知らないドラクエ世界で、特技で頑張る   作:鯱出荷
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今回は一部、日記のような表記があります。
【2015/03/14】
あまりに誤字脱字が多いため、ごっそり修正。
内容に変更はありません。


【第12話】レイザーの借り暮らしのアトリエ

----レイザーSide----

ランカークス村で宿を確保し、朝一で地図を頼りに進んだところ、ようやく目的地と思われる小屋に着いた。

「たのもー!」

中に人の気配がすることを確認して、扉を叩く。
すると覗き窓がわずかに開いた。

「…誰だ?魔族が何の用だ?」

不快そうな声だ。
こういうときは、自分の立場を示すに限る。

「初めまして。俺ははぐれ魔族のレイザーで、こっちは同じくはぐれ精霊のクーラだ」

自己紹介をした後、自分達は勇者との約束で修業の旅に出ていること。
そして装備を整えたいが、自分達の身なりがあるため、ここで自作させてほしいことを伝える。

「…俺のことを知ってここに来たんじゃないのか?」

「え?もしかして有名な方?」

俺の質問に答えず覗き窓が閉められると、ドアが開く。
そこにいたのは顔に傷のある、魔族だった。

「まずは入れ。幾つか確認させてもらったら、お前達の要望を考えてやる」

そう言って家に入れてくれる。
名前はロン・ベルクさんというらしい。

…なんか魔王軍時代に聞いたことがあるような気がするが、思い出せないなら問題ないだろう。

とりあえず挨拶代わりに、一言断ってからロン・ベルクが持っていた酒瓶を『凍りつく息』で冷やす。

「…随分と器用だ。酒瓶を割らず、中身を凍らせず、酒を冷やすことだけを行うとはな」

「炎と氷の扱いには自信があるんで」

掴みは上々のようだ。

「…さっき武器を自作したいと言ったな?これまでどういった物を作ってきたんだ?」

百聞は一見にしかず。
クーラに頼んで炎の剣と吹雪の剣を取り出し、渡す。

「…」

てっきり陶芸家の如く、即効で床に叩きつけられると思ったが、思いの外じっくりと炎の剣を眺めている。

「気持ち悪い剣だ。武器としては研ぎが雑のなまくら。…ただこの剣に宿っている炎の力は、俺が魔界で見た物と比べても段違いだ」

渡した剣をこちらに差し出す。

「これと同じものを作って見せろ。製造途中は、ここをどう使おうが文句は言わない。その結果次第で、引き続きここを貸してやろう」

テストということだろう。
クーラに目配せして、手伝ってくれることを頼む。

「お任せください。今まで通りやればよいのです。何も問題はありません」

クーラの頼もしい言葉に押されて炉の前に座ると、クーラは黙って袋からフレイザードの体を構成していた石を差し出してくれる。

「ありがとう。そんじゃ、まずはフバーハだな」

フレイザード時代は腕自体が炎を吸収できたが、今はこうしないと厳しいだろう。

そして鉄の剣とフレイザードだったときの石を合わせて、前回作ったときと同じようにまず『灼熱の息』で剣を熱する。

その光景を見た途端、ロン・ベルクが激しくせき込む。
酒が気管に入ったんだろう。

よくあることだ。

「待て待て待て!お前は一体何をしてるんだ!?」

先ほど文句は言わないと発言したのに、早速作業を止めてくる。

「見ての通り、剣を熱してる。いつも通りの手順ですけど?」

「大道芸じゃないんだぞ!何のために炉があると思ってるんだ!?」

「…微調整用?」

「レイザー様、念のためベホマをしておきます。やはり鍛冶は傷が絶えませんね」

「火傷とかはするだろうが、そんな火傷するのはお前ぐらいだ!」

何か作り方を間違っているだろうか。
念のためクーラに尋ねるが、何も問題ないと返事がくる。

「駄目だ、このバカップル…」

ロン・ベルクが何か呟いている。

「ちなみに吹雪の剣はどうやって作った?」

「『輝く息』と『火の息』のアンサンブル」

「わかった。お前に聞いた俺が馬鹿だった」

頭を抱える。
顔色も悪いし、二日酔いだろうか?

「…どうせ暇つぶしでしか炉は使っていない。好きにしろ。ただしこんな作り方でどうやったら武器が出来るか、この目で確認させてもらうぞ!」


【製作1:奇跡の剣】
まずはリハビリも兼ねて、慣れている剣を作成することにした。

命の石でやってみたが、思ったよりすんなり完成し、クーラ用として渡す。

「プロボーズの指輪代わりですね。大切にします」

「違いますから」

もしそうだとしたら、多くのドラクエでメダル王からプロポーズされていることになってしまいます。

「…なんでこんな方法で剣になるんだ?」

ロン・ベルクが作った剣を眺め、納得いかないといった表情をしていた。


【製作2:炎の爪】
ランカークス村の武器屋で買った鉄の爪を参考に、フレイザードの炎の石で作業をする。

『灼熱の息』以外にも『激しい炎』なども合わせて調節しているが、思うような形状にならない。

もうすぐ日が暮れる。
今日はここまでのようだ。


翌日、炉を使おうとするとロン・ベルクに止められる。

「お前らの手際の悪さを見ていると、俺まで腕が落ちそうだ。少し家財道具を作るから、そこで見ておけ」

作業を開始すると瞬く間に、鉄の塊が見事な鉄の爪に姿を変える。

どうやら家の中に炉があるのは、伊達や酔狂ではないようだ。
しかし…

「あの、家財道具を作るのでは?」

クーラがごもっともな指摘をする。
だいぶ悩んだ後、ロン・ベルクは断言した。

「これは…鍋つかみだ」

うん、そうだね。鍋つかみだね。

「ええい!ほほえましい目で見るな!」

ロン・ベルクが作成した爪を参考に、炎の爪も無事作成できた。


【製作3:悪魔の爪】
最後に作るのは、相手に毒を与える悪魔の爪だ。

作り方は簡単。
『猛毒の霧』に包まれながら打つべし、打つべし。

ふとロン・ベルクが静かだと思って見てみると、床に倒れていた。
どうやら毒にやられたらしい。

キアリーをすれば、助かるのに…。

「俺は呪文を使えないんだ!そもそも換気ぐらいしろ!…というか踊るな!」

解毒とハッスルダンスをして回復すると、怒鳴って注意された。

「世界樹の毒じゃないんだから、これぐらい我慢我慢」

「意味がわからんぞ!?」


----ロン・ベルクSide----

あの変な奴らが来てから数日経った。

製作過程はともかく満足のいく武器が出来たらしく、モンスターが多い場所で試してくるらしい。
トベルーラを使っていたので、この周囲ではないだろう。

その去っていく姿を見ながら、俺はふと考えた。
自分があんな楽しそうに武器を作るために切磋琢磨したのは、いつ以来だろうか。

武器の使い手がいないと腐っていたが、それは自分の理想が実現できない未熟さを誤魔化す、逃げの言い訳だったのではないか。

「…久々にアレを引っ張り出すか」

あいつらの打ち方は参考にならないが、酒を冷やす係とベホマ係ぐらいにはなる。
ここまで付き合ってやったんだ。それぐらい手伝ってもらおう。

そう考えながら家に帰ると、最近知り合った人間のジャンクと見たことがない人間達がいた。



週末忙しいため、慌てて作成。

次回更新は来週の予定です。

【2015/03/14 追記】
今まで読み専だったため、評価コメントが見れるということに今日気づきました…。
思った通り賛否両論で正反対の意見もありますが、他の方とかぶらない話を目標に続けていきたいと思います。

またいただいた評価にコメントを返せないようですが、こんな作者の話にコメントしていただき、ありがとうございます。