知らないドラクエ世界で、特技で頑張る   作:鯱出荷
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更新が遅れて、申し訳ありませんでした。

つかの間の休日(と思われる)回です。


【第17話】レイザー踊らずとも、トラブルは減らず

----クーラSide----

なんとか敵地からパプニカに戻り、ポップ達と別れてレオナ姫に報告しようとしたところ、第一声はマリンから殺意がこもった怒号と攻撃だった。

「レイザー!死になさい!!」

「危ねぇ!というか何事!?魔法の聖水のお礼にやったその毒蛾のナイフは、俺を刺殺させるためにあげたんじゃないぞ!」

「黙りなさい!私の妹に、何を吹き込んだのよ!?」

「ね、姉さん!落ち着いて!私はただ、レイザーから『ハッスルダンスを教わりたい』って言っただけじゃない!」

エイミの肩を掴み、マリンが言い聞かせる。
必死な様子のマリンに、アポロも続く。

「とち狂わないで、エイミ!私を…お姉ちゃんを一人にしないで!」

「そうだ!一緒にパプニカ3賢者として、生きるんだ!人生に悲観するんじゃない!!」

「おい。俺の得意技を覚えることが、なんでこれからメガンテ使うみたいな扱いになってんだ?」

「メガンテ使われたほうがマシよ!」

「普段から踊ってる俺のことを、何だと思ってんだ!?」

「あなた達が元気なのはわかったから、全員黙りなさい!」

レオナ姫が私達を一喝して、ようやく現状を報告できるようになった。



「…つまり、もう皆のレベルに付いていけないから、せめて補助で役立ちたいのね?」

エイミの話をまとめたレオナ姫が、確認だと言わんばかりに問いかける。
その問いにエイミははっきりと頷き、その理由を小声で言う。

「暗黒闘気で受けた傷も『ハッスルダンス』なら回復できるって、ヒュンケルから聞きました。だから私が覚えれば、治療のため側にいられるって…」

つまりエイミは、ヒュンケルと一緒にいる口実が欲しかったのだろう。
私も理由をつけてレイザー様の側に居たいため、その気持ちはわかる。

マリン達もようやく理解して顔を綻ばせるが、レイザー様の表情は逆だった。

「なるほど。…要は特技の中から覚えたい物だけ、お手軽に覚えたいということか」

その声はレイザー様には珍しく、憤りを感じる物だった。

「俺の踊りはこれでも特技。つまり『技』だ。簡単な物から順に覚えて行くもので、特定の技を覚えたいからといって、段階を飛ばして都合のいい技だけを覚えられるほど甘くないぞ」

その言葉に、ようやくエイミは軽はずみなことを言ったことに気づく。

エイミ達が学んだ賢者としての魔法も体術も、段階を踏んで習得していったはずだ。
それをまるでアイテムのように欲しいものだけ教えろなどとは、その技を考えた人物に対しての侮辱でしかない。

「ご、ごめんなさい…。ヒュンケル達があまりに簡単に特技を覚えていたから、軽く考えていたわ…」

「ヒュンケルやクロコダインは、自分の長所がわかっているから覚えるのが早いんだ。特に『ハッスルダンス』は相手を癒すだけでなく、気を高ぶらせるつもりでやるのがコツなんだ。だから振付とか形だけ入ってもダメなんだよ。ゼロから『ハッスルダンス』を物にするためには、まずは『喜』を学ぶ『誘う踊り』、『怒』を制御する『パルプンテ』、『哀』を知る『死の踊り』、『楽』を受け入れる『遊び』。これらを理解してようやく『ハッスルダンス』への道が見え始めるんだ」

「レイザー様。長い間特技を学んでいる私でも、何を言っているかさっぱりです」

最初から最後まで、踊り系の説明については意味不明だ。

レイザー様が寝入った後こっそりと試してみたが、踊りを見続けていて振り付けを完璧に覚えている私でも、『ハッスルダンス』は使えないのはこのことを理解できないからだろう。

そういえば、あのエルフの森であった女だけは、レイザー様の話を理解してましたね。
まだ昼前なのに何度も何度もレイザー様を『夕食』に誘っていた、泥棒猫のような女でした。

…嫌なことを思い出しました。
周りも困惑していますし、無理やりにでも話を変えよう。

「レオナ姫。それよりも私達はまた技を鍛え直しに行きますので、今後の動きを教えてくれませんか?」

「そうね、それがいいわね、そうしましょう。だからレイザー、ちょっと黙って」


----レイザーSide----

レオナ姫の話をまとめると、自分達が死の大地に行っている間に、ポップの情報からとうとう本拠地に乗り込む準備を始めたらしい。

手始めとしてマァム達は自身の技を磨き直す修業へ行き、ポップも魔法の師匠の元へ教えを乞いに行くそうだ。

そして装備を修理してもらいたいダイとヒュンケルのため、ロン・ベルクの工房にルーラをさせられたのがついさっきだ。

「お疲れ様です、レイザー様。私のベホマは体力と傷を同時に回復できますので、少しは気が楽になりましたか?」

魔力がないって言っているのに、ダイ達に「出来ないの?」とあおられ無理やりルーラした結果、魔力切れで地べたに寝込んでいた。

ロン・ベルクもロン・ベルクで、ダイ達が到着するとすぐに鍛冶の支度を始めて毛布の一枚もくれず、優しくしてくれるのはクーラだけだった。

工房を借りた礼代わりを踏み倒してやろうかと一瞬思ったが、さすがにそれはどうかと思い、ショバ代を渡す。

「おい、ロン・ベルク。これ、工房を借りた料金代わりだ」

ロン・ベルクが休憩に入ったのを確認し、これまで持っていたフレイザードを構成していた石を鍛冶の材料として渡す。
品物は任せると言っていたので、こんな物でいいだろう。

何でもいいと言っておきながら、実物を並べるとロン・ベルクはそれらを興味深そうに見る。

「あとついでに、エルフの集落付近にいたドラゴン退治で手に入れた物だ。たぶん、超竜軍団が野良になったんだろう」

ドラゴンの皮や牙を差し出す。
無言で「お前何やってんだ」という視線が刺す中、クーラも袋から何かを取り出す。

「レイザー様。これもどうぞ。鬼岩城戦での戦利品です」

出したのは解体されたメタルドラゴンと、魔影軍団最強の鎧だった。
人が必死に鬼岩城を踊らせたり、ポップ達がミストバーンの足止めをしているというのに、クーラはそんなことをしていたのか。

ロン・ベルクはそれを懐かしそうに手に取る。

「久しいな。ヒュンケルの槍と同じ金属か。それとこのメタルドラゴンとかいうのは、また珍しい金属で出来ているな」

「そうなのか?それ、半分もらっていいか?色々試してみたいことがあるんだ」

メタルドラゴンが落とす物なのだから、もしかするとメタルキング装備の材料になるかもしれない。

「お前らが勝手に持ち込んだ物だ。別にかまわない。…それよりも、俺の個人的な剣作りを手伝ってくれ。正直、行き詰ってる。お前の奇天烈な発想でも、すがりたいくらいにな」

「ふーん。どういう武器が欲しいんだ?アイディアぐらいは出せると思うぞ」

ゲームボーイカラーからずっとRPGをやり続けていたため、知識には自信がある。
そしてここはドラクエの世界。多少の無理でも、形にできるはずだ。

「…要するに、技に耐えられる武器がないってことか?だったら武器に耐えさせるよりも、違う発想にすればいいんじゃないか?」

「どういうことだ?詳しく聞かせろ」

ロン・ベルクと意見を言い合う。
その後戦利品と合わせて、色々なアイテムや装備を作る。

数日後、勢いで作ったアイテムと武器の山を見てダイ達は呆れ、正気に戻ったロン・ベルクが頭を抱えていた。



3月末から親戚のお子さんが泊まりに来ていて、平日は22時帰り。
休日は子供を引率しての観光案内で書ける時間がなく、この有様となってしまいました。

ただ時間がない以上にきつかったのは、子供を引率中に職務質問を受けたことです。

「そんなにロリコンorショタコンに見えたのか…」と落ち込んでたところ、子供の母親に「誘拐犯と思われたんじゃない?」と言われ、ちょっと救われました。