知らないドラクエ世界で、特技で頑張る   作:鯱出荷
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更新が遅れ、申し訳ありません…。
一度ペースを乱すと、戻すのが難しい…。

【2017/07/09 追記】
本日までに誤字報告機能にて、5名から誤字脱字のご指摘をいただきました。

ありがとうございます。


【第18話】作戦名「コイツには任せるな」

----レイザーSide----

修業を理由にダイ達と別れた後、俺たちは数日だが呪文の精度を上げたり、作った武具の確認をしていた。

それ以外にもエルフ族との仲を取り持つため、暇を見つけては、足繁く集落に通っていた。

きっかけは最悪だが、このままエルフと良好な関係を結べれば『世界樹の雫』や『エルフの飲み薬』などの手掛かりになるかもしれない。
そのためエルフの集落に武具を渡して帰ってくると、ロン・ベルクはまだうなだれている。

「なぁ、ロン・ベルク。いつまで落ち込んでるんだ?」

「やかましい。俺は武具を作る時は、一品ずつ丹精込めてるんだ。それだというのに思いつくまま大量に作ったことを、後悔しているんだよ。…それに引き換え、お前だけは随分上機嫌だな」

こちらはエルフ族に、作った武具の中では割と質の低いドラゴン素材の武具を無料で渡したことで、一族との仲が進展してご機嫌だ。

しかしその反動として、何度言っても同行を止めないクーラの負のオーラが日々高まっていた。

「あのエルフ女ぁ…!レイザー様にベタベタ、ベタベタと…!!」

あふれ出る暗黒闘気は、道中で会ったアームライオンの群れが道を譲るほどで、最近はミストバーンに代わって魔影軍団を任せられそうな雰囲気だ。

なおエルフの子についてクーラはこう言っているが、実際は踊り系の特技に興味があるとのことで毎回声かけられるだけだ。

あと出される料理が「マタンゴと毒消し草のサンドイッチ」や「ガップリンの香草(毒消し草)焼き」などで、どちらかと言えば嫌われてる気がする。

とりあえずロン・ベルクが「クーラをどうにかしろ」と訴えてきているので、気分転換に誘おう。

「えーと、クーラさん?ダイ達に上級職の『ダーマの書』が出来たことを報告しに行ってくるが、一緒に来るか?」

基本職の特技をほとんどダイ達が覚えてしまったということで、急いで書いたものがようやく出来上がったので渡しに行くつもりだ。
特にヒュンケルの性格からして、『瞑想』などの特技は早く覚えてもらったほうがいいだろう。


----マァムSide----

「ヒュンケル。あのアルビナスから受けた毒は、これでもう大丈夫なはずよ」

サババのドックで襲撃を受けていることを伝えられた私達は、ポップ達から話を聞いていたハドラー親衛騎団と戦闘を行っていた。

ポップ達からはハドラー親衛騎団でさえもレイザーにいいようにあしらわれていたらしいが、その戦闘力は私達の長所を生かす戦い方が全く通用せず、ヒムの片腕を使用不能にするのがやっとだった。

「クロコダインの話から、先入観を持ちすぎたか。…あのレイザーが規格外なだけで、あいつらは相当な強敵だ。正攻法では何度やっても、同じ結果になってしまうだろう」

ヒュンケルの言葉に対抗策を思いついたらしいポップが、次の行動を指示する。

「よし。こっちも意地を張って相手の得意分野で勝負せず、フォーメーションを変更するぞ」

私達がまだ戦意が高い様子を見て、ヒムは気分良さそうに笑う。

「ははっ!いいじゃねぇか!やっぱり一方的な展開だけじゃ、こっちも不満だしな!」

「無駄な挑発はよさんか。以前レイザーをあおった結果、ワシ共々痛い目に遭ったばかりだろうが」

フェンブレンの発言に、アルビナスが興味深げに尋ねる。

「あなたがそこまで言うなんて…。その魔族は、それほど手ごわいのですか?」

「その通りだ。ハドラー様の命令でもない限り、ワシは奴とは戦いたくない。(踊らされて)死ぬような目に合うぞ」

「全くだ。仮に戦うことがあったら、(踊らされるから)絶対に1対1では勝てると思うな。無様に逃げた方が、まだマシだぞ」

フェンブレンとヒムがそれぞれ、思い出したくもないという雰囲気を出しながら答える。

「聞けば聞くほど、それほどの相手がいるとは思えませんね。…ところであなた達から聞いた魔族に良く似た人物が、先ほどからあそこで光っているのですが?」

アルビナスの言葉にダイ達も含め、一斉に視線を向ける。

そこには恐らくリリルーラで合流したであろう、全身から暗黒闘気があふれ出て戦闘態勢のクーラと、ドック襲撃で傷を負った人達に対して何か青い石を掲げるレイザーがいた。

レイザーはその石が光ったのを確認して、近くにいて今にも気を失いそうなノヴァに話しかける。

「少しは痛みが引いたか?失敗作といっても、腐っても『賢者の石』だからホイミくらいの効果はあるはずだが」

「なっ…!ば、馬鹿じゃないのか君は!?なんで国宝級のアイテムを、気軽に振りかざしているんだ!?」

嫌味ったらしいノヴァでも、レイザーの発言にはさすがに驚いて目を丸くする。

「いや、回復量はさっき言った通りでホイミ並み。更に傷にしか効かないから体力は回復しないし、『祈りの指輪』みたいに何回か使ったら壊れる。別に出し惜しみする物じゃないだろ」

周囲のドックは全壊、私達は戦闘中、クーラは黒いオーラが揺らめいている。

こんな状況でも平常運転なレイザーに感心するべきか、呆れるべきか。
何て声をかけていいかわからない私達を尻目に、シグマが動く。

「ちょうどいい。噂に聞いたその実力、私が確かめてやろう。…フェンブレン、私に続け!」

「この馬鹿者!ワシ達の話を聞いておったか!?…えぇい!仕方あるまい!!」」

破れかぶれな様子で、フェンブレンもシグマと一緒にレイザーに襲いかかる。
ヒム達の忠告を聞いたためか、アルビナスとブロックもレイザーに向かう。

「まだ怪我人の治療をしているでしょうがぁ!」

何故かキレ気味に、向かってきたシグマの腹部に『回し蹴り』し、フェンブレンがいる方向にシグマを蹴り飛ばす。

「ブローム」

シグマ達が後方に吹き飛ばされてから間髪入れず、謎の言葉と共に巨大な体格からブロックが腕を振り下ろす。

「動作が大きすぎる!『受け流し』!!」

ブロックの攻撃を反らし、背後に備えるアルビナスの方向に流す。
突然向けられた味方からの攻撃に、アルビナスは防御する暇もなくブロックに殴り飛ばされた。

そして残ったヒムは、『誘う踊り』で踊らされていた。

「なんで俺だけこんな扱いなんだよ!?」

「馬鹿言うな。片手しかない奴に、攻撃なんか出来るか」

「いっその事殴れや!」

唯一何もされていないブロックも、自分の攻撃がいなされ、突然踊りだした仲間に戸惑ったのか、どうしていいかわからず右往左往していた。

「いつものこととはいえ、何でレイザーが現れるとこうなってしまうのよ…」

さっきまであった私達の戦意が、ことごとく削られていく。

だが仮にもハドラー親衛騎団をまとめている自負があるのか、アルビナスは一歩も引かずにレイザーを問い質す。

「レイザーと言いましたね?私達の体はオリハルコンで、魔法や下手な妨害などは効かないはずです。…それだというのに、なぜこんな簡単に、私達を手玉に取れるのですか?」

「簡単だよ。俺はフレイザード時代に、自身の核を研究してたんだ。そのおかげでハドラーの魔力が込められている、あんた達の核からの波動が手に取るようにわかる。…だから、こういったことも出来るんだよ」

側にいたブロックに対して、ラリホーをかける。
途端、ブロックは轟音を立てて地面に倒れこんで動かなくなった。

「この通りさ。やろうと思えば、メダパニやマヌーサも効くんじゃないか?何だったら、ここで試してみるかい?」

「既に私達を、研究し尽くしているも同然ということですねっ…!」

事態を把握したアルビナスが苦渋の表情をする中、レイザーは高らかに宣言する。

「妹よ。何で兄貴が先に生まれてくるか、知ってるか?…後に生まれてくる弟や妹達を、脅すネタを仕入れるためだ!!」

「お前最低過ぎるだろ!!」

あまりの悪役っぷりに我慢できなかったのか、ポップが怒鳴りつける。
だが言っていること・やっていることはひどいが、形勢は大きくこちらに傾いた。

「チクショウが!…ブロック!さっさと起きやがれ!!」

焦った様子のヒムが、地面に突っ伏すブロックの頭を踏みつける。
さすがの衝撃に目が覚めたのか、ブロックは頭を振りながら起き上がる。

後方に蹴り飛ばされていたシグマ達も、レイザーの話に動揺しながらもアルビナス達と合流する。

「皆、落ち着きなさい。確かに私達は手玉に取られていますが、彼自身の攻撃はさほどでもありません。絶え間なく攻め続けて、一撃でも当てれば勝機はあります」

先ほどの攻撃を分析したアルビナスが、他のメンバーを落ち着かせる様に言う。
その言葉に反応して、レイザーの背後にいたクーラが前に出る。

「私のことを忘れてませんか?ちょうどレイザー様から新しくいただいた剣で、試し切りしてみたかったところです」

銀色に鈍く光る剣を取り出し、アルビナス達に突きつける。
しかし、ダイがそのクーラに制止をかける。

「レイザーにクーラ。助けてくれて、ありがとう。…だけど俺たち自慢のチームワークでこのまま負けっぱなしは悔しいから、ここは俺達に任してくれないか?」



最近は執筆中テンションを上げるため、オススメされた某極道ゲームの歌を作業用に聞いています。

ただあまりに聞きすぎたせいか、合いの手だけがループする夢を見てうなされました。