ガンプラ格闘浪漫 リーオーの門   作:いぶりがっこ

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・Aブロック第三試合

 ルクス・ランドア(ボクシング) VS ビグザム剛田(プロレス)
 フォーエバーザク           AGE-ONEタイタスNOAH



Fist or Twist

(……い~い、夜じゃねえか)

 

 プロレスラー・ビグザム剛田が、ゆっくりと周囲を見渡す。

 闘技場が震えていた。

 架空の月が見下ろす、石造りのコロッセオ。

 その中心で巌を成す黒き鋼の筋肉の表面を、観衆たちの熱狂が容赦なく叩く。

 

 十年、いや、二十年近くも前になろうか。

 

 前世紀。

 ビグザム剛田がまだ一介の前座レスラー、ゴウダ・カオルだった時代には、確かに今日のような熱狂の残滓がリングの上には存在していたものだ。

 その後の総合格闘技ブームの台頭と失脚、さらにガンプラバトルの隆盛。

 地上最強の座を失い、エンターテイメントの中心からも弾き出されて久しいプロレス。

 そんな時勢になって、まさか自分が大観衆を前にメイン・イベンターを張る時が訪れようとは、一体誰が想像できたであろうか?

 

『Fist or twist!

 アメリカは遥か瓦斯(ガス)灯時代から続く永遠のテーマッ

 果たして今宵、最後に舞台に立っているのはどちらなのかッ!?』

 

(……よくもまあ、フカシやがるぜハム子の奴)

 

 へっ、とゴウダが苦笑する。

 

 Fist or twist

 本当に強いのは、打撃か? 投げか?

 

 それはこのコロッセオが現役であった古代ローマから、連綿と受け継がれてきた永遠の物語。

 しかし二千年以上に及ぶ長い歴史は、ボクシングとパンクラチオンの進む道を大きく分かった。

 限定されたルールの中で高次元のスポーツとして完成された近代ボクシングと、持てる肉体の全てを使った総合エンターテイメントへと昇華したプロレス。

 

 例えば、サバンナの荒野を駆り場にするライオンと、ナイルの浅瀬に潜むワニ。

 地上最強は果たしてどちらか?

 そんな事を議論するのはあまりにもナンセンスだ。

 二頭はもはや住む世界が違う。

 野生の王者達はそんな事を気にしない、両者が対等に戦えるエリアなど、既にこの地上には存在しないのだ。

 

 ……と、普通の競技選手であればそう考える。

 だが、世界は広い。

 どんな時代、どんな場所に置いても『例外』と言う種族が存在するものだ。

 

 今宵、闘技場の中心で向かい合った、二頭の希少種。

 一方は超新星たちの壁として、黄金期のプロレス界を屋台骨から支え続けたロートルレスラー。

 もう一方は、数々の武勇伝を子供たちに語るだけの余生を迎えていた筈の老兵。

 

 ここが表の舞台であれば、さぞかし格闘ファン達の胸を躍らせるエキシビジョンになっていた事であろう。

 だが困った事に、この二人、完全に真剣(ガチ)

 今、真紅に輝く巨人(タイタス)の両瞳が、星条旗を描くガウンに包まれた単眼(ザク)を見下ろす。

 

 ルクス・ランドア。

 かつて、未来無きニューシネマの荒野に颯爽と現れた、アメリカの生ける伝説。

 ゴウダより10センチ近く低い身長は、ヘビー級においても小柄な部類に属する。

 だが、そのハンデすらも目の前の老兵にとっては一つの武器だ。

 

 リーチが無い、スピードも無い、テクニックも無い。

 人外の生物が集うヘビー級において、現役時代、男は盤石からは程遠い王者であった。

 

 その代わり、男にはハートがあった。

 ハートに裏打ちされた練習から生み出されたパワーがあった。

 絶望的な状況から、何度でも立ち上がれる精神的なタフネスがあった。

 幸運の女神を振り向かせるまで、決してあきらめないしぶとさがあった。

 

 数多の偶然から必然的にドラマが生まれ、やがて男は伝説になった。

 

「なあ、チャンプよォ。

 アンタ、何だって今更ガンプラバトルだったんだい?」

 

 ぽつり、と闘技場の中央でゴウダが呟く。

 かつてのアメリカの英雄は十年以上前、数々の死闘のツケが祟ってついに現役を引退。

 最愛の妻にも先立たれ、今では故郷フィラデルフィアで、細々と孤児院を経営する日々であった筈だ。

 

「……ライセンスが下りなかった」

 

「ああ、そりゃあ――」

 

 ご愁傷様、思わずそう言いかけた口をつぐむ。

 ゴウダが返答に窮する。

 

 今年で中老を迎えようと言う元ボクサー。

 通常の適正で言えば、彼が現役でやれるのはせいぜい二十年前までだ。

 全米ボクシング協会の気持ちも分かる。

 いかに本人に情熱があろうと、たとえ医師のゴーサインが出ようとも、アメリカの伝説をリングで死なす事があってはならない。 

 

(そんなんでも、やろうってのかよ?)

 

「リングの上に、やり残した事が残っている」

 

 ゴウダの心の声を聞いたかのように、淡々とルクスが語る。

 不器用で、舌足らずな男だ。

 拳以外で、まともに語る術を持たない男だ。

 

「もう一度、リングの上で全てをぶつけてみたいと思っている。

 子供たちの、いや、自分自身のために」

 

「……へへ、悪かったなあ、それなのに相手が俺みたいなロートルでよォ」

 

「いや……」

 

 じっ、と単眼ごしにルクスが見上げる。

 

「君でいい」

 

 ポン、とザクの右手のグローブが、タイタスの太い胸元を叩く。

 思わずぶるん、とゴウダの体が震える。

 

 魂のファイター、ルクス・ランドア。

 憧憬がある。

 ゴウダ・カオルは、まさしくルクスの『洗礼』を受けた直撃世代だ。

 たとえプロレスを人生の中心に置く彼であっても、目の前の男に認められる事には、それだけで感動があるのだ。

 

 そして、だからこそ倒さねばならない。

 

 歩くプロレスたるゴウダにとって、光速のジャブも必殺のアッパーもものの数では無い。

 だが一つ、ただそこに掲げるだけで人々の魂を揺さぶるあの男の拳だけは、プロレスラーの価値観を崩壊させかねない危険な敵なのだ。

 

 空手小僧、ナガラ・リオにとって、最強のレスラーが打倒すべき存在であるように。

 ビグザム剛田もまた、あの史上最高のボクサーの前で、プロレスがどれだけ偉大な競技であるかを証明せねばならないのだ。

 

 両者がゆっくりと背を向け、開始位置につく。

 ルクスがガウンを脱ぎ捨て、ゴウダが勇ましく肩を張る。

 

 打撃(Fist) (or) 投げ(Twist)

 専用機(ガンダム) 対 量産機(ザク)

 いくつもの因縁に彩られ、会場の熱気は否が応にも高まっていく。

 

 

『 ガンプラファイトォ! レデイィ――ッ ゴォ――――ッッ!! 』

 

 

 MS少女の絶叫に合わせ、ゴングの音が中空に響き渡る。

 熱狂の中、両者が同時に中央に向き直る。

 

 スッ、とルクスの駆るザクが歩み出て、おもむろに右のグローブを差し出す。

 思わずふっ、とゴウダの頬が緩む。

 

 スポーツマンシップに則って堂々と。

 因縁と抗争に彩られたプロレスの台本ではありえない演出。

 正直、一度で良いからやってみたいと言う本心はあった。

 偉大なボクサーの流儀に合わせ、ゴウダのタイタスもまた右拳を差し出した。

 

 誓って言おう。

 ルクスはこの時、何か邪な企てがあって手を差し伸べた訳では無い。

 ただ一瞬の事とは言え、戦いの中でプロレスを忘れてしまったゴウダが未熟だったに過ぎない。

 

 ぱん、と舞台の中央で、両者の拳が軽く音を立てた。

 即座にルクスは現役に戻り、その身を深く沈めていた。

 地面スレスレから遥かタイタスの顎先目がけ、ザクの拳がたちまち真紅の軌道を描く。

 その段になってもゴウダはまだ、スポーツマン気取りの浮ついた心が切り替わっていなかった。

 

 ボグン!

 

 左のロングアッパー。

 凄い音が鳴った。

 ゴウダの視界が、一瞬で白色に染まった……。

 

 

 ――拳に酔う、と言う言葉がある。

 

 俗に言う脳震盪の類であるが、血の小便や嘔吐を伴う地獄のボディ攻めに対し、痛覚を絶たれ即座に意識を失う頭部への一撃を『酔う』と表現した者のセンスはバカにできない。

 強力な打撃は、時に灼けるようなウオッカより痛烈に、時に十年物の大吟醸よりも芳醇に戦士を蝕む。

 ビグザム剛田も、過去に三度ほどその『豪酒』を体験している。

 

 一度目は超日本プロレス入門三日目。

 ハネッ返りの練習生がナマを吐いて、社長から直々に制裁を浴びたのだ。

 リングでは許されぬ鉄拳を散々にブチ込まれた上で、かのプロレス王から

「絶対に本気で使用うな」とお墨をもらったと言う唐竹割り。

 それを思い切り脳天に叩き付けられた。

 素人に毛の生えたような小僧相手に本気を出したとは思わないが、何せあの社長の事だ。

 殺す気で打っていたのだとしても別に驚きはしない。

 

 二度目は独立した直後、花巻の和製ルチャドールとやりあった時。

 レスラーとして、共に最も脂が乗っていた時期の事だ。

 若さがあり、時勢があり、野心があり、つまり無理をし過ぎた。

 55分経過後、件の忍者野郎の放ったラ・ケブラーダが盛大に誤爆。

 共に額をカチ割って病院に直行、危うく三途の川を渡りかけた。

 その後、忍者野郎が自爆レスラーとして一世を風靡した事を思えば、マトモに受けたゴウダの方こそ良い面の皮である。

 

 そして三度目はつい最近。

 つまり伝説のボクサー、ルクス・ランドア渾身の左を浴びて――

 

 

(――って、オイイ~ッ!!)

 

 

 ゴウダの聴覚に、ようやく観客たちの絶叫が響いてくる。

 我に返った。

 その瞬間に真っ赤なグローブが顔面を捉え、勢いのまま壁面に叩き付けられる。

 

(ヤラレちまってんじゃあねえかッ!? 思い切りッ!!)

 

 ダメージによって飛ばされかけた意識が、ダメージによって回復する。

 だが、思考はとにかくとして肉体の方は回復していない。

 ガクガクと膝が震え、俄にでも貼り付けられたかのように、背中が壁から離れない。

 

 ズン、と鈍い衝撃が呼吸を奪う。

 タイタスの装甲を壁面と挟み撃ちにするボディブロー。

 己の拳と相手の頭部を守るために生み出されたボクシンググローブではあるが、その重さは腹筋をすり抜け、直に肉体へと浸透する。

 

(~~~ッ さすがにヘビー級。

 小僧の前蹴りより効くわなァ~~~ッ)

 

 右拳を壁面へと叩き付け、反動で体を起こす。

 このまま串刺しにされ続けるワケにはいかないし、何より世間様への見栄えがある。

 

「――ととっ くぅ~っ」

 

 タイタスの巨体がたたらを踏み、ぐらりとその身が泳ぐ。

 腰が自重を支えきれず、上体が前方へと傾げる。

 

 不幸中の幸い。

 打点がズレ、タイタスの大きな肩に右ストレートがブチ当たり、ザクの体がわずかに泳ぐ。

 

「……ッ! おおォオォッッ!」

 

 一気呵成にタイタスが飛び込む。

 渾身のタックル、と言うより、倒れるよりはマシのすがるような体当たり。

 運命の神は時に、破れかぶれのバクチを愛する。

 

「――!」

 

 オオオォ、観客がどよめく。

 仕掛けたゴウダの方が却って息を呑む。

 取れてしまった。

 マウントポジション。

 

 総合格闘技が研鑽の果てに辿り着いた、ガキのケンカの究極系。

 Fist or twist

 上から叩く、返す手を取る、打つも捻るもお好み次第。

 ゴウダの体重、タイタスのリーチ、これはもう詰みの形。

 

「……へっ、ひへへへへへ」

 

 乾いた笑いを吐き出して、ゴウダがゆっくりと呼吸を整える。

 ルクスの心は尚も折れる事なく、握った両の拳でタイタスのボディを必死に叩く。

 

「そいつは無理筋だぜぇ、チャンプ。

 大地を蹴る格闘技が、大地を失ってどうしようってんだ、なあッ!?」

 

 タイタスが攻める。

 ガキ大将のように振りかぶり、ガキの喧嘩のように打ち下ろす。

 必死に固めた両腕の上から、ザクの頭部を思い切り大地に叩き付ける。

 下は砂地、ダメージは少ない。

 だがそれは所詮、必殺の一撃が執拗な拷問に変わったまでの事。

 

 叩く。

 叩く。

 叩く。

 叩く。

 

 六度目のパウンド、合わせてザクが動いた。

 右手のグローブを開いて掌の形を取り、タイタスの眼前につき出す。

 ゴウダにしてみれば大きな目隠しを当てられたに等しい。

 

「小細工を」

 

 パシン、と空いた右手でグローブを叩く。

 刹那、ボグン、と雷鳴のような不意打ちが来た。

 

 ゴウダの意識が上に向いた瞬間、ルクスは再び大地を『蹴って』いた。

 ピタリとくっつけた右足の裏で大地を蹴り上げ、僅かに浮いたタイタスの尻の下で腰を捻じる。

 サウスポーの強打者が放つロングフック……、と言うより、もはや真横に伸びるストレート。

 威力十分、とは言えずとも、奇襲としては覿面。

 

「およ? おおおおお!!??」

 

 巨体が泳ぐ、単眼が動く。

 ガンダムとザクが、さながらアムロとシャアのようにもつれ合い、転げ廻る。

 マウントポジション。

 先ほどと逆、ザクが上、タイタスが下。

 

「フン!」

 

 ザクが打つ。

 通常のボクシングではあり得ない、超高角度のチョッピングライト。

 返しの左、右、さらに左。

 ゴウダは防ぎもしない。

 叩く。

 叩く。

 叩く。

 

「カハッフハハハハハッッ!!!」

 

 ゴウダが嗤う。

 打たれながら嗤う、嗤いながら打たれる。

 

 見事にしてやられた。

 先のストレート、偶然の一発では無い。

 万一馬乗りになられた時にキメてやろうと、とっぷりと練習を積み重ねてきた野心家の拳だ。

 おかげで観客も大興奮。

 

 あの素晴らしいパンチに比べたら、今のパウンドなんぞクソだ。

 常に逆境を武器として戦い続けた偉大な王者が、あまりに優位すぎる状況に委縮してしまっている。

 どれ程の高さがあろうとも、大地を蹴れないボクサーの拳など恐れるに足らない。

 

「似合わねえぜぇチャンプ。

 アンタが人を見下しながら闘うなんてよォッ!!」

 

「……ッ」

 

 タイタスの逆襲。

 リーチの差は下方の不利すらも乗り越える。

 のけ反りかわしたザクの鼻先で、双の張り手がパンッ、と空気を振るわせる。

 

 ねこだまし。

 思わず動きを止めたザクが、反射的に身を乗り出した刹那――。

 

「ドゥリャアッッ」

 

 今度こそ山が動いた。

 浮かしかけた上体を思い切り倒し、さらにザクの両腿に差し込んだ両手をフォークリフトのようにハネ上げる。

 プロレスラーのブリッジ。

 ザクの体が手品のようにゴロンと転がり、圧倒的不利が単純な肉体差で覆される。

 

 再び観客が震える。

 近代格闘技においては終わりの筈の死線を二回覆し、勝負は振り出しへ。

 気持ち表情を硬くして、ゆっくりとルクスが構え直す。

 歓声が収まるのを待って、人間橋が再び人間MAに変形する。

 

「いやあよォ、悪かったなぁチャンピオン」

 

 ゴキリ、ゴキリと首を鳴らし、世間話でもするかのようにゆるりと振り返る。

 

「いきなりイイのを貰っちまってよ、ブルっちまったんだわ。

 おかげで、すっかりらしくねえ所ばかり見せちまってよォ」

 

 すぅ、と深呼吸でもするかのように両手を開く。

 まるで眩しいものでも見上げるように、ルクスが瞳を細める。

 

「見せるよ、プロレス。

 真っ白になる燃え尽きるまでやろうや」

 

 

「フンッ!」

 

 真紅の単眼が瞬き、ザクが大地を蹴る。

 小細工抜き、セオリー無視の右ストレート。

 一切の警戒が無い、ただひたすらに己の本気を叩き込もうと言わんばかりの鉄槌。

 

(……光栄だぜぇ、チャンプ!)

 

 跳ね上がる視界の先に死兆星を見据える。

 いつまでも感動しているワケにはいかない。

 ボクサーの本領はコンビネーション、すぐに本命が来る。

 

 左のスイング。

 左右で握力が20kgは違うと言うサウスポーが、現役時代にKOの山を築いた伝説のブロー。

 アンバランスな男の拳は、ここ一番で面白いほどに当たった。

 ヘビー級の世界に、彼より小さな男はいない。

 その不利がインパクトの瞬間のみ、下から敵を揺さぶる最大の必殺技に変わるのだ。

 

(大丈夫、きっと耐えられる)

 

 覚悟する、踏み止まる。

 社長のガチ制裁にも耐えた体だ。

 トップロープから場外に飛んでくる108kgにも耐えた体だ。

 鎖分銅を巻き付けたモノホンの鉄拳にも耐えた体だ。

 大丈夫、耐えられる。

 そう言った強い記憶を思い起こさねば踏み止まれぬほどに、今のプレッシャーは危うい。

 

 逃げだしたい。

 そう言う訳にも行かない。

 技術は使わない。

 ただ歯を食いしばる事、腹筋を固める事のみを許す。

 プロレスラーは天に選ばれた特別な戦士だ。

 ガードなど、ましてやエスケープなどと、恥ずかしくて出来ようはずもな――

 

 

(~~~ッ こ、これかァ~っ!)

 

 衝撃。

 脳天の先まで電撃が走り、束の間の思考が一瞬途切れる。

 ようやく見えた、左のアッパー。

 血泡が噴き出す、膝が震える。

 先に一発喰らっていた、だからこそ耐えられた。

 だとしたらツイている。

 あの油断すらこの瞬間のためのツキと、そう断定して諸手を繰り出す。

 

 ルクスもまた一歩も引かない。

 スウェーで捌いて足を使う。

 ダッキングでかわして懐に……。

 そんな戦い方が出来たのは、精々が十年前までだ。

 

 元より不器用な三流ボクサー。

 往年のパンチ力を取り戻すための筋力トレーニング。

 それ以外は全て捨ててきた。

 蝶のようなフットワークも、蜂のようなハンドスピードも。 

 その割り切りの良さがあったからこそ、未だ目の前の怪物と渡り合えているのだ。

 

 右のフック。

 打たれながら組みつく、組ませながら打ち込む。

 

 首相撲、などと呼んではイーオに失礼であろう。

 技巧も駆け引きも無い。

 打撃を確実にブチ込むために奥襟を取っただけだ。

 

「オラァッ!!」

 

 ゴウダの右のエルボー。

 同じヘビー、とは言え現実にはゆうに二階級は上の男が体重を乗せた肘鉄。

 支えられるワケがない。

 ただし、相手がルクス・ランドアで無ければ、だ。

 

「もうイッパァ――」

 

「ムン!」

 

 再び右肘を振りかざす、その空いた空間に右拳を捻じ込む。

 顔面直撃、だが距離が無い。

 肘、構わず打ち込む、額で受ける。

 流血。

 気にも留めず、ルクスが返しのボディ。

 右フック。

 膝。

 左のショート。

 右のボディ。

 ナックルパート。

 左ストレート。

 

 観客が沸騰する。

 共に守りを捨てた男比べ。

 左手で首をロックしているとは言え、それはゴウダの有利を意味する所では無い。

 密着でもされない限りは十分なパンチを打てるのがプロのボクサー。

 片手と両手、回転が違う。

 むしろ不利なのは、自らルールを縛っているゴウダの方。

 

(……ッ どんだけタフなんだ、このオッサンは!!)

 

 ゴウダが内心で舌を巻く。

 ボクサーの本質はスプリンター。

 15ラウンドを戦い抜くと言っても、インターバルを挟まねば全力疾走は続けられない肉体のハズ、それが……。

 

「どッせぇえェい!」

 

 流れを変える。

 鮮やかなアームホイップ。

 砂の上、だがその衝撃はマットの比では無い。

 

(おいおいおいおい!)

 

 投げたゴウダが却って驚愕する。

 すぐさま頭を振るい、ザクが体を起こそうとする。

 10どころか3カウントもいらない。

 投げられ慣れていない職業、受け身もまともに取れなかったであろうに……。

 

(やり残したもの、そんなに大きいのかよ、チャンプ?)

 

 思いながら振りかぶる、諸手のハンマーブロー。

 

 ガツン!

 

 カウンター。

 思いもよらぬ一撃。

 拳も繰り出せぬような至近で。

 バッティング、反則、下から突き上げるヘッドバット。

 

(~~~ッ 味な真似を!?)

 

 よろけながら思い出す。

 イタリアの種馬。

 世界チャンプになる前はマフィアの用心棒をやっていたと言われる男だ。

 増長した現役王者をストリートファイトで叩きのめした、などとイカれた武勇伝を持つ男だ。

 場慣れしている、あるいはゴウダより遥かに。

 

(……追撃が、こねえ?)

 

 疑念が走る。

 ゴウダが内心で舌打ちする。

 何をしてやがる、ノロマ。

 ここで徹底的に打ちのめしてくれなければ、カッコよく逆転できないではないか?

 

 オオォオ、観客がどよめく。

 ゴウダの背に、ぞくりと戦慄が走る。

 ボスンと音を立て、大地に落ちたグローブが砂煙を上げる。

 

 素拳。

 ベアナックル。

 いつの間にかグローブを外したザクが、タイタスの前で軽くシャドーする。

 

 知っている。

 それは二十年前、マディソン・スクウェア・ガーデンにおけるチャリティマッチでの一場面。

 時のMVWプロレス王者、ジャガ・ノートンの掟破りの猛攻に対し、ルクスがついに激昂。

 グローブを投げ捨て散々に拳を浴びせ、とうとう場外に投げ捨てた所でゴングが鳴った。

 

 あの奇跡のエキシビジョンが真剣か台本か、未だにファンの間でも意見の分かれる所である。

 けれど今なら言える事が一つだけある。

 脚本の有無など関係ない。

 グローブを脱ぎ捨てたこの男は、とてつもなく強い。

 

「オオッ!」

 

 飛んでくる、渾身の左ストレート。

 ゴウダの顔面が爆ぜる。

 鼻骨が鳴く。

 支えきれずに116キロが後退する。

 風を巻いてルクスが追う。

 

 グローブを脱ぎ捨てたボクサーは脆い。

 他の武術と違いグローブに守護されたボクシングでは、拳を鍛える練習をしないから……。

 などと言う楽観は、この際、捨てた方が良い。

 

 この男だけは別格なのだ。

 拳の形が真っ平らになるまで、一日中精肉工場で牛肉をぶっ叩き続けたと言う男だ。

 まともな技術を持たぬ、その差を埋めるために、ありとあらゆる特訓を積んで来た男だ。

 

「カハッ!?」

 

 右のボディが腹筋に刺さる。

 無敵のハズのレスラーの装甲が横に折れる。

 ボクサーの拳では無い。

 言うなればこれは、職業、ルクス・ランドア――。

 

「にゃらァッ!」

 

 反撃の右掌底。

 だが、見事なカウンター。

 タイタスの巨体が壁に叩きつけられる。

 そのまま倒れて眠る事を、眼前の古参兵は許してくれない。

 即座に真下から突き上げるアッパー。

 無理矢理にハネ起こされ、拳圧で右頬が切り裂かれる。

 

「バッカ野郎、何遊んでんだッ! オッサンよォ!?」

 

 ギャラリーの割れんばかりの歓声に混じって、聞き覚えのある小僧の声がゴウダの耳に届く。

 

「向こうは本職だぞ! 殴り合いで勝てるモンかよッ!

 足を狙え! 転がしちまえ!

 何でも出来るのがプロレスだろうがッ!?」

 

 へっ、と。

 朦朧とする意識の中でゴウダが嘲笑う。

 まだ若い坊やの事だ、その無知を責めるつもりはさらさら無い。

 だがゴウダは忘れてはいない。

 

 三十年ほど前。

 超日本プロレスの社長と、時のボクシングヘビー級統一王者が激突した、伝説の一戦。

 

 3ラウンド、計15分。

 最強のレスラーはマットに這いつくばって、ひたすら王者の足元を蹴り続け。

 最強のボクサーは何も出来ないまま、ひたすら這いつくばった相手を罵倒し続けた。

 

 二人とも、決して手を抜いていたワケではない。

 むしろお互い真剣にやっていたからこそ、そう言うザマになったと言うのは、後の総合格闘技の歴史が証明している。

 ともかくあの時、ゴウダ少年をはじめ幾人かの格闘技ファンが気付いてしまったのだ。

 バーリ・トゥードは、ガチでやるようなモンじゃない、と。

 

 坊やたち武術家の世界ならば、それでも良いのだろう。

 武術とは勝つためのもの、生き残るためのもの。

 あの拳が面白い、だとか、アレが決まれば観客が沸くだろう、とか、そう言った価値観とは無縁の世界に彼らは居る。

 

(――けれど、プロレスって奴は、そうじゃねえだろ)

 

 見ろ。

 打つ毎に輝きを増していく、目の前の男の姿を。

 

 プロレスラーの肉体を以てしても、手も足も出ない。

 プロレスラーの肉体が有ったからこそ、この輝きを引き出す事が出来た。

 

 プロレスラーの特権。

 ルクス・ランドアと言う偉大な男の五十年が、今、直にゴウダの肌を叩いている。

 こんなにも雄大で、豊潤で、素晴らしい拳。

 それを避けてどうする?

 

 ――ぐらり。

 

 チカチカと瞬くカメラアイが、広大なる星空を捉える。

 夢見心地のゴウダとは裏腹に、タイタスの肉体はついに限界を迎えた。

 腰が折れる、体が崩れる。

 揺らめく視界の先に、スロー・モーションのようにその姿が映る。

 

(あ、ああ……)

 

 感嘆が漏れる。

 左のロングフック。

 建国二百周年のリングで、無名の種馬が王者からダウンを奪った伝説のブロー。

 拳が煌めき、凄まじいばかりの光を放つ。

 あの頃の勇姿と寸分違わぬ、全盛期の男のパンチ。

 

「――それだぜぇッ! チャンプッ!!」

 

 ゴウダが跳んだ。

 男の拳を顔面で受け止め、そのままパシリと取った。

 カニばさみ、いや、飛び付きの腕ひしぎ。

 

 耐える、吠える、投げる。

 それしか出来なかった筈の男が見せた、生涯ただ一度の技巧。

 

 若い頃に『洗礼』を受けた。

 何度も何度も、擦り切れるほどにビデオを見直した。

 あの時の勇姿と寸分違わぬ、全盛期の男のパンチ。

 だからこそ見えた。

 夢の中で幾度と無くシュミレーションした通り、鮮やかに極める事が出来た。

 

 ポスン、と二人の体が砂の上に落ちる。

 うつ伏せに体を畳んだゴウダが、偉大な男の左腕を必死で捻じる。

 

 心が折れた訳では無い。

 壊される事が怖かった訳でもない。

 ただ、余りにも完璧に極められてしまった。

 故にルクスは二回、空いた右手でゴウダの脚を叩いていた。

 

 タップアウト。

 

 観客が叫ぶ。

 けたたましくもゴングが打ち鳴らされる。

 

「……エクセレント」

 

 諦観の溜息と共に、ルクスが端的に讃辞をこぼす。

 

「なあに、アンタがプロレスに付き合ってくれたおかげさ、チャンプ」

 

 言いながら、ゴウダが拾い上げたグローブをルクスに渡す。

 尽きぬ歓声が、死闘を終えた二人の肌を容赦なく叩く。

 幻想の夜空に、硬貨の雨が降っていた。

 

 

 

 

「……ケッ! くだらねえ、くだらねえ、くだらねえッ!!」

 

 プラネタリウムの静寂を引き裂いて、褐色の獣が咆哮を上げる。

 ジョージ・クルス。

 南半球に消えた覇王流の裔が、猛る心を隠しもせずに喚き散らす。

 

「どいつもこいつも、くっだらねえ茶番を見せやがって。

 あのオッサンども、戦いをお遊戯とでも勘違いしてんじゃねえのか?」

 

「そんくらいにしとけ。

 口を開けば里が知れるぜ、ブラジルの」

 

「あん、怒ったのかい空手先輩?

 ケケッ、そういやテメエは、あのオッサンのお遊戯にブチのめされたんだったけか?」

 

 ケケケ、と。

 むっつりと押し黙ったリオに対し、嘲るように下卑た笑いを浴びせる。

 

 ブラジル野郎の言わんとする事、ナガラ・リオにはよく分かる。

 分かるからこそ腹立たしい。

 事実、先刻までのリオは憤激していた。

 何故、足を狙わない。

 押し倒して寝技に持ち込まない。

 どうしてわざわざ相手のエリアで、紙一重の攻防を続けるのか、と。

 

 だが同時に今のリオは、そう言った不合理がもたらす強さの質と言うものもうっすらと理解している。

 他人から見れば馬鹿げたこだわりを人生の支柱に据える。

 故に倒れない。

 ビグザム剛田も、あのルクスも、理に囚われたファイターには持ち得ない牙を備えているのだ。

 

 目の前にいる褐色の男は、かつてのリオを映す鏡だ。

 いや、あるいは理合と言う物を信じきれなくなったリオよりも、遥かに純粋な獣であると言えるのかもしれない。

 敗北を知り、ガンプラ・ファイトを知ったリオが、果たして強くなたのか、弱くなったのか。

 次のこの男の一戦が、あるいはその答えを知っているのかも知れなかった。

 

「ケケッ、所詮テメエら東洋人に、バーリ・トゥードの真似事は無理なんだよ。

 今日の戦いで世界中のトーシロどもに、そいつを思い出させてやるよ」

 

「……話としては聞いといてやるがよ、お前の相手は俺じゃねえぜ」

 

「あん、俺があのイロモノに負けるってか?

 ずいぶんとイカしたジョークだな」

 

 ケッ、と一つ吐き捨てて、クルスがホール中央に身を躍らせる。

 

「次の試合は所詮オードブルよ、そん次にあのデカブツ、それにテメエだ。

 今日の日を境に、世界は俺の覇王流に屈伏するのさ」

 

 

 ――コロッセウム全体が、奇妙な興奮に包まれていた。

 

 先刻までの血沸き肉踊る熱狂とは趣を異とする。

 いや、だからと言ってこの救いがたい格闘技ファン達が、次の試合に期待していない筈もない。

 だが、どちらかと言うとそれは、怖いもの見たさ半分、と言うのが正解かもしれない。

 とにかく彼らは一様に胸をときめかせていた。

 果たしてこの先、どのようなドラマが待ち受けているのか、と。

 

 

『会場のみんな~!

 そろそろいくよォ~、せーのーっ、でッ!』

 

 

「「「 ガ~チ~ぴょ~~~~~~~ん!! 」」」

 

 

『 イッエエ~ィッ! ガチガチぴょんぴょん! ガチぴょんでぇーっす! 』

 

 

 溌剌とした入場宣言に合わせスモークが一斉に噴き上がる。

 割れんばかりの声援の中、丸っこい何者かが会場を駆け抜ける。

 

 地上最強の五歳児、ガチぴょん。

 ひらけ! ガチぴょん。

 中の人などいない、ガチぴょん。

 

 歴史と伝統に彩られた風格あるコロッセウムが、たちまち伝説の子供向け番組に変わる。

 

『キャ~キャ~キャ~! 凄い! この大会スゴイよッ!

 マジモンのガチぴょんが来てくれちゃったよォ!?』

 

 感極まったMS少女が、ガチぴょんの丸っこい体にひしりと抱き付く。

 ブ-イング混じりの歓声が会場に響き渡る。

 

 

 ――そう、確かに『ガチぴょん』が居た、ガンプラしか存在し得ぬ筈の聖域に。

 

 

 スッキリと新緑色にまとめられた、ずんぐりむっくりとしたボディ。

 原型よりも太く短く、しっかりと大地を踏み締める丸太のような足。

 ピンクと白のツートンが映える、縞模様のおなか。

 恐竜の子供と言う設定を辛うじて残した、小さな背びれにだらしない尻尾。

 ポコポコと両手に張り付いた勇気の源、七つのエネルギーボール。

 大きくディフォルメされた丸っこい頭部には、小栗鼠のような出ッ歯。

 元祖キモカワ系のつぶらな瞳に、可動式の重厚な瞼がぱちくりと動く。

 

 ガチぴょん専用グリモアカスタム、通称『がちもあ!』

 

 アメリアの傑作量産機とは名ばかりの御本人が今、ガンプラバトルの中心に堂々降臨していた。

 

『ねえねえガチぴょん、今日はどうしちゃったのさ?

 お姉さんは嬉しいけど、事務所の方は大丈夫なの?』

 

『えへへ~、どうしてもガンプラバトルがしたくなって、マネージャーには内緒で来ちゃった!』

 

 MS少女のMCも手慣れたもの。

 その場の何たるかを忘れたかのように、和気あいあいと時間が進む。

 

『チャレンジは僕の生きがいだもん。

 今日も頑張って、ガンプラ・ファイトにチャレンジだァ~!』

 

「……ケカッ! ケハッハァハハハアァ――――ッ!」

 

『――!』

 

 けたたましい悪魔の哄笑が、憧憬の時間の終わりを告げる。

 戦慄がたちまちゲートを奔り、悪意が虚空に跳躍する。

 

 マスターエルドラド。

 総合武術の黄金郷を体現する、覇王流の完成系。

 漆黒のボディを支える金色のフレームに、プラフスキーの輝きをあしらったエメラルドのクリアーパーツ。

 月の光を一身に浴びて、武の結晶が悪魔の如き翼を広げる。

 

「着ぐるみ野郎は夢の国だけで十分なんだよオォォ―――ッ!!」

 

『ガ、ガチぴょォん!?』

 

 漆黒の悪意を振り撒いて、邪悪の武神が頭上より迫る。

 ガチぴょんもさしたるもの。

 一息にMS少女を突き飛ばし、自らはゆるりと歩を進める。

 

 流水の入り。

 鋭い足刀を紙一重でぬるりと避け……即座に震脚!

 大地の反動を剛体に伝達し、肩口より中空の敵に叩き込む。

 

「ケケッ!」

 

 しなやかなる黒豹のように衝撃を殺し、マスターが柔らかく大地に転がる。

 空気が凍る。

 ほんわかムードが一変し、ただちに一触即発の危うい気配が充満する。

 

「さすがにリーの野郎のお眼鏡だな、もうちょっとだけ遊んでやるよ」

 

『オッケイ、勝負しよう勝負!』

 

 ゆらりと開手を添えたマスターに対し、ガチぴょんは半身を取って軽妙に体を揺する。

 

『そこまで。

 ガンプラ・ファイトは何でもアリが心情だけど、せめて開始の合図くらいは守りな』

 

「……ケッ! そうかいそうかい。

 興業ってぇヤツはメンドくさいなァ」

 

 大袈裟に肩を竦め、マスターがくるりと背を向ける。

 十分に距離を取ったのを見て、ガチぴょんも構えを解く。

 観客の緊張は、しかし解けてはいない。

 高まっていくボルテージが一つの事実を痛烈に印象付ける。

 

 

 ――本当に闘るんだ、ガチぴょん。

 

 

 ばさりとMS少女が純白の翼を翻し、観衆に時間を告げる。

 

『それじゃあみんな、気合い入れて行くよ!

 ガンプラファイトォ!』

 

 振る絞るMS少女の声。

 闘技場に背を向け、邪悪なる武神がにぃ、と嗤う。

 

 

『レデイィ――ッ ゴォ――――ッッ!!』

 

 

(始まるぜぇ、覇王流の伝説が――)

 

 高らかとゴングが鳴り、ゆるりとマスターが振り返る。

 その瞬間にガチぴょんは助走を終え、跳躍の態勢に入っていた。

 

 不意打ち。

 倍返し。

 空飛ぶ80kg

 格闘技の動きでは無い。

 空中で可憐にガチぴょんが舞う。

 一回転。

 二回転。

 

 フィギュアスケート、ガチぴょんチャレンジ、ダブルアクセル、今――!

 

 




・おまけ MFガンプラ解説⑦

機体名:フォーエバーザク
素体 :ザクⅡ(機動戦士ガンダムより)
機体色:緑
搭乗者:ルクス・ランドア
必殺技:左アッパー、ロングフック
製作者:ローラ・セアックと弧児院の子供たち

 ルクス・ランドアの経営する弧児院の子供たちが、ガンプラ・ファイト参戦を決意したルクスのために小づかいを出し合って製作したMF。
 当初、子供たちはガンダムタイプの機体を購入しようとしていたが、「挑戦者として戦いに臨みたい」と言うルクスの決意を汲み、逆に量産機の代表であるザクⅡをベースとして製作を開始した。
 本機の装備するグローブ及び付属品のガウンは、服飾デザイナーを志望する養女、ローラ・セアックの手製で、89年にモスクワで行われたイワーク・ドラゴスキーとのタイトルマッチの際の衣装を再現したものである。
 機体自体は奇抜なギミックを持たないオーソドックスな作りで、アマチュアレベルながら丁寧な塗装が施されている。
 子供たちの激励を一身に背負い、ルクスはゴウダや月天山と言った強豪相手に戦い抜いた。



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