知らないドラクエ世界で、特技で頑張る   作:鯱出荷
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最近は忙しく更新が遅いですが、「失踪なんかしてたまるか」という精神で頑張らせていただきます。


【第19話】続・作戦名「俺達に任せろ(だからお前は別にいい)」

----レイザーSide----

「レイザーにクーラ。助けてくれて、ありがとう。…だけどチームワークでこのまま負けっぱなしは悔しいから、ここは俺達に任してくれないか?」

俺でも何とかハドラー親衛騎団に勝てる見込みが出たところ、ダイから引いてくれるよう頼まれた。

現状を考えてみると、能力的にはハドラー親衛騎団は現在の勇者達と互角に近い勝負ができるはずだ。
そのため自分達がしゃしゃり出ると、成長を妨げる可能性があるため、ここは下がったほうがいいはずだ。

また周囲には怪我人が多いことからも、俺やクーラは戦いよりも救助に回ったほうがいいだろう。

「わかった。俺とクーラは周りの手当てに向かう。…ただしピンチになってから、『やっぱり助けて』とかなしな」

俺の軽口に、ダイは笑いながら「任せて」と答えた。
…しかしヒム達は当然として、ポップ達も安堵の表情をしているのはなぜだろうか。

「レイザー様。私は傷が深い人間をレミラーマで探しながら回復しますが、レイザー様はどうしますか?」

クーラが今にも飛び立とうとしているので、慌てて役割分担を話す。

「俺も同じく治療に回るよ。ただ、ベホマとかで全快しないように気を付けてな」

「…?なぜでしょうか?」

「下手に全快されると、またハドラー親衛騎団に向かって行くかもしれないだろ。…今のダイ達レベルの戦いに、こいつらが入っていけるとは思えないからな」

俺も相手の挙動がわかることと、特技がなかったら偉そうなことは言えないが。
だが俺が言いたいことはわかったようで、クーラは頷いてくれた。

「それじゃあ、回復に行く前に蘇生呪文を使ってみるか」

この世界の蘇生系の呪文や特技は難易度が高く、道中で見かけた動物にザオラルから『精霊の歌』まで使ってみたが成功したことがない。
だからといって、試してみないわけにもいかないだろう。

…だがこの人数とがれきの山から、蘇生対象者を探すのは困難だ。

そのため全体蘇生を使う必要があるのだが、俺が知っているのはメガザルと『精霊の歌』ぐらいで、命と引き換えのメガザルは試す気にもなれない。
もう一つ知っている全体蘇生はあるが、アレはベホマズン以上の呪文なため、できるわけがないため除外だ。

そうなると、『精霊の歌』一択だろう。

「といっても、『精霊の歌』の歌詞って何だろうか…」

原作では具体的な表記がないため、わからない。
うーん。スクエニ関係で、精霊…天空人…天使…。

「エ●サン・シメジ・ヒラメ・デメキ●…」

違う。これは違う。
天使は天使だが、片翼の半裸を呼んでも仕方がない。

「レイザー様。一瞬とても禍々しい術式が発動しかけましたが、何をしようとしたのですか?」

クーラが冷たい目で睨んでくる。
そういえばすぐそこに精霊そのものがいるから、頼めないだろうか。

事情を説明するが、クーラの表情は暗い。

「…申し訳ありませんが、私自身が精霊を嫌ってます。そのため精霊の力が必要な蘇生系は私にはできず、他の精霊が力を借してくれることも期待できません」

慢心王と同じ理由なんだろう。
キャストオフする金ピカも、神性がそれで下がってたもんな。

それによく考えると「歌で周囲を癒す」なんて、「ニコポ」や「ナデポ」と同じく、俺なんかには向かないスキルだろう。

「そもそも、蘇生系の呪文を使う必要はありませんよ?先ほどレミラーマで調べたところ、該当者はおりませんでした。ハドラー親衛騎団の狙いはわかりませんが、遊んでいたのでしょうか?」

「そうなのか?だったらもう面倒だから俺が『ハッスルダンス』で回復して、クーラは賢者の石を使いながらラリホーマや『甘い息』で眠らせようか」

ようやくこれからの役割分担を決まったと思ったが、何故かクーラをそれらに対して首を横に振る。

「どうやらダイ達の戦況を見る限り、今は動き回らないほうがいいようです」

クーラの視線を追うと、後列で見たことのない炎と氷の呪文を唱えているポップに注意を向けさせないように、マァムが『身かわし脚』『飛び膝蹴り』『爆裂拳』と流れるような動きでブロックを翻弄している。

またダイとヒュンケルは、フェンブレン・ヒム・アルビナスの3人を相手にしているにも関わらず、アバン流の剣技・槍技と併せて『隼斬り』など手数の多い技で応戦し、拮抗している。

そしてクロコダインは、自慢の獣王会心撃でシグマと1対1で戦っていた。

「…なるほど。たしかにウロウロしてたら、邪魔でしかないな」

俺の呟きが聞こえたらしく、クロコダインはこちらを見てほくそ笑む。

「よく見ておけ、レイザー!これが俺の新技だ!…ハァァ!!」

現在獣王会心撃を放っているとは別のもう片方の手から、逆回転の獣王会心撃を放つ。

「まだだ!業火に覆われ、吹雪に凍えるがいい!!」

回転方向が別々の獣王会心撃がシグマの腕をきしませる中、更に『凍りつく息』と『火炎の息』を吹きかける。

急激に熱して冷ます。
俺もフレイザード時代に、鎧破壊などのために良くした戦法だ。

恐らく『魔物使いの章』で覚えた『冷たい息』などを、自分で応用させたのだろう。

「ねじり切れ!『獣王激烈掌』!!」

クロコダインの新技をまともに受けたシグマの腕は、宣言通りに盾ごと引きちぎられた。
痛みでうずくまるシグマに、ハドラー親衛騎団が一斉に駆け寄る。

「そこだぁ!メドローア!!」

ポップが先ほどから機会をうかがっていた呪文を放つ。
まるでレーザー光線のようなその呪文の射線が通った場所は、道も山も文字通り消滅していた。

その光景に、さすがのクーラも言葉がないようだ。

先ほどポップが放ったメドローアとかいう呪文は聞いた覚えがないので、リリルーラなどと同じくこの世界の呪文なのだろう。

出来るか試したい気もするが、俺は知らない技を見ただけで覚えられるような天才じゃない。
そもそも周囲に怪我人がいるこの状況で、あんな破壊光線ができるか試すなんて問題外だろう。

「へへ、どうよ?レイザー。これが俺とおっさんの新技だぜ!」

新呪文の結果に、ポップが自慢げに親指を立てる。
その様子に、俺は首をひねる。

「何で勝った気でいるんだ?まだあいつらの核は健在だぞ」

俺の言葉を瞬時に理解できたのは、ヒュンケルだけだった。

ヒュンケルが身構えたとほぼ同時、ブロックが全員を押し倒してかばうという荒業でメドローアをかわしたハドラー親衛騎団が立ち上がる。
しかしブロックは他のメンバーを押し倒したその代償として、背中がごっそりと削り取られ、再度倒れこんでしまった。

「…もう十分でしょう。『間引き』は終わりました。引きますよ」

ブロックの状態を見て、アルビナスはそう判断する。
その言葉にダイ達が反応する前に、ヒムが食いつく。

「ふざけんじゃねぇぞ!?俺やブロックが大ダメージを受けておきながら、このまま下がれってか!?」

激昂するヒムに、アルビナスは「仕方ありません」と大きくため息をつきながら、こちらを向く。

「…もしもし、そこのレイザーさん。この愚弟がわがままを言ってますので、止めていただけませんか?」

「そいつを呼び寄せるんじゃねぇ!つうか、お前どっちの味方なんだ!?」

呼ばれたようなので『忍び足』と『ルーラ』でヒム達の認識外から近づき、ついでに契約儀式を発動させる。

【レイザーが、リリルーラのためのパーティ登録をしようとしています。承諾しますか?】

「しねぇよ!どさくさに紛れて、お前何しようとしてんだよ!?」

こっそりヒム達にリリルーラを仕込もうと思ったが、全員から却下されてしまった。
ヒムが怒るのに対し、シグマは突然現れたように見えた俺に驚いていた。

「私がここまで接近されたことに気づかないとは、やはりあなたは私達の天敵のようだ…!」

「ブローム…」

警戒心を強めるシグマを慰めるように、背中の大部分を削られた状態にも関わらずブロックが声をかける。
そのブロックの言葉に、俺も便乗する。

「ほら。ブロックも『気にするだけ無駄』って言ってるから、諦めろよ」

俺の言葉に、なぜかフェンブレンが激しく食いつく。

「ブロックの言っていることがわかるのか!?」

「正確な言葉じゃないけど、ニュアンスとか発する言葉に乗せられた感情はわかるぞ。…というか、お前らわかってなかったのか?」

俺が視線を向けると、ヒム達は一斉に視線を反らす。
それを誤魔化すように、アルビナスが話し出した。

「…挙動は類を見ないほどの変人ですが、敵であることが惜しい能力ですね。ちなみに私達もそれはできますか?」

魔力の波動を把握するのと同様のことをしているだけだが、敵の強化につながることを教えるつもりはない。

『…相変わらずお前は、訳が分からないことばかりするな』

呆れるような声とともに、宙に浮いたハドラーが現れる。
その姿は画質の悪いビデオのように歪んでいることから、幻影だろう。

『あまりに帰還が長引いているようなので、俺の部下達に釘を刺しに来たのだ。…本来の目的をな』

ハドラーの言葉に、アルビナスが続く。

「その通りですよ、ヒム。私達は死の大地に足を踏み入れるにふさわしい者達を、ふるいにかけに来たのです。白黒をつけたいのなら、死の大地で行いなさい」

「間引きだの、ふるいだの…!てめぇら、俺たち人間を馬鹿にしているのか!?」

ポップがその言葉に怒りをつのらせていると、シグマが自身の盾を回収しながら答える。

「とんでもない。むしろ人間の力は凄まじいと、認識を改めさせられたよ。…もっとも、次に同じ魔法を放った際は私の盾でお返しさせてもらうがな」

「ハドラー様とアルビナスがこう言ってることだし、今回はここまでだ。…だがヒュンケル。テメェだけは俺が倒すから、死の大地へ必ず来るんだぞ」

シグマとヒムが、それぞれ好敵手と見込んだ相手に宣戦布告する。

そういえばふるいが済んだということは、無事な俺とクーラも死の大地に行く資格を得たということだろうか?

ならば、俺もそれっぽいことを言って答えよう。

「いいだろう。ならばそちらにお宅訪問するまでに、俺も踊りのキレを磨いておくぞ」

「テメェは例外だ!絶対にお前は来るんじゃないぞ!!」

せっかくやる気になったというのに、ヒムにつれないことを言われる。

いや、待て。先ほど言ったばかりのことを撤回するのはおかしい。
ということは…。

「なるほど。所謂、振りだな?『絶対に来い』と。このお兄ちゃんっ子め」

「どんな曲解だよ!?お前がいると、色々ペース狂うんだよ!そもそも以前ハドラー様にやった大波も、死の大地が海水や海藻まみれになって大変だったんだからな!」

知らんがな。
そういえばポップがさっきやった呪文の練習、死の大地でやればいいんじゃないかな?

「レイザー様。また何かろくでもないことを考えてますね?」

散々ロン・ベルクの所でやった実験が堪えたらしく、何かを察したクーラが睨んでくる。

「とにかく!バーン様に挑む資格があるのはここにいるアバンの使徒と、クロコダインだけだ!お前は除外だからな!」

『…ヒムはああ言っているが、どうするかは好きにしろ』

一方的に宣言するヒムに対して、ハドラーは判断に困るような表情をして、幻影を消した。
それを確認すると、ハドラー親衛騎団もルーラで飛び去っていく。

正直なところ、俺レベルで大魔王相手に役立つか微妙なので、決戦に出向くかを判断する必要があるが…。

「皆。まずは人命救助を優先しましょう。レイザーもクーラも、働いてもらうわよ」

マァムの鶴の一声もあることだし、とりあえず目の前にある問題から片づけることにしよう。



09年から使っていたノートPCのウイルスバスター期限が切れたので、
まだ壊れてませんが新しいPCへデータ移動してました。

これで今後は快適だ!…と思ったら、Vistaから8.1に移って使いづらさに困惑中。

慣れてないだけだと自分に言い聞かせてますが、某ロボット物で「新型を喜ぶのは新人だけだ」と言っていたベテランパイロットの気持ちがわかりました。