神栄 碧と暗殺教室   作:invisible

161 / 182
誕生日が近い



第146話 演劇の時間

 

理事長とのいざこざが終わってから何日か経ち、旧校舎が完全に元に戻ったある日、磯貝から演劇についての説明があった。

 

 

どうやら椚ヶ丘ではこの時期演劇発表会をするらしい。

 

ちなみに予算は全クラスで一番少ないし、小道具は全て自分達で旧校舎まで持っていく。いつもの待遇だ。

 

 

そして今、劇の内容を決めているところだ。

 

 

 

「………ってことで、俺らは何をする?」

 

「まずは脚本、監督、その他を決めようぜ。それから劇の内容を決めればいい」

 

珍しく神栄が仕切っている。神栄はとっとと終わらせてゲームしたいと思っているのだろう。

 

 

「監督は三村で、脚本は……狭間が適任かな」

 

三村はにっこりと笑い、狭間はニタァ……と笑みを浮かべる。おそらくオーケーのサインだ。

 

 

「よし、じゃあ劇の内容を決めよう!何がいいのか、内容を大まかに説明してくれると助かるんだけど……」

 

 

「はい」

 

 

 

「お……カルマ。何がいい?」

 

 

「これなんかどうよ。渚君」

 

 

カルマが渚に見せたものは、『阿部定』と描かれていて、その横に、『これ……僕のです(照)』と書かれていて、小さな像を持ってる絵があった。

 

 

 

 

 

「……これ、タグにBLってついちゃうよ」

 

「やめろ不破。メタい」

 

 

 

「ほ……他にあるか……?」

 

「はい!」

 

 

お次は不破。一体どんなのをするのか。

 

 

「んーとね……『デ○ノート』は?」

 

「え……」

 

「それがダメなら『○リコ』、『○ンピース』他にもまだまだあるけど……」

 

 

「能力なんか誰も使えねぇし、筋肉もモリモリじゃないぞ………」

 

 

完全に自分の趣味になってしまっている。これは間違いなく却下だろう。

 

 

「他………」

 

 

そろそろ磯貝も呆れてきている……。何かいい案でも無いのか。

 

 

「はい」

 

 

 

「おっ、神栄。どーゆーのだ?」

 

 

「桃太郎」

 

 

「……おう。内容は?」

 

 

「え、普通のヤツだぞ?逆になぜオリジナルにする?」

 

 

 

 

 

「……桃太郎、いいわ。それにしましょう」

 

狭間がペンを持ってノートにシナリオを書き始めた。

 

そんな中、殺せんせーはずっとソワソワしている。トイレならはよ行け。

 

「落ち着きが無さすぎだろ殺せんせー。なにがあった」

 

 

 

 

「主役……」

 

 

「は?」

 

 

「先生、主役やりたい」

 

 

教室が固まった。

 

 

それは全員呆れているからだ。

 

 

 

 

「何でしゃばってんだよ国家機密が!」

 

 

 

 

「いーわよ。殺せんせーを主役にした桃太郎、書いたげる」

 

 

 

 

「「「……え?」」」

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

まず、役決めからだった。

 

 

 

殺せんせーは人外なので、一瞬で桃役に決まった。

 

 

あとはおじいさん、おばあさん、桃太郎、犬猿雉と鬼だ。

 

 

「んー……じゃあ、杉野、神崎とおじいさんとおばあさん役やんなさい」

 

 

 

「え!?いいのか!?」

 

 

「そんで神栄、あんたは桃太郎」

 

 

「あっ、はい」

 

 

 

 

「鬼は……寺坂組とカルマで」

 

 

……と、このような感じでパパパッと役が決まると、早速練習を行うことになった。

 

 

いろいろ微調整を繰り返し、ついに演劇発表会当日となった。

 

 

 

E組は昼休憩発表があるので、皆は飯を食べながらの鑑賞となる。

 

 

 

 

ほとんどの人間はバカにしてやろうと思っているだろう…。

 

 

 

 

 

 

 

 

『……桃です』

 

 

舞台真ん中では、桃の形をした殺せんせーの周りに光が当たっている。

 

 

そして、場面が変わり、おじいさんとおばあさんが出てきた。

 

 

「どうしてこんなに大きな桃が……?」

 

「とりあえず切ってみよう!話はそれからだ!」

 

 

おじいさんは桃を包丁を使って全力で切った。

 

切り終わると、なんということでしょう。桃から赤子…………ではなく大きい子が出てきたではありませんか!

 

 

 

「………だれだ!?」

 

 

「桃太郎だ。俺は鬼を倒す使命があるから、きびだんごください」

 

 

おばあさんは桃太郎なる者の指示通り、きびだんごを3つ作り、手渡した。

 

 

「ありがとうございます。では鬼退治してくるわ」

 

 

桃太郎なる者が去ると、おじいさんとおばあさんは何が何だかわからない顔をしていた。

 

 

「なんだったんだあいつは……?」

 

 

「さ、さぁ…?」

 

 

 

ここでおじいさんとおばあさんの出番は終わり。

 

 

場面は野山に移る。

 

 

桃太郎なる者は仲間を求めて村中を歩いていた。

 

 

 

しばらく歩いた先にいたのは、犬、猿、雉だった。

 

 

桃太郎なる者は3匹にきびだんごを渡して強制的に仲間にさせて鬼ヶ島に連れてった。

 

 

 

 

 

鬼ヶ島に着くと、寺坂鬼と愉快な仲間たちが待ち構えていた。

 

 

「出たな鬼共!この桃太郎が成敗してくれる!」

 

 

桃太郎なる者が刀を構えた瞬間、

 

 

 

 

犬猿雉が何故か死んだ。理由はわからない。

 

 

「……おい、これ台本に無いんだけど」

 

小声で寺坂に問いかけるが寺坂は無視している。

 

 

「おうおう!お前だけじゃねーか!カルマさん!こいつやっちゃってくださいよ!」

 

どうやら寺坂鬼は子分だったようで、カルマ鬼がズンズンとこちらに近づいてくる。

 

 

「…………」

 

 

「この鬼め!最後に言うことはあるか?」

 

 

「………お前がな」

 

 

「…あ?」

 

 

何を言ってるのか、そう考えていた矢先、金棒(プラスチック製)が桃太郎の刀を真っ二つにした。

 

 

「おいなんだよこれ!聞いてな……グハァ!」

 

グーパンチが腹にモロ喰らった。しかもみぞおちに入っている。

 

 

「こんなの台本に書いねぇだろうが!」

 

 

 

 

 

 

「………いつ、桃太郎の話で桃太郎が勝つと言った!

 

 

 

 

この話はな……鬼が勝つんだよ!!!」

 

 

 

 

 

「ふざっけんなクソがぁあああああああああ!!!」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

結果、桃太郎の惨敗。

 

 

 

 

 

 

『……このように、正義が勝つことは多くはありません。彼も、あなたがたも………(笑)』

 

 

最後にそれっぽく律が締め、終了。

 

 

 

 

これを見てA〜D組の人たちは

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふざっけんなE組が!!!!」

 

 

 

と叫んでいたのである。

 

 

 

 




茜音の話は次辺りにかしようかと思ってます。そしたら茅野編ですな!

アニメの2クール目のOP、僕は大好きです。みんなも聴こうぜ!

あ、去年みたいに誕生日に番外編はやりませんよ。ネタも無いですしw

プレゼントなら待ってますよ!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。