神栄 碧と暗殺教室   作:invisible

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結構ハート殺られてる中書いたものです。過度な期待はしないほうが良いかと思います


第150話 救う時間

殺意むき出しの茅野に、今更説得など無意味。戦闘中に殺意を消すことに全身全霊をかけるしかない。

 

「ほらほらぁ!ヘンなこと考えてたら、すグ殺さレちゃうよ!?」

 

死神との戦いとは別次元のモノだった。あちらはまだ人間だったが、茅野はもうモンスターと言っても過言ではない。

 

 

「こりゃ相当な荒療治になるな……」

 

 

茅野の触手の動きに合わせ、神栄は右へ左へと移動する。規則性のないステップに、茅野の触手の動きはだんだんと荒くなっていく。

 

 

「早く……殺らレレバイイのに……チョロちょロ鬱陶シいなぁ!!神サカ君!」

 

 

そろそろ喋ることが苦行になるレベルなのか、片言混じりの言葉が増えてきた。それでも茅野の触手は止まらない。

 

 

「そんなニ逃げルなら……殺センセーから殺しテやル……!!!」

 

 

茅野は突然方向転換しマッハとまではいかないがとんでもない速さで殺せんせーの元へと向かった。

 

当然触手持ちの茅野に追いつけるはずがなく、戦いは茅野対殺せんせーに移った。

 

「……ッ!!」

 

 

殺せんせーも予想外だったのか、相当驚いた顔をしている。

計画通り、といった顔をしている茅野はさらに攻撃を続ける。

 

 

「殺せんせー!ワタシすごク気持ちイイの!アツイのが気持ちイイの!!だから死ンで!殺せンセー!!」

 

「……茅野さん」

 

 

圧倒的パワーに、殺せんせーはただ避けることしか出来ない。

 

「チッ、どうすれば……!」

 

その戦いでは完全に蚊帳の外扱いの神栄は、茅野を救う方法を模索していた。

 

直接触手を抜くにしても、抵抗されて最悪殺されるのがオチだ。

 

 

 

 

 

「死んで!死んデ!死ンデ!死んで!!」

 

狂気混じりのその言葉は、日常的に言うモノとは全く違い、本当の意味での言葉だった。

 

だが、その言葉の裏にはどこか、助けてほしい。そんな気持ちがある気がした。

 

これが本当の茅野の気持ちなのか。

 

 

 

「か……やのぉぉぉぉおお!」

 

 

茅野が2本の触手で殺せんせーに攻撃しようとしたその時、

 

 

 

 

 

ブシュッ!

 

 

 

と、何かが潰れたような音がした。

 

 

 

「ぐっ…アアッ!」

 

「神栄…君?」

 

1本の触手は手のひらで止まっており、もう1本は腕で止まっていた。

神栄の手は血まみれになっており、腕は広範囲が内出血になっていた。

 

 

「……やめろ……もうやめるんだ」

 

 

 

「…ウルサイ!!」

 

茅野は触手を引っ込めたかと思わせ、次は触手をバットのようにし、神栄を炎のリングの端まで投げ飛ばした。

 

幸い火だるまにはなってないが、着地の際に手をついたらしく手を抑えている。

 

 

 

「ガッ……あああああ!!」

 

 

今までに体験したことのない激痛が腕に走る。

 

 

「神栄!大丈夫か!」

 

リング越しから神栄の状態を心配する声が聞こえるが、痛みに全てを支配されているのか、声が全く聞こえない。

 

 

「神栄……君……………ハッ!?」

 

 

 

神栄の方を一瞬振り向いた殺せんせーの行動を見逃さなかった茅野は、殺せんせーの最大の弱点である心臓の位置に2本の触手を突き刺した。

 

 

「ゴフッ…」

 

少量ながら、殺せんせーは吐血をする。さらに炎の触手のせいで熱さのダメージがある。

 

「殺ッた……?」

 

 

 

 

「……こ、これで私が死ぬわけ…ないでしょう。茅野さん。私はクラスみんなが『無事』で卒業出来ないことが、先生にとって死ぬより嫌なことなんです」

 

 

 

 

「だカラ……ナニ!?」

 

茅野はさらに奥深くまで触手を食い込ませる。

 

「うっ……!」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

渚は神栄と茅野と殺せんせーとの戦いの最中、自分には何が出来るのかを考えていた。

 

(神栄君の考えていることは多分僕と同じだ、どうやって茅野の殺意を消すか。この一点に絞っている)

 

 

でも、その方法はどれも茅野に危害が加わるようなものだ。

 

ナイフでの斬撃、拳銃での狙撃、対触手系統の武器は全て使えない。

 

自分たちは今までに何をやってきたのだろう。

 

 

 

テストで勝つ方法、野球部に野球で勝つ技術、少ないお金で贅沢をする技術、超実践的な英会話の会話技術。

 

 

 

 

 

(……ある!茅野を救えるたった1つの技術が!!)

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

殺せんせーは今ある最大限の力で複数本の触手を使い茅野を拘束した。

 

 

拘束し終わったと同時に、渚が茅野の目の前に立った。

 

 

「……茅野」

 

 

 

渚は一言、そう呟くと猫騙しの要領で茅野の方へ走り、手は出さずに顔を近づけ、茅野にキスをし始めた。

 

 

全員が突然の出来事に驚いている中、カルマと中村はケータイを取り出し左右に分かれ撮影をした。

 

 

「〜〜〜っ!?」

 

 

普通のキスではなく、ディープキス。つまり舌と舌を絡めるオトナなキスだ。

 

 

段々意識が遠のいていく茅野。渚はその事に気づかずにただ殺意を消す為にキスを続ける。

 

 

15HITした辺りで、茅野は完全にやられた。

 

 

目がクルクル状態になった茅野は自分の力では立つことができずその場で倒れた。

 

「……殺せんせー、これでいいかな」

 

 

「完璧です渚君!」

 

 

殺せんせーは最速で茅野の触手を抜き取る。

 

 

一方神栄の方では神崎が意識の有無を確認していた。

 

「碧くん!碧くん!しっかりして!」

 

 

「……ああ、大丈夫だよ。腕以外は……」

 

 

 

 

殺せんせーの方では触手が完全に抜き取れたらしく、殺せんせーは安堵していた。

渚はカルマに先ほどの一部始終を見せられ赤面している。

 

 

 

「……渚がなんとかやってくれたのか、良かった。んじゃ、後は頼んだ……」

 

 

「そんなことさせませんよ神栄君。さぁ、腕を出して。私が治しましょう」

 

 

さっきのようにものすごいスピードで一部折れている神栄の腕と手を完璧に治す。

 

「元医者かよこの人。まぁ……いいか」

 

「そんなことも、あったかもしれませんねぇ」

 

 

他愛もない会話をしていると、神栄の腕は完全に治っていた。

 

「それは別にどうでもいい。茅野は大丈夫か?」

 

 

 

「ええ、今寝ていますが、すぐに起きますよ」

 

 

神栄が茅野の方に行くと、触手は抜かれており、寝ている。

 

「さっすが渚だな。何したらこうなった」

 

 

「キスだよキ、ス。神栄と神崎ちゃんとの濃厚キスみたいなキッスを……ねぇ?」

 

「おいバカやめろ」

 

 

 

「………ん?」

 

神栄の声で起きた茅野は目をこすり今の状況を見る。

 

 

全員が茅野が元に戻ってホッとしていると、どこかからかバチュン!と音がした。

 

 

狙いは、殺せんせーだった。

 

「んなっ……!」

 

「何血を流して死にかけている。そこの使えない娘もそうだ。折角いい展開を見れると思っていたのに残念だ」

 

「何言ってるんだお前……」

 

 

「黙れ無能モルモットの弟。だがまだ策は残っている。ここにあと2人ほど、な……。最後はこの俺だ」

 

シロはマスクのような部分をブチっとちぎると声が変わる。

 

「どんなことをしてでも、お前だけは絶対殺す。どんなことを……してもな」

 

 

シロは今まで見せなかった素顔を見せる。

 

左目は機械のようなものでできていて、髪もチリチリしている。

 

「覆面を被って声を変えた天才科学者。やはり君だったか、柳沢」

 

「そんなことはどうでもいい。行こう2代目。3月までには呪われた命に完璧な死を……見せてやる」

 

 

そう言ってシロ改めて柳沢と2代目なる人物は森の中へと消えていった。

 

 

「今はあいつの事はどーでもいい。茅野が先だろ」

 

茅野は目をパチクリとさせ、周りを見渡す。

 

そこには茅野が復活して涙している者、やれやれだぜ……と言っている者、安心している者がいた。

 

「やっとちゃんと起きたか茅野」

 

 

「……最初は、純粋な殺意だったの。けど次第にその殺意に自信が持てなくなっていった。もしかしたら、殺せんせーには私の知らない他の事情があるんじゃないか?殺す前にそれを確かめたほうがいいんじゃないか?って。でも、もう遅かった。触手がそれを許さなくて、純粋な殺意は真っ黒な殺意に変わったの」

 

 

 

皆が黙って聞いていると、

 

「……目的なんかどうでもいいよ。どんなに1人で苦労してたとしても、みんなと楽しく過ごした日を、全部演技だなんて絶対言わせない。だから、みんなで聞こう。殺せんせーの事を」

 

 

「……うん。もう、演技やめて……いいんだ」

 

 

何もかも解き放たれた茅野の目から、涙が溢れてきている。これは演技ではない、本当の茅野の涙だった。

 

「殺せんせー。茅野はここまでして殺せんせーの命を狙った。………もう何も言わなくてもわかんだろ。言ってくれよ、殺せんせーの過去を」

 

神栄は真剣な表情で殺せんせーに言い放つ。

 

 

 

「どんなことであろうと俺たちは受け入れます。だから話してください。殺せんせー」

 

磯貝が神栄の言葉に付け足すと、殺せんせーははぁ……と大きく息を吐き、自分の触手を絡ませる。

 

 

「……正直過去の話はしたくなかった。けど、君たちの信頼のためにも、ここは言わなければいけないようですね。夏休みの南の島で、烏間先生はイリーナ先生をこう評しました。

 

 

『優れた殺し屋ほど万に通じる』

 

至極まともな言葉です。そして、私は教師をするのはこのE組が初めてです。ですが全教科を満遍なく君たちに、完璧に教えることができた。それは何ででしょうか?」

 

 

 

 

「……それって、まさか…」

 

 

 

 

 

「そう。

 

 

 

2年前まで、私は【死神】と言われた殺し屋でした」

 

 

殺せんせーは今まで秘密にしていた壮絶な過去を………ゆっくりと、語り始める。

 

 

 




前話のあとがきで言ってた重大だと思われることはですね、このあとE組がいろいろあって分裂するじゃないですか。そこで神栄くんをどっちにするか、それをみなさんに決めてもらいたいと思うんですよ。一応どっちも書く予定ですが、票が多かった方のルートを投稿。少なかった方は何かの機会に投稿。的なことを思いつきましてね。悪くはないと思うんですよ。

ですので、invisibleの活動報告でアンケートとりたいと思います。これを投稿次第活動報告にて書きますので、是非投票お願いします。
あと、Twitterでもアンケートとろうかと思ってます。Twitterの方もこれを投稿次第アンケートとる予定です。
(Twitterアカウントは『@yellowtailambe1』です。)


ですが、その話まで行くのに相当時間がかかると思われるので、Twitterの場合はアンケートに必要な時間を最大までして、かつ何回もやる予定です。
それで多かった方+活動報告の票数で決めようと思います。

何を言ってるのかわからなかったら、自分が暗殺教室の世界に入ったら、殺す派と守る派どっち入りたいかで決めてもらえると嬉しいです。


そして次回、殺せんせーの過去。これはどう頑張っても原作を丸コピーになりそうで怖い。もしダメだったら何事もなかったかのように殺せんせーの過去話あとを書こうかと思います。


長文失礼いたしました。アンケートは活動報告に書くんですよ?感想欄には書かないでくださいね?

ではありがとうございました。また次回。

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