ガンプラ格闘浪漫 リーオーの門   作:いぶりがっこ

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・Aブロック二回戦 第一試合

 ナガラ・リオ(空手) VS 月天山(相撲)
 リーオー虎徹        SUMOU金時


敗者たちの栄光

 ――ガンプラ謝肉祭、2nd stage

 

 八試合、全十六選手の死闘を終え、狂乱の宴もようやく折返し地点に差し掛かろうとしていた。

 が、長きにわたる日々を飢えと乾きに耐え続けた、この救い難き格闘技オタクたちの熱情が、たかだか小一時間で萎えようはずも無い。

 

「よいしょ!」「よいしょ!」と――。

 

 今また、仮初のコロッセオが一体感に包まれていく。

 歓喜の輪の中心にいるのは、威風堂々たる金色のMFであった。

 

 MRC-F20「スモー」

 

 太い機体である。

 かの工業デザイナー、シド・ミードがデザインした最初の「ガンダム」と言う、いわくつきの機体でもある。

 そのあまりにガンダム離れした太さゆえ当然のようにボツを食らいつつも、やがて月の女王の守護者と言う大任を与えられて蘇り、動乱の時代を終戦まで戦い抜いた花も実もある機体である。

 

 大前提として自由であり、作り手によって無限の可能性を与えられるべきガンプラ・バトル。

 それでも今日、この場において、その黄金の機体を纏う事が許される戦士は、この日本に一人しかいない。

 

 日の下開山、月天山。

 現在の幕内における唯一の横綱であり、すなわち日ノ本最強の男である。

 

 太古より、爾来、相撲とは強者のための闘技である。

 かつては新弟子検査において身長175cmが規定とされ、それ以下の者は「見込み無し」「危険」として、部屋の敷居を跨ぐ事すら許されなかった。

 そうして選り優られた土台の上に、十分な食事と休養、そして鬼のような猛稽古を重ね、角力に必要な巨岩の如き肉体を作り上げていく。

 

 巡業は通年六場所、実に一年の内に百近い日々を闘争に明け暮れる事となる。

 立ち合いは土俵を割るか、相手を土に付ける事を以って決着となる。

 鍛えこまれた力士の体にそこから先を求めたならば、確実に相手を壊す結果となるからだ。

 

 平均体重150kgを超す肉体のぶつかり合いは、確実に力士の寿命を縮め、一たび休場すれば容赦なく番付が落ちる。

 戦い、敗れ、そして去り、やがて残った僅かばかりの上澄みの一滴に『神』が宿る。

 

 ――今、傍らに白銀の露払い、太刀持ちを従えた金色の機体が、天高らかと片足を持ち上げ、落とす。

 

 ズン、と大地が揺れ、観衆たちが熱狂に沸き、コロッセオがたちまち国技館へと変わる。

 

(…………)

 

 対面の入口。

 会場の熱狂から取り残されたナガラ・リオが、スモーの一挙手一投足を醒めた瞳で見つめる。

 相撲が強者の闘技と言うのなら、相対的に空手は弱者の牙と言う事になるのだろう。

 身長160半ばに過ぎぬ発展途上の肉体。

 もし少年の夢が角界の頂点だったならば、彼はその入口で頓挫する事となっていた筈だ。

 

 だが、少年の行く先には空手道があった。

 空手は、言い換えれば武術とは(ほこ)(すす)む術、生存の為の技術。

 建前上は老若男女の別を問わず、あらゆる理不尽な暴力を打ち払う刃であらねばならない。

 

 そして、その建前を実戦の域でまで求めたのが亡父の空手である。

 打撃の威力を個人差のある筋力では無く、骨の強かさに求める

 

 巻藁、青竹、鉄砂掌――。

 華奢で繊細な指先を、人間をぶっ叩くための鈍器に変えるため、幾度と無く潰し、潰して骨格から叩き直す。

 まさしくその修練は老若男女に平等、等しく地獄。

 

 肝要なのは躊躇わぬ事。

 凶器と化すまでに叩き上げたその五体で、立ちはだかる敵を容赦なく破壊する事。

 死ぬ事を恐れず、殺す事を厭わず、死中に活路を求める。

 

 人でなし、なれどそこまでの卑劣な覚悟を持って、ようやく弱者は強者と互角。

 窮鼠は初めて猫と立ち会う舞台に臨む事が出来るのだ。

 

 

「に~し~、り~お~、り~お~」

 

 ベンスンナムの朗々たる呼出に浅く一礼し、白銀のリーオーが闘技場に足を踏み入れる。

 相撲のしきたりなど知る由もないが、やる事はしょせん殴りっこ。

 過度の儀礼は不要であろう。

 

 強者の闘技、一たびぶつかれば当然のように横綱が勝つ。

 だからこそ負けられない戦。

 未だ模索中の新生永楽流とは言え、その理念まで捨てるつもりは無い。

 

「……!」

 

 そう確固たる信念を宿した足が、不意にピタリと止まる。

 

 山があった。

 少年の視線の先、闘技場の中心に不動の泰山があった。

 

 腰を落として左手を突きだし、臨戦態勢に入った金色のスモー。

 その距離、およそ6、7メートルと言った所か。

 公式発表で185cm、138kg

 角界においては意外にも痩身(ソップ)に数えられる横綱であるが、巨体とのぶつかり合いに耐えるべく隆起した鋼の上体はスモーの体格と合致して、見上げるような威圧感を以ってリオの視界を圧迫する。

 

 身長にして20cm、体重にして60kg超と言う絶望的戦力差。

 勝利を欲するならば、進んで間合いに踏み込まねばならぬ小兵であるが、しかしリオの本能は、その定石を拒絶する。

 ここから先は横綱の土俵、決して自ら分け入ってはならぬ、と。

 

(……自惚れも張合いもしねえ。

 それでも最後に立っているのは俺だ)

 

 ザッ、ザッ、と左足で砂を掻き、何度も何度も足元を踏み固めて半身をとる。

 間合いの遥か外、果敢なる空手少年の見せた臆病とも取れる行為に、観衆がわずかにざわめく。

 

 だが、これこそが現実の姿である。

 かたや当代随一の名機として、黒歴史に封じられた兄弟たちを相手に真っ向戦い抜いたスモー。

 かたや凡庸な量産機である事のみを唯一の個性に、混沌のACに幾多もの歴史を刻んだリーオー。

 両機のルーツにまつわるドラマが、そのまま現在の男たちの立場を象徴する。

 

 時間一杯。

 両者の闘志を確認し、直垂烏帽子のベンズンナムがゆるりと軍配を差し出す。

 

「発気揚々……、のこったッ!」

 

 さっと軍配が翻り、瞬間、空気が爆ぜた!

 一回戦とは逆、横綱が自ら動いた。

 

「……!」

 

 リオが瞠目する。

 元より短期決戦の相撲、その巨体に反した瞬発力の高さは重々承知している。

 だがそれも、直径6、7mの狭い円に限定した話だと思っていた。

 それがどうだ。

 敵はその重戦車の如き巨躯を暴風に変え、恐るべき猪突で迫ってくるではないか。

 力士とは皆、こう言う怪物なのか?

 あるいはこの横綱だけが特別なのか?

 

 兎に角、決断しなければならない。

 迫りくるデカい顔。

 半身に取った構え、左右への回避は至難。

 さりとて後方に退けば、たちまち二ノ足、三ノ足に押し切られる。

 

 前に進むしかない。

 ファースト・コンタクト、問題は何を――

 

「シャッ!」

「ッッ!?」

 

 解答は用意していた。

 足元のキメ細やかな砂粒を掻き分け、あらかじめコテコテに踏み固めていた土団子。

 そいつをヒライ謹製の爪先で、スモーの顔面目掛けてハネ上げた。

 たかだか目潰し、怯むような横綱ではない。

 だが、寸傲であっても心は乱れ、その攻意には見逃し難い雑身が混ざる。

 

 小細工。

 たかだか男二人の命運を一瞬にして分かつ程度の小細工。

 

「ウヌッ」

 

 今、まっすぐに差し出された太く逞しいスモーの諸手が、虚しく空を切り――

 

 ――バッキャァッッ

 

 刹那、重厚な金属同士の衝突音が、闘技場の中心で炸裂した!

 

 渾身のハイキック。

 スモーの、横綱のブ厚い顔面を真横、至近から思い切りぶっ叩いた。

 一呼吸遅れて、わっ、と観衆が声を上げる。

 

 上体を目一杯に反り返し、弾かれたバネの如く叩きつけられた鋼鉄の足。

 完璧な一撃だった。

 戦術、実践、タイミング……、初めての対戦、ファーストコンタクト、この一瞬でしか極められない会心の一太刀であった。

 もう一度やれと言われても二度とは出来ない。

 これをやられては、体格、タフネスの差など何の意味も成さない、それほどの完全な立ち合い。

 

「――!」

 

 ……ただし、それも相手が横綱でなければ、の話だ。

 

 たったの一つだけ、状況が月天山に利した。

 立ち合い、前に出て、押し合い圧し合うのが仕事の相撲取り。

 先の瞬間、空手家の殺気を浴びた横綱の肉体は、本能的に前に出る事を選択した。

 結果、打点は僅かにズレ、鼻骨を砕き、あるいは人中を穿って浸透するはずだった空手屋の打撃は、力士の分厚い額の鉢に受け止められる形となったのだ。

 

 奇跡、とも呼べぬほどの、ほんのちょっとの利。

 日々のテッポウとぶつかり稽古に支えられた太い頸は、その奇跡に良く応えた。

 

 ギラリ、とリーオーの足の下でスカーフェイスが煌めき、直後、山が再び動いた。

 グラリとよろめくリーオーを追って、金色の巨体がその暴威を増す。

 

「ヌンッ!」

「オオ!」

 

 豪腕、横綱の攻め手は右の張り手。

 対するリーオーは空手家の定石、廻し受け。

 真横から呻りを上げて飛んでくる右掌を、内側から精一杯に払い上げる。

 重圧がかろうじて逸れ、通過した掌風がリオの両頬をビリビリと叩く。

 

(これが、土俵の鬼……!)

 

 ぞくぞくと全身の皮膚が泡立つ。

 捌き切った筈の左腕が痺れるほどの重腕。

 

(あの蹴りが、効いていないっていうのか?)

 

 湧き上がる弱気を必死に打ち消す。

 そんな筈は無い。

 自惚れるつもりはさらさら無いが、鍛えに鍛えた空手の技が、たかだか体格程度に覆されては堪らない。

 

 ダメージは、間違い無くある。

 だからこそ相手は前に出て来るのだ。

 

 角力の生命線は、脚。

 一たび前に出る脚が止まってしまえば、筋肉ダルマも百貫デブもさしたる違いは無い。

 距離さえ取れれば、空手屋の打撃は巨漢の肉体を容易く破壊する。

 力士にとっての安全圏は、相手の懐の内側のみ。

 

(だったら……、追撃だろ!)

 

 後ろ足を踏ん張って、リーオーが必死に大地に踏み止まる。

 たちまちスモーの上体が廻る。

 左の張り手。

 対するリーオーは右のクロス、狙いは再び頭部――

 

 ――ゴッ

 

(……ッ!?)

 

 と、前に出ようとしたリーオーの体が、不意にガクリと沈んだ。

 一瞬、何をされたのか分からぬままに、下半身から力が抜けた。

 ブレる視界の先に横綱を捕らえ、それでようやくリオは事態を把握できた。

 

 想定外。

 横綱が蹴った!!!

 

 正確には、左膝を外側から思い切り払われたのだ。

 蹴手繰り。

 完全に決まれば100kgの巨体が尻餅を突くほどの不意打ち。

 咄嗟に腰を落としてリーオーが踏み止まる。

 残してしまって臍を噛む。

 倒れちまえば良かった。

 そうすれば少なくとも、今の危険なスモウ・ルールからは脱出できた。

 

 見ろ。

 リーオーの顔面を叩きに来ていた筈の太い手が、いつの間にか下から迫って来ている。

 左の下手。

 身動きの取れないリーオーに組付いて、一息にブン投げちまう腹だ。 

 

 どうする?

 どうする!?

 どうするッ!?

 

「チイィッ」

 

 パン!

 

 乾いた音を立て、二つの機体が初めて静止する。

 オオォ、とコロッセウムに動揺が走る。

 

 空手家の右手。

 力士の大きな左手を、更に上から掴み取っている。

 体重70kgそこそこの少年が、横綱の巌のような肉体を、片腕一本で制している。

 

『と……ッ とッたァアァァ―――ッッッ!!!

 空手少年の十八番、指取りッ!

 横綱の太い掌を、上から潰しにかかッたァ!!』

 

 ざわりと観衆がどよめいて、観戦中のファイターたちの間でも驚愕の声が上がる。

 

「バカな! 相手は四分の一トンを押しきっちまう関取だぞ!?

 たかだか握力が凄ェ程度で、横綱の電車道を止められるモンかよ!」

 

「そりゃあ無理じゃろうの。

 殴りっこ以外に取り柄の無いナガラ・リオ。

 普通なら質量で押し切られるわい」

 

 ふう、と呆れたようにアムロ・レンが首を振るう。

 

「――横綱の左手が、ヤマさえ行って無けりゃあ、じゃがの」

 

 

 

 

(……やっぱり、左手をやっていやがったか)

 

 ある種の確信を込めて、リオが右手を一杯に握り締める。

 間近に迫ったスモーのデカイ顔。

 だが、その威圧感の裏側に、苦悶の表情が宿っているのが機体越しにも感じ取れる。

 

(そりゃあそうだろうよ。

 熊に噛まれたんだ、アレで無事なら人間じゃねえ)

 

「ヌゥン!」

 

 激痛を押し切り、月天山が空いた右手を振り被る。

 応じたリオが右手を返し、たちまち左手を捻じられたスモーの体が反り上がる。

 

「このまま休場してもらうぜ、横づ――」

 

 ガラ空きとなった顔面に拳をブチ込もうとした瞬間、不意にリーオー右手が爆ぜた。

 手の内でみちみちと膨らんだ何かが飛び出し、同時に渾身の体を浴びた。

 息が詰まる。

 意識の不意を突かれた隙に、ぐっとスモーに腰元を引き寄せられる。

 

(馬鹿な……)

 

 一瞬、思考が真っ白になる。

 

 取られてしまった、左の上手。

 完全に相手を制していた筈の右腕が、いつの間にか閂に極められている。

 

(……いや、だからか)

 

 横綱は、左手をまともに動かせないほどの重傷を負っていた。

 それだけは間違いない。

 だからこそ、本命に使えた。

 激痛を乗り越える信念すらも計算に入れた戦術で、ナガラ・リオの油断を誘う事が出来た。

 

「ウオオオッ!!」

 

 引き寄せられた勢いのまま、かざした左肘をスモーの顔面に叩き込む。

 手応え十分、だが、半身を抑えられている以上、横綱相手には心許ない一撃。

 たちまち太い腕がリーオーの左脇を潜り抜け、その上体を抱え上げられる。

 

 わっ、と再び観衆が沸く。

 がっぷり四つ。

 万事休す。

 こうなってしまえば大人と子供、逆転の目など、無い。

 

(けどよォ、ここを乗り切らなきゃあ話にもならねえ)

 

 ぎりりと奥歯を噛み締めて、金色の頭部を眼下に見下ろす。

 想定の範囲内、とは言わない。

 だが、少なくとも覚悟はしていた。

 相手は日の下開山。

 簡単に土を付ける事など出来はしない。

 最悪、組み付かれて一投げされるのも止むを得まい、と。

 

(……だが、ブン投げたその後で、俺がまだ生きていたらどうなる?)

 

 これまで、バーリ・トゥードと言うルールの中で、あくまでも相撲縛りで戦い抜いてきた横綱。

 投げ飛ばしたその後で、もしもまだ相手が戦意を失っていなかったなら、その時こそ初めて月天山は、未知の戦場を知る事となるだろう。

 

 次の一撃、何が何でも耐えきってみせる。

 腹を括ってその瞬間を待つ。

 問題は受身、対応できるか?

 読みきらねばならない。

 横綱の選択。

 横に払うか、叩き付けるか、それとも体ごと浴びせてくるのか――?

 

「……ッ!?」

 

 不意に、その時は来た。

 晴天の霹靂。

 横綱、望外の選択。

 払わ……、ない、叩き付け……、ない、動か……、ない。

 

「~~~~~~~~~~ッッッ!!??」

 

 腰元に廻ったスモーの太い両腕が、力一杯にリーオーを締める。

 たちまち胃袋が喉元から飛び出しかねないほどの圧迫感がリオを襲う。

 

 横綱が選んだ最善手、それは鯖折り。

 

 歴戦の月天山は知っている。

 いかな怪力があろうとも、不動の相手を投げる事は容易では無い。

 相手を投げ飛ばそうと思ったならば、まずはその前に崩さねばならない。

 力で相手を動かすか、あるいは逆、その崩しにかかる敵の動きに乗るか。

 小兵、ナガラ・リオの一縷の望みは、まさしくその横綱が動く瞬間にあるのだ、と。

 

 今、敵を仕留めに動く事は、十中八九、手中に収めた勝利にひびを入れる行為に他ならない。

 これ以上の勝機は、万に一つも相手に与えない。

 この小癪な小僧は、このまま腕の中で圧殺する。

 

 冷徹な程に貪欲。

 これが角界の頂点、本物の横綱相撲。

 

(……と、アンタは思いたいかもしれないが、苦し紛れが見え見えだぜ、横綱ァ!)

 

 食いしばった口元をにい、と歪め、ナガラ・リオが力尽くで嗤う。

 上手を取ったスモーの左手。

 下手を取ったスモーの右手。

 そのちぐはぐさに、横綱の必死さが顕れている。

 

 もしも今、スモーの両手が下手を取っていたならば、リオは抗う時も無く腰骨を折られていた。

 逆に両腕を閂に極められていたならば、リオは抗う術も無く両腕を折られていただろう。

 なぜそれをしなかったか。

 答えは簡単、出来なかったから。

 完全無欠に見える横綱もまた、空手家、ナガラ・リオの殺気を前に、この体勢に持ち込むのが精一杯だった、と見るべきであろう。

 

 左腕一本。

 いずれにせよその一本分だけ、リーオーはまだ反撃の余地を残している。

 とはいえそれは、大地を失った手打ちのパンチ。

 拳骨より遥かにブ厚い頭骨を砕く事など叶うまい。

 

(……だが、やってみる価値はありますぜ、ってヤツだな)

 

 天高く振り上げた左の拳。

 中指の第二関節を折り曲げ凶器に変える。

 狙いは半球状の頭部の中心――。

 

「シィアッ」

「――ッ!?」

 

 ビギン、と鈍い音を立て、スモーの体がビクリと硬直する。

 ナガラ・リオの狙い。

 それは泉門、すなわち脳天。

 

 重大なる脳機能を守るべく、人体でも一際頑丈に作られている頭蓋骨だが、その構造は実は一体物ではない。

 狭い産道を潜り抜ける際に、どうしても大きすぎる頭部を歪めて出てこなければならない。

 頭骨上部にはその時の名残、消し難い関節縫合の痕がある。

 空手家の鍛え抜かれた指先ならば、存分に穿つ事が出来る。

 

(どうせなら、大銀杏も作り込んでおくべきだったな、横綱)

 

 再び拳骨を振り上げた瞬間、不意に圧迫が増し、胃液と鼻血が同時に噴き出した。

 

「ギャガッッ!!」

 

 横綱の逆襲。

 覚悟はしていた。

 北風が暴威を増すほどに、旅人はますますムキになって外套を閉ざしてしまう。

 よくあるお伽噺。

 だからとて、悠長に太陽政策が使える状況でもない。

 

(上等だ!)

 

 力一杯に拳を振り上げ、叩く、叩く、叩く。

 静寂の中、ガヅン、ガヅンと言う金属音のみが会場に響き渡る。

 打撃の度にスモーの五体がビクンと痙攣し、ビギリと鳴いたリオの奥歯から血の味が溢れる。

 

「オギャェアッ!!」

 

「オウリャアァ――ッッ!!」

 

 六度目の打撃。

 とうとう横綱が動いた。

 リオの根勝ち、ではない。

 ようやく始まるのだ、ここが地獄の三丁目。

 

(来る、何が来る、横綱……ッ)

 

 覚悟はしていた。

 横に払われる、下に叩きつけられる、壁にぶつけられる。

 

 

「 !? 」

 

 

 だが、事態は想定の全てを裏切って、驚く間もなくリオの世界が反転する!!

 

 

『えええええ~~~ッ!!??

 そ、そんな、お相撲さんが……、ブレーンバスタァ~~~~~~ッ!?』

 

 大観衆の絶叫が、仮初の大気を振るわせる。

 横綱、ここに来てまさかまさかの大盤振る舞い。

 

 居反り投げ。

 抱え込み、吊り上げ、後方に落とす。

 超重量同士がぶつかり合う現代大相撲では見られなくなった大技。

 とは言え、両者の階級差はおおよそ二倍。

 ナガラ・リオは、このような変化も当然考慮に入れて置くべきだったのだ。

 

 迂闊。

 相撲四十八手、こう言う可能性がある事を全く想定していなかった。

 後悔が間に合う筈も無く、垂直に持ち上がったリーオーの体が後方に傾く。

 

 だが、刹那の世界の中で、ただ一つだけ幸運がリオに味方した。

 

 リオの意識は、確かにこう言った事態を想定していなかった。

 だが、それでもリーオーの肉体は、この状況に見事に対応して見せた。

 

 四月の戦い以来、ナガラ・リオはずっと、ある一事を胸に特訓を重ねてきた。

 すなわち、プロレスへの復讐(リベンジ)

 プロレスラーに勝つ事。

 プロレスラーの投げに耐える事。

 その想いが胸から消えた事など片時たりとも無かった。

 

 たった一つの執念。

 たった一つの幸運。

 積み重ねた修練に肉体は良く応え、かろうじて受身が間に合った。

 

「ガハッッッ!!!」

 

 とは言え下は砂地、マットのようにはいかない。

 全身に虫が這うように痺れ、五体の自由が効かない。

 

 煌めき揺らめく幻想的な星空の下で、ぬうっ、と一つ死の影が差す。

 分かっている。

 このままでは138kgに顔面を踏まれる。

 

(脱出――!)

 

 ごろんごろんと必死に転げ回り、かろうじて体を跳ね上げさせる。

 同時にズン、と一つ大地が揺れる。

 

(反撃!)

 

 そう思い、攻勢に出ようとしたリオの肉体がビクン、と固まる。

 脊椎に直接氷柱をブチ込まれたかのような本能的な恐怖。

 父の教えも空手の技も忘れ、咄嗟にリーオーが大きく飛び退く。

 

 3メートル、5メートル、7メートル――。

 

 狂犬が見せた無様な退却に観衆がざわめく、が、誰もがすぐにその理由を理解した。

 

 仕切り直し。

 大横綱・月天山が四股を踏み、再び臨戦態勢に入っていた。

 

 

 ――状況は、振り出しへと戻っていた。

 

 仕切り直し、再び深く腰を落とした金色のスモー。

 今度は真の意味での『山』だ。

 再びこの体勢に入った以上、自分から動く事は無い。

 リーオーが必殺の間合いに踏み込んで来るまで、いつまでだって待つつもりだろう。

 

 一方のリーオーはだらりと両手を下ろした無形の位。

 策がある訳では無い。

 わずか一分に満たぬ死闘の中で、使える技は全て使い尽くしてしまった。

 何をどう構えて良いのか分からない。

 全く同じ状況、なれどその天秤は一方へと大きく傾いていた。

 

 

 

「あ~……、こうなっちまっちゃぁ、小僧には分が悪いはなァ」

 

 ボリボリと後退の進んだ頭を掻いて、ビグザム剛田が溜息を吐く。

 

「へっ、何をホザいてやがる。

 対策なんざァ、立てるまでも無いだろうがよ」

 

「ほ~ぅ、その心は何じゃ、ブラジルの?」

 

 からかうようなアムロの言葉に、クルスの瞳が快活に煌めく。

 

「別にこっちからは何もする必要はねえっ、て話さ。

 横綱が諦めてくれるまで、何時間でも寝て待ちゃァいい。

 オーディエンスは非難轟々だろうが、なあに、ダメージがデカイのは守る物の多い方さ」

 

「ご明察じゃのお、ジョージよ。

 何だってそれが自分の試合じゃ出来んのじゃ?」

 

 アムロは呆れたように溜息を吐いて、その視線をモニターを見つめるヒライへと向ける。

 

「ヒライ、うぬはどう思う?

 リオは待つかの? 待てるかのう?」

 

「…………」

 

「……まあ、待てぬ、じゃろうのう?

 アレは空手家として純情すぎる。

 武術家としては失格よ」

 

 

(……光栄だよ、横綱)

 

 ふう、と大きく深呼吸して、虎の子が虎穴に踏み入る覚悟を決める。

 先の立会いでは、横綱自ら危険を承知で、リーオーの間合いに入って来てくれた。

 対等の戦士として、今度はこちらから返礼しない訳にはいかないだろう。

 

 第一、目の前に立ちはだかる者は片っ端からブチのめすのが亡父の教えてくれた空手。

 その基本事項の前には、武術家の禁忌など些事に過ぎる。

 

 腹を括って男らしく攻める。

 問題は、どの構えを選ぶべきか。

 

 真っ先に考えついたのは、真っ向勝負の正拳突き。

 シンプルにして至高。

 迫りくる横綱の全体重にタイミングを合わせ顔面を打ち抜けたならば、その衝撃は十分。

 今度こそ確実に一撃必殺を見込める筈だ。

 

 だが、あのブ厚い頭部に繊細な指先を叩き込んだならば、カウンターの成否を問わず、リオの右手は確実に反動で粉砕する。

 良くて、相打ち。

 ハイリスクノーリターン。

 

 鋭い一撃がいる。

 重い鉄槌のような拳では無く、一息に相手の意識を刈り取れるような……。

 

 

『リーオーの骨格を作る。

 強固なフレーム同士を連結させて、骨の頑丈さと関節のしなやかさを両立させる。

 折れず、曲がらず、日本刀のようなMF――』

 

 

 ふっ、と脳裏に興奮気味のヒライの姿が浮かび、思わず体の力が抜ける。

 さすがはヒライだ。

 この大一番で肉体の固さをすっかり取り払ってくれた。

 

(日本刀……、なってみるか、俺も)

 

 ゆるりと上体を捻じって半身を取り、後ろ手に備えた右を高らかと掲げる。

 あきらかに実戦離れした不適な構えに、ざわざわと周囲がどよめく。

 

 ナガラ・リオの選択は、右の手刀。

 スモーの突進を正面から打ち返すのではなく、斜め上方から一息に斬って捨てる。

 その狙いは脳天か、さもなくば鎖骨。

 

 じりり。

 

 右手を掲げた体勢のまま、爪先だけでゆっくりと距離を縮める。

 シン、と張りつめた空気が会場を支配する。

 甚常の立ち合いではない。

 縮み行く世界の先にあるものは、一撃必殺同士のぶつかり合いのみ。

 これはさながら、古の剣豪同士の真剣仕合のような――。

 

 じりり。

 

 リオを包む空気が変わった。

 殺意が一層の重さを増して、ずしりと少年の両肩を苛む。

 横綱の土俵に踏み込んだのだ。

 ここから先は、いつ横綱が突っ込んできても不思議では無い。

 

 じりり。

 

 気押されてはいけない。

 意識し過ぎてもいけない。

 過度の肉体の緊張は、次の一撃に必要な疾さを容赦なく奪う。

 指先の震えを悟られた刹那、たちまち横綱渾身のぶちかましを浴びる結果となるであろう。

 

 じりり。

 

 自然体。

 重要なのは、横綱の思考を読み切る洞察力。

 どのタイミングで踏み切ってくるか。

 両者の距離が遠ければ遠いほど、横綱は十分に加速を付けた体を浴びせる事が出来る。

 だがそれは同時に、リオに対してもカウンターの猶予を与える事となる。

 

 じりり。

 

 カウンターを警戒するならば、リーオーがギリギリまで近付くのを待った方が良い。

 リーオーの一足一刀の間合い、その僅かに外が横綱にとってのベスト。

 だが、その決め打ちを読まれてしまっては、リオに新たな手札を与える事となる。

 ファースト・コンタクトの際の奇襲、横綱は忘れてはいない。

 距離を必要以上に潰す事は、月天山にとっても危険な行為であるのだ。

 

 じりり。

 

 大分、横綱の顔が大きくなってきた。

 既に、通常の相撲の立ち合いに近い。

 ここから先は思考を捨てる。

 ただ、ゆっくりと上下するスモーの胸元に、己の呼吸を合わせる事に専念する。

 

 じりり。

 

 胸元が膨らむ。

 胸元が縮む。

 

 胸元が膨らむ。

 胸元が縮む。

 

 胸元が膨らむ。

 胸元が縮む。

 

 胸元が膨らむ。

 胸元が縮む。

 

 胸元が膨――

 

 

 

 ――ダン、と砂地が爆ぜてスモーが動く。

 

 

 ――放たれた矢の如く、リーオーの右手が疾る。

 

 

 

 交錯する二つの機体、月光の下に閃光が煌めいて――

 

 

 

「ガァッッ!!」

 

 

 爆音と同時に、リーオーの体が中空に舞った。

 格闘技と言うよりも、それは悲惨な交通事故。

 土俵際をも飛び越えて砂が踊り、その五体が不自然にバウンドする。

 

 決着!

 誰が見ても明白、勝ったのは横綱。

 

 

『~~~~ッ! 勝負あ――』

 

 

 MS少女がゴングを打ち鳴らそうとした瞬間、ガクン、とスモーが片膝を突いた。

 あっ、と観衆が叫ぶ。

 スモー自体が、信じ難いと言った様相でパンパンと右脚を叩く。

 だが、角力を支え続けた太い足は、まるで別種の生物のように痙攣してビクともしない。

 

 斬っていた。

 リーオーの一閃は袈裟掛けにスモーの顎先を薙いで、月天山の脳を存分に揺らしていたのだ。

 

 同時に別方向から歓声が上がる。

 動いている。

 胸甲の潰れたリーオーが、その全身を震わしながら、必死に上体を起こそうとしている。

 

 高らかとハンマーを掲げたまま、MS少女がおろおろと両者を見返す。

 膝を突いたスモー、壁際へと這いずるリーオー。

 両者の闘士はまだ消えていない。

 こんな状況でゴングを鳴らす訳にはいかない。

 

(手応え……、アリだッ!)

 

 両肩を目一杯に震わしながら、リオが会心の笑みを浮かべる。

 十分に脱力したリーオーの右手は、その役割を良く果たしてくれた。

 先に当たったリーオーの手刀。

 一瞬のインパクトの時間差が、横綱のぶちかましの威力をちょっぴりだけ削いでくれた。

 そして力の抜け切ったリーオーの五体は、横綱の圧力に抗う事無く、思い切り飛ばされる事でダメージを更にちょっぴりだけ殺してくれた。

 僅かの差。

 そのほんのちょっぴりの積み重ねに支えられ、リオは未だ戦場に留まる事が出来ているのだ。

 

(とは言え、急がなきゃならねえ……)

 

 両肩を外壁に押し当て、支えにしながらずりずりと体を起こす。

 横綱はおそらく軽度の脳震盪、脳の揺れが収まれば直ちに逆襲が来る。

 

 一方、リオとリーオーのダメージは深刻である。

 これ以上の戦闘続行はどう考えても不可能。

 だからこそ、一刻も早く立ち上がらねばならない。

 一秒でも、コンマ一秒でも横綱より早く立ち上がらねばならない。

 先に立って止めを刺す。

 それが出来なければ、もはやリオに勝機は無い。

 

『強固なフレームの上から、比較的柔らかな外装を重ねる。

 国産車のフロントと理屈は同じ』

 

 ぶっ、と思い出し笑いが吹き出し、折角下半身に込めた力がガクガクと抜けていく。

 国産車。

 ヒライ・ユイは現在の事故現場すらも想定していたのだろうか?

 あるいは奴の家には、ゼロシステムでも存在していると言うのか?

 

(……俺も、トラックに轢かれる訓練をしておくべきだった)

 

 下らぬ思考を振り払い、死ぬ物狂いでリーオーが体を起こす。

 兎にも角にも、今のリオはツイている。

 壁際まで吹っ飛ばされた。

 そのおかげで今、リーオーは壁を背に立ち上がる事が出来る。

 

「ぐうっ!」

 

 ダン、と壁を叩いて体を引き剥がす。

 たちまち視界が揺れ、足元が泳ぐ。

 腰を落とし両手を膝頭に突いて上体を折る。

 ぜえぜえと、まるで自分のものとは思えない荒い吐息がリオの口からこぼれる。

 

 立った。

 何はともあれ立ち上がる事が出来た。

 

(横綱は……、どうした?)

 

 敵の姿を探し、顔を上げる。

 その視界が、ぬうっ、と黒い影に塞がれる。

 

「あ……」

 

 山があった。

 金色の山が、今、リオの視界の先に悠々と立ちはだかっていた。

 

 くしゃくしゃになったリーオーとは対照的に、まるで死線を潜り抜けたとは思えない雄大な体。

 視界を遮る185cm、138kg

 背後は壁、逃げる場所など、無い。

 

 決着。

 どうしようもない詰みの形。

 

(……死ぬには、良い日だ)

 

 ふう、と一つ息を吐いて拳の形を作る。

 拳を握り、戦いの意志を捨てない限りは、最後の最後まで勝利の可能性が残されている。

 

 父の教え。

 死を覚悟するのは諦めでは無い。

 たとえ命尽きるとも、その最期の瞬間まで闘い抜くと言う、不退転の決意。

 

 策は、無い、余力も。

 後はもう、鍛え続けた肉体に全てを――。

 

「…………?」

 

 妙だ。

 土俵の鬼の闘気。

 近寄るもの全てを叩き伏せんばかりの裂帛の気合が、眼前のスモーからはすっぽりと抜け落ちている。

 目の前のMFは、もはや戦士とは、力士とは呼べない。

 

 ゆっくりとスモーが太い手を差し出し、リーオーの歪んだ胸甲の上を撫でる。

 されるがままに、リオが体を預ける。

 今さら小細工をするような男ではない。

 力士の肉体には、武術家のような配慮は必要ないのだ。

 

「凄いな」

 

 ポツリ、と月天山がこぼす。

 

「外装こそ大きく歪んでいるが、それでも骨格の方は良く堪えている」

 

「……相方が、そういう風にしてくれたんだ」

 

「それと、丈夫に生んでくれたご両親も」

 

「そう、ですね」

 

 スモーの掌が、やがてリーオーの拳を撫でる。

 しみじみと月天山が溜息を吐く。

 

「この分厚い手が、自分に膝を突かせたんすか……」

 

 

 鳴呼――。

 

 

 その一言でようやく分かった。

 戦いの決着は、とうの昔に着いていたのだ。

 

 スモーがリーオーの右手を掴み、高らかと観衆に掲げる。

 それでようやく事態を把握した観客達から、ちらほらと拍手が上がり始める。

 

 ナガラ・リオは空手家、言い換えれば武術家だ。

 武術とは闘う事、生き延びる事。

 どれほどに倒されようとも、立ち上がり、戦う意思を捨てない限りは敗北では無い。

 

 だが、月天山は横綱、相撲取り。

 相撲とは、格闘技であり、神事であり、興業である前に、どうしようもなく相撲なのだ。

 角界の頂点が素人(よかた)に膝を突かされたならば、それはもう敗北以外の何物でも無い。

 

「あ――!」

 

 ザッ、と踵を返し、横綱の背が遠くなる。

 咄嗟に手を伸ばしかけ、しかし何も出来ないままに虚しく下ろす。

 

 勝敗は明白なのだ。

 どれ程に無様で、惨めで、不本意な勝利であったとしても、勝者が敗者にかけられる言葉が在る筈がない。

 

 ずんずんと大地を揺らし、泰山が去っていく。

 ただ、夜空に輝く柔らかな月光だけが、勝者と敗者を平等に照ら出していた……。

 

 

 

 

 

 




・おまけ MFガンプラ解説⑬


機体名:SUMOU金時
素体 :スモー(∀ガンダムより)
機体色:金
搭乗者:月天山
必殺技:ぶちかまし、張り手、合掌捻り、他
製作者:虎蓮灘(コレンナダ)親方

 大相撲現役横綱、月天山がガンプラ・ファイトに用いるべく製作した相撲専用スモーである。
 本機の製作には、かつての兄弟子で角界随一のガンダム通として知られる元大関・虎蓮灘親方が全面協力している。
 原型のイメージを崩さぬようスモウナイズされた専用機を目指し製作が開始された本機であるが、その際、最大の問題となったのが踵部分の構造である。
「土俵入りにヒールはちょっと……」「ムーンレイスの魂だぞ!」「四股が踏めないっす」等の激論が交わされた結果、最終的には着脱式の高下駄を履かせると言う妥協案に落ち着いた。
 その外見は何の変哲もないゴールドスモーであるが、股割りが出来るよう股関節構造が一から見直されている他、高すぎる腰部重心を徐々に力士寄りのアンコに改造しているなど、涙ぐましいまでの調整が施されている。
 本機はガンプラ・ファイト黎明期より屈指のパワーファイターとして活躍を残しており、現在もなお、歴代最強機体にその名を数えるファンが多い。



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