知らないドラクエ世界で、特技で頑張る   作:鯱出荷

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【お知らせ】
マキシマムの年齢については「生まれたばかり」というご感想がありましたが、調べてもWikiでは「300歳以上」などと色々な説があり、参考文献が見つけられずに不明でした。

そのためマキシマムの「バーンパレスの守護者で、敵を全滅させなかったことは一度もない」という原作セリフから、「最低1回は、バーンパレスの侵入者を倒したことがある」ということで、そこそこな年齢として扱わせていただきます。

【2015/07/25 追記】
ご感想でマキシマムは345歳と情報いただきました。

【2020/08/01 追記】
今回の話で、4名から誤字脱字のご指摘をいただきました。

いつもありがとうございます。



【第21話】「レイザーは仲間に入れてほしそうにこちr『いいえ』

----レイザーSide----

 

「レイザーさん。その…元気出して、頑張って?」

 

エイミに強迫…ではなく懇願され、必死に踊る俺に対してマリンが申し訳なさそうに言う。

 

フェンブレンとの話が思ったより長引いたようで、俺が戻って来たときはちょうど入れ違いでダイたちは死の大地へ向かったところだった。

 

帰ってくるのを待つと言っていたクーラも、ダイの父親だったというバランとの決闘でヒュンケルが大怪我をしてしまい、戦線離脱をしたこともあり、現地で合流しようと言いくるめて決戦場に向かったため不在だ。

 

要はサババ襲撃に耐えたメンバーで、俺だけ理由なく置いてかれた状態だ。

 

更に辛いことは続くらしく、帰ってきた俺を見つけるなりエイミに強制連行され、現在ヒュンケルに対してひたすら『ハッスルダンス』を踊らされている。

ちなみにフェンブレンに傷つけられたチウ達は、マリン達のホイミ系が効いたので治療済みだとのことだ。

 

「大丈夫。俺は置いて行かれたんじゃなくて、ヒュンケルの治療を任されたんだ。バランがダイの父親とか、俺を連れていくべきか多数決を取っていたとか色々と初耳だけど、くじけそうな発言は禁止だ…。でもまぁ、暗黒闘気と同じく竜闘気にも『ハッスルダンス』が効果あるのがわかってよかったか。うん」

 

「あの…本当に大丈夫ですか?エイミが睨みつけているからって、踊りに専念して現実逃避してませんか?」

 

俺の呟きに対して、マリンが精神科医を呼びそうな様子で聞いてくる。

それに対して返事をしようとすると、突然目を開いたヒュンケルが俺の手を引いて踊りを止める。

 

「…もう動くためには十分回復した。レイザー。俺も死の大地へ向かうから、ポップ達の所へ連れて行け」

 

「馬鹿なこと言わないで!もしレイザーが居なかったら、ずっと目が覚めなかったかもしれないほどの大怪我なのよ!」

 

俺とヒュンケルを引きはがすように、エイミが割り込む。

 

エイミの制止を無視して起き上がろうとするヒュンケルの腕を、軽く振り払う。

 

「…10分待っていろ。その間に俺は準備をしておくから、エイミとちゃんと話しておけ。もしエイミが了解しなかったら、置いていくからな」

 

『帰ってから話す』といった変な死亡フラグを建てるわけにはいかないので、ここで思う存分話してもらおう。

 

 

----クロコダインSide----

 

死の大地にてダイ達と別行動を取っている俺たちは、ヒュンケルがいない中、ハドラー親衛騎団との戦闘を強いられていた。

 

人数差からこちらが不利と思っていたが、フェンブレンが独断でダイ達に向かって行ったことと、クーラが暗黒闘気と補助系呪文を駆使してシグマと接戦を繰り広げていることから、何とか拮抗を維持している。

 

クーラが向かって行く時に「最近はモンスターに会っても逃げるばかりで、試し切りできる相手は久しぶり」と嬉々していて不安だったが、相変わらずこの元氷炎魔団の二人は行動が読めない。

 

見た目からは両手に持った2本の剣を振り回し、激しい近接戦闘をしそうに見えないクーラの猛攻に、アルビナスは驚きと呆れを含みながらブロックに話しかける。

 

「全く…。あの魔法使いといい、レイザーといい、厄介な相手が多いですね。ブロック、あなたはシグマやヒムのように熱くならないように注意するのですよ?」

 

話しかけられたブロックだが、その視線は先ほどまではいなかったレイザーに向けられていた。

 

「はいよ。それじゃあ、契約成立ってことで。あぁ、特にサインとかいらないよ。同意してくれれば、核に契約印を刻むから」

 

「ブローム…」

 

「そうか…。フェンブレンの奴、結局自分を突き通したんだな…。そうそう。さっきの契約はフェンブレンと同じ内容だから、何の心配もないからな」

 

「ブローーーック!その不審者から離れなさい!!あなたも私達の仲間に何をしているのですか!?」

 

聞いたことのない声で怒鳴るアルビナスに、レイザーと共に来たらしいヒュンケルは申し訳なさそうにしている。

 

先ほど別れた時よりは回復したように見えるヒュンケルに、怪我を心配したポップ達が駆け寄るが、それを制してヒュンケルはレイザーに指示する。

 

「レイザー。ここまで連れてきてくれたことには感謝している。…だから後は俺達に任せて、向こうへ行っていろ」

 

「やれやれ。またキメラの翼扱いか…。わかった。あっちで邪魔しないようにしてるよ」

 

どこか気落ちした様子で、レイザーが離れていく。

 

レイザーは役に立つことは立つのだが、感覚は爆弾岩を抱えながら戦っているようなので、近づいてほしくないという気持ちはわかる。

 

どうやらそれはヒムも同じようで、現れたヒュンケルに安心したような笑顔で近づく。

 

「へっ、ようやく来たな。遅かったじゃねぇか。ヒュンk『ドンドコドンドコドンドコドンドコ…』」

 

何やら騒音がした方向を見ると、レイザーがどこからか取り出した楽器を叩いている。

全員が視線で抗議するが、当のレイザーは「何が悪い」と言わんばかりに見つめ返してくる。

 

「…アルビナスからダメージを受けたときはどうなるかと思ったが、やはり俺達と同じようにお前も不死m『ドンドコドンドコドンドコドンドコ…』」

 

気にしないように努めるヒムだが、レイザーからの騒音は続く。

 

「………やはり俺が見込んだ通r『ドンドコ【セイヤッ!】ドンドコドコ【セイヤッ!】ドンドンドンドドンドン…』立ち去れぇ!お前は本当に立ち去れぇぇぇ!!」

 

耐えてきたレイザーからの騒音に限界を迎えたらしく、ヒムが本音を叫ぶ。

体液のないはずのハドラー親衛騎団だが、ヒムの頭に血が上りそうなので、代わりに俺が何をしているか問いただす。

 

「おい、レイザー。お前はさっきから何をしているんだ?」

 

「近づくなと言われたんで、せめて『戦いのドラム』でサポートをと…。これは周囲の味方にバイキルトをかける超優秀な道具なんだが、何故か廃れてしまった逸品だ」

 

廃れた理由は見ての通りだが、本当にレイザーはわかっていないようだ。

それと味方だけに効果があると言い張っているが、確実に敵味方関係なく攻撃力がアップしている。

 

「わかった。俺の言い方が悪かったんだな。…向こうへ行って、大人しく、静かにしていろ。それとダイ達の所へ行くのも禁止だからな」

 

ヒュンケルの補足に納得いかない様子のレイザーだったが、渋々打楽器を仕舞ってくれた。

 

だがシグマはそれでも信用できないのか、先ほどまで戦っていたクーラへ、レイザーに付き添って離れないよう頼み込んでいる。

 

「なんか、俺の扱いひどくね?やろうと思えば、俺そこそこ役立つよ?」

 

「レイザー様。私は必要としてますよ。私は翼があることから着られる服がほとんどないため、レイザー様がいなかったら寝間着すらありません」

 

「それって仕立て屋扱いだよね?…まぁ、いいか。詰将棋本作って来たし、『穴を掘る』で侵入路作ってキングマでも呼び寄せてみるか」

 

「何か嫌な予感するから、そいつを止めろ!!」

 

ヒムが叫んだと同時に、死の大地全体が崩れそうなほどの大きな揺れが発生する。

その揺れに備える前に、誰ともなく叫ぶ。

 

「レイザー!今度は一体何をした!?」

 

「これは俺のせいじゃねぇ!!」

 

何人が言ったかわからない叫びに、レイザーは全力で答えた。




何気なくこちらで原作「ダイの大冒険」でのお気に入り数をソートしたところ、この作品が上位にあり、思わず画面を閉じてしまいました。

「こんな流れの作品がこの位置でいいのかな」と、最近ちょっとしたスランプです…。

【2015/07/25 追記】
お気に入り数が増えて変な気合が入っておりましたが、タグにもある通り自分に合った内容で頑張ります。

このまま消えたりしませんので、今まで通り軽い感じで読んでいただければ幸いです。

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