不老不死の幻想入り   作:人生脇役

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18/6/30
話を一つ入れ忘れているのに気づきました。



居を移す

「………起きていないか」

起床して、台所を見に行ったりしたが、慧音はいなかった。

残るは慧音の部屋だ。

襖を開ける。

「案の定、寝落ちか」

慧音は、机に伏せて寝ていた。

「慧音、朝だぞ」

肩を揺する。

「う、うーん……」

よく見たら、角が戻りきっていない。小さな角が髪から突き出ている。

「うー……ルートか……」

「ああ。朝だぞ」

「わかった……」

「朝食、作っておくが、何がいい」

「適当でいい……」

眠くて考えるのも億劫らしい。

動き始めてはいるので、俺はとりあえず台所へ。さて、何を作るか。

 

 

「そういえば、ルートに食事の用意を任せたのは初めてだな」

「ああ。味はどうだ?」

「美味しいよ」

「良かった」

朝食を作り終え、居間へ様子を見に行った時、慧音は居間のちゃぶ台でこっくりこっくりしていた。

朝食を食べて、もうすっかり目が覚めたようだ。

「ルートは、幻想郷で何をしようとか、考えているのか?」

慧音がそう訊いてきた。

「まぁ、な。とりあえずは、幻想郷の色々な所へ行こうと考えている」

実際のところ、未だに俺は何をやろうとは決めていない。

暫定的な目的、といったところか。

「そうか。なら、ルートの家は留守も多くなるかな?」

「さぁな。どのくらいの頻度で出掛けるかもわからんしな」

「まあ、それもそうか」

「ああ」

慧音が食べ終えた。俺は少し前に食べ終えている。

「ご馳走さま」

「お粗末様でした。片付けも任せておいてくれ」

「ありがとう」

食器を持って、立ち上がる。

………ありがとう、か。むしろ俺が言うべきことだな。

 

 

「世話になった」

「ああ。またなにか困ったことがあったら、相談してくれ」

「そのときは頼らせてもらうよ。その代わりと言ってはなんだが、手が足りなかったりするときは、俺に是非手伝わせてくれ」

恩を返しきっていないからな。

「わかった。それじゃあ」

「ああ。また」 

本当に束の間の別れだがな、と思いつつ、歩き始める。

 

 

空き家に荷物を運び込む。

そこまで量のないそれを置いてから、ふとストレイドのことを思い出す。

あれのなかの荷物も、運び込むか。

上空に呼び出し、そこへ向かって飛ぶ。

今では飛行する倉庫と化してしまっているストレイド。どうするべきか。

今はその気はないが、また旅立つとなるとあれがないと話にならない。

………ううむ。

この家のまわりは広い。

しかし、ストレイドを着陸させておくには色々と問題があるだろう。

「むぅ」

考えても、現状よりいい方法は思いつかない。

少し腹が減った。表に出てみると、昼を過ぎている。

食事の用意をするか。

昼と夜、それから明日の朝の分の食材は買ってある。

これから何をするにも、まずは腹ごしらえだな。

 

 

夕食の下ごしらえをしてから、昼食として野菜でサラダを作った。

味付けは、醤油と酢を混ぜた簡単なものだ。

縁側に腰掛け、箸で一口。

やはり、美味い。

幻想郷の野菜は、どれも美味しい。

農薬なんてものは使わず、自然の中で育てられているからか。

さらに一口。

適当に混ぜた醤油と酢だが、いい感じだ。

ゆっくりと味わい、食べ終えた。

「さて、と」

皿、片付けるか。

 


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