遊戯王GX~鉄砲水の四方山話~   作:久本誠一

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今年最後であろう一話。年明けはカイザー戦だ!


ターン7 出動!はたらく機械たち!

 その日も、これまでどうりの朝がくると思ってました。ええ本当に。というかついさっきまで何事もなかったんです。フツーに寝てただけでした。

「このドアを今すぐ開けろ!おい、聞こえていないのか!今すぐここを開けるんだ!」

 

 …………えらい威圧的な人にドア越しで怒鳴られるまでは、ね。

 

「な、なんだ………?」

 

 あ、十代が起きた。隼人はとりあえず様子見といった感じで二段ベッドの上からこっちをちらちら見てる、翔はこの大音量の中布団にくるまり頑張って寝ようとしてる。

 

『………来たか。変われ、俺が出る』

「なに、ユーノの知り合………ムグッ、いんや別に。ただ、用件の想像はつくな」

『なんで?というかまだOK出してないのに』

「細かいこと気にすんなよ。ま、見てりゃわかるさ」

「今すぐ開けないか!速やかに行動しない場合、この扉を爆破する!」

『ば、爆破ぁ!?』

「わかったぜ、今開けるよ」

 

 爆破の一言で眠気が吹き飛んだのか、ジャージ姿のまま扉を開ける十代。そこに立っていたのは、まあなんというかこう簡潔にまとめると。

 

「偉そうなこった」

『だよねぇ』

 

 すっごい偉そうな女の人だった。正直苦手なタイプです。

 

「お前の好みなんぞ別に聞いちゃあいないんだけどな。んで、おたくら一体どちらさんで?」

『あれ、用件はわかってるって今言ってなかったっけ?』

「わかってるさ。でもま、こういうのは聞いてやるのが礼儀ってもんだろ」

「私たちは、この学校の査問委員会の者だ。わかったら遊野清明、遊城十代の二名は今すぐ服を着替えて私たちについて来い」

「ちょっと待ってくれよ!?俺たちが一体何やったってんだ!」

『うん、いくらなんでも展開についてけないよ!ちょっとユーノ、体使うなら使うで何か言ってよ!』

「とぼけるな!お前たちがこの前、立ち入り禁止区域の廃寮に入ったことはもうわかっているんだ!ちゃんと証拠も出ているから、つまらない言い逃れは聞かないぞ」

『ね、ねえってばユーノ………?何とかするあてはあるんだよね?』

 

 でなきゃわざわざ交代なんてしないはずだし、ね?

 

「…………あいよ。とりあえず着替えるんだから、もうこれ閉めていい?」

 

 そう言いながら、ドアを顎で軽く示すユーノ。え、何このドライな対応。

 

「いいだろう。五分だけ待ってやる」

「気が利かない、っつーかノリが悪いなあ。そこは当然『三分間待ってやる』って言うとこだろ?」

 

 そう言うと、物凄い剣幕でこっちを睨んでから大きな音を立てて扉を閉めた。正直、今のは殴られてても文句言えないと思う。まあ、そうすると後で痛い思いするのは僕なんだけど………。

 

 

 

 

 

 

「それでは我々査問委員会は、あの寮に入ったお前たち全員に退学処分を命じる!」

「ちょい待ち。確かに俺たちはあそこの寮に入ったけど、なんでまたそのせいで退学までされなきゃいかんわけだ!」

「校則違反者が何を言うか!」

「朝っぱらから怒鳴り込んできやがって、少しは他人様の迷惑ってもんも考えろっつってんだよ!」

「ま、まあまあ遊野君。一度落ち着いてくれないか」

『ほらユーノ、鮫島校長もああやって言ってるよ?というかこれ以上ペラペラ喋られると後々目ぇつけられんのは全部僕なんだから勘弁しやがれくださいお願いしますユーノ様』

「(おいユーノ、そろそろ止めとかないとヤバいんじゃないか?)」

『ねえ十代もそうやって言ってるよ?だからお願いします抑えてください』

「ちっ、言いくるめるまでは頑張ってみようと思ったのによ」

『待てよオイそんなこと考えてたのかよやだよ退学』

「わめくなやかーしー。それじゃあ…………お願いします、何でも(コイツが)言うこと聞きますから退学だけは勘弁してください!」

『あれ、今「コイツが」って言わなかった?てことはなに、言うこと聞くのは僕なわけ?』

「あーるっさいるっさい。…………お願いします校長、クロノス先生!お慈悲を下さいっ!」

「ならば、私から一つ提案があるのーネ」

「と、言いますと?」

「それはでスーネ校長、ズバリ制裁デュエルですーノ!」

「せ、制裁デュエル?なんだそれ?」

「そう、よく聞きなさい遊城十代。アナタと丸藤翔の二人にはタッグを組んでもらい、学校の決めた相手と退学を賭けたタッグデュエルをして貰うのーネ!」

タッグデュエルか!面白そうだな!」

『…………僕は?』

「おう、十代と翔はそれでいいかもしれんが、俺はどしたらいいんだ?もしかしてアレか、俺にはおとがめなしなのか?」

「遊野君、できれば君にもタッグを組んでもらいたいところなのですが、なにぶん校則違反者がちょうど三人しかいないもので………」

『あれ、校長の言ってることなんかおかしくない?隼人はもういない扱いなわけ?』

「ああ、ちーっとばかし妙だな。ま、とりあえずクロノスせんせと鮫島校長が結論出してくれるだろ」

 

 その言葉どうり、あーだこーだと言い合ってやっと結論が出たらしい。その位呼び出す前に考えとけよ、と思ったのはナイショ。どうせ言っても不毛なだけだし。

 

「では決まりました。君には申し訳ないのですが、誰か本校の生徒の中から、ただし遊城十代君及び丸藤翔以外の人とペアを組んでもらってください。もちろん、その場合君が負けてもペアの人には影響ありません」

「『…………何その果てしなくわけわからんルール』」

 

 

 

 

 

「…………とまあ、こんな所かな」

 

 ようやく先生たちから解放されて体もユーノから取り返して、購買で勝ったドローパンを食べながらどっかから今朝の話を聞きつけてきた明日香と三沢に、しょっ引かれてからどうなったのか心配で追いかけてきたらしい隼人、よくわからないなりに興味があったらしく寄ってきた夢想に対して愚痴っていたところ。ちなみにユーノは十代と翔にレッド寮でタッグの指導をするんだそうだ。

 

「ふーん。ちなみにそのペアの相手ってもう決まったの?だってさ」

「うんにゃ、まだ誰にも頼んですらいないよ」

「なら私が手伝ってあげようか?だって」

「いえ、私のことを助けてくれたんだから、その借りは返させて頂戴」

「ちょっと待て、そもそも俺もついていったんだから、当然俺がやるんだな」

「確かに俺は何のかかわりもない。だがな、この三沢大地がそこで見捨てるような薄情者に見えるか?」

「………ありがと、皆」

「というかそもそも、一緒に行った俺だけおとがめなしなんて目覚めが悪すぎるんだな。ちょっと校長先生のところ行って抗議してくる」

「あ、待って隼人君!私もあの寮には入ったんだし、一緒に行かせてもらうわ」

「ありがとうなんだな、明日香さん」

 

 そういうが早いが、止める間もなくすたすたと歩いていく二人。

 

「とりあえずあなたのペアは私たちに任せて、って言ってるよ」

「だな、清明。安心しろ、いかなる奴が相手でもこの俺の計算の前では無力、お前の勝ちは決まったようなものだ」

「骨の実力、もう一回魅せてあげる。………だってさ」

 

 持つべきものって友達だよね。つくづくそう思う。

 

 

 

 

 

「じゃ、じゃあお願いします」

「準備はいいか、ユーノ?」

『おお、こっちはいつでもいいぜ。お前こそしくるなよ、十代』

「ああ、わかってるぜ!翔もほら、そんなに緊張すんなよ。デュエルは楽しむもんだぜ?」

「は、はい!」

『まだまだ固いなぁ。ま、おいおい直ってけばいいさね』

 

 さて、一方こっちは俺ことユーノに十代、翔。やっぱり原作とは微妙にずれがあるらしく、なんと翔の方から足を引っ張りたくないから自分たちに稽古をつけて欲しいと言ってきた。んで、ならよかろうと俺が相手してやろうとして実体がないことをようやく思い出し、とりあえず指示だけ出して十代にカードを引いてもらうことにする。すまんな、十代。こんな役ばっか押し付けて。

 

「「デュエル!」」

 

『先攻は俺らか』

「俺のターン、ドロー!………で、俺はどうすればいい?」

『まずこいつを守備表示、それからこっち伏せといて』

「わかったぜ、俺は氷弾使いレイスを守備表示で召喚!カードを一枚セットしてターンエンドだ。落ち着いてやれよ、翔」

「は、はい…………」

 

 自分から言い出したこととはいえ今になって気が引けてきたのか、あまり乗り気じゃなさそうな翔。ま、こればっかりはしゃーねえのかな。

 

 氷弾使いレイス

チューナー(効果モンスター)

星2/水属性/海竜族/攻 800/守 800

このカードはレベル4以上のモンスターとの戦闘では破壊されない。

 

 氷弾使いレイス 守800

 

「僕のターン、ドロー!…………パトロイドを攻撃表示で召喚!そしてその効果で、そのセットされたカードを確認する!」

 

 勢いよく飛び出してくる、デフォルメされたパトカー。頭の上の非常灯がぐるぐると回転すると、伏せておいたカードが表向きになった。

 

 パトロイド

効果モンスター

星4/地属性/機械族/攻1200/守1200

相手フィールド上にセットされているカードを1枚めくり、確認した後元に戻す。

この効果は1ターンに1度だけ自分のメインフェイズに発動する事ができる。

 

 パトロイド 攻1200

 

「こっちの伏せカードは攻撃反応のトラップ、ポセイドン・ウェーブだぜ」

「なら、速攻魔法サイクロンを発動!ポセイドン・ウェーブを破壊するッス!」

 

 サイクロン

速攻魔法

フィールド上の魔法・罠カード1枚を選択して破壊する。

 

『………ふむ』

「ん、どうしたんだユーノ?」

『いや、大したことじゃないさ』

 

 そう、大したことじゃない。パトロイドの効果をきちんと使った、ただそれだけの事。でも、俺の記憶が正しけりゃこの時翔はパトロイドの効果を使わずに攻撃の無力化めがけて突っ込んできてたはずだ。やっぱり原作よりこっちの世界のほうが強いってことなんだろう。

 

「行け、パトロイド!氷弾使いレイスに攻撃、シグナル・アタック!」

 

 車輪で殴りかかろうとしたパトロイドだったが、レイスが慌てて地面にまきびしのように氷の弾をばらまいたおかげで途中で進むのを断念し、すごすごと翔のフィールド上に引き返していく。まったく、自分のカードの効果で手一杯になって、相手モンスターの効果を確認してなかったな?

 

「翔、残念だったな。氷弾使いレイスは、レベル4以上のモンスターとの戦闘では破壊されないのさ」

「そんな!?」

「だめだぜ、ちゃんと効果は確認しとかないと」

 

 おお、なんか十代がいいこと言った。お前が言うなと返したいとこだけど。

 

「アニキ、いいからお説教なんてしないでよ!」

「悪い、たしかに説教みたいだったな。やっぱり、デュエルは楽しもうぜ!」

「こっちこそごめん、せっかくアニキがアドバイスくれたのにあんな事言っちゃって…………カードをセットして、ターンエンド」

 

 ユーノ&十代 手札:4 モンスター:氷弾使いレイス(守) 魔法・罠:0

 翔 手札:3 モンスター:パトロイド(攻) 魔法・罠:1(伏せ)

 

「いや、気にするなって。ドロー!」

『う~ん、どうすっかなー………まあいいさ、全力でやっちゃってくれ』

「ああ、わかった。ハンマー・シャークを召喚して効果発動!レベルを一つ下げて、手札からオイスターマイスターを特殊召喚!」

 

 ハンマー・シャーク

効果モンスター

星4/水属性/魚族/攻1700/守1500

1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動できる。

このカードのレベルを1つ下げ、

手札から水属性・レベル3以下のモンスター1体を特殊召喚する。

 

 ハンマー・シャーク 攻1700 ☆4→3

 

 オイスターマイスター

効果モンスター

星3/水属性/魚族/攻1600/守 200

このカードが戦闘で破壊される以外の方法でフィールド上から墓地へ送られた時、

自分フィールド上に「オイスタートークン」(魚族・水・星1・攻/守0)1体を特殊召喚する。

 

 オイスターマイスター 攻1600

 

「バトル!オイスターマイスターで、パトロイドを攻撃!オイスターショット!」

 

 牡蠣の戦士がいいフォームで投げつけた牡蠣がフォークボールとなってパトロイドに飛んでいく。わざわざ変化球まで投げられるようになったとは、お主なかなかやりおるな。

 

「ト、トラップ発動!スーパーチャージ!」

 

 牡蠣をまともに喰らってよれよれになったパトロイドが最後の力を振り絞ってサイレンを鳴らし、翔のデッキの上からカードを二枚はじき出した。

 

 スーパーチャージ

通常罠

自分フィールド上に「ロイド」と名のついた機械族モンスターのみが

存在する場合、相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。

自分のデッキからカードを2枚ドローする。

 

『だが切れ味は受けてもらう…………ってな』

「切れ味?」

『こっちの話』

 

 オイスターマイスター 攻1600→パトロイド 攻1200(破壊)

 

 翔 LP4000→3600

 

「さらに、ハンマー・シャークでダイレクトアタックだ!」

「うわあっ!」

 

 ハンマー・シャーク 攻1700→翔(直接攻撃)

 

 翔 LP3600→1900

 

「大丈夫か、翔!?」

「う、うん………でも」

『でも?』

「でも、どうしたんだ?」

「やっぱり、無理なんだよ………僕の弱さでアニキの足を引っ張らずにデュエルするなんて………」

「翔、お前」

「気張れ、気張るんだな翔!」

「は、隼人君!?」

「あれ隼人、お前確か校舎でメシ食ってたんじゃないのか?」

「校長に、俺と明日香さんも制裁デュエルに参加できないか聞きに行った帰りなんだな」

「僕も来たよ~」

「私も来てみたわよ」

「同じく、みたい」

「俺もいるぞ!」

『なんだ、帰ってきたんなら覗き見なんぞせずに素直に見にくりゃいいのに』

「でも隼人君、気張れって言っても僕じゃあ」

「それじゃだめだ!いいか翔、このままじゃあお前は今の留年してレッド寮にいる俺以下ってことになるんだな!それに、お前は絶対に弱くなんかない、だからもっと自分と自分のデッキに自信を持つんだな!」

『いいこと言うなぁ隼人。俺が出張るまでもなかったか?』

「いつも大声なんて出さない隼人君が僕のためにあんなに必死に………うん、わかったよ!アニキ、それに多分そこにいるユーノ君、心配かけてごめん!僕はもう大丈夫ッス!」

「よく言ったぜ、翔!それでこそ俺の弟分だ!じゃあ、次はお前のターンだ!」

「うん!僕のターン、ドロー!ジェット・ロイドを守備表示で召喚するッス!」

 

 続いてフィールドに現れたロイドは、パトロイドと同じくデフォルメされた赤い飛行機型のロイド。それにしても、ジェットか。なんか嫌な予感がするな。

 

 ジェット・ロイド

 効果モンスター

星4/風属性/機械族/攻1200/守1800

このカードが相手モンスターの攻撃対象に選択された時、

このカードのコントローラーは手札から罠カードを発動する事ができる。

 

 ジェット・ロイド 守1800

 

「さらにカードを一枚セットして、ターンエンドッス」

 

 ユーノ&十代 手札:手札:3 モンスター:氷弾使いレイス(守)、ハンマー・シャーク(攻)、オイスターマイスター(攻) 魔法・罠:0

 翔 手札:4 モンスター:ジェット・ロイド(守) 魔法・罠:1(伏せ)

 

「俺のターン、ドロー!さてユーノ、攻撃するか?」

『そーだな十代、ジェット・ロイドの効果は確かに怖いがんなもん気にしてたらいつまでたっても攻撃なんてできねえからな!まあ、一応危険は減らしておくか。こいつをこいつ使って召喚してくれ』

「了解っ!俺は氷弾使いレイスをリリースして、氷帝メビウスを召喚!さらにその効果で、お前の場の伏せカードを破壊するぜ!」

『フリーズ・バースト!』

 

 氷帝メビウス

効果モンスター

星6/水属性/水族/攻2400/守1000

このカードがアドバンス召喚に成功した時、

フィールド上の魔法・罠カードを2枚まで選択して破壊できる。

 

 氷帝メビウス 攻2400

 

「ならこの瞬間、破壊されたワンダーガレージの効果を発動して手札にいるシャトルロイドを特殊召喚!」

 

 メビウスのつららが貫いた伏せカードが巨大な工場になり、そのシャッターが開いてスペースシャトルのロイドが飛んできた。

 

『あっちゃー、やっちまったか』

 

 ワンダーガレージ

通常罠

セットされたこのカードが破壊され墓地へ送られた時、

手札からレベル4以下の「ロイド」と名のついた

機械族モンスター1体を特殊召喚する事ができる。

 

 シャトルロイド

効果モンスター

星4/風属性/機械族/攻1000/守1200

このカードが攻撃対象に選択された時、このカードをゲームから除外する事ができる。

このカードは次の自分のスタンバイフェイズ時に自分フィールド上に特殊召喚される。

その時、相手ライフに1000ポイントダメージを与える。

 

 シャトルロイド 守1200

 

『まあ、しょうがないか。ハンマー・シャークを守備表示にして、メビウスでジェットに攻撃な』

「わかった、ハンマー・シャークを守備表示にして氷帝メビウスでジェット・ロイドに攻撃!」

 

 ハンマー・シャーク 攻1700→守1500

 

 氷帝メビウス 攻2400→ジェット・ロイド 守1800(破壊?)

 

「ここで僕は、ジェット・ロイドの効果を発動!手札からの必殺トラップ、魔法の筒!」

『やっぱり、か。まあそんな予感はしてたぜ』

 

 魔法の筒

通常罠

相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。

攻撃モンスター1体の攻撃を無効にし、

そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。

 

 ユーノ&十代 LP4000→1600

 

『シャトルへの攻撃は遠慮しときたいな。これだけ伏せてターンエンドで』

「カードをセット、ターンエンド」

「僕のターン、ドロー!こ、このカードは…………」

『………引いたか』

「え、ユーノ?もしかして今翔が引いたカードがわかんのか?」

『まーな、予想くらいはつく』

「一体何をドローしたんだ?なんかすげえ難しい顔してるけど」

『今はまだ、黙っていておいてやれ。今は、な』

「て、手札からスチームロイドを召喚!そのままオイスターマイスターに攻撃!」

 

 お次に現れた機関車のロイドが、煙突から煙をまき散らしながらオイスターマイスターにタックルを仕掛ける。

 

 スチームロイド

効果モンスター

星4/地属性/機械族/攻1800/守1800

このカードは相手モンスターに攻撃する場合、

ダメージステップの間攻撃力が500ポイントアップする。

このカードは相手モンスターに攻撃された場合、

ダメージステップの間攻撃力が500ポイントダウンする。

 

 スチームロイド 攻1800→2300

 

 スチームロイド 攻2300→オイスターマイスター 攻1600(破壊)

 

 ユーノ&十代 LP1600→900

 

「カードを一枚セットして、僕はターンエンドッス」

 

 ユーノ&十代 手札:3 モンスター:氷帝メビウス(攻)、ハンマー・シャーク(守) 魔法・罠:1(伏せ)

 翔 手札:1 モンスター:ジェット・ロイド(守)、シャトルロイド(守)、スチームロイド(攻) 魔法・罠:1(伏せ)

 

「俺のターン、ドロー!このままじゃ守りを固めててもジリ貧だ!メビウスでスチームロイドを攻撃!」

「リバースカード、二枚目のスーパーチャージを発動!カードを二枚ドローするッス!」

 

 つららに貫かれたスチームロイドがさっきのパトロイドのように最後の力を振り絞り、煙突から噴き上げた蒸気で翔のカードを二枚はじき出す。

 

「でも戦闘は止まらないぜ!」

 

 スチームロイド 攻1800→1300

 

 氷帝メビウス 攻2400→スチームロイド 攻1300(破壊)

 

 翔 1900→800

 

「うっ、せっかくライフで勝ってたのに、一瞬で追い抜かれた………」

「まあそんなもんさ。でも、だからデュエルってのは面白いのさ!俺はこれで、ターンエンド」

「僕のターン、ドロー!このままターンエンド」

 

 ユーノ&十代 手札:4 モンスター:氷帝メビウス(攻)、ハンマー・シャーク(守) 魔法・罠:1(伏せ)

 翔 手札:4 モンスター:ジェット・ロイド(守)、シャトルロイド(守) 魔法・罠:0

 

「俺のターン、ドロー………どうする、清明?」

『こっちのライフも1000切ってるからな、あと一ターンだけ様子を見て、それでも安全策が見つからなかったら力押しで行けるかやってみようぜ』

「わかった。なら、俺らもここで、カードを一枚だけ伏せてターンエンドさ」

「僕のターン、ドロー!…………ぼ、僕は………」

「いきなりどうしたんだよ、翔?お前、さっきからちょいちょいおかしいぞ?具合でも悪いのか?」

「い、いや、平気ッスよアニキ」

「そうか?無理はすんなよ、翔」

『うん、良い対応。まあとりあえずデュエルが終わるまではそっとしておいてやれ、どうせ俺らがどうこう言って何とかなるような話じゃねえし』

「わ、わかった」

「マジックカード死者蘇生を発動して、スチームロイドを特殊召喚!」

 

 死者蘇生

通常魔法(制限カード)

自分または相手の墓地のモンスター1体を選択して発動できる。

選択したモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。

 

 スチームロイド 攻1800

 

「さらに、僕はマジックカード………………マジックカード、融合を発動!手札のジャイロイドと、場のスチームロイドを融合!マイフェイバリット、スチームジャイロイドを召喚!」

 

 融合

通常魔法

手札・自分フィールド上から、融合モンスターカードによって決められた

融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体を

エクストラデッキから特殊召喚する。

 

 ジャイロイド

効果モンスター

星3/風属性/機械族/攻1000/守1000

このカードは1ターンに1度だけ、戦闘によっては破壊されない。

(ダメージ計算は適用する)

 

 スチームジャイロイド

融合モンスター

星6/地属性/機械族/攻2200/守1600

「ジャイロイド」+「スチームロイド」

 

「行け、スチームジャイロイド!ハンマー・シャークを攻撃、ハリケーン・スモーク!!」

 

 スチームジャイロイド 攻2200→ハンマー・シャーク 守1500(破壊)

 

『クッ、あの攻撃力じゃあもう伏せておいたうちの一枚、好敵手の記憶はもう使えないな』

 

 好敵手の記憶

通常罠

相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。

自分は攻撃モンスターの攻撃力分のダメージを受け、

そのモンスターをゲームから除外する。

次の相手ターンのエンドフェイズ時、

この効果で除外したモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。

 

「カードを一枚セットして、ターンを終了するッス」

 

  ユーノ&十代 手札:4 モンスター:氷帝メビウス(攻) 魔法・罠:2(伏せ)

 翔 手札:1 モンスター:ジェット・ロイド(守)、シャトルロイド(守)、スチームジャイロイド(攻) 魔法・罠:1

 

「俺のターン、ドロー!いくぜユーノ!」

『ああ、もうやっちまうぞ十代!!』

「フィールド魔法、ウォーターワールドを発動!そしてバトルだ、氷帝メビウスでスチームジャイロイドを攻撃!」

 

 ウォーターワールド

フィールド魔法

フィールド上に表側表示で存在する水属性モンスターの攻撃力は500ポイントアップし、

守備力は400ポイントダウンする。

 

 氷帝メビウス 攻2400→2900 守1000→600

 

「ならトラップ発動!シフトチェンジ!!」

 

 シフトチェンジ

通常罠

自分フィールド上に存在するモンスター1体が

相手の魔法・罠カードの効果の対象になった時、

または相手モンスターの攻撃対象になった時に発動する事ができる。

その対象を自分フィールド上に存在する正しい対象となる他のモンスター1体に移し替える。

 

「この効果で攻撃対象をシャトルロイドに変更、さらにシャトルロイドの効果で自身をゲームから除外する!」

「攻撃対象になったとき除外する………だけ?」

「ええ、でもこれで僕の勝ちは確定したも同然ッスよ!今のメビウスの攻撃力じゃ、スチームジャイロイドを倒しても僕のライフは持ちこたえるッス!」

『ああ、これでこのターン内に決着をつけないと俺らの負けだ。つーか十代、お前も人のカードの効果見てねえじゃねえか。でもまあ、一つわかったことがあるとすれば』

「翔!」

「は、はい!なんスかアニキ!?」

「お前、意外と強かったんだな!さっき隼人も言ってたけど、もっと自信持ってデュエルしろよ」 

「ありがとう、アニキ………」

『確かに思ったよりは強いけど、まだまだ詰めが甘いな、ってことか』

「でもな、翔。今ユーノも言ってるけど、まだほんのちょっぴりだけ詰めが甘いぜ!トラップ発動、メテオ・レイン!」

 

 メテオ・レイン

通常罠

このターン自分のモンスターが守備表示モンスターを攻撃した時に

その守備力を攻撃力が越えていれば、その数値だけ相手に戦闘ダメージを与える。

 

「あ、あのカードは!」

『そう、このカードなら、そして今のメビウスの500ポイント上がった攻撃力なら突破できる!』

「まだバトルは終わってないぜ!メビウスでもう一度ジェット・ロイドを攻撃!アイス・ランス!!」

 

 氷帝メビウス 攻2900→ジェット・ロイド 守1800(破壊)

 

 翔 LP800→0

 

「あぁ、結局負けちゃった………」

「いや、面白いデュエルだったぜ!ところで翔、お前の残りの手札は一体なんだったんだ?見せてみろよ」

「あ、勝手に見ないで!」

「パ、パワー・ボンド!?お前、このカードがあったなら」

「これは、このカードは使えないんスよ……」

「ん?そりゃ一体どういうことだ?」

 

 まあ、そこからの話は正史どうりだったので省略。十代がVSカイザーを宣言したところでひとまずお開きになりましたとさ。

 

『んでさ、結局お前のパートナーは見つかったわけ?俺まだまだ忙しいから手伝えねーぞ』

 

「あ!!マズイ忘れてた!結局さっきは隼人と明日香が校長室から帰ってきてうやむやになっちゃったから………」

「今すぐ誰でもいいからあたって来いこの馬鹿!」

 

 訂正。お開きにはもうちょい時間がかかりそうです。


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