ラブライブ!~輝きの向こう側へ~   作:高宮 新太

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女の子の言うかわいいはかわいいと言っている自分かわいいアピールだから

「ちょ、ちょっとまって雪ちゃん!」

 音ノ木坂の屋上。穂乃果達が修学旅行で不在の中、凛は過去のトラウマに縛られていた。俺のように。

 ならば、そのトラウマを消し去ってしまわなければいけない。過去に縛られ、囚われることに良い事など一つもないと、その事を知る者として。

 そのか細く、すべすべとした腕を掴みながら階段を下る。

 凛の制止も今は聞かない。

「待ってって言ってんでしょうが!!」

 制止を無視していたら後ろからとんでもない力が加えられ、床にたたきつけられる。

「グフっ――――――」

「で、デートって何!?なんでそんな話になってるの!?協定は!?皆は了承したの!?」

 矢継ぎ早に質問が重ねられ、たたきつけられたこともあってまともに答えられない。

 ただ、慌てているんだろうという事だけは気配で伝わってきた。

「と、とりあえず落ち着いて。話聞いて」

「あ、ああそうだよね。落ち着くね」

 そのままの姿勢で凛は二度三度と深呼吸する。

「デートって何!?」

「落ちつけよ!」

 深呼吸したはずだろ。なんでより一層パニックになってんの。

「い、いや落ち着いて深呼吸したら事の重大さに気がついて」 

 そんなたかがデートでオーバーな。いやしたことないけどデート。でも今回はデートが目的じゃないわけで。

「とりあえず一回どいてくれる?」

 俺の体にのしかかったままの凛の体をどけるように告げると、凛は謝りつつどいてくれた。

 パンパンと体についたほこりを払い、仕切り直してもう一度。

「じゃあデートしよう」

「な、なんで・・・・?なんで凛なの?かよちんとかの方がかわいいのに」

 ここのところの凛は俯いてばかりだ。

「なんでって凛はかわいいからだよ。凛はかわいいということを証明するためにデートするんだ」

 そう。凛は慣れていないのだ。自分自身に。スカートをはく自分も、かわいいといわれる自分も、ドレスを着てファッションショーに出る自分も。慣れていないから不安になって恐れる。もし、似合ってなかったら。もし、また馬鹿にされたらと。

 だから俺がその不安も不慣れも取り払う手伝いをする。そのためのデートだ。

 嫌とは言わせない。

「ほら、行こう」

「ま、待って!分かったから分かったからちょっと待って」

 ようやく引っ張って行ったと思ったら三度止められる。

「も~う、今度は何?」

「デートってどこに行くの?」

「駅前のショッピングモールだよ」

 そこで凛はかわいいということを認めさせてやるんだ。

「ほら早く行こう」

「ま、待ってって!今はほら。凛、汗かいてるし、練習着だし、一旦、一旦家に帰らせて。お願い」

 校門まで連れて行ったところでそうまくし立てられ、立ち止る。凛の方を振り向くと非常に焦ったような、切ないような表情をしていた。

「・・・・分かった。けど、ドタキャンとかなしだからね。絶対デートするからね」

「――――――――わ、分かった」

 凛の顔が売れたトマトのように真っ赤に染まる。

「じゃ、じゃあ1時間、いや1時間30分後に駅前ってことで・・・」

 凛は何かを計算しているような素振りで場所と時間を指定する。

「分かった。絶対来てね。来なかったら凛の家まで行くからね」

 凛の家知らないけど。花陽に聞けばわかるかな。

「わ、分かった。分かったからそんな強く言わないで///」

「?」

 だって強く言わなきゃ凛が来てくれるかどうかわからないじゃないか。まったく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ということで無事にデートの約束を取り付け一足早く駅前へ。

「で、なんで花陽と真姫ちゃんもいるの?」

「そんなの雪君が凛ちゃんに粗相をしでかさないか見張りに来たんだよ」

 隣でにこやかに笑っている花陽はすこしこわい。

 大体、粗相って何だ。おしっこでも漏らすと考えているのか花陽は。俺もう高校生だぞ。

「そうよ。大丈夫、二人の邪魔はしないから。邪魔はね」

 ふふ、ふふふ。と二人が邪悪なオーラを身にまとって笑う。二人の後ろからどす黒い何かが見えるのは気のせいだと信じたい。

「ん?あれ、凛かな?」

 二人から目を逸らす形でたまたま凛を見つける。確かに駅前とは言ったが詳しく場所を指定したわけではなかった。しっぱいしっぱい。

「そうみたいね。凄くそわそわしてるもの」

 真姫ちゃんの言うとおり、あっちをきょろきょろこっちをきょろきょろしたかと思えば、鏡で顔をチェックしたり、服装をチェックしたりしている。スカートではなくズボンだ。

 だがその様子は、紛れもなくかわいい女の子のそれだった。

「凛ちゃん。かぅわいいい」

 花陽がうっとりとやや巻き舌で凛を遠くから褒める。

「じゃ、私たちは陰から見守ってるから。くれぐれも凛を泣かすなよ」

 最後の一言と表情がやたら胸に突き刺さる。だけど俺はそんなことにはめげないし。凛は絶対泣かさないし。

 俺ってそんなに信用ないかね。

 なにはともあれ、真姫ちゃんが凛に見とれている花陽を引きずって物陰に隠れていくのを確認したのち、凛のもとへ足早に駆けていく。

「ごめん待った?」

「あ、ううん今来たところだから」

 勢いよく両手を振り、否定する凛。どこか気恥ずかしげだ。

「そ、それじゃあ早く行くにゃー!」

 片手を突き上げ、ずんずんと先に歩いて行く凛。どこか無理にテンションを上げているように思える。

「待って待って。はい」

 駆け足で凛に追いつき、右手を差し出す。

「・・・・え?」

「ほら、一応デートなんだし手をつなごうかと思って」

「―――――――!!///」

 なにやらのけぞっている凛。あれ?そんなに嫌だったの?

 若干ショックを受けながら、差し出した右手が気まずくなる。

 すると、そんな俺を察したのか、恐る恐るといった様子でプルプルと震えた右手が俺の右手に触れる。

 そんな些細なことに嬉しくなってしまう俺はきっと簡単なのだろう。

「も、もう!早く、行こ?」

 そっぽを向く凛に微笑みながら、ふと後ろが気になり振り向く。花陽達は隠れていたがすぐに分かった。なぜってそこだけ異様なんだもん。花陽はなんだか悶々と頭を打ち付けているし、真姫ちゃんはブツブツと口が動いている。

 もう後ろは振り向かないと決意して、凛だけを見ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 ショッピングモールに入ってまずすることは、凛の服を買う。それもスカートを、だ。

 凛のトラウマはスカートが一つの引き金となっている。昔、あまりスカートをはかない凛が、たまにはいてきたその日に男子達にからかわれたらしい。

 その男子達は特定次第血祭りにあげるとして、まずは凛が最優先だ。

 制服やライブでは普通にスカートを履けているところを見るに、きっと一人だけという状況が駄目なのだろう。だから私服ではスカートをはかないのだ。

 ならばまずスカートに慣れさせることが重要だ。

「ど、どこに行こうか?」

 凛がこちらを振り向き訪ねる。

 まずは先ほどの条件に合った店を見つけなければいけない。とはいっても俺はそんなにファッションに詳しくないし、このショッピングモールにある店々がどんな類のものかが分からない。

「困ったな」

 なにせ急な話だったので下準備ができていない。

「何かお困りでしょうか?」

 そう思っていると、不意に前方から声をかけられる。

 すらりとした長い手足に、さらさらとした目立つ綺麗な金髪。そして明らかに不自然なサングラスが怪しく黒光りしている。

 どこかで見たことあるようなその人はどうやら、このショッピングモールの案内係のような制服を着ていた。

 というか、完全に知っている人だった。

「何やってるんですか絵里先―――――――――」

 輩。と続けようとしたところで思いっきり口を両手で塞がれホールドされる。

「むぐむぐ」

「黙って知らないふりをしなさい。あなた困ってるんでしょ?」

「な、なぜそれを」

「すこし考えればあなたがファッションに疎いくらいわかるわ」

 そ、そうなのか。分かってしまうのか。

 それだけ言うと、絵里先輩、もとい案内係のお姉さんはぱっと手を離しすぐに姿勢を正す。

「それで、どんなことにお困りでしょうか?」 

 サングラスで表情がよく読めないが口元から笑っているのだろうということはかろうじて分かった。

「あ、えーっとスカートが多く置いている店って知りませんか?お姉さん」

 凛は明らかに怪しんでいる表情を浮かべていたがなんとか俺が取り繕う。

「!!お、お姉さん!・・・・がはっ!!」

「ちょ、お姉さん!?どうしたんですかお姉さん!」

 急に倒れ込むお姉さんを抱える。

「あ、亜里沙とはまた違う姉の響き。これもまたいとおかし」

 何か意味不明な事を呟き、がっくりと意識を失ってしまった。なんだというのだろう。

「どうした!何事だ!」

 あ、やばい。どうやらこの状況を見て警官が駆けつけてしまったようだ。こんなところで時間を浪費するわけにはいかない。なにせファッションショーは明日なのだ。

「なんだ、どうしたウジ虫ども」

 ウジ虫?

 突然飛び出た言葉にびっくりして警官を見あげる。婦警の制服に身を包んだ警官は、サイズが合っていないのかすこし胸のところを苦しそうにしている。そして顔にはサングラスが。 

 というか完全に希だった。婦警のコスプレをした希だった。

「何してるの希?」

「希ではないハートマン軍曹だ!」

「いや違うよね?絶対違うよね?」

 希は先ほどから直立不動で敬礼したまま動かない。

「うるさいクソ虫!言葉の最初と最後にサーをつけろ!」

「サーイエッサー!」

「あれ?凛?」 

 どういうわけか凛もまた直立不動で敬礼している。

「あ、あのスカートを多く置いている店を探しているのですが・・・・」

 というかそのキャラは何なんだ。

「これは違うぞ!決して昨日の夜フルメタ●ジャケットを見たからではない!」

「確定だよね!現行犯逮捕だよね!ていうかこちとらそんな事聞いてないんだよ!」

 完全に影響されてるよ。

 というかさっきから何なんだ。絵里先輩といい、希といい。まだショッピングモールの入り口から動いてすらいないんですけど。

「ん?スカートならどこも大体一緒だ。好きなものを探すがいい」

「あ、答えてくれるんだ」

 意外とやさしいみたい。

「じゃ、探しに行こうか」

 ということで二人は置いて行き、どこか適当な店に入る。

 すると、凛が困惑した表情をしていることに気がついた。

「どうしたの?」

「スカートって何?」

 ああ、そう言えばデートとしか凛に入っていなかった気がする。

「ここにはスカートを買いに来たんだよ」

「それってもしかして・・・・」

 凛は驚愕に目を見開く。

「雪ちゃん、ついに女装に目覚めたの・・・・?」

「違うわ!そうじゃないよ!!」

 なにがどうなったらそう言う話になるのかとんと見当がつかない。おかしい、絶対におかしい。

「凛のスカートを買うんだよ」

「え!?い、いやいいよ凛は。似合わないよ」

「そんなことは履いてみてから決めよう」

 とりあえず適当に見つくろったものを凛に手渡す。

「で、でも・・・・」

「いいからいいから」

 無理やりに試着室まで引っ張って行き、中に押し込む。

「着替えるまで出てきちゃだめだからね。遅かったら開けるから」

「そ、そんなの反則だよ」

 弱弱しい声にちょっぴり罪悪感を感じるものの、木製のドアの向こうで着替える気配を感じてほっと胸をなでおろす。

 きっと今の凛にはこれくらい強引でないといけない。そして納得させてやる。凛がかわいいということを。

 

 

 

 

 少し時間がたってから試着室のドアが開く。

 出てきた凛はズボンからスカートに着替え、見事に似会っていた。

 気恥ずかしいのだろう。顔は下を向き、両手で必死にスカートを抑えている。ドアを開けるので精一杯だったのだろうか、一歩もこちらに出ようとはしない。

「ほら、かわいい」

「そんなことない」

 早口で否定する。ならば何度でも言ってやろう。

「かわいいよ。凛はかわいい」

「――――――――雪ちゃんは誰にでも言うから」

 ぼそっと心外な事を言われた。そんな節操なしみたいな真似しないよ。

「じゃあ店員さんに聞こう」

 すいませーんと、近くにいた黒髪のツインテールの店員を呼ぶ。背が少し低かったのでお客と間違えたかなと一瞬思ったが、こちらに歩いてくるのを見て間違ってなかったようだと安心する。

「はーい。うわー!お客さんすっごくかわいいですねー。にこちゃんほどじゃないですけど」

「すいませーん。チェンジ!」

「ないわよそんなシステム!」

 褒めるの下手か!なんだそのわざとらしい褒めは。最後の一言余計だし。なによりにこちゃんだし。またサングラス掛けてるし。もしかしなくても絵里先輩たちのあれはにこちゃんの入れ知恵だろうか。

 しかし、幸いというかなんというか、凛は俯いていて気が付いていないらしい。 

 仕方ないのでにこちゃんに聞く。

「ね?似合ってますよね?かわいいですよね?」

「今流行りのレースのスカートじゃないですかー。似会ってますよお客さん」

「ほ、本当に?」

 やった。凛がか細い声で訪ねる。

「ええ。でもにこちゃんの方がもーっと似会うと思い――――――」

 余計なひと言を加えようとするにこちゃんの口を両手で塞ぐ。

 すると、店の前を通りがかった女子の二人組がきゃっきゃっとはしゃいでいるのが聞こえる。

「あれ?ねーあれ超かわいくない?」

「かわいいー、スカート超似会ってるー」

 見ると二人ともいつの間にか私服に着替えた絵里先輩と希だった。相変わらずサングラスは外さないが。というか兼ね役かよ。

「あれ?本当だかわいいー。本当に超かわいいー。スカートが霞むくらいかわいいー。家に飾っておきたいくらいかわいいー」

「す、スカート似会うー。か、かわいいんじゃない?知らないけど」

 どうやらいつの間にかサングラスをかけた花陽と、真姫ちゃんまでいたようだ。真姫ちゃんはサングラス掛けても相変わらずだけど。スカート似会うーまでは良かったんだけどね。

 皆のかわいいコールの協力を背に、凛の方を向く。

 すると、凛は走り出してしまう。びっくりして追いかけると、角を曲がったすぐそこ、関係者入り口に連なる狭い通路に凛はいた。

 しゃがみ込んで顔を覆ってしまっている凛を見て、強引すぎたかなと反省した。

「・・・・・うへへ」

 けれど、その反省は杞憂だった。よくよく見てみると、顔はにやついていてだらしない。

 どうやらそんな顔を見せるのは恥ずかしかったらしい。

「――――――これで分かったろ。凛はかわいい。かわいくないなんて思ってるのは凛だけだって」

「・・・・そんなことない」

 またそっぽを向いてしまう。まだ言うか。

「それじゃあ認めるまで何度でも言ってやる。凛はかわいい。ふとした時にでる女の子らしさも元気が有り余って失敗しちゃうところも人一倍かわいいものが好きなところも運動してるときに見せる表情も笑顔も泣き顔も怒った顔も全部かわいい。かわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいい」

「も、もういいよ!///」

 照れたように俺の口をふさぐ。

 きっと凛は憧れているんだ。スカートをはくのもかわいいものを身につけるのも、憧れていて羨ましく感じるから、未練があるからこんなにも拒絶する。その憧れさえ奪われてしまうのが怖いから。かつてスカートを履くことを奪われてしまったように。

 だから。

「だから凛。俺を信じて。凛が信じる俺が言う、凛がかわいいってことを信じて。大丈夫。凛はそのままでかわいいんだから」

「―――――――――信じていいの?」

 凛はやっと顔を上げる。そのかわいらしい表情を見ればだれもかわいくないなんて言えないだろう。

「ああ。勿論さ。だからとりあえず。そのスカートを買いにいこっか」

「あ!・・・・・」

 試着室から持って来たままだったスカートをレジへともって行く。

 きっと誰しも自分に自信なんかない。でもそのなかで上手く折り合いをつけて自分とやって行かなくちゃならない。誰でもない自分と。凛はそれがちょっと他人より下手だった。ただそれだけの事だ。それでもこうやって笑いあうことができるんだから。

 でも、多分きっと俺よりは―――――――――――。

「あ、あのね雪ちゃん。私、あのドレス着たい。あのドレスでファッションショーに出たい」

「うん。知ってる。その件に関しては大丈夫さ」

 それより先は考えないようにして、凛の言葉に返答した。

 きっとみんな、ドレスを直していることだろう。凛の為に。

「知ってたのかにゃ!?い、いつ!?」

「最初っから。見てればわかるさ。半年とちょっとの付き合いでも」

 スカートの値段に戦々恐々としたり、見栄を張って大丈夫と言ったり、俺はまだまだかっこ付かないけど、それでも少しでも力になれたと思って良いのだろうか。少しでも凛が前に進める背中を押せたのなら、そう思うととてもうれしかった。

「ねえ。なんでここまでしてくれたの?」

「ん?なんでって、好きなものをそんなことないって否定されると訂正させたくなるだろ?」

「――――――――す、好き///」

「うん。好き」

 凛は突然しゃがむ。どうしたのかと思い駆け寄ろうとすると声と共に重力に引っ張られた。

「じゃ、次は私とデートね」

「あれ?」

 ショッピングモールから出たところで、いつの間にかサングラスをとっていた絵里先輩に後ろから右腕を掴まれる。 

「いやいや、じゃんけんで勝ったのはうちやでえりち」

「んん?」

 今度は希が左腕に。

「ちょっと私の事忘れないでよ!」

 後ろからのしかかってくるのはにこちゃんだ。

「ふん。バカみたい」

「そわそわしてるね。真姫ちゃんも行って良いんだよ?」

「な!い、行かないわよ!」

 花陽と真姫ちゃんは近くで何やら言いあっている。

 あー。重い。重いよチクショウ。いつの間にかこんなにも重くなってしまった。まったく、少し前の自分なら想像すらしなかったことだろう。

「ふふん。皆、雪ちゃんが好きなのは凛なんだよ?残念ながらにゃー」

「いや、俺は皆も好き―――――」

 ガンと頭を殴られた。グーで。痛い。

 ベーっと舌を出し、俺達から逃げるように遠ざかる凛からは笑い声が響く。

 頼もしい限りだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなことがあったのが昨日の話。ファッションショー当日。に男がいるのは変だと思って、俺は裏からこっそり見ていた。本当は家でおとなしくしておこうと思っていたのだが、気がつくと足を運んでしまっていた。絵里先輩がスカウトされていて何やってるんだと思った。こちらに気づくと、口パクで助けてと言っていたが、面白そうなので無視しておいたら後で凄く怒られた。涙目だった。 

 その内に凛がドレスを着てステージに立った。観客から黄色い歓声が飛び出ていたのを聞いたのを最後に俺は家路についた。

 自分が褒められているわけでもないのに、なんだか無性にうれしくなって鼻歌を歌っていた気がする。

 凛はきっともうスカート履くことにも動じないし、そんなことはなくスカートをはくかどうかにも一喜一憂するのかもしれないけれど、でも自分を蔑むことはなくなるのだろう。それは皆のおかげで、俺がしたことなんてただ、自分の気持ちを伝えただけだけど、それでも誇らしくて。ちょっとだけ自分というのが認められるような気がした。

 気がしただけだったけど。




どうもヘーイ金剛デース!間違えた。高宮です。
活動記録でも書いたんですが、ラブライブの映画見に行ってきました。やばかった。思い出して三回くらい思い出し泣きしました。
CDと出るであろうブルーレイは絶対に買うことを決意して、映画館を出ました。
ラブライブは最高であるということを今一度確認して、これからも頑張ります。

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