自己満足で描いた女オリ主の話~自書女主話~   作:最下

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人(仮)攻略作戦 No1

 

作戦その壱。「とにかく攻めてみる。」私は初恋で今まで興味もなかった恋愛。そういう時どのような行動を取ればいいのかいまいち分からない。だから対応はいつも通りで一緒に居られる時間を増やそうと思う。気取って変な振る舞いする方が八幡さんは気に入らなそうだしね。というわけで

 

 

「失礼します。八幡先輩いますか?」

「…………」

 

 

二年F組を訪ねてみたけど帰ってきたのは無言。さっきまで皆でわいわいしてたのにどうしたのかな?まあ用があるのは八幡さんだからいいけどね。とにかくざっとクラスを見渡してみる。あそこにいるのは由比ヶ浜先輩だね、んぅ……八幡さんはいなそうだよ。とりあえず後で八幡さんのメールアドレスを貰わないと不便だね。

 

 

「ヒキタニくんなら平塚先生に呼ばれて職員室にいるよ」

「ありがとうございます。それでは失礼しました。」

 

 

全体的にキラキラした先輩に教えてもらった。八幡さんとは対極にいるような人だね。印象としては八幡さんを岩盤から取り出した原石だとすると彼はあらゆる部分をカッティングして美しく加工された宝石みたいだよ。とにかく宝石先輩として覚えておこうかな。さて職員室にいくよ

 

 

~~~

 

 

「失礼しましたー……ふぅ」

「おや、お腹を押さえてどうしたのかな?」

 

 

まあ予想はつくけどさ。あらかた一昨日みたいに変な事言って殴られたとかだよ、きっと。それにしても丸見えの地雷を踏む必要はないよね。いや、殴られるのが君の趣味というなら私は否定はしないよ。

 

 

「余計なことを言ってな……。なんだその生暖かい視線は」

「……それは置いといてお昼ご飯はもう済ませたかな?まだなら一緒に食べようよ」

「いや一人で食べるから」

「君用のお弁当も作ってきたよ。この子はもしかしてダストボックス行きかな?」

「…………」

「…………」

 

 

小首を傾げて八幡さんの返事を待つ。君はこういう誘い方が有効だとおもったよ。しばらくの間をおいて八幡さんはめんどくさそうな顔を隠しもせずに長くため息を吐いてから

 

 

「わーたよ、いくぞ」

「うん」

 

 

~~~

 

 

「ん、ここはいいところだね。春だったら寝ちゃいそうだよ。」

 

 

通されたのはテニスコートが見える場所。階段があるから座る場所には困らないし夏は日陰になってるから涼しい。つまり今は寒いということだよ。それでも屋上よりはいいけどね。

 

 

「特にテニスコートが見渡せるのは八幡的にポイント高いな。」

「昼に練習するとは部活熱心な生徒もいたもんだね。はい、これ君の分」

「ああ、まさにテニスコートに舞い降りた天使だな。あんがとよ」

 

 

白い髪・テニス。ああ思い出したよ、多分一年生の間で噂になってた王子様かな。あれ、王子様ということは男子なのかな?遠目で見て男の子には見えないけど……まあ私に深く関わることは無いだろうし何でもいいかな。……それでも会話の種として知ることも大切だよね。

 

 

「たしか王子様だってね。いただきます。」

「ああ、らしいな。いただきます」

「もしかして知り合いかな?」

「そうだな知り……友達?」

 

 

知り合いと言おうとしてやめ、友達とも断定できない立ち位置なのかな。……私は君にとってなにかな、後輩?ご近所さん?知り合い?依頼者?どれも私のなりたいものじゃない。わかってるよ今は程遠い事も、でも私は君のたった一つの椅子に座りたい。

 

 

「深くは追求しないよ。それよりお味はどうかな?」

「うまいぞ。辛口で評価すると「平凡」だがな」

「つまり普通止まりだね。」

「まあそうだな。後は一手間加えるとかだな。」

「例えば?」

「肉は筋を取っておくとか温度とかそんなん」

「ふむ、ありがとう。」

 

 

成程、それは参考になるね。今度そういう本でも買ってこようかな。そろそろ中級者ぐらい名乗ってもいいだろうし今の本は初心者向けだから少し上を目指そうかな。小町さんは毎日料理してると言ってたね、今度少しお話しを聞かせてもらおう。

 

 

「葉山隼人、三浦先輩、相模実行委員長、王子様、雪ノ下雪乃、ヒキタニ」

「なに?」

「一年生で名が知れ渡ってる人だよ。まさか君が入ってるとは思わなかったけどね」

「俺が王子様とは見る目があるな一年。」

 

 

そのジョークは寧ろ自分を傷つけるものだと思うよ。やっぱり君には自虐癖があるようだね、それとも痛みが快楽に変わる人?でも雪ノ下先輩には楽しそうに反論してるからそれは違うかな?

 

 

「私が聞きたいのは君はクラスメイトにはヒキタニと呼ばれてるのかな?」

「あークラスメイトとか由比ヶ浜と戸塚以外知らんし相手も知らんだろ」

「でも八幡先輩で伝わったよ?」

「……つうかお前俺のクラスにいったの?」

「うん、君をお昼に誘おうと思ってね。」

「何してんだお前……」

 

 

頭を抱える八幡さん。何かなクラスメイトに知られて困ることがあるのかな?実はクラスで付き合ってる人がいるとかね。まあ流石にそれは無いと思うけどさ。本当にいないよね?いたら略奪愛ということになるけど……。小町さんが何も言わないから大丈夫かな?

 

 

「問題でもあったかな?」

「このあとクラスに戻りにくいじゃねぇか」

「でも二人以外は君のこと知らないといったよね」

「それでも多少は注目されんだよ。」

 

 

むぅ、君は相変わらずめんどくさいね。

 

 

「むぅ、君は相変わらずめんどくさいね。」

「え、いきなり罵倒すんなよ」

「おっと悪かったね。そんな君も好きだよ」

「っヨイショもしなくていいから」

 

 

ヨイショとは失礼だね。私の正直な気持ちなのに、まあ流石にこれで気持ちが伝わるとは思ってはいないよ。さてそろそろ食べ終わるしこの話は流すかな

 

 

「さてごちそうさまでした。」

「ごちそうさま。」

 

 

手を合わせてごちそうさまをする。食材への礼儀は忘れない様に心がけてるよ。それに八幡さん、ちゃんとやるのは八千代的にポイント高いよ。

 

 

「ああ、忘れるところだった。メールアドレスとか交換しようよ。」

「……ほれ」

「…………ん、ありがとう。これで用事がある時は連絡できるよ」

「おう、えーと「若葉八千代」。シンプルな設定だな」

「分かりやすさが一番だよ。それともやっちーの方が好みだったかな?」

「シンプル・イズ・ベストだな、うん」

 

 

うん、私もそう思うよ。というかやっちーはちょっと……いや凄い嫌だ。ちらっと見えてけど多分由比ヶ浜先輩の登録名が凄かったね。なんというか……スパム?あと八幡さん。いくらなんでもスマートフォンを渡すのはどうかと思うよ。まあ、ちらっと電話帳見たけど許してね?

 

 

「うん、そろそろ私は教室に戻るよ、次は移動教室だしね。」

「はいよ、俺ももう少ししたら戻るとするわ」

 

 

そういって空をみてポケーとする八幡さん。これから毎日誘わせてもらうよ、覚悟しててね。料理はもう少し勉強、小町さんを通して好物のリサーチ。なんなら雪ノ下先輩に料理を教えてもらえるか頼んでみるのもいいかもね。

 

 

~~~

 

 

「こんにちわ、雪ノ下先輩」

「こんにちわ。」

 

 

時は放課後まで移り、今日も放課後で自分探しをしに来た。でももうこの依頼は意味をなさないかもね。私のこの恋心は本物、中心になるものだと思っている。なら下手に八幡さんの放課後を害さない方が良策かもしれない。ここには八幡さんが求める本物がある。なら私がそれを邪魔するわけにはいかないよ。

 

 

「雪ノ下先輩、この依頼は切り上げさせてもらうよ」

「……なぜかしら」

「私の欲しいモノが見つかったからね、これから先は私の足で歩いて行ける」

「わかったわ。……手に入るといいわね」

「ありがとう、じゃあ私は帰るよ、二人によろしく言っといてね」

「ええ」

 

 

そう、まだ見つかっただけだ。でもゴールさえ見つかればその方向に進めばたどり着ける。奉仕部はあくまで手助け、なら後は自分で進むのが道理だろう。短い間だったけど楽しかったよ。次行くときは確かな宣戦布告の時だね。

 

 

~~~

 

 

「やあ、小町さん。約束通り家庭教師しに来たよ。」

「ありがとうございます!いやー兄だと理系がダメダメなもんで」

 

 

一度家に帰って適当な資料をもって小町さんの家に勉強を見に来た。自慢ではないけどテストでは毎回トップテンに入るよを。とにかく中学校の勉強なら教えられるし改めて勉強の見直しもできるからお互いに利益が、というのは建前で八幡さんにおかえりでも行ってみようと思ってね。

 

 

「紅茶とコーヒーどちらにします?」

「コーヒーをお願い。」

「かしこまちー」

 

 

サービスだと言わんばかりに近づいてきたカマクラさんを撫でながら小町さんを待つ。やっぱ小動物はかわいいね。私も小さいから小動物みたいって言われたことはあるけど他の人に可愛げが無いとも言われたし。やっぱ犬や猫は偉大だね。

 

 

「はい、おまたせしましたー」

「ありがとね、さて何からやろうかな。」

「そうですね~文系は兄でどうにでもなるので理系をお願いします。」

「わかったよ。じゃあなんでも質問してね。私も指摘するし」

「はーい」

 

 

黙々と勉強を始める小町さん。成程、兄に似て頭の出来はいいようだね……いや小町さんの努力の成果というべきだね。しかしピョンとたった髪はなんだろう、八幡さんにもあるけどいつも立ってる。しかも小町さんが少し詰まると髪が電波をキャッチするアンテナの如くくるくる回り始める。……本当に何だろう。

 

 

「八千代さん、採点お願いします。」

「…………うん。四つ間違ってるからもう一回。あとこれ借りるよ。」

「はい!」

 

 

やりながら詰まっていた問題と間違えた問題に似たものを問題集から三問づつ別の用紙に書き写す。一応ミスがないか確認。うん、次はこれをやらそうかな。

 

 

「どうぞ」

「うんよくできました。じゃあ手書きで悪いけどこれを解いてみて」

「わっかりましたー」

 

 

うん、これなら一度過去問をやらしてみようかな。時間を計ってしっかり見直しもさせて。これでいい点数が獲れたら次は他の科目をやらしてもいいしね。

 

 

「八千代さん」

「うん、うんOKだよお疲れ様。次は一休みしてから一度テストするよ。」

「じゃあじゃあ?小町は八千代さんとお兄ちゃんの進展を聞きたいのです!」

 

 

いきなり切り込んでくるね。でも私はもう、うろたえることは無いよ。なんたって自分の気持ちを認めたからね。

 

 

「そうだね、私は八幡さんのことが好きだよ。」

「おお!いきなりストレート!これは熱い!」

「おっともちろんLOVEだよ。」

「更に連続攻撃!?」

「そうだ改めて言うよ。君は可愛いね是非私の妹にならないかな?」

「複数攻撃だった!?」

 

 

元気だね。こっちも元気になりそうだよ。前なら冗談として言う言葉だけど今は冗談じゃない本気でそう思ってるよ。君達兄妹は見てて楽しいから是非二人纏めて欲しいな。

 

 

「お兄ちゃんだけでなく小町まで狙われてるとは。八千代……恐ろしい子!」

「さてこれ以上聞きたかったらいい点数とってもらうよ」

「え」

「はい、かたづけて。シャーペン二本と消しゴムだけ出す」

「あ、アイアイサー」

 

 

~~~

 

 

「ほぉ、おめでとう高得点だよ。」

「それでは続きをお願いします!」

「そうだね、何を聞きたい?」

 

 

うーんと髪をクルクル回す小町さん。つ、掴んでみたいな。八幡さんに今度触らせてもらおうかな、でも眼もじっくり見たいし……そうだ、小町さんに触らせてもらおうかな。髪質は女の子の小町さんの方がいいだろうしね。

 

 

「そうだ!小町も改めて、八千代さんはお兄ちゃんのどこが好きなんですか?」

「うん、今はあの優しさも眼も考え方も好きだよ。」

「べた惚れだ……。これは最早、最高峰の嫁候補なのでは……」

「ふふ、お嫁さんとは随分と気が早いね。」

 

 

お、お嫁さんか……私が好きなだけじゃ恋人にすらなれないのに結婚は遠過ぎるよ。八幡さんに好意を向けてる人は決して少なくはないと思う。私より可愛い女の子だっているだろうし雪ノ下先輩や由比ヶ浜先輩のように同じものを求める立場いる二人もいる。私がいくらがんばっても最終的には……

 

 

「───さん!八千代さん!」

「ん、なにかな?」

「顔が真っ青ですよ?体調が悪いようなら少し休んだ方が……」

「ああ、ありがとう。……少しソファ借りるよ」

「倒れる前に少し水飲んでください!」

「うん……」

 

 

一口だけ水を飲んでからふらふらとソファに移動し倒れこむ。なんでかな、さっきまで何にもなかったのに……。くっ気分がわるい。すこしねむらせてもらおうかな……めいわくかけるね……こまちさん……

 

 

~~~

 

 

「…………ん……」

 

 

意識が浮上する。まだ気分が悪い、とにかく時間を確認しないと……あれ?ソファじゃない。誰かのベッド……八幡さんの部屋かな?大きな本棚もあるし多分あってる。あと八幡さんもいるし……間違いなさそうだね

 

 

「ん、起きたか。」

「……おはよう、悪いけど今日は帰らせてもらうよ」

「起き上んなバカ。小町がお前の家に連絡したから寝とけ」

「……でもすぐそこだし……」

「あーあーもう決定事項だ大人しく従え」

 

 

言葉は少し乱暴だけど確かな優しさを感じる。ほんと、こんなに優しいから君のことを好きになっちゃうんだよ?もう……この暖かさは心地いい、ずっと包まれていたいよ。

 

 

「……わかった。でも少し話相手になってもらえないかな?」

「あいよ、今小町が飯作ってるからそれまではな。」

「うん、じゃあ何で私はベッドで寝てるのかな?」

 

 

これだけは聞きたい。どうせ君は仕方なくとかいうだろうけど私の心拍数は上昇中だよ、鼓動がうるさい。顔も赤くなってるだろうね。

 

 

「小町が自分のベッドで寝たいというから仕方なくだ。悪いが我慢してくれ」

「大丈夫だよ。……風邪でもひいたかな」

「いや、疲労とかだと思うぞ。お前昨日何時間寝た?」

「…………三時間ぐらい?」

「寝不足もだな」

 

 

し、仕方ないじゃないか自分の気持ちを整理するために日記を書いていたら三時を回っていたんだから。おかげでいつも一行二行書く予定の日記が結構なページ数進んじゃったし……

 

 

「お前それしか寝ずに弁当作って学校いって授業受けて小町に勉強教えてたのかよ」

「うっ、……ごめんなさい」

「反省したならよろしい」

 

 

気付かぬうちに焦ってたのかな。確かに色々やりすぎたかも知れないね。そういえば今日で君に出会ってからちょうど一週間だったかな。密度が高い時間を過ごしたツケが回って来た、ということだね。

 

 

「お兄ちゃん開けてー」

「あいよー」

「おはよう、小町さん」

「八千代さん、湯加減いかが?」

「それをいうなら御加減だろ、風呂かよ」

 

 

入った瞬間ボケる小町さん、全く君達を見てると癒されるよ。

 

 

「まだダルイかな。」

「ご飯は食べれそうですね、じゃーん小町粥でーす!」

「これ食ったらちゃんと寝ろよ。」

「わかったよ。いただきます。」

 

 

………

………………

………………………

………………………………

 

八千代日記

 

 

(未記入)


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