男子会の『あの』言葉がついに使われる回です。
6月、梅雨の時期である。
普段から外に出ない神栄は、雨だろうと晴れだろうと関係ない。
自宅でゲームをしていると、中村からメールが届いた。
『今すぐ椚ヶ丘駅集合、拒否権はない』
なぜ拒否権はないんだよ、中村さん
とりあえず、着替えて外に出た。
その日は梅雨の時期にしては珍しく晴れていた。
椚ヶ丘駅に行くと、中村と前原がいた。意外な奴らだった。
「…………で、何の用だ」
「ふっふっふ、君はあれを見てなんとも思わないのかい!?」
中村の指がさした方向を見ると、あらあらまぁまぁ、なんということでしょう、速水と千葉が《2人きり》で話してるではありませんか。
「…………これが何?」
「あんた、速水さんのことが好きなんでしょ?千葉に取られていいの?」
神栄は立ち止まる。
そうだ。男子会の時……!!!
『強いてだ、本当に強いて言うなら、速水みたいな人がいいな。『強いて』だからな!好きってわけじゃないからな!』
と言った記憶が……………。
というか、何で中村が知っている?
「……………どこで知った」
「………さぁね」
「………………いや、俺速水のこと好きじゃないし、ああいう人がいいってだけで、あいつに対して好意なんて全くないし」
「はいはい、言い訳は良くないよ。それより………偵察しよう!2人の1日を!!!!!!」
「おおー!!!」
前原がノっている。何で前原が来たかはわからんが。
「なんで前原きたの?ぶっちゃけ、来た意味ないよな」
「え……?俺は別に去ってもいいんだよ?でも、お前らがなんか付き合ってるって誤解されてもいいんならな」
「いや、俺はいいんだが」
神栄はもう、やる気ゼロ状態だ。
(メール無視しとけばよかった…)
無視してたら、今頃最新ゲームをクリアしていたというのに。
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千葉は、何故速水と一緒に行くのか、これにはちゃんとした理由があった。
千葉はクラスで射撃が男子の中で一番上手い。
一方速水は女子で一番射撃が上手い。
だから、上手い者同士で新しく入荷されたエアガンを買おうとした。
その為に、速水を呼んだのだ。
「………悪いな、勝手に呼んじゃって」
「いや、私も千葉と新しいエアガン買おうと思ったし、大丈夫」
遠くから見てると、ただ2人が喋ってるだけだ。
「……………これ、大丈夫か?」
「捕まりはしないでしょ!多分」
多分かよ。
椚ヶ丘駅を出発し、隣町の駅まで2人は話すことはなかった。
(………素晴らしい程何もないな……)
神栄はこのまま降りて家に帰りたい、と言ったのだが、
「降りたら、速水さんと付き合ってるって言っちゃうよ……?」
と言われた。
「いやいや、速水が迷惑だろ。なんであいつに迷惑かけなきゃいけないんだよ」
「………だったら、素直に来なさい」
「……………はい」
椚ヶ丘駅から電車で30分。そこそこ有名な場所へやってきた。
いろんなショッピングモールが建っていて、若者の街といっても過言ではない場所だった。
「おい、これからどうすんだよ。この人混みだと、あいつらとはぐれるぞ」
以外にノリノリな神栄。
「あれ!?前原がいない!?」
そういえば、駅出てから見てないような………。
すると、メールが来た。
当然、前原からだった。
『ゴメン(>人<;)今日他校の人と遊ぶの忘れてた!勝手にいなくなったけど、気にしないで偵察してね!あ、よかったら画像を頂戴ね!^o^』
なんだこいつ、ちゃっかりしてるぞ…。
「はぁ……。中村、行くぞ……ってあれ?」
ありゃ?いないぞ?
どこを見ても金髪でチャラチャラしてる女がいない。
これってもしかして……………。
迷子!?!?
神栄がどれだけ外に出てないかがわかるね!
神栄「外だるいんだもん」
次回、偵察後編でーす!
指摘、感想コメントいつでも待ってるよ!