そして、神栄………サヨナラw
夏です。夏なのです!みんな大好き(?)夏が来た!!
夏といえばプールである。
とある日、E組ではプール開きの日であった。
4時間目、理科の授業。
「あ゛ぢぃ………なんだよこの暑さは!」
神栄はワイシャツの第3ボタンまで開け、教科書をうちわ代わりにしてあおいでいる。
神栄は中にシャツを着ていないので、鍛え抜かれたボディが丸見えだ。
「溶けて死にそう………」
「ほんとそれだぜ……」
菅谷が神栄の方を向き、嘆く。
「でもさ!今日ってプール開きでしょ!楽しみー!!」
倉橋のその明るさは、蒸し暑い教室を一瞬、ほんの一瞬だけ涼しくしてくれた気がした。
「はぁ、そのプールまで行くのがつらいんだろ………?」
木村のその一言で、また暑くなる。
「こんな授業してねぇで、はよプール連れてってくれ殺せんせー、マッハで!」
すると、殺せんせーの顔が紫色になり、顔にバツが書かれている。
「先生のマッハをアテにするんじゃありません!先生にもできないことはあるんですよ…………!そうですねぇ……では、山奥に小さな沢があるでしょう。そこで涼みましょう。あ、全員水着に着替えて来てくださいね」
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殺せんせーを先頭に、沢に向かっていく。
「沢って……この辺にあんのか?」
神栄は校舎以外あまり行かないので、この辺のことはほとんど知らない。
「足首まであるかないかくらいの深さだよ……涼めるだけマシだよ」
…………そうこうしてるうちに、小さな沢…?に着いた。
そこに、沢などはなかった。
普通、よりは少し小さいが、プールがある。
「本校舎になんて、行く必要がありません。さて、思う存分……」
「「「いやっほうー!!!」」」
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プールの中では、女子達が集まり何か話している。
「神栄ってさ……結構いいカラダしてるよね…!!!」
中村がジロジロと神栄を見つめている。
「そうだね!カッコよくて、いいカラダしてて、強くて、英語ペラペラって、すごいよね!」
矢田が楽しげに言っている。
(き、こ、え、て、ん、だ、よ………!(怒))
「神栄ー!お前、ぶっ飛ばしていいか?」
岡島が水中から上に来た。
「突然ぶっ飛ばしすとか言うのやめてくんないかな岡島」
「そのカラダ……俺によこせえええ!!」
岡島はこっちに飛んできたのだが、神栄は軽くかわした。
「変態にあげるカラダはない!」
「………ひでぇ」
神栄は水に浮きながらチラチラと女子を見る。
(…………プールねぇ……。あんま好きじゃねぇな……なぜなら、あいつらにカラダ見られっからだよ!)
プールでは、ボール遊びをする者、盗撮カメラを持ち、撮影する者などがいる。
盗撮カメラって、絶対岡島だよな………。
ピピーッ!と笛が鳴る。
「こら!木村君!プールサイドは走らない!怪我でもしたらどうするんですか!」
「あ……はい」
「岡島君!カメラは没取です!狭間さんも読書してないで泳いでください!菅谷君!普通のプールならボディーアートは入場禁止ですよ!」
(い………いちいちうるせぇ……)
殺せんせーは王様気分で台の上に座り、ニヤニヤしている。
すると、倉橋が殺せんせーに水をかけた。
「きゃん!!」
…………は?
カルマは台を揺らし、殺せんせーを落とそうとした。
「揺らさないで水に落ちる!!」
………………殺せんせーって
水に弱い!?
「べ、水に入ると触手がふやけて動けなくなるとかないし!?」
E組生徒らは、殺せんせーの最大級とも言える弱点を知ってしまった。
水殺………!!!
これは、暗殺に使える!!!!
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皆がキャッキャ言いながら泳いでる(遊んでる)時、浮き輪でぷかぷか浮いている茅野が、バランスを崩し、溺れそうになった。
身長が小さいプラス泳げない茅野は…………片岡に助けてもらった。
なんだあいつ……カッコイイな。
もういっそ男に生まれ変われば、そこそこモテるだろうに……。
授業(?)後に、殺せんせーはどこかへ行ってしまったので、クラスで話し合うことになった。
「……だから、私が考えた暗殺方法はさっきの通りよ、夏は長いわ!頑張りましょう!」
「zzz……はっ!何話してた!?渚!」
神栄は色々な疲れで石に座りながら寝ていた。
「ええっと、まずなんらかの方法で殺せんせーを水に落とす。そして、ふやけて動けなくなったところを水中にいる人たちで殺す、って方法だよ」
「へぇ、流石クラス委員だな」
「彼女、水泳で学年代表とかになってるし、泳ぎは凄いんだよ」
「………あんな恐ろしい女が……なんでモテんのかわかんねぇ」
…………あ。
再び渚の後ろに恐ろしいオーラを感じる。
これが……デジャヴ!!!!
「ぎゃあああああああああ!!!ごめんなさいごめんなさい!!ごめんなさいいいい!うわああああ!!」
神栄死亡のお知らせです。
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見事に殺られた神栄は、片岡の泳ぎを渚、茅野と一緒に見ていた。
「速ぇな、学年代表はダテじゃない……か」
律がタイムを計っている。
『26秒08、自己記録には0.7秒届いてません』
「ブランクあるな………」
「それのどこにブランクあるのか、聞かせて欲しいですな片岡さん」
たかが0.7秒届かないだけでブランクある、なんて言われると、神栄は一体なんなのか……。
「責任感の塊だね、片岡さんは」
「確かにそうですね、何を任されたかは知りませんが……」
殺せんせーが水着姿でニヤニヤしている。
(責任感の塊ねぇ………)
「なぁ渚、茅野。あーゆー人程、自分の苦しみを自分で抱えこんじゃうんだぜぇ……ほら、あの顔を見ればわかる」
片岡はケータイを見るや否や、服を取り、あまり良くない顔で去っていった。
「あいつには色々殺られたからな、こっちも仕返しといこうじゃねぇか!」
あははははは!!!と神栄の高笑いが、プール中に響いた。
「確かにそうですね。少し様子を見てみましょう」
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「あーそっかぁ、ここをあーすればいいわけねぇ」
「う、うん」
某有名ファミリーレストランでは、教科書を広げ、勉強している2人が見える。
1人は片岡。もう1人は………多分本校舎の人だろう。
「あのさ心菜、テスト前だけど、私やりたいことがあって、毎回呼ばれると、ちょっと…………」
「ひどい…………私の事、殺しかけたくせに」
その時の顔は、先ほどとは全く違い、とても怖かった。
涙を流していたが、おそらく嘘泣きだ。
心菜という女はケータイを見ると、広げていた教科書をかばんの中にしまい、帰ってしまった。
勉強してないよな……あれ。
「………で、そこの3人とニヤニヤしてる変態さんは何の用?」
「ふざけんな、俺は変態なんかじゃない、どこかの終末期と一緒にすんな」
「………なんであんなことになっちゃったの……?片岡さん」
某有名ファミリーレストランを出て、住宅街へ行くと、片岡はやっと話し始めた。
「去年、彼女に泳ぎを教えたのよ、1回目でそこそこ泳げるようになったら、その後なんだかんだ理由をつけていかなくなったのよ。で、そのまま海に行ったら案の定溺れちゃって………。それで色々勉強教えてたら、私の成績が悪くなっちゃって、今に至るの」
「本校舎の奴らって、バカしかいないのか?あの名前忘れた二股女にしても、今のツインテールにしても、本っっっっ当アホだ。まぁあいつらなんか眼中にないから、気にしないけど」
「よくそんなこと言えるよね……」
神栄が女の悪口を言っていると、殺せんせーは片岡紙芝居を見せた。
その話は『主婦の憂鬱』というタイトルで、主人公(妻)が片岡、夫が殺せんせーだ。
現実味のある話すぎて、神栄は途中で飽きた。
「んー、殺せんせーの言いたいことはわかったわ。共依存ってやつだろ」
共依存とは、自分と特定の相手がその関係性に過剰に依存しており、その人間関係に囚われている嗜癖状態を指す。
殺せんせー曰く、片岡は依存されてることに依存してしまってるのだ。
さて、この紙芝居を見て殺せんせーがすることは、わかるだろうか。
『ツインテール女を泳げるようにする』だ。
しかし、誰が教えるのか。
「決まっています、このタコが魚も真っ青のマッハスイミングを教えてあげますよ……」
「タコの自覚、あるんだな、殺せんせー」
あとがき書くの……忘れてた。
次回、レッツ・スイミング!
指摘、感想コメント待ってるよ……?