんね。文句は八幡さんへどうぞ」

「い、いえいえ小町が独り占めしちゃ悪いですし?お兄ちゃんを想って小町は去りますんで」

 

 

そう言い残して二階に駆けて行く小町さん。……別に私は気にしないけどね。いや、この場合は私が小町さんに独り占めされるという事かな?なら私がとやかく言うことじゃないね。

 

 

「よいしょ」

「……ここに戻るんだな」

「当たり前だよ。君は私の物で私は君の物だからね。大事な物は肌身離さずだよ」

「物なのか」

「うん、とってもとっても大事な者。絶対に手放さないからね」

 

 

ストレートに好意を伝えると耳を赤くしてすぐソッポ向く八幡さん。この態勢だと君の顔はほとんど見えないから顔を背けなくても大丈夫だよ。まあ癖なんだろうね。

 

 

「くっそ……。やっぱ恥ずか死するわ……」

「おや、それは大変だね。それは置いといて今度何処かに出掛けようよ」

「俺達の記念すべき初デートだな(キリッ。……すまん」

 

 

何故謝っているのかな?私はただ八幡さんの言動を疑ってるだけだけど。まさか君がそんな事を言うとは夢にも思わなかったよ。寧ろどこにも行きたくないと言うと思ってたから申し訳ないね。

 

 

「君が積極的だったから驚いただけだよ。ごめんね」

「いや普段は積極的の『し』の字も無いのは分かってるから、謝んないでもいいけどよ」

「そうかな?」

 

 

とにかくどこにいこうかな。この前はボーリングと文房具屋を見て散歩。どうせならロマンチックなデートスポットより体を使うような遊びをしたいかな。やったことはないけどダーツやビリアードみたいなね。

 

 

「はれはともかくスケートとかどうだ?確かチラシに割引券付いてたし」

「スケート……いいね。私は初めてだけど八幡さんは?」

「ふふん、小町の手を引いて滑れるぞ」

「じゃあ行ったときはご教示頼むよ」

「あんま期待すんなよ」

 

 

スケートね、いつか見た特集では割と定番のデートスポットだったかな。割引券が建前か本気か分からないけど彼女を誘うのには中々上等の場所だと思うよ。……彼女ね、自分でいうのは少し照れるね。

 

 

「うん、期待し過ぎない程度に期待してるよ」

「そうしてくれ」

 

 

話題が無くなってお互いに無言で過ごす。頭で八幡さんの胸をグリグリしてみると指で髪を梳かしてくれる。この指が髪の間を駆け抜け頭皮を撫でる感覚は何度やってもらっても飽きる気がしないよ。

 

 

「……楽しみにしてるよ。私の王子様、ふふ」

「へぇへぇお楽しみくだされ、姫君」

 

 

…………いや

 

 

「やっぱ君は王子様という感じでは無いね」

「えぇ!?」

 

 

~~~

 

 

「手袋良し、靴良し、服装良し」

「準備完了だね。よろしく頼むよ」

「おう」

 

 

お互いに都合の良い日の休日。と言っても私や八幡さんは友人が少ないから決めた日から一番近い休日だね。室内スケート場で休日なだけあって親子やカップル、友人同士と賑わっているよ。私達もこの賑わいの一部だけどね

 

 

「つっても俺も久しぶりだがな……」

「まあ時間はあるしゆっくり遊べればいいよ」

 

 

寒くない程度の格好で軽い準備運動をする。何でもテニスの王子様が運動するときは少しでも準備運動をしてからの方がいいと言われたらしいよ。準備運動をちゃんと行うのは感心するけど一番の理由が王子様なんだね

 

 

「おし、行くか」

「うん」

 

 

取り敢えず手すりに掴まりながら氷の上に立ってみる。地面に立っているより気を張っているからか体力の消費が早そうな気がするよ。うんうん、是非とも滑れるようになりたいね

 

 

「まず、足を逆ハの字にして前に歩いてみろ」

「えっと、こうかな?」

「そうそう」

 

 

言われた通りペンギンさんみたいに歩いてみる。これがどのような意味があるのかは分からないけど言われた通りにこなそうと、ぎこちなく前に進む。うーん、ペンギンさんも面倒な歩き方してるね

 

 

「手を放してやってみろ。」

「よっ、うん、うん」

「……問題なさそうだな」

 

 

元より運動神経は悪くないし同じことを繰り返し体に沁みこませるのは得意だよ。チームプレーを必要としない運動ならそこそこの成績を出せる。逆にチームプレーが重要なのは苦手でサポートに徹するけどね。

 

 

「じゃあ滑り方だな。あー…………、手、かせ」

「ふふ、今更照れることかな?」

「うっせ」

 

 

君は本当にいつまでも初々しいね。足の間に座っても照れなくなったのに今更手で……、いや八幡さんから言い出すのは初めてかな?普段は私が勝手に手を取るし……。まあいいや、今はスケートだもんね

 

 

「よし支えてるから気兼ねなく失敗しろ」

「うん」

「片足は進行方向、片足は進行方向に対して気持ち垂直にするそして氷を蹴る。いいな?」

「……なんとなくね」

 

 

動きを一度頭にイメージしてからそれをなぞる様に行う。予想よりずっと簡単にスー、と氷の上を滑る。……気付いたけど自然に止まるまで待つしか止まる方法がないね。

 

 

「おお、上手いな。止まる時は足をハの字したら止まれるぞ」

「こう……。出来たよ」

「お前って飲み込み早いな」

「ありがとう」

 

 

ふむ、止まる方法も分かった。滑り方ももう少し数を熟せば良くなるだろうね。じゃあしばらくは練習に打ち込もうかな。大分滑れるようになったら他のカップルがやってるように手を繋いで滑ってみよう。八幡さんの恥ずかしがる顔が目に浮かぶよ。

 

 

「よし、少し滑ってくるよ」

「へーい、俺は自販機探してくる」

「いってらっしゃい」

 

 

~~~

 

 

「えー、お前何してんの?」

「おや、遅かったね。」

「自販機が中々見つからなくてな……。違う今はそこじゃないだろ」

「そうだね」

「オイオイあんま無視しないでくれない?というか男連れなの?眼がやばいこいつ?」

 

 

少し疲れたからベンチで座っていたらナンパに絡まれて八幡さんが帰ってきた。というかナンパさん、八幡さんの眼がやばいのは否定しないけど、それを貶すのは私の神経を逆撫でするだけだからやめて欲しいね。

 

 

「……まあともかく、これお前用のココアな」

「ありがとう、気が利くね」

「ちょいちょい可愛い子ちゃん!俺も気が利くしこいつよりイケメンだぜ?どうよ!」

 

 

八幡さんが買ってきたココアに口を付ける。少し熱中して滑った後なのでココアの甘さと冷たさが実に心地いいよ。というかナンパさん、私が外見でしか人を見れない女に見えるのかな?もしかして私を貶してる?

 

 

「ま、そろそろ俺も本格的に遊ぶしいこうぜ」

「うん……そうだ。エスコートしてよ」

「わーたよ、いくぞ?」

「あれー?俺のこと忘れないで?ちょっとー?」

 

 

音にするとニヤリが一番合っている笑みを浮かべて八幡さんに手を差し出すと同じくニヤリとした八幡さんが差し出した手をとりリンクへ移動する。後ろで何かが喚いてる気がするけど、どうでもいい。ふふ、八幡さん今日は普通のカップルの真似っ子といこうよ。それはそれで楽しいと思うよ。

 

 

「……遅れてすまんかった」

 

 

滑っていると呟くように八幡さんが謝罪して来た。恐らくさっきのナンパさんの事を気にしてるようだけど君に罪がある様には私には見えないよ。でもそういっても君が納得するとは思えない、ならちゃんと清算してあげればいいだけのことだよね。

 

 

「大丈夫、アレならあのココアでチャラにするよ」

「安すぎねぇ?」

「そうかな?別に被害があった訳じゃないし等価だよ」

「そんなもんなのか……?」

「そんなもんだよ」

 

 

案の定八幡さんは言葉一つでは納得しなかった。それでも話してるうちに私が本当に気にしてないのを悟ってくれたのか、「わかった」といってしばらく滑ることに集中していた。やっぱり君は面倒な人だね。そこも好きだよ

 

 

「つまらない事を考えてる暇があるならスピード上げるよっ」

「うぉ、ちょ、ちょっと待てっ!」

 

 

いつまでもくだらない事を考え続ける八幡さんの手を引きスピードを上げる。お昼が近づいて人が少ない時間の広々としたリンクを滑り抜ける。ふふ、これは楽しいね。態勢を立て直した八幡さんが非難の眼差しを向けていたが、楽しんでる私を見て自分も楽しむことにしたらしい

 

 

「いや、やっぱ速すぎだろ!」

「ほらほら、スケートリンクでこんなにスピード出せるなんてそうそう無いよ」

「限度ってもんがあるだろ!」

 

 

むぅ……。流石に調子に乗り過ぎたかもね。確かにテンションが上がっていたとはいえ危険なことをしていたよ。とにかくスピード落とすかな

 

 

「……ん、悪かったね」

「はぁ、ふぅ……、久しぶりにこんな激しい運動したぞ」

「私もそうだね。少し疲れちゃったよ」

 

 

歩くぐらいのスピードに落とす。確かに激しい有酸素運動だったよ。疲れたしお腹もすいてきたね。中々遊んだし他の場所に移すがてらお昼御飯を食べるのも有りかも知れない。

 

 

「疲れたしそろそろ帰ろうぜ」

「じゃあ何か食べたいものあるかな?」

「お前が作るもんなら何でもいい」

「へ?」

「ん?」

 

 

わ、私が聞いたのは帰る前に何を食べていこうか、という意味だったけど……。君は偶に乙女心をくすぐる様な言葉を言うから、こう、卑怯だよ

 

 

「え、あー、あー、恥ず……!」

「ふふ、さて何を作ろうかな、取り敢えずお買い物してから帰ろうよ」

「あいよ、さっきのは忘れてくれ」

「うん」

 

 

忘れる気はさらさら無いけどね。さあ帰ろうか、今日のデートはお終いってね。でも楽しみは終わらないよ。……ずっと、ね


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