自己満足で描いた女オリ主の話~自書女主話~   作:最下

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少し長くなりそうなので二話以上に分けます


人(仮)攻略作戦 No3 壱

 

 

「やっほう。遊びにきたよ、八幡さん。」

 

 

次の日。「朝からうちで遊びましょう、八千代さん!」というメールが小町さんから届いてたので遠慮なくお邪魔する。昨日起きてから頭は澄み渡っていてとても気分がいいよ。やっぱあれは現実だったのかな、だとすると八幡さんに後ろから抱きしめれていた、ということかな?

 

 

「お前は番外個体か」

「それはなにかな?」

「気にすんな。ほれ上がれ」

「うん、お邪魔します」

 

 

なにか違和感を感じるよ?なにかな……雰囲気が前より柔らかいかな?小町さんへ向けてるのと似た暖かさ、というところだね。うぅん、距離が近づくのは嬉しいけど私は一人の女の子として見て欲しいかな

 

 

「どした?変な顔して」

「君の方が変な顔だよ?いや眠そうな顔だよ」

「そうだな。だが日曜日はスーパーヒーロータイムにプリキュアがあるからな、寝れん」

 

 

ふぅん、あまり馴染みがない趣味だね。これを機に少し触れてみるのもありかも知れないよ。

 

 

「おはようございますぅ、八千代さん」

「おはよう小町さん。昨日も迷惑かけてすまないね」

「いえいえ!嫁候補の八千代さんなら迷惑かけられても応援しますよ!」

「ありがとう、君も好きだよ小町さん」

「ふぇ」

 

 

可愛い声をだした小町さんを無視して八幡さんの隣に座る。それでも八幡さんは熱心にテレビを見ている。むう八幡さんの邪魔はしたくないけど少しつまらないね。

 

 

「近い」

「そうだね、明日はきっと晴だよ」

「強引すぎだろ……」

 

 

距離をズイッと詰めると案の定文句を言ってきたのでとぼけると、とにかくテレビに集中することにしたのか頬を染めたままテレビに向き直る。うん、妹に近い見方もあるけど異性として意識してくれてるみたいだね。だとしたら私の頑張りも無駄ではなかったみたいだよ。

 

 

「ん」

「っ!」

 

 

肩に頭を置くとピクッと反応する八幡さん。そのまま頭をすりすりと擦り付けるとまたピクピクと反応する。どうしよう、凄く楽しいよこれ。……いや凄く恥ずかしいことしたかもしれないね

 

 

「わぁお、八千代さんすっごい甘えてる」

「ち、違うよ、これは楽しくて、つい」

「楽しかったんですね」

「まって、楽しいというのは」

「みなまで言わなくてもいいですよ、小町わかってますから」

 

 

何がわかっているのさ。それに本当に甘えてるわけじゃないよ、それに八幡さんの反応が楽しかっただけで、……どっちにしろ八幡さんのこと大好きと言ってるよこれ

 

 

「さて、飯食うかな」

「ご飯よりテレビに張り付くんだね」

「当たり前だろ」

「それは一般的に当たり前じゃないよお兄ちゃん」

「うっせ」

 

 

ご飯か、こんなことなら家で食べてこなければよかったよ。とりあえず八幡さんの食事中はカマクラさんと遊んでいようかな。あの子も私に慣れてきてくれたみたいだし、最初に比べてだいぶ撫でさせてくれるようになったよ。

 

 

「じゃあおいで、カマクラさん」

「にゃー」

「よしよし、触らせてくれるのは君ぐらいだよ。」

「にゃあ」

「ん?ああ、頭の方がお気に入りだったね」

「ふんす」

「ふふ、ありがたきしあわせってね」

「なぁー」

「八幡さんが食事中だから動き回るような遊びはダメだよ?」

「ふー」

 

 

「あいつ、カマクラと喋ってるの?」

「なんとなくカーくんが喋ってる内容がわかるね」

 

 

「そうだ、抱っこしてみたいけどいいかな?」

「……にゃん」

「嫌なら断ってもいいよ?」

「にゃー」

「そっか、ありがとね。よいしょ」

「なぁう」

「おっと、こうかな?うんありがとね」

「ふんす」

 

 

「あいつ絶対、ネコ語理解してるだろ」

「八千代さんにまさかの不思議ちゃん属性!?」

 

 

「あまりジロジロ見るものじゃないよ?」

「自分が結構おかしい事してるのに気づけ」

「雪乃さんが血涙流しそうなほど親しげでしたよ」

「へ?」

 

 

私なにかおかしい事したかな?それに雪ノ下先輩が血涙?私がカマクラさんと戯れてる間にどんな話をしたのかな?まあ今日はカマクラさんも乗り気だったのかいっぱい触らせてくれてよかったよ。

 

 

「あ、忘れるところでした。八千代さんこの写真受け取ってください」

「写真?えーと、あれ?」

 

 

小町さんから送られてきた写真は八幡さんの足の間に座ってもたれ掛ってる私と苦しくない態勢にしない様に手を回してる八幡さん。……あ、あれはやっぱり夢じゃなくて現実だった、というかとだね……。うう、半分夢の世界に入っていて損したよ。いや起きてても恥ずかしくてきついけどね

 

 

「……八幡さん」

「お、おう何だ?」

「あれ、現実だったの?」

「……まあそうだな」

 

 

うーん勿体無いことしたよ。意地でも起きてれば、いや過去ばかり睨んでも意味ないしこれはやめようかな。それに彼がそんなスキルを持ってるのは小町さんのおかげだろうつまり私の事を妹扱いしてる、薄々気づいていたけど出来れば認めたくないかな。

 

 

「じゃあまず」

「通報はしないでください」

「そんな事しないよ」

 

 

机にぶつかるほど頭を下げないでほしいな。……あれかな、奉仕部に行ったとき楽しそうにいたぶっていたしこれは雪ノ下先輩の成果ということかな。

 

 

「さて気を取り直して、昨日は悪かったね」

「それはもうすんだろ」

「うん、で本題に入るよ。次からソレは最終手段にして君を守るよ」

「俺が守られることは前提なんだな」

 

 

まあね。

 

 

~~~

 

 

「……それ、面白いか?」

「ううん、残念ながらね」

 

 

私が今読んでいるのは「作、材木座義輝」と書かれた紙の束。きっと材木座先輩の書いたものかな、と思って読んでみたけど……

 

 

「これはいつのかな?」

「春ぐらいだったな」

「そっかよかったよ」

 

 

ならこれ以上紙束に用はない、まるで一々辞書引きながら読んでいる気分だったよ。でもまあこれが春のものなら、そろそろ季節が一周しそうだしどれ程の文が書けるか楽しみだね。

 

 

「進展してるかな?」

「まあな、雪ノ下が一から文法を叩き込んだからそこらの素人よりマシなものが書けるだろ」

「君達も頑張ってるみたいだね」

 

 

この文章からみたら凄く上達したと思える言葉。ふむ、雪ノ下先輩が先生になれば趣味から勉強、音楽込で何でも成績上がりそうだよ。いつか私も依頼してみようかな、料理とかね

 

 

「つうかお前こういうオタク文化に抵抗ねぇんだな」

「触れる機会が無いだけだからね。それに私も相当奇抜な趣味、というのもあるよ」

「あー、あの眼が気に入ったというやつ?」

「うん」

 

 

最近は君自身にかまけていたから今日は君の眼に集中しようかな。君のその腐った眼をじっくりと堪能させてもらうよ。便利なカードも手に入ったしね

 

 

「八幡さん」

「…………何?」

「そんな逃げようとしないでよ」

「いやお前何かよからぬこと考えたろ」

「はてなんのことやら」

 

 

何か察したのか私の言葉に警戒する八幡さん。失礼だね君への思いの一辺を警戒するなんて。

 

 

「君の眼、見せて欲しいな」

「なにその忘れてたキャラづけみたいなお願い」

「……それでいいかな?」

「いいと言う訳ねえだろ」

「と、言うと思ったよ」

 

 

でも私は便利なカードを手に入れたんだよ。事実で衝撃的なカードがね

 

 

「ところで八幡さん。うっかりこの写真を親に送っちゃいそうだけど、どうする?」

「おまっ……!!」

 

 

そういって見せるのはメールの先程小町さんから貰った写真を添付、それの送信確認画面。実際送るのは私のサブアドレスだけど、君と遊ぶには十分なカードと見たよ。さあ私の勝ちだよね八幡さん?

 

 

「ぐぐ、わか……。いや好きにしろ」

「……そう、ならお望み通り送ってあげるよ。」

 

 

スマートフォンをスッと操作し承認を押そうとする。止めてみなよ、負けを認めなよ、……虚勢じゃないみたいだね、何かへまをしたかな?でも送信を押す。

 

 

ピロン

 

 

「俺の勝ち、だろ?」

「…………そうだね。理由を聞いてもいいかな?」

 

 

行けると思ったのに残念だよ。親に送ると言えば血眼になって止めると思ったのにさ

 

 

「まず、「好きにしろ」は揺さぶりだったんだよ。それでお前は一瞬戸惑った。」

「……それで?」

「ここで負けを認めてくれたら一番だったが、お前は止める時間を与える様に操作した」

「そこで気づいた、ということだね」

「その通り。ついでに言えば年頃の娘は親の介入を嫌う、ソースは小町」

「そっか……」

 

 

じゃあ

 

 

「命令、以下三つの指令を一つ以上こなせ。ペナルティはこの写真を奉仕部に配る。」

「随分マジな眼してるなおい……。まあ言ってみろ」

「一、添い寝。」

「は?」

「二、眼を見せる」

「はい」

「三、膝枕」

「…………」

 

 

「何考えてるのこいつ?」と言わんばかりの眼でこっちを見つめてきた後、退く気が無いのを察したのか熟考を始める八幡さん。とにかく添い寝はないだろうから眼か膝枕。八幡さんは視線を好まないので多分膝枕になるだろうね。でもまあ膝からなら顔も見やすいから同じだけど

 

 

「…………ほれ」

「うん、し、失礼します」

 

 

自分の膝をぽんぽん叩いて承認の意思を示す八幡さん。い、今更だけど少し緊張するね。これで八幡さんが添い寝を選んでいたら多分緊張で爆発してたよ

 

 

「ん」

「っ」

 

 

頭を置くとピクッと反応する八幡さんは置いといて、膝枕は割といいものだね。八幡さんは別段筋肉質じゃないから堅い訳じゃないしだからといって柔らかすぎる訳でもない。要するにとても丁度良い。次は私が八幡さんにやってみようかな。

 

 

「……私は好きに転がってるから君も好きな事してなよ」

「じゃあそこのコントローラー取ってくれ」

「えーと、はい」

「サンクス」

 

 

……ゲームをやってる八幡さんの視線は真剣だけど、眼は腐ったままだから楽しいのかいまいち分からない。多分つまらなくはないけどおもしろくもないのかな。改めて八幡さんの眼を見ると引き込まれるような感覚を受ける。すっかり魅せられちゃったのかな

 

 

「…………」

「…………」

 

 

「…………」

「…………」

 

 

「……そんなじっくりと見ないでくれ」

「悪いね。やめる気はないよ」

「やめてくれ」

「…………」

 

 

悪いね。やめる気はないよ

 

 

~~~

 

 

「八千代さんって結構子供っぽいですよね~」

「それは?」

 

 

容姿か性格か趣味かそれとも全てか是非とも教えてもらいたいね。私は自分が大人とは思わないけど子供かと言われたら少し違う気がするよ。

 

 

「あー、確かに子供らしいな。容姿とか」

「それもあるけど、他にあるでしょお兄ちゃん」

「複数なんだね……」

 

 

それを全部八幡さんに指摘させるつもりなんだね。小町さんは偶にずれている気がするよ。でもまあ八幡さんが私の事をどの位見てるか知るにはいい機会だね

 

 

「良く寝るとかか?」

「あー確かに八千代さんよく寝るね。」

「私も好きで沢山寝てる訳じゃないよ」

 

 

お母さん曰く、体が小さいから最大エネルギーも小さくなる、だが必要エネルギーは大きくなるからその分寝てるらしい。そのあと「大きくなるといいね……」と頭を撫でられたのは記憶に新しいよ。

 

 

「後あれだな、素直なのか我儘なのか分からんところだな」

「お兄ちゃん……」

「八幡さん……」

 

 

それは君が好きだからだよ。私は君が好きだから大和撫子のように三歩後ろではなくすぐ横を歩きたいからね。それを人に言う日は来ないだろうけど、ね。

 

 

「君だって素直か我儘か解り難いよ」

「八千代さん。それは捻デレというのです!」

「ふふ、捻デレさん」

「やめい」

 

 

昨日は出かけて面倒事に巻き込まれた事を考えれば、今日みたいに家でのんびり過ごすことも幸せなんだね。それでも時には外に出掛けたいけどさ

 

 

「……なんか今日のお前楽しそうだな」

「楽しいよ。君達といられるだけでもね」

「ん~、なんか今日の八千代さんはふわふわという感じですね!」

「普段は?」

「……ひらひら?」

 

 

ひらひらね。ひらひらしているという表現をされたのは初めだよ。私から見ると小町さんはきらきら、八幡さんは何かな?似た者兄妹だし同じきらきらかな?でもきらきらに泥が付着してるから、どろきらかな。

 

 

「八幡さんから見てどうかな?ひらひら?ふわふわ?」

「そうだな……。ひらひらだな。それがしっくりくる」

「ほう、小町の直感は的中ですね!」

 

 

ひらひらが私にしっくりくる。ふふ、まったく意味がわからないよ、でもそれもまた楽しい。君達との会話は楽しいし、君達と居られるだけで嬉しい、君達との共有が心地いい。恋とはお得なものだね。

 

 

「八幡さんはどろどろきらきらだね。」

「その心は?」

「さあね、ちょっとお花を摘んでくるよ」


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