遊戯王GX~鉄砲水の四方山話~   作:久本誠一

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今回いつもよりさらに長めです。分割しとけばよかったかなあ。


ターン6 闇のゲーム、チェスデーモンの罠!

「………でも、最近はついに聞こえるだけじゃなくて見えるようにもなってるんだよなー。たとえば翔、お前の後ろにはハネクリボーの精霊が!」

「えっ!………なんだーアニキ、脅かさないでくださいよー」

「ホントなの、ユーノ?」

『ああ、いるな。ちなみにシャーク・サッカーはお前の右肩のあたりを泳ぎ回ってるぞ』

 

 そう言われて、右肩の方をじーっと注意して見つめてみる。う~ん、やっぱり何も見えないけどなぁ。ちなみに今僕ら………僕と十代、翔に隼人に(さん付けはいらないんだそうだ)ユーノがやってるのは、怖い話大会。でたらめに積んだカードから順番に一枚ずつカードを引いていき、そのモンスターのレベルに合った怖い話をしていく、というものだ。そして今終わったのは、十代の引いたキラー・スネーク…………つまりレベル1の話。ぶっちゃけ怖くない。

 

「さてと、それじゃあ次は僕が「何をやってるのかニャ~?」うわっ!?」

「びっくりさせんなよ、先生~」

「ほ、本気で驚いたッス………」

 

 今どこからともなく現れたのが、我らレッド寮の寮長、大徳寺先生。担当学科は錬金術。なにかおかしいのは多分気のせい。

 

『気のせい気のせい、よくあることだし』

 

 やっぱり気のせいらしい。

 

「それで、どうしたんですか先生?」

 

 一番早く立ち直ったのが隼人。さすがに寮生活が長いと、こんなことも慣れっこなんだろうか。

 

「いやー、ふと気になってニャ。私も混ぜて欲しいのニャ」

 

 そう言って、カードを一枚引く先生。あ、僕の話…………って、F・G・D!?レベル12なんて、どんだけおいしいとこ持ってくのこの先生!?

 

「ふむ…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んで、ホントに行っちゃうんだもんねーこの人たち」

『お前だってえらいノリノリで懐中電灯とか準備してたじゃねえか』

「ユーノだってどっからか知らないけど備品のリュックサックまで持ち出してきて」

「まあまあ二人とも、ちょっと落ち着こうぜ」

「なんかもう、この二人には僕らに見えないものが見えることをなんとも思わなくなってきた自分が怖いッス………」

「慣れって恐ろしいんだな~」

 

 次の日。昨日の『そんな廃寮があるとなっちゃあ、もう行ってみるしかあるまい』って感じのノリを一日中維持していた僕らは、あれこれ道具を持ち出しての肝試しに向かう最中なのだ。

 

「お、見えてきたぞ」

 

 そして、今僕らの前に姿を見せたのが、噂の『闇のゲームやってたら生徒消えちゃった☆しょうがないから閉めちゃうね☆』な寮。

 

『………………まあ、なんだ。うん、何も言わないでおいてやる』

 

 ちょっとふざけすぎたか。と、そんな気まずい感じを打ち破るかのように、どこかピリピリした声がした。

 

「あなた達、ここで何をやっているの!?」

「「ひぃ、出た~!!」」

 

 そう言って騒がしく十代と僕の後ろに隠れる隼人と翔。まったく、少しは落ち着けばいいのに。だってこの声、多分………。

 

「よう、明日香。こんなところで何やってんだ?」

「それはこっちのセリフよ。あなた達こそ、こんなところで何をしているの?」

「肝試し。えっと、明日香こそ一人で何やってんの?」

 

 何か静かだと思ったら、あのぺらぺらとよーしゃべる二人組がいないのね。夢想もいないっぽいけど。

 

「…………ここは立ち入り禁止のはずよ。今なら先生には黙っておいてあげるから、早く寮に帰りなさい」

「ちょっと待てよ。そっちはまだ、俺らの質問に答えてないぜ。お前はここで何をしてたんだ?」

「…………」

 

 はて、何か言いたくないことでもやってたんだろうか。

 

「明日香、別に言いたくないなら言わなくてもいいけど?」

「………いえ、あなた達がここに来たってことは、ここがどういう所か知っているんでしょう?」

「えっと、俺らが聞いたのは確かアレだな。もともと特待生のための寮だったけど、闇のデュエルのせいだか何だかのせいで生徒が行方不明になって廃寮にされたとかいう」

「そこまで知っているのに、自分が行方不明になるとは思わなかったの?」

「そんなの、迷信だろ?俺は信じないぜ」

「僕はちょっと信じるけど………でもやっぱり見て見たい、かなー」

「お、俺もなんだな~」

「僕は別にわざわざ来なくても……」

「まあいいわ。そこまで言うなら、勝手にしなさい。ただね、ここで行方不明になった生徒。その中の一人には、私の兄もいたのよ」

 

 そう言って、こちらに背を向けて歩いていく明日香。

 

「…………十代、どーする?こりゃなんかマジな話っぽいけど」

『いや、このまま行ってみようぜ』

「ああ、せっかくここまで来たんだ!いっぺんぐらい覗いてみないとな」

「待って欲しいんだな~」

「ま、待ってくださいよー!」

『俺も俺も~』

 

 ぽつーんと一人残される。あらら、皆行っちゃったか………しょうがない。

 

「僕も行くから、ちょっと待って待って!!」

 

 入口までたどり着いたみんなの後を、慌てて追いかける。

 

「それにしても、ずいぶん埃がたまってるな」

「クモの巣もいっぱい張ってるんだな~」

「でも、僕らの寮よりずっと立派ッスね。いっそのこと、ここに引っ越しちゃいますか?なんて。あはは」

「お、それいいな!やってみるか?」

「えー、冗談に決まってるッスよ!?」

「なんだよ~。それにしても、なんか変な絵だな。こいつが千年アイテムってやつか?」

『ああ、千年アイテムの絵だな。もっとも、俺だって本物を見たわけじゃねーけど』

「ふーん。あれ、この写真って………10、JOIN?」

『………出たなJOINさん。十代、そいつの読み方はテン、ジョイン、フブキ、だ』

「テンジョイン………天上院………もしかして、明日香の言ってた兄さんって!」

「キャアー!!」

 

 その時、いきなり悲鳴がした。しかもあれは!

 

「明日香の声だ!」

「こっちからッス!」

「でも、なんで外で別れたはずの明日香の声が奥の方から………!」

「そんなことどうでもいいだろ!今は早く行かねえと!」

「まったくだね!」

 

 大急ぎで全員そろって走り出す。廊下をわたって、階段を下りて………昔は広間だったんだろう部屋に出たとき、ふと何かが落ちているのに気付いた。

 

「これは………エトワール・サイバー!?」

「明日香のカードか!ってことはやっぱり、明日香はこの向こうに!」

 

 

 進む道がより明らかになって、外見よりも長く感じる廊下を駆け抜けて(レッド寮じゃ味わえないような贅沢だね、あそこ狭いから………とゆーか廊下なんてもの屋外にしかないし)、そして。

 

「明日香!」

 

 そこにいたのはなんだかよくわからない棺桶みたいなものに入れられた明日香。どっから持ってきたんだろう。それとも最初っからあんなもんが備品であるような寮なんだろうか。だとしたらそんなもんばっかり買ってるバチが当たっても文句は言えないような気がする。

 

「来たなぁ、遊城十代。それに、遊野清明」

「誰だ!?」

「我が名は、タイタン。千年アイテムの力を持つ、闇のデュエリストだぁ」

「闇のデュエリストだと!?」

「その通り。そこの女を返して欲しくば、我にデュエルで勝利することだなぁ」

「上等じゃないの、なら僕が」

「いや、ここは俺が行くぜ!」

『………いや、ここは俺らに行かせてくれ』「ユーノ?」

「どうしてだよ!別に俺が行ったって」

「ちょっとした思い付きだけど、いっぺん試してみたいことがあるんでね。悪いな、十代』

「えー!?」

『ホレ行くぞ、清明。それと十代、今度ドローパン奢ってやるから』

「わ、わかった!ごめん十代!」

「おいおい、だからってそりゃないだろ!」

『だから悪いって』

「ほう、お前が最初に闇のゲームの餌食となるかぁ、遊野清明」

「生憎だけど、負けるつもりはまるっきりないね!勝って明日香は連れ帰る!」

『さあて、上手くいくといいんだが………!』

 

「「デュエル!!」」

 

「先攻は私だぁ。私はまず、フィールド魔法の万魔殿-悪魔の巣窟-を発動するぅ」

 

 そう宣言した瞬間、フィールドが不気味なコロシアムに変更される。

 

 万魔殿-悪魔の巣窟-

フィールド魔法

「デーモン」という名のついたモンスターはスタンバイフェイズにライフを払わなくてよい。

戦闘以外で「デーモン」という名のついたモンスターカードが破壊されて墓地へ送られた時、

そのカードのレベル未満の「デーモン」という名のついたモンスターカードを

デッキから1枚選択して手札に加える事ができる。

 

「万魔殿………ということはデーモンデッキか!」

「いかにも、私のデッキは【デーモン】だぁ。そしてこのカードはお前にとってさしずめ、地獄への一丁目といったところだなぁ。フフフフフ」

 

 なかなか単体では強力だが、展開して戦線を維持するにはかなりのライフコストを覚悟しなくちゃいけないチェスデーモン。でもこのカードの効果のせいで、そのライフコストがなくなった、か。

 

「そして私は、インフェルノクインデーモンを攻撃表示で召喚するぅ」

 

 そしてタイタンの前に立ちふさがる、女王の名を持つチェスデーモンの一体。こいつやっぱ女性モンスターなんだろか。

 

 インフェルノクインデーモン

効果モンスター

星4/炎属性/悪魔族/攻 900/守1500

このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎に500ライフポイントを払う。

このカードが相手のコントロールするカードの効果の対象になり、

その処理を行う時にサイコロを1回振る。

2・5が出た場合、その効果を無効にし破壊する。

このカードがフィールド上に存在する限り、スタンバイフェイズ毎に

「デーモン」という名のついたモンスターカード1体の攻撃力を

エンドフェイズまで1000ポイントアップする。

 

 インフェルノクインデーモン 攻900

 

「さらに手札から永続魔法、フィールドバリアを発動するぅ。そしてカードを一枚セット。これで私は、ターンエンドだぁ」

 

 フィールドバリア

永続魔法

このカードがフィールド上に存在する限り、

お互いにフィールド魔法カードを破壊できず、

フィールド魔法カードの発動もできない。

「フィールドバリア」は、自分フィールド上に1枚しか表側表示で存在できない。

 

「僕のターン、ドロー!」

 

 う~ん、フィールドバリアが痛いなあ………手札のアトランティスの戦士からアトランティス引っ張ってきて張り替えてやろうと思ったのに、それもできない。なら!

 

「おっと、待ってくれ。この瞬間、インフェルノクインデーモンの効果発動だぁ。エンドフェイズまで自分のデーモン一体の攻撃力を1000ポイントアップするぅ。私はこの効果で、インフェルノクインデーモンを選択だぁ」

 

 インフェルノクインデーモン 攻900→1900

 

「それがどうした、このまま出す!アトランティスの戦士を通常召喚!」

 

 アトランティスの戦士

効果モンスター

星4/水属性/水族/攻1900/守1200

このカードを手札から墓地へ捨てて発動できる。 

デッキから「伝説の都 アトランティス」1枚を手札に加える。

 

 アトランティスの戦士 攻1900

 

「アトランティスの戦士で、インフェルノクインデーモンを攻撃!」

『………ま、居座られるよりはマシだわな。自爆特攻って俺あんま好きじゃないけど』

 

 僕だって嫌いです。

 

 アトランティスの戦士 攻1900(破壊)→インフェルノクインデーモン 攻1900(破壊)

 

「戦闘破壊なら万魔殿の効果も発動しないから、カードを二枚セットしてターンエンド」

 

 ブラフにも一枚伏せておこうっと。

 

「ならばエンドフェイズにチェーンだぁ、トラップカード、リビングデッドの呼び声!」

 

 せっかく倒したインフェルノクインデーモンが、再び甦ってくる。

 

 リビングデッドの呼び声

永続罠

自分の墓地のモンスター1体を選択し、表側攻撃表示で特殊召喚する。

このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。

そのモンスターが破壊された時、このカードを破壊する。

 

 インフェルノクインデーモン

省略

 

 タイタン 手札:2 モンスター:インフェルノクインデーモン(攻・リ) 魔法・罠:フィールドバリア、リビングデッドの呼び声(イ) 場:万魔殿-悪魔の巣窟-

 清明 手札:3 モンスター:なし 魔法・罠:2

 場:万魔殿-悪魔の巣窟-

 

「まあいい、ドロー!私はぁ、まずインフェルノクインデーモンの効果で自身を選択。さらに、ジェノサイドキングデーモンを召喚するぅ」

 

 次に現れたデーモンはいかにもといった恰好をした、キングの名を持つチェスデーモン。

 

 ジェノサイドキングデーモン

効果モンスター

星4/闇属性/悪魔族/攻2000/守1500

自分フィールド上に「デーモン」という名のついた

モンスターカードが存在しなければこのカードは召喚・反転召喚できない。

このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎に800ライフポイントを払う。

このカードが相手のコントロールするカードの効果の対象になり、

その処理を行う時にサイコロを1回振る。

2・5が出た場合、その効果を無効にし破壊する。

このカードが戦闘で破壊した効果モンスターの効果は無効化される。

 

 インフェルノクインデーモン 攻900→1900

 

 ジェノサイドキングデーモン 攻2000

 

「行け、私のデーモン達よ!まずはジェノサイドキングデーモンでダイレクトアタック!炸裂!五臓六腑!!」

「くっ…………!こっちもトラップカード、リビングデッドの呼び声!!」

『なんで今出しちゃうかなーこの馬鹿は』

 

 甦ったアトランティスの戦士が、ジェノサイドキングデーモンが体から大量に発射した虫の群れに対して防御の構えをとる。

 

「…………ゴメン、アトランティスの戦士」

 

 そう言うとアトランティスの戦士は驚いたことにこっちをちらりと振り返り、気にしなくてもいい、と言いたげにうなづいた。あれ、ソリットビジョンのはずなのに………。

 

 アトランティスの戦士 攻1900

 

「構わん、このまま攻撃を続行だぁ。ゆけ、ジェノサイドキングデーモン!」

 

 ジェノサイドキングデーモン 攻2000→アトランティスの戦士 攻1900(破壊)

 

 清明 LP4000→3900

 

「うわあああああっ!!」

「な、なんだよ翔いきなり………って清明、お前!!」

「え、何!?どったの二人とも!?」

「清明ー、お前、何にも感じないのかー?」

「いや、だから何が?」

『俺からは左手に見える。肘のあたりな』

「左手の肘…………なんじゃこりゃー!!?」

「ふふふ、やっと気が付いたかぁ。最初に言っただろう、これは闇のゲームだと」

 

 僕の左手、その肘のあたり。ない、体がない!い、一体どこ行った!?やだよ肘から先が宙ぶらりんとか気持ち悪いよ!

 

「闇の、ゲーム?」

 

 その通りだぁ、と言い、懐から目のマークがついた金色のペンダントを引っ張り出す。あれ、あの形どっかで見たことあるような?

 

「この千年パズルの力により、闇のゲームは行われるぅ。そして闇のゲームにおいてライフポイントは命と同じもの、ライフが減るたびに少しずつ体が消えてゆき、0になった時消滅するのだぁ!」

「なんだって!?」

「じゃあ、今清明君の右手が消えてるのは、その闇のゲームのせいッスか!?」

「ああ、そうなんだろうな」

「翔も隼人も、何言ってんだ?消えかかってるのは左膝のあたりだろ?」

「「「え?」」」

 

 なんか後ろが妙なことを言ってる。だって、今消えてるのはどう見ても左肘なのに。一体どういうことだろう?

 

「それでは、バトルを続けるぅ。ゆけ、インフェルノクインデーモン!」

「くっ…………!!」

 

 この攻撃は、防げない!!

 

 インフェルノクインデーモン 攻1900→清明(直接攻撃)

 

 清明 LP3900→2000

 

『おー、さすがに半分持ってかれるとだいぶ消えてんなー』

「え、嘘…………気持ち悪いなコレ」

 

 もう、胴体のあたりがだいぶボロボロ。肘から先と膝から下、それに首から上はあらかた残ってるからまだカードは持てるんだけどさあ。

 

「ほう、ずいぶんと落ち着いているなあ遊野清明ぁ。恐怖のあまり感覚がマヒしたかぁ?私はこれで、ターンエンドだぁ」

 

 インフェルノクインデーモン 攻1900→900

 

「いや、そういうわけじゃないんだけどね」

 

 実際、僕は別に慌てているわけじゃない。まあ痛みとかが一切ないから実感がわかないのもあるけど、何しろユーノがまだまだ余裕そうだからね。こいつがどうってことないって思ってるなら、実際それはたいしたことない。それが、ここしばらくの間こいつと一緒にいて感じたこと。こう、無条件で安心できるというか、なんかそんなオーラでも出してるんだろうか。だから………

 

「僕はまだまだ、やってられるさ!ドロー!」

「もちろん、このターンにもインフェルノクインデーモンの効果を発動するぅ。対象は同じくインフェルノクインデーモンだぁ」

 

 インフェルノクインデーモン 攻900→1900

 

 攻撃力1900と2000、か。この手札じゃあまだ越えられない…………なら、守りを固めるまでさ!

 

「ハンマー・シャークを守備表示で通常召喚して、その効果を発動!このカードのレベルを一つ下げ、手札のレベル3水属性、ハリマンボウを守備表示で特殊召喚!さらに、ハリマンボウの召喚にチェーン!魚族の召喚成功時にシャーク・サッカーを守備表示で特殊召喚!」

 

 一気にフィールドに出そろった、三体の魚モンスター達。

 

『水差して悪いが、シャーク・サッカーは別にチェーン作る効果じゃねえぞ』

 

 ハンマー・シャーク

効果モンスター

星4/水属性/魚族/攻1700/守1500

1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動できる。

このカードのレベルを1つ下げ、

手札から水属性・レベル3以下のモンスター1体を特殊召喚する。

 

 ハリマンボウ

効果モンスター

星3/水属性/魚族/攻1500/守 100

このカードが墓地へ送られた時、

相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。

選択した相手モンスターの攻撃力は500ポイントダウンする。

 

 シャーク・サッカー

効果モンスター

星3/水属性/魚族/攻 200/守1000

自分フィールド上に魚族・海竜族・水族モンスターが召喚・特殊召喚された時、

このカードを手札から特殊召喚する事ができる。

このカードはシンクロ素材とする事はできない。

 

 ハンマー・シャーク 守1500 ☆4→3

 

 ハリマンボウ 守100

 

 シャーク・サッカー 守1000

 

「ちい、小賢しい真似を」

「こっちだって命懸かってんの!カードを一枚セットしてターンエンド!」

 

 インフェルノクインデーモン 攻1900→900

 

 タイタン 手札:2 モンスター:インフェルノクインデーモン(攻・リ)、ジェノサイドキングデーモン(攻) 魔法・罠:フィールドバリア、リビングデッドの呼び声(イ) 場:万魔殿-悪魔の巣窟-

 清明 手札:0 モンスター:ハンマー・シャーク(守)、ハリマンボウ(守)、シャーク・サッカー(守) 魔法・罠:2 

 場:万魔殿-悪魔の巣窟-

 

「私のターン。インフェルノクインデーモンの効果で自身を強化して、シャドウナイトデーモンを召喚!」

 

 そして現れる3体目の、騎士の名を持ったチェスデーモン。

 

 シャドウナイトデーモン

効果モンスター

星4/風属性/悪魔族/攻2000/守1600

このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎に

900ライフポイントを払う。

このカードが相手のコントロールするカードの効果の対象になり、

その処理を行う時にサイコロを1回振る。

3が出た場合、その効果を無効にし破壊する。

このカードが相手プレイヤーに与えるダメージは半分になる。

 

 インフェルノクインデーモン 攻900→1900

 

 シャドウナイトデーモン 攻2000

 

「そして今フィールド上には攻撃力の同じモンスターが二体いるぅ。マジックカード、クロス・アタックを発動ぅ!!」

 

 クロス・アタック

通常魔法

自分フィールド上に表側攻撃表示で存在する、

同じ攻撃力を持つモンスター2体を選択して発動する。

このターン、選択したモンスター1体は相手プレイヤーに直接攻撃する事ができる。

もう1体のモンスターは攻撃する事ができない。

 

「これで終わりだ、遊野清明ぁ!ジェノサイドキングデーモンでダイレクトアタックぅ!炸裂!五臓六腑!!」

「マズイ、この攻撃が通ったら清明のライフが0になるんだな!」

「清明ー!!」

『いまだ、やっちまえ!』

「当然!トラップ発動、ポセイドン・ウェーブ!」

 

 ポセイドン・ウェーブ

通常罠

相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。

相手モンスター1体の攻撃を無効にする。

自分フィールド上に魚族・海竜族・水族モンスターが表側表示で存在する場合、

その数×800ポイントダメージを相手ライフに与える。

 

「ならばここで、ジェノサイドキングデーモンの特殊能力だぁ!カード効果の対象になったときにサイコロを振り、2か5が出れば無効にする!」

「ええっ!?」

『だー!忘れてたーっ!!ってあれ?あのお手製ルーレットじゃないのか?』

 

 サイコロの数値は…………3!た、助かった。

 

『あら?イカサマが入ってない?』

「むぅ、あのシャーク・サッカーさえいなければそのトラップを計算に入れてもフィールドをがら空きにできたんだがぁ」

 

 タイタン LP4000→1600

 

「だが、まだインフェルノクインデーモンの攻撃はできる!ゆけ、インフェルノクインデーモン!ハンマー・シャークを攻撃だぁ!」

 

 インフェルノクインデーモン 攻1900→ハンマー・シャーク 守1500(破壊)

 

「私はこれで、ターンエンドだぁ。なかなかしぶといな、遊野清明ぁ」

 

 インフェルノクインデーモン 攻1900→900

 

「まったく、なーんでライフで負けてるのにそんな偉そうなのか、ね………!」

『ボードで勝ってるからだろ』

「う、反論できない…………ドロー!」

「インフェルノクインデーモンをぉ、パワーアップさせるぅ」

 

 インフェルノクインデーモン 攻900→1900

 

「なら、リバースカードオープン!マジックカード、スター・ブラスト!ライフを1000払って、レベルが2下がったこいつを通常召喚だ!来てくれ、ジョーズマン!」

 

 咆哮と共に仁王立ちする、むしろこっちがデーモンの一種っぽい鮫人間のモンスター。相変わらず頼もしい攻撃力だよね。

 

『パワー馬鹿は嫌いじゃないよな』

「ジョーズマンの効果により、攻撃力が600ポイントアップ!」

 

 スター・ブラスト

通常魔法

500の倍数のライフポイントを払って発動できる。

自分の手札または自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選び、

そのモンスターのレベルをエンドフェイズ時まで、

払ったライフポイント500ポイントにつき1つ下げる。

 

 ジョーズマン

効果モンスター

星6/水属性/獣戦士族/攻2600/守1600

このカードは特殊召喚できない。

このカードをアドバンス召喚する場合、

リリースするモンスターは水属性モンスターでなければならない。

このカードの攻撃力は、このカード以外の自分フィールド上に表側表示で存在する

水属性モンスター1体につき300ポイントアップする。

 

 清明 LP2000→1000

 

 ジョーズマン 攻2600→3200

 

「もちろん攻撃!ジョーズマンでインフェルノクインデーモンを攻撃、シャーク・ストリーム!」

 

 ジョーズマン 攻3200→インフェルノクインデーモン 攻1900(破壊)

 

 タイタン LP1600→300

 

「よし!」

「やった、タイタンも右手が消えていくんだな」

「え、何言ってんすか?消えてるのは左足でしょ?」

「「え?」」

 

 …………やっぱりおかしい。ちなみに僕からは、右足が消えてるようにしか見えない。よし、ちょーっと揺さぶってみるか。

 

「おーい、タイタン!お前、本当に闇のデュエリストなのかよ!」

「もちろん、私はこの千年アイテムの一つ、七つある千年パズルの持ち主だぁ」

「七つ?千年パズルが?」

「何かおかしなところでもあったかぁ?」

「そういうことか!やいタイタン、お前実は闇のデュエルなんてインチキだろ!」

 

 あー!今度は十代にセリフ盗られた!まだ僕がデュエルしてるの根に持ってんだろうか。まあ十代に限ってそんなこともないと思いたいけど。

 

「何ぃ!?」

「え、どういうことッスかアニキ?」

「千年アイテムっていうのは別に千年パズルが七つある訳じゃなくて、そのほかにも千年ロッドとか、七種類のものがあるんだな」

『あれ、隼人意外と賢い』

「でも、タイタンはそれを知らなかった。つまり」

「「この闇のゲームは、インチキだ!!」」

『あ、ハモった』

「くっ………う、うおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 僕と十代が同時に言った瞬間。ライフポイントがごっそり削られたせいで自棄にでもなったのか、なんかいきなりタイタンが叫びだした。それと同時に床が巨大な目の形に光り、どこからともなく黒い靄が出てきてフィールド全体を包み込んでいく。

 

「おいタイタン、これ一体何の真似!?」

 

 今度は何を仕掛けるつもりかと聞いてみるも、帰ってきたのはうめき声のみ。あれ、これもしかして本物?………まさかね。そ、そんな手の込んだことしたってもうタネも仕掛けもあることはわかってるんだから………ね?

 

『下からくるぞ気をつけろっ!』

「下?ってなにこれ!?」

 

 全く気が付かないうちに、なんだかよくわからないもぞもぞ動く黒い生き物みたいなのに取り込まれていた。え、やだこれ怖い。わ、足に引っ付いてきた。

 

『よし、ここまでは最初の狙いばっちりだ………後は頼んだぞ!』

「こんな誰得プレイが狙いとかどんな趣味してんのユー………アレ?」

 

 叫び返してからもう一度足元を見ると、へばりついていた黒いのが2~3匹まとめて吹き飛ばされるところだった。そしてそれをやってくれたのは。

 

「シャーク・サッカー…………」

 

 十代もユーノも見えるといい、それでも僕には見えなかったカードの精霊。でも、なんで今ここで見えるようになったんだろう?

 

『はっきりしたことはなんとも言えんけど、多分この空間は擬似的に闇のゲームを再現しようとして行方不明になったアホの先輩達が作ったものなんだろ。闇のゲームにしようとした以上、精霊が見えやすい環境になったって別にそこまでおかしくはあるまい』

「いや、そのりくつはおかしい………とも言ってらんないか、実際見えるようになったし。ありがとね、シャーク・サッカー」

 

 お礼を言うと、嬉しそうにすり寄ってくるシャーク・サッカー。なにこれかわいい。

 

「うおおおおおおおおおおぉっ!!」

「タイタン!?」

『あ、やべ。忘れてた』

「いやいやいや!僕も忘れてたけど」

 

 そうこういってる間にタイタンに取り付いていた黒いモノがどんどん多くなり、そして霧のようになって体の中に入っていく。もう、今度は何が起きるってのさ!

 

「…………か?」

「え?」

「ターン……エンド、か?」

「う、うん。ジョーズマンのレベルが元に戻って、ターンエンド」

 

 なんだ、別にどうもなってない………よね?別に何も変なところないよね?だよねきっと気のせいだよね?

 

 タイタン 手札:2 モンスター:ジェノサイドキングデーモン(攻)、シャドウナイトデーモン(攻) 魔法・罠:フィールドバリア 場:万魔殿-悪魔の巣窟-

 清明 手札:0 モンスター:ハリマンボウ(守)、シャーク・サッカー(守)、ジョーズマン(攻) 魔法・罠:0

 場:万魔殿-悪魔の巣窟-

 

「私のターン、ドロー…………私は、装備魔法堕落を発動!その目障りなジョーズマンのコントロールを得るぅ!!」

「ジョーズマン!」

 

 目の前でいきなり苦しみだしたジョーズマンが抵抗むなしく一度地に倒れ、ゆっくりとなにかに操られるような動きでタイタンのフィールドのほうに立ちあがる。

 

 堕落

装備魔法

自分フィールド上に「デーモン」という名のついたカードが存在しなければ

このカードを破壊する。

このカードを装備した相手モンスターのコントロールを得る。

相手のスタンバイフェイズ毎に、自分は800ポイントダメージを受ける。

 

「そんな!」

「さらぁに!私はこのジョーズマンとシャドウナイトデーモンをリリースして、アドバンス召喚を行う!」

『リリース二体!?迅雷の魔王じゃないだと!?』

「いでよ最強のチェスデーモン、プリズンクインデーモン!!」

 

 二体のモンスターをリリースして召喚されたのは、両手足が鎖につながれた格好の女性型(多分ね)デーモン。

 

 プリズンクインデーモン

効果モンスター

星8/闇属性/悪魔族/攻2600/守1700

このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎に

1000ライフポイントを払う。

フィールド上に「万魔殿-悪魔の巣窟-」が存在し、このカードが墓地に存在する場合、

自分のスタンバイフェイズ毎にフィールド上に存在するレベル4以下の悪魔族モンスター

1体の攻撃力はエンドフェイズ時まで1000ポイントアップする。

 

 プリズンクインデーモン 攻2600

 

「まずはジェノサイドキングデーモンでハリマンボウに攻撃ぃ!炸裂!五臓六腑!!」

 

 ジェノサイドキングデーモン 攻2000→ハリマンボウ 守100(破壊)

 

「でも、ハリマンボウの効果で………アレ?」

『いや、それは無理だ!』

「残念だったなぁ。ジェノサイドキングデーモンが戦闘で破壊したモンスターの効果は、無効となるぅ!」

「なんだって!?」

「そのまま、プリズンクインデーモンでシャーク・サッカーを攻撃ぃ!」

「シャーク・サッカー!!」

 

 プリズンクインデーモン 攻2600→シャーク・サッカーシャーク・サッカー 守1000(破壊)

 

「私はこれでターンエンドだぁ。さあ絶望しろ、遊野清明!」

『ちっ、思ったより苦戦してんな……』

「悪かったね、まだまだで!僕のターン、ドロー!」

 

 くっ、確かにこの状況はキツイ。攻撃力2000越えのモンスターが二体で、そのうち一体は破壊相手の効果を無効にできるときたもんだ。とりあえず、今引いたカードは?

『ほう、こりゃなかなかきついギャンブルだな。構わねえさ、どうせ負けるなら最後まであがいてやれ!』

「わかってらい!モンスターをセット、ターンエンドだ!」

 

 タイタン 手札:1 モンスター:ジェノサイドキングデーモン(攻)、プリズンクインデーモン(攻) 魔法・罠:フィールドバリア 場:万魔殿-悪魔の巣窟-

 清明 手札:0 モンスター:1(セット) 魔法・罠:0

 場:万魔殿-悪魔の巣窟-

 

「もはや守りを固めることしかできないかぁ!私のターン、ドロー!」

「なんとでも言えっ!こいつが僕の最善手だよ!」

 

 さあ、ここでどっちが攻撃してくるかですべてが決まる!もしあのモンスターから攻撃してきたりもう一体デーモンを展開してきたらこっちの負けだけど、そうでなければまだいける!

 

「もしそのモンスターが何かの効果持ちならジェノサイドキングデーモンで攻撃すればいいがぁ、その場合そのモンスターが守備の高い壁だった時にこちらが反射ダメージを受ける…………決めたぞぉ!プリズンクインデーモンでそのモンスターを攻撃ぃ!!」

『いよっしゃあっ!首の皮一枚で持ちこたえたぜ!』

「セットモンスターはグリズリーマザー!効果により、デッキから深海の………」

『いや、よせ!』

「な、なんでさ!ここで深海の怒りを出せば攻撃力2000、ジェノサイドキングデーモンと並ぶことができるのに!」

『あのタイタンの、一ターン目からずっと握りっぱなしの手札…………あのカードを俺は、デスルークデーモンだと思う。効果を簡単に言うと、ジェノサイドキングデーモンが破壊された時に手札から捨てると、そのジェノサイドキングデーモンを復活させられる専用蘇生カードだ。もしそうだった場合、どうなるか考えてみろ!』

 

 デスルークデーモン

効果モンスター

星3/光属性/悪魔族/攻1100/守1800

このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎に500ライフポイントを払う。

このカードが相手のコントロールするカードの効果の対象になり、

その処理を行う時にサイコロを1回振る。

3が出た場合、その効果を無効にし破壊する。

自分フィールド上の「ジェノサイドキングデーモン」が破壊され墓地に送られた時、

このカードを手札から墓地に送る事で、その「ジェノサイドキングデーモン」1体を特殊召喚する。

 

「えっと………深海の怒りを出してもジェノサイドキングデーモンが攻撃してきて相打ちになって」

『そのまま復活されてダイレクトアタック、だろうな』

「じゃ、じゃあ何を出せば!」

『…………死に出し、だな』

「それしかない、か!デッキからヒゲアンコウを特殊召喚!」

 

 ヒゲアンコウ

効果モンスター

星4/水属性/魚族/攻1500/守1600

水属性モンスターを生け贄召喚する場合、

このモンスター1体で2体分の生け贄とする事ができる。

 

 ヒゲアンコウ 攻1500

 

「悪あがきをぉ!炸裂!五臓六腑!!」

 

 ジェノサイドキングデーモン 攻2000→ヒゲアンコウ 攻1500(破壊)

 

 清明 LP1000→500 

 

「ごめんグリズリーマザー、それにヒゲアンコウ………」

 

 やっぱり死に出しってのは好きじゃないな。ソリットビジョンだと特に。ユーノも同じことを考えているらしく、複雑な顔をしていた。

 

『いいか、死に出しまでしてこのターンを生き延びたんだ。下手なもの引いて負けたりすんじゃねえぞ』

「ああ、もちろんさ」

「ちい、やはりジェノサイドキングデーモンから攻撃していればぁ………ターンエンドだぁ」

「ドロー!」

 

 こ、このカードは!

 

『困ったときのなんとやら~♪』

「マジックカード、貪欲な壺を発動!墓地のアトランティスの戦士、ハンマー・シャーク、ヒゲアンコウ、ジョーズマン、グリズリーマザーをデッキに戻して2枚ドロー!」

 

 貪欲な壺

通常魔法(制限カード)

自分の墓地のモンスター5体を選択して発動できる。

選択したモンスター5体をデッキに加えてシャッフルする。

その後、デッキからカードを2枚ドローする。

 

「だが、今更何をドローしようとも!」

「『…………それはどうかな?』」

「何ぃ!?」

「マジックカード、サルベージを発動!墓地にいるハリマンボウ、シャーク・サッカーを手札に!そしてハリマンボウをそのまま通常召喚、そしてシャーク・サッカーを特殊召喚!」

 

 サルベージ

通常魔法

自分の墓地の攻撃力1500以下の水属性モンスター2体を選択して手札に加える。

 

 ハリマンボウ 攻1500

 

 シャーク・サッカー 攻200

 

「そんな低攻撃力のモンスターを攻撃表示でだとぉ?ついにおかしくなったのかぁ?」

「残念ながら、いたってこっちは正常だよ!マジックカード発動、ミニマム・ガッツ!!この効果でハリマンボウをリリースして、プリズンクインデーモンの攻撃力をエンドフェイズまで0にする!それと、ハリマンボウの効果対象をプリズンクインデーモンに!」

「何ぃ!?」

『まあ意味はないけどな』

 

 ハリマンボウがプリズンクインデーモンに向かって突進して、そのまま爆発を起こす。残ったのは、衝撃で体がぼろぼろになったプリズンクインデーモンのみ!…………今日は本当にごめん、ハリマンボウ。何回も墓地に送っちゃって。

 

 プリズンクインデーモン 攻2600→0

 

「シャーク・サッカーでプリズンクインデーモンに攻撃!よろしく、シャーク・サッカー!」

 

 シャーク・サッカー 攻200→プリズンクインデーモン 攻0(破壊)

 

 タイタン LP300→100

 

「く、だがまだ私のライフは100残っているぅ。次のターンでまだなにか仕掛けがあるとしても、フィールドにはジェノサイドキングデーモン、手札にはデスルークデーモンがいるぅ!つまり万一ジェノサイドキングデーモンの破壊に成功したとしても、私の勝ちは決まっているのだぁ!」

「な、ホントにデスルークデーモンだったのか!でも残念だけど、次のターンは回ってこないよ!この瞬間ミニマム・ガッツのもう一つの効果により、プリズンクインデーモンの元々攻撃力、つまり2600のダメージを受けてもらうっ!」

 

 ミニマム・ガッツ

通常魔法

自分フィールド上のモンスター1体をリリースし、

相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動できる。

選択したモンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで0になる。

このターン、選択したモンスターが戦闘によって破壊され相手の墓地へ送られた時、

そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。

 

「ば、馬鹿なああああああぁっ!!」

 

 タイタン LP100→0

 

『はあ、今回もギリッギリだったな。先が思いやられるぜ』

「勝ったからいいじゃないの。あ、霧が晴れてきた」

『闇のゲームもどきもおしまい、ってわけだ。それじゃそろそろ「た、助けてくれえぇっ!!」………なんだ?』

「タ、タイタン!」

 

 叫び声の方を見ると、タイタンがさっきの黒いモノに呑みこまれかかっていた。

 

「えーい、ほら早くつかまって!」

 

 ………ま、見捨てることなんてできないよね。必死になって引っ張り、どうにかこうにかタイタンも霧の中から引きずり出す。と、十代達が慌てて駆け寄ってきた。そうそう、忘れるところだった。

 

「おい、そいつタイタンじゃ」

「十代!」

「な、なんだよ?」

「僕もついに精霊が見えるようになったぞ!どーだ!」

「おお、やったな清明!」

 

 タイタンそっちのけで盛り上がる僕ら相手に、複雑な表情で明日香の入った棺桶に向かう翔と隼人がいた。その隙にタイタンが「世話になった、すまない」とだけ書いた紙を置いてどこかに消えていたのは…………まあ、別にいいか。本来ここは立ち入り禁止の場所だから下手に先生に説明はできないし、考えようによっちゃあタイタンのおかげで精霊が見えるようになれたんだし、大目に見ることにしよう。

 

『お前も、ほんとに甘い奴だなぁ』

「ほっといてよ!」

 

 別にいいじゃない、甘ちゃんだって!


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