長い間、気絶していたような気がする。
気がついて、状況を確認すると機体は空を飛んでいた。
跳躍開始しなかったかと思ったが、空間図によると、ここは俺のいた星ではない。
眼下をみる。すると、一面黄色い場所が、あった。よく見ると向日葵畑だ。
取り敢えず、着陸しよう。
機体を操作して、向日葵を傷つけないよう、端の草原に降ろす。
キャノピーを開け、降りる。
周りは、草原と、向日葵や、他の花の畑だけだ。
だが、花畑に、現実離れしたものを感じた。
ストレイドの横で腰を下ろす。
この花たちは、綺麗すぎる。
現実のものとは思えないが、不気味さは感じない。
癒される風景だ。
しばし、眺める。
ふと、俺は強い気配を察知する。近寄ってくる。
俺は立ち上がり、その気配に向き直る。
そこにいたのは、綺麗な少女だった。緑の髪を持ち、日傘をさしている。
花が美しければ、人間まで美しいのか、ここは。
「こんなところで、何をしているのかしら?」
「ここが綺麗だから眺めていただけさ」
「そんな物で来ておいて?」
ストレイドの事か。
「まぁ、そうだな。綺麗だったから、降りただけだ」
「……変わった人間もいたものね」
「変わった、か。俺は変わっているか?」
少女に訊く。
「そうね。変わってるわ。あなた───」
「………」
「見た目と、雰囲気が剥離してるもの」
見た目と、雰囲気が剥離している、か。
「どういうことだ?」
「強そうな雰囲気が出てるのよ、あなた」
突然、少女は殺気を出してきた。
少女が出すにはいささか不似合いな、鋭く、強い殺気。
しかし、どうということはない。
「やはりね。この殺気を受けて平然としている人間なんて、そうそういないわ」
「散々死線を掻い潜って来たからな」
殺気なんて、飽きるほど浴びている。
「やめてくれないか?俺は争う気はない」
「……わかったわ。」
殺気が止む。
「聞いてもいいかしら?」
「何を」
「あなた、何者?」
何者か、と問われると、困る。今の俺は、どうなのだろうか。
いや、考える程のことではなかった。俺は……
「しがない旅人、さ」
「へぇ、どこを目指しているの?」
こんどは行く先を訊ねられた。
「目指す所なんて、ない」
「あら、そう」
少女は、何故か納得したような感じだ。
「俺からも質問がある」
「あなたは、人間ではないだろう?」
「………あなた、やはり只者ではないようね。どうしてそう思ったのか、聞いていいかしら?」
「あんなに鋭い殺気を放つ貴方が、人間とは思えなかったからな」
並大抵の人間なら、殺気だけで金縛りをかけられるのではないだろうか。
いや、殺気で殺せるかもしれない。
「ふうん。まぁ、その通りよ、私は妖怪。でも、そんな殺気を受けて眉一つ動かさないあなたは、どうなのかしらね」
「俺はただの人間さ。戦い慣れしているだけの」
いや、実際のところ、普通の人間とは言えないが。
「一つ教えてあげる」
「なんだ?」
「ここは、幻想郷。人間と妖怪の共存する場所よ」
「幻想郷?」
他愛の無いことのように言うが、俺には重大な情報だ。
「有難い情報提供だな。礼を言う」
そう言い、俺は少女に背を向ける。
「待ちなさい」
「ん、何か?」
顔を少女に向ける。
「名前を聞いていなかったわね。私は、風見幽香よ。貴女は?」
自己紹介された。
「俺は、ルート・フォンク」
「ルート・フォンクね。いつか、手合わせ願いたいものね」
その少女は、戦闘狂の気を覗かせる表情で、言った。
「………できれば、勘弁してほしいな」
どうやら、厄介なやつに出会ってしまったらしい。
俺は、ストレイドに乗り込み、飛び立った。
どうでしたか?
キャラ崩壊してませんか?
違和感などありましたら、是非ともご指摘下さい。