ラブライブ!~輝きの向こう側へ~   作:高宮 新太

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生徒会なんてホントは地味

「え?生徒会長?」

 夏休みも終わり、ついに二学期が始まった。二学期は文化祭、体育祭、二年は修学旅行がある。花形の学校行事のオンパレードだ。

 中学校では俺の周りに変化などなくあっという間に終わり、全然楽しめなかったので、高校では目一杯楽しもう。

 そう考えていたのだが、目の前にとんでもないことを言う者が大勢で押し掛けてきた。

「そうそう!海田君、生徒会長になってみない!?」

 いまだ残暑が厳しい九月。外ではセミが鳴いている。教室ではクーラーの静かな駆動音と皆の期待の眼差しが一点に集中している。

「・・・・生徒会長ってツバサさんがやってるんじゃないの?」

 散々生徒会長権限を使ってたんだ。間違いない。

「ほら!もうすぐ生徒会選挙でしょ?ツバサ先輩は二年生だから引退しちゃうのよ」

 そうか。もうそろそろか。花形とまではいかないかもしれないが、これも重要な学校行事。生徒会選挙。それが約一月後に迫っていた。自分には関係ないものと思っていたので忘れていた。

「え?でも普通三年までやるよね?」

 ツバサさんは二年だから、後一年やろうと思えばやれるはずだ。ツバサさんが立候補すれば、選挙なんてあってないようなものだろう。

「普通はね。でもツバサさんは特例なの。三年で受験生になるってのもあるけど、アライズとしても活動しなくちゃいけないから、負担がね・・・」

 なるほど。今まではアイドルと生徒会長、二足のわらじを履いてきたわけだけどこれからはそこにさらに、受験生というわらじも履かなければならないわけだ。流石に三足のわらじは無理なので、どちらかを脱ぐ、となると生徒会長を後任に譲る方が適切だ。理に適っている。

 だが・・・・・。

「そこで、なんで俺なの?」

 生徒会長なんてやったことないし、器でもないと思うし、なにより生徒会に割く時間がない。昼は学校。放課後はバイト。がない日はミューズ。俺の予定表に空欄はない。

「だって!あのツバサ様と、ううん。それだけじゃない。英玲奈様とあんじゅちゃんとも仲良しの海田君が生徒会長になってくれれば百人力じゃない!!」

「それだけの理由で!?」

 なんてことだ。アライズと知り合いだと、この学校ではそれほどの価値があるということなのか。

「そうそう!それに海田君有名人だから立候補したらあっというまに票取っちゃうと思うよ?」

 有名人?俺が?

 呆けた顔をしていたのだろう、囲んでいた一人の女子が笑いながら教えてくれる。

「何その顔?まさか気づいてなかったの?海田君、一年生だけじゃなくて上級生にも有名だよ?」

「大体、あのアライズと白昼堂々イチャイチャしてたら、そりゃ有名にもなるって」

「イチャイチャ!?」

 いつ!?どこで!?誰が!?

「まぁまぁ。その話はまた今度ゆっくり聞きましょう」

 聞かれるんだ。

「で!どうするの!?」

 きらきらとしたいくつもの瞳に、戸惑う。

「いや・・・・・その、お誘いは嬉しいけど、やっぱり俺生徒会長って器じゃないと思うし・・・」

「そんなのやってみなきゃ分かんないじゃない!」

「うんうん。やってくうちに自信とかついてくると思うよ?」

「それに、うちらもサポートするし!」

 ・・・なんでこの人たちはこんなにも俺を押してくれるのだろう。正直、今初めて喋った子も大勢いる。

 俺が何かをした覚えはないのだけど。

「あ!じゃあ、ほら。ツバサさんに聞いてみよう!現生徒会長の意見も聞いておいた方がいいだろうし」

少なくとも、今。生徒会に割く時間的余裕はない。なので、ツバサさんなら事情もある程度知ってるし、この子たちを諭してもらおうと思い、ツバサさんに会うべく生徒会へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいんじゃない?」

「つ、ツバサさん!?」

 生徒会にはツバサさん一人だけだった。そんな生徒会へと足を踏み入れ、ツバサさんに事情を説明すると、そんな意外な答えが返ってきた。

「ですよね!?」「よーし、今から公約考えよう!」「いいね!」「誰が応援演説する!?」

 ツバサさんが好反応だったためか、後ろにいた女子もより一層盛り上がる。

「ちょ、ちょっと待ってよ、俺はやるなんて一言も―――――」「もちろん!」

 ツバサさんが席を立ち、盛り上がる女子たちを、一回り大きい声で制す。

「雪が、やりたいならよ」

 痛いほどこちらをまっすぐと見つめる瞳、そのきれいな瞳には、動揺する俺が映っている。 

「で、でも――――――」

「私は、あなたには少々自信が足りないと思ってるわ。生徒会長になれば、少しは自分自身を認められるようになるんじゃないかしら。もちろん、さっき言ったようにあなたがやりたいなら、だけど」

「自信・・・・」

「最終的に決めるのはあなたよ」

 自信、か。確かに、俺は俺に自信がない。それは痛いほどよくわかっている。だけど、それは別に、そんなに悪い事でもないはずだ。自信があり過ぎて、傲慢になってしまうよりかは、よっぽど。

 それに、そんな自分自身の事で、生徒会長に立候補などしてもいいのだろうか。学校をよりよくしたい、生徒の為に、って言う人もいるはずだ。

 そこまで考えて、俺はふとした疑問を思いつく。

「―――――――ツバサさんは、どうして生徒会長になったんですか?」

「私?私は・・・・内申よ」

「ええええええ!?」

 周りには、あまり聞かれたくないのか、こそっと耳打ちしてくるツバサさん。その内容に俺は思わず大きな声で驚いてしまった。

 急に大声をあげるので、後ろにいた女子たちも何事かとこちらを怪しむ。

「ちょっと!声が大きい!」「だ、だって・・・」

 内申って。いや確かに、それも理由にはなるけれど。

「ほら!アイドルで生徒会長って、周りの評価も上がるのよ」

 唇を尖らせるツバサさん。打算的だった。超打算的だったツバサさん。

 そんな話をしていると、不意に扉が開く。

「あー、遅れて悪かったなツバサ」

「遅いわよ。英玲奈」

「ごめんなさーい、先生につかまっちゃって」

「あんじゅ?」

 生徒会室に入ってきたのは、英玲奈先輩とあんじゅだった。

「あれ?どうして雪君がここに?」

「何かやらかしたんじゃないか」

 にやにやと笑う英玲奈先輩はとりあえずスル―する。

「あんじゅ達こそなんで生徒会室に?」

「え?やだなぁ。雪君、私たちも生徒会役員だからに決まってるじゃん」

 そうだったの!?し、知らなかった。

「それで雪君は?」

「それが、生徒会長にならないかって言われて・・・・」

「ああ!なるほど!確かに、雪は適任だろうな」

 適任?さっきから気になっていたが、なぜこんなにも俺を推してくれる人たちが多いのだろう。自分がそんなに人望があるとは思えないのだけれど。

 そんな俺の気持ちを悟ったのか、あんじゅが補足してくれる。

「うちの学校は、代々その時の有名人、というか顔役、みたいな人が生徒会長になってるの」

「え?なんでまた?」

「なんでも、生徒会長にはその学校の宣伝の意味合いが強いんだって。ツバサもそれで選ばれたようなもんだし」

「生徒会長は書類にハンコを押すくらいしか、雑務ないしね」

 その代わり、誰かが何かをやらかしたら責任を取らされるし、決して楽な仕事でもないけどね。とツバサさんが説明する。

 だとしたら、ますます俺には無理だろう。宣伝とか、できる気がしない。

「ま、あくまでも意味合いが強いってだけで、普通に業務を全うしてれば文句は言われないよ」

 英玲奈先輩が気を使ってくれる。

「・・・・・まぁ。後はゆっくり考えるといいわ。もしやるというのなら、推薦してあげる」

「――――――はい」

 この日は、それまでとなり女子も解散していった。皆一様に、やるなら一声かけてね、応援するから。と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?穂乃果も生徒会長!?」

「うん///実はそうなんだ」

 えへへと、照れたように笑う穂乃果がいるのはいつもの部室。ではなく、生徒会室だった。

 絵里先輩に生徒会長ってどんなもんか聞こうと生徒会室に寄ったら、穂乃果達がいたのだ。

 てっきり音ノ木坂はまだ選挙していないものと思っていたのだが、どうやら勘違いだったようだ。

 それにしても、穂乃果が生徒会長だなんて。

「似合わないね」「ひどいっっ!!」

「だから言うの嫌だったのにー」

 机に突っ伏し、じたばたする穂乃果。

「ちょっと、待ってください。雪。あなた今、も!って言いました?」

 隣で詰め寄ってくる海未は副会長。穂乃果を慰めていることりは書記。らしい。

「あ!・・・う、うん?言ったかなー?」

 流石は海未。細かいところまでしっかりと見逃さない。

「え!何!?雪君も生徒会長なの?」 

「いやー、まだっていうか、どうしようか迷ってるって言うか・・・・」

 そう、迷ってるんだ。最初は断るつもりだったのに、ツバサさんに言われ、こうして決断できないのが何よりの証拠。

 ことりに驚かれ、しどろもどろになる。段々と小さくなっていく語尾に、悩んでいるのが伝わってしまったのか、三人が顔を見合わせる。

「そうだねー。もし雪ちゃんが生徒会長になったらお揃いだね♪ムフフ」

 自分で言って、自分でにやつく穂乃果。

「それに、もし雪君が生徒会長になったらこれからは堂々と音ノ木坂に入れるね。生徒間交流とか、いろいろでっち上げれば」

 危ない事を、いつもの笑顔で言うことり。その考えはなかった。

「まぁ、ぶっちゃけ会長って言っても、そんなに気負わなくてもいいんじゃないですか。穂乃果でもやれてるんですから」「ちょっと海未ちゃん!それどういう意味!?」

 優しい笑顔で言う海未。みんなに励ましてもらっているのが分かった。

「みんな、ありがとう。ちょっと考えてみるよ」

「た、大変です!!」

「「「「?」」」」

 四人で話し込んでいると、勢いよく扉が開かれ、真姫ちゃん、凛、そして花陽が姿を現した。

「み、みんな今から部室に来て!」

「どうしたの真姫ちゃん?」

 穂乃果が息を切らす真姫ちゃんに訪ねる。

「いいからくるんだにゃー」

「ちょ、ちょっと凛」

 凛に手を引っ張られ、生徒会室を後にする。「あれ?雪ちゃん?なんでいるの?・・・・な、なんで手握ってるの?///」今気付いたんかい。そんでもって握ってきたのは凛だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな良くわからない雰囲気になった凛と共に、部室に入った。

「凛。穂乃果達は連れてきた?・・・・って、なんで顔赤いの?」

「な!なななな、なんでもないにゃー」

「ふぅん」

 凛が握っていた右手を離し、絵里先輩に何でもないと両手をパタパタしていると、遅れて穂乃果達もやってきた。先ほどから絵里先輩が俺に対して冷たい視線を送ってくるのは気のせいですかそうですか。

「もう~。何だっていうの真姫ちゃん」

「いいからパソコンを見なさい!」

 そう急かされ、パソコンの前に座る穂乃果。みんながその周りを囲んでいる。

「えー、なになに?えーっと、前回のラブライブ開催、皆さまの熱い声援につき、今回、第二回大会を開催することをここに宣言します。だって」

「第二回大会?」

 ことりが復唱する。

「ということはつまり、ラブライブがもう一度開催されるということですか?」

「そういうことや」

 海未の疑問に希が答える。

 ラブライブがもう一度開催される。その事に、みんな、もちろん俺も思い思いの喜びを表しているようだった。

 ただ、一番喜んでいると思った穂乃果は、ひとりお茶をすすっている。

「―――――――でなくてもいいじゃないかな?」

「・・・・はぁ!?何言ってるのよ穂乃果!?」

 にこちゃんが驚くのも無理はない。そんな言葉、誰も予想していなかったからだ。現に、みんなにこちゃんと同じ反応だ。

「・・・うーん。そんなに無理して出なくてもいいんじゃないかなって」

「穂乃果、ちょっとおでこ出して?」「ふぇ?」

 穂乃果のおでこに、自らのおでこをくっつけ、熱を測る。

「やっぱりちょっと熱い!熱があるんだ!」「ないよ!」

 そのあとみんなからいっぱい蹴られた。なんで?

「穂乃果、やっぱりあなたちょっとおかしいわ。雪もだけど」

「そうです。お腹が空いてるんですか?パン買ってきましょうか?雪は本当に頭おかしいですけど」

「それとも、なにか悩みごとなん?カードで占おうか?雪君はもう占わんけど」

「やっぱり具合が悪いんじゃいかにゃ?雪ちゃんは本当に病院言った方がいいけど」

「なんでみんな最後に俺に辛辣な言葉を投げかけるの!?」

 俺の悲痛の叫びは、みんなには届かず。結局、この日はもう少し良く考えてみるということで解散となった。

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと雪!聞いた?ラブライブ開催だって!」

「ええ、俺も昨日聞きました」

 UTXの生徒会室にいくと、ツバサさんが、上機嫌で話しかけてきた。他の二人は、まだいない。窓の外を見ると、しとしとと雨が降り続けている。予報だと今日1日は雨だそうだ。

「・・・嬉しそうですね?」

「はぁ?何言ってるの?当たり前じゃない。嬉しいわよ」

「いや、なんかそういうの、淡々としてるイメージがあったから」

「・・・まぁ、テレビとかじゃあそうね。でもやっぱり嬉しいわ。なにより、予選でミューズと当たるんだしね」

 すごく好戦的な表情。ツバサさんのこういう顔は、初めて見た。

「え?ミューズ、アライズと当たるんですか!?」

「ええ。何?知らなかったの?予選は前回と違って地区で分けるから、同じ地区にいる私たちとミューズが当たるのよ」

「・・・・・そうなんですか」

 それで穂乃果は、あんなこと言ったのかな。・・・・いや、違う。そういうのはあまり穂乃果は気にしないタイプだ。

「―――――ん?エントリーするわよね?」

 おお、流石ツバサ先輩だ。鋭い。心配するような眼でこちらを見る。

「・・・実は、穂乃果が、エントリーしなくてもいいんじゃないかって」

「ええ!?なんでよ?」

「――――――多分ですけど、前回、周りを見ずに失敗したトラウマで、またおんなじことやるんじゃないかって、思ってるんじゃないかと」

 ただの推測で、根拠なんて何にもないけど、考えられるとしたらそれしかない。

「・・・・でも、それじゃミューズはどうなるの?」

「え?」

「だって、ミューズには絢瀬さん達三年生がいるでしょ?もうすぐ、引退よ」

「・・・・あ」

 そうか、そうだった。絵里先輩達にとってこれがミューズとしてラブライブに出るラストチャンスなのだ。これが、9人で大きな大会にでる、ラストチャンスなのだ。

「――――すいませんツバサ先輩。俺、急用ができたんでこれで失礼します」

 穂乃果に伝えなきゃ。ラブライブに出ようって。

「いってらっしゃい」

 降りしきる雨の中。傘も差さずに全力疾走した。海未に連絡する。

「あ、海未?今穂乃果どこにいる?」

「急にどうしたんですか?穂乃果なら、神田明神で今からにこと勝負するみたいですけど・・・。ラブライブ出場を賭けて」

「ええ!?」

 なにそれ?どういうこと?

 相変わらず、世界は俺を待ってはくれない。俺が日蔭者だからかこの野郎。

 頭の中の目的地を神田明神にセットして、間に合ってくれと俺の脚に願った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結果。

「ま、間に合って、ない?」

 神田明神の階段の中腹。倒れているにこちゃんと、それを心配そうに見つめる穂乃果。

 勝負とやらはどうなったのか。近くにいた海未にそう尋ねた。

「これは、どうなんでしょう?とりあえず、雨宿りして、話を聞きましょう」

 ということで、階段を登り、門で雨宿り。

「穂乃果、三年生は、もう――――「引退、しちゃうんだよね」」

 海未が拭いてくれたタオルが、肩にかかる。穂乃果、気づいてたんだ。それとも、気づいたのか。

「・・・そうよ。3月になったら私たちは卒業。こうしてみんなといられるのは、あと半年。スクールアイドルを続けられるのも」

「そんな・・・」

 絵里先輩の言葉に、穂乃果はショックを受ける。

 そりゃそうだ。なにせスクール(・・・・)アイドルなのだから。学校を卒業と同時に、もう音ノ木坂のスクールアイドル。ミューズとしてはいられない。

「なにも、今すぐ卒業というわけではないわよ。でも、ラブライブに出られるのは、これで最後」

「9人で出られるのは、これで最後なんよ」

 絵里先輩の言葉を、希が補完する。

「私たちもそう。たとえ予選で落ちても、9人での足跡を残したい」

 自分の気持ちを言葉にする花陽に、凛も賛同する。

「出てみてもいいんじゃない?」

「・・・・みんな」

 穂乃果が、みんなの顔を眺める。

「どうせ、穂乃果の事ですから、また突っ走ってみんなに迷惑かけるかも。とか考えてたんでしょ」

 海未が、俺が思っていたこととおんなじことを口にする。

「・・・・・えへへ。バレバレだね」

 俯く穂乃果。しかし、すぐに顔をあげて自分の願いを口にする。純粋なる、自分の願いを。

「私ね。生徒会長だから、またみんなに迷惑かけるかもしれない。だけど!やっぱり出たいよ!あこがれのラブライブだもん!出たいよ!」

「大丈夫だよ穂乃果。言ったでしょ?穂乃果が周りを見れなくなったら、今度こそ絶対に俺が周りを見て穂乃果に伝えるよ。そして海未が止めてくれる。ことりが背中を押してくれる」

「うん、そうだね雪ちゃん!」

 穂乃果に、いつもの笑顔が灯る。みんなの力があれば、だれかの悩みは吹き飛ばせる。解決できるんだ。

 そしてみんなが歌う。

 最初は三年生が。可能性を感じたんだと。

 次に二年生が。そして進めと。

 そして一年生が。後悔したくないんだと。

 最後に穂乃果が。僕らの道があると。

「よーっし!やろう!ラブライブ、でよう!」

 感情が高ぶったのか、雨にぬれることもいとわずに勢いよく走りだす穂乃果。

「うおーーーーー!雨!止めーーーーーー!!!」

 大声で、天高くそう叫ぶと、不思議なことに見る見るうちに雲が晴れ、叫んだ通り、雨がやんだ。

「う、嘘おお!?」

 にこちゃんがビビる。

「本当に止んだ!人間その気になれば何でもできるよ!元気があれば何でもできるよ!」

「いやこれは無理だと思うにゃ!!」

「というか人間業じゃないわ!流石の猪木でも無理よ!」

 凛と真姫ちゃんが突っ込む。

「いや、穂乃果ならできても不思議じゃないよ」 

「いや雪!不思議でしょこれは!天候操ってんのよ!?」

「まぁまぁ絵里ちゃん。ぶっちゃけフィクションでの雨なんて心理描写なんだし」

「それ言ったら元も子もないで。ぶっちゃけすぎや。ことりちゃん」

「――――もうこれはラブライブ出場だけじゃもったいない。目指すは優勝の二文字だよ!みんな!」

 こうして、彼女らはラブライブ優勝を晴れた空に、こまごまとした雲に、誓った。

 

 

 

 

 

 

「それで?どうするの?」

 みんなが雨上がりの階段を勢いよく駆けていく中、隣でことりが訪ねてきた。

「なにが?」

「生徒会長の事ですよ」

 隣で、穂乃果が脱いだブレザーを抱えた海未が指摘する。

 両隣りに見つめられ、仕方ないなぁと俺は一つの決心をし、電話をかけた。

「・・・・あ。ツバサさんですか?あの、俺。生徒会長になることにしましたんで推薦してください」

 そう言って、返事は聞かずに電話を切った。分かりきったことだったから。

「ありがとう。海未。ことり」

「あなたが言ったんですよ。逆もまた然りって」

「そうだった」

 笑って、二人に背中を押してもらう。実はちょっと興味あったなんて、二人はきっと気づいてる。

 こうして俺は、UTX学園の第何代目かの生徒会長になった。




どうもばらかもんに出てくるような人たちがいるなら、島に住みたい高宮です。
書くこと?ねぇよ!!そんなホイホイ話題のネタとかないよ!
あー、もうすぐ映画公開しますねー。楽しみです。予告映像の真姫ちゃんで、妄想が爆発しました。ついでに頭も爆発しました。人生初のパーマ掛けに行ったんですけどね、これが、熱い、臭い、痛いの三銃士が襲ってきやがりまして、まあ仕上がりは良かったし、店員かわいかったからいいんですけど。
・・・・・あれ?話のネタあったわ。

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