わーい!!!
イトナが入ってきた次の日、イトナは何かを作っている。
「おい、イトナ何作ってんだ?」
「かみかさ、見ればわかるだろ。ラジコンの戦闘車だ」
「ねぇ、なんなのそのあだ名、俺の名前「かみさか」なんだけど、「かみかさ」じゃないからな?」
「そんなことはどうでもいい。昨日1日あのタコに勉強漬けにされてストレスが溜まった。失敗覚悟で殺してやる………」
いや、どうでもよくないから、超重要だから。テストに出るぞ!
「殺しに行くといっても……イトナ…………すげぇな」
すごくハイテクな機械ではんだごてとか使ってるよ……。
「親父の工場で基本的な電子工作ハイテク大体覚えた。こんなのは寺坂以外誰でもできる」
イトナは戦闘車を床に置き、操作し始めた。
そして、標的(空き缶)の目の前に行くと、発砲。
これだけなら多分その辺の人でもできると思うのだが、イトナの作った戦闘車は、走ってる時や弾を撃つ時に音がほとんどしない。
イトナ曰く、電子制御を多用することで、ギアの駆動音を抑えているらしい。
しかも映像付き!
素晴らしいね!
「……それと、お前らに1つ教えてやる。狙うべき理想の一点、シロから聞いたあのタコの急所だ」
「…………!!!」
「奴には"心臓"がある。位置はネクタイの真下。そこに当てれば1発で絶命できるらしい」
サラッととんでもないこと言ったな、イトナ。
「………で、教室内だけで戦闘車移動させるのか?だったら外で移動させた方がいいと思うんだけど……」
「わかった。やってみよう」
戦闘車はくるりと方向を変え、廊下へ向かう。
廊下へ行くと、曲がり角で何やら声がした。
戦闘車は上を向き、様子を見ている。
戦闘車が見たものは、スカートの中だった。
「………見えたか?」
いや、見るなよ。
「クソ……カメラが追いつかなかった。視野が狭すぎんだよ」
こいつら変態過ぎて救いようが無い………。
「カメラをもっとデカくして、高性能にしたらいいんじゃないか?」
村松がそう言うと、その意見をイトナはきっぱりと反対した、
「重量がかさんで機動力が落ちて色々めんどくさくなる」
「………なら魚眼レンズにしてみればいいんじゃないか?」
"参謀"竹林が提案すると、メガネをくいっと上げ、説明を始めた。
「送られた画像をCPUを通して歪み補正すれば、小さいレンズでも広い視野を確保できる」
「……わかった。視野角の大きい小型魚眼レンズは俺が調達しよう……」
"カメラ整備"岡島がなんかカッコよさげに言うと、みんなに協力を求めた。
「録画機能も必要だな」
「そうだな………」
こいつら……下着ドロにはドン引きしてたくせに……最低のゲス野郎ばっかじゃねーか。
「これも全て暗殺のためだ!ターゲット(女子)を追え!!!」
こうして、E組男子の、E組男子による、E組男子の為のプロジェクト、その名も…………!!
『プロジェクトE』が始動した。
ちなみにプロジェクトEのEは《エロ》のEだ。
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早速発進した試作品一号。
外に出ようとした瞬間、段差でコケた。
それを映像越しで見ていた男子(渚、磯貝、カルマ、神栄除く)は、しばらく黙り………。
「俺が復帰させてくるわ!」
"高機動復元士"の木村がダッシュで行くと、改善点についての話し合いが行われた。
「段差に強い足回りも必要じゃないか?」
竹林がまた提案すると、
「俺が開発するわ、駆動系とか金属加工には覚えがある」
"駆動系設計補助"吉田が加わった。
「それと、車体の色についてだが、学校の景色に紛れないと標的(女子)に気づかれる」
またまた竹林が提案すると、今度は………。
「引き受けた。学校迷彩、俺が塗ろう」
"偽装効果担当"菅谷が筆を持ち塗る準備をしていると、
「ラジコンは人間とはサイズが違う。快適に走り回れるように俺が歩いて地図を作るわ」
"ロードマップ製作"前原が紙を持つ。
すると、
「腹が減ったら開発は出来ねぇ、校庭のゴーヤでチャンプルーでも作ってやらァ」
"糧食補給班"村松がエプロンをつけて家庭科室へ向かった。
こうして、本格的に移動し始めたのだが……なかなか思うように行かずに、みんなが交代交代しながらやっている。
もう、クラスに馴染んでやがる……。
ワイワイ楽しくやっていると、戦闘車に搭載しているカメラが真っ黒に染まった。
上を見ると……。
カワウソのような生物がこちらを見ていた。
驚いて発砲すると、近づいてきた。
「うわあああああああ!!」
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試作品一号は破壊されたのだが、みんなは思ってるよりか落ち込んではいない。
むしろやる気になっている。
「次からはドライバーとガンナーを分担しないとな、射撃は任せたぞ、千葉」
新たな役職、"搭載砲手"に任命された千葉。
なんだろう、かわいそうになってきた………。
「開発には失敗がつきものだ。糸成一号は失敗作だ。だが、ここから紡いで強くする」
壊れた糸成一号にペンで『糸成Ⅰ』と書くと、イトナはこちらを向いて話した。
「100回失敗してもいい、最後には必ず殺す。だから、よろしくな、お前ら」
「そーだな、よろしく」
「よっしゃ!3月までにはコレで女子全員のスカートの中を偵察するぜ!!」
「へー………今なんて言ったのかな?岡島君」
あ…………。
女子の皆さん、戻られたようですね。
では早速岡島を殺っちゃってください!片岡さん。
「うわあああ!!助けてくれええええ!!」
「無理」
「あ……そうだよ!全部神栄が提案したんだ!俺は協力されてて…俺は無実だ!!」
うわぁ、勝手に俺を犯人扱いしやがった。
「待て、俺は悪くない。俺は鉄の理性を持ってるんだ。その程度で興奮するような男じゃねぇ、しかも俺がやってないということに関して証人がいる!渚!俺は何もやってないよな……?」
「え……あ…そうだね、神栄君はやってない……よ」
「確かに……このヘタレがこんなことできないわね。やってたらヘタレじゃないもの」
片岡さんも納得してくれてなによりです。
「ほら!見たか!俺はやってない!やってないんだよ!だから岡島、さ、よ、な、ら♥︎」
「うわあああ!助けてくれええ!」
その日、岡島は30分女子達に説教されたらしい………。
自業自得だな、ざまぁみろ。
次回、お待ちかねのデートです。
地味に何話かかかりそうだな……。