緋弾のアリア 欲望の交差   作:彩花乃茶

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counttheMedal!現在オーズの使えるメダルは

タカコア×1
コブラコア×1
プテラコア×!
クジャクコア×1
トラコア×1
カメコア×1
コンドルコア×1
バッタコア×1
ワニコア×1


集まるメダルと乗っ取りとオールコンボ

「ギャアァァァァァァァオォォォォォッ!!」

 

 その翼竜のような怪物・・・特徴を見るかぎりではガラの怪人態が変化したような怪物は獲物を見つけたかのように俺達へと急降下をすると、俺達に尻尾を振り下ろしてきた。

「おいおい・・・モンハンでもさせる気かよ?」

 

 俺達はすぐさま跳び下がって攻撃を回避して戦闘体勢になる。

「こっちが本命だったか・・・ハァッ!」

 

 NEW電王はマチェーテディを狙撃銃のように構えてエネルギー弾を数発放つが・・・まったくもって怯んでいるようには見えない。

「ギャアァァァァァァァオォォォォォッ!!」

 

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 俺はガラ・怪物態の体当たりが直撃してしまうと、一気に樹海の外にあった博物館などの施設がある場所まで吹き飛ばされてしまった。

「相棒ッ!?・・・ライダーキック!」

 

『RIDER KICK』

 

 キックホッパーはライダーキックをガラ・怪物態へと決め込むが・・・ガラ・怪物態は動きを止めることなく暴れまくる。・・・あの様子だと、大量のコアメダルを取り込んだのはいいが、制御ができていないような感じだな。

「遅れてすまないッ!」

 

『クレーンアーム』

 

『ドリルアーム』

 

 修復したバースドライバーでバースに変身してからやってきた後藤はクレーンアームの先端にドリルアームをドッキングさせた状態でワイヤーを伸ばし、ガラ・怪物態の右足を巻きつけるが・・・その動きはまったく止めることはできていない。

「なんてパワーだ・・・うわぁぁぁっ!?」

 

 そして蹴り上げと共に振り払われてしまったバースは翼で弾かれて、どこかに飛ばされていってしまった。

「後藤ッ!?・・・こっのぉ!!」

 

 俺は空中に飛び上がろうとしていたガラ・怪物態に対してバッタレッグの超脚力で跳び上がると、展開したトラクローで斬り付けようとしたが・・・

「うわぁぁぁぁっ!?」

 

あっさりと弾き飛ばされてしまった。

「こうなったら・・・ライダースピリッツ・・・ぐおっ!?」

 

 キックホッパーは自身の最大の必殺技であるライダースピリッツキックを放とうとしたが・・・それを放つために必要な‘溜め’の動作の途中でガラ・怪物態の尻尾に弾き飛ばされてしまった。

「矢車っ!?」

 

「うわぁぁぁぁっ!?」

 

 俺が弾き飛ばされてしまったキックホッパーの方向を向いていると・・・俺が視線を外している間にNEW電王までもが蹴り飛ばされてしまっていた。

 

「ワトソンッ!?」

 

「ギャアァァァァァァァオォォォォォッ!!」

 

「くっ!?どうすれば・・・」

 

 圧倒的な力で暴れまくっているガラ・怪物態に対してまだヒステリアモードが続いていた俺は、その頭をフル回転させて対策を練る。・・・あいつに挑むにはコンボになるしかないが、今使えるコンボ・・・タジャドルコンボとブラカワニコンボじゃ奴のパワーには敵わない。

「逆転の一手さえあればな・・・」

 

「だったらこいつを使えッ!」

 

 いきなり聞こえてきた声の聞こえた方向に俺は視線を向けると・・・俺に向かって1枚のメダルが投げ飛ばされてきた。

「っ!・・・これはイマジンとショッカーコア・・!」

 

 2枚のメダルが飛んできた方向に視線を向けると・・・そこには1号や2号と似ているが見たことがない白い車に乗ったライダーがいた。

「あのコンボを使って逆転っていうのを見せてやれ!」

 

「誰だか分からないけど、ありがとうございます!」

 

 謎のライダーからその2枚を受け取った俺はタカとイマジン、そしてショッカーの3枚をベルトにセットしてスキャンする。

『タカ!イマジン!ショッカー!タマーシー!タマシー!タマッシーー!ライダァァァッ!魂(タマシー)ぃ!!』

 

 オーズ・タマシーコンボへとなった俺は後ろに跳び下がってガラ・怪物態の火球を回避すると腰のオースキャナーを掴む。

 

『スキャニングチャージ!』

 

「ハァァァァッ!セイヤァァァァァっ!!」

 

 そしてタマシーコンボに使われているメダルのシンボルマークのようなエネルギー弾を放つと・・・ガラ・怪物態の胸部からは数十枚のメダルが周囲に飛び散った。

「これは・・」

 

 俺はそのメダルの中で偶然足に引っかかったタカのメダルを手に取る。

「っ!・・・相棒!これを使えッ!」

 

 飛び散ったメダルの中から丁度よくクワガタとカマキリ、そしてバッタのコアメダルをキャッチしたキックホッパーは、俺にその3枚のコアメダルを投げ渡してくる。

「・・・・っ!」

 

『クワガタ!カマキリ!バッタ!ガ~タッ!ガッタガタッキリバ ガッタキリバッ!!』

 

 その3枚をキャッチした俺はすぐさまオーズ・ガタキリバコンボにコンボチェンジをして大量に分身をしてガラ・怪物態へと立ち向かっていった。そしてキックホッパーだけではなくバースとNEW電王もそれぞれメダルを掴み取った。

「これはシャチとウナギ・・・それにタコのコアメダルか?」

 

「・・・こっちは紫のコアメダルが3枚だよ」

 

 バースは青いコアメダルを3枚掴み取り、NEW電王は紫のコアメダルを3枚握りしめていた。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・

・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・

 

 俺がオーズ・タマシーコンボにコンボチェンジをしてタマシーボンバーでガラから数十枚のメダルを削り取った時、俺のところに走っていた途中のアリアの頭に1枚のコアメダルが落ちてきた。

「はうっ!?・・・痛いわねぇ。・・・ってこれ!?」

 

 アリアは自身の頭にぶつかったメダルを拾いあげる。その赤いコアメダルには鷹のようなマークがついていた。

「えっ?あれは・・・」

 

 意識を取り戻した白雪もアリアと共に俺達が戦っている場所へと向かっていると・・・白雪の手前には黄色の3枚のコアメダルが落ちてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 アリアと白雪の反対方向、レキと合流した理子も俺達が戦っている場所へと向かっていた。

 

「理子さん、上から何かが落ちてきます」

 

「えっ?・・・おっとっ!」

 

 左右の髪を操ってメダルを3枚キャッチした理子はそのメダルを確かめると・・・そこには灰色のコアメダルが3枚収まっていた。

 

「・・・・・」

 

 レキも自身のもとに落ちてきた1枚のメダルに視線を移すと・・・その黒いサソリのメダルを眺めたレキはポケットからさらに2枚の黒いメダルを取り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「ハァァァァァァァァッ!」」」

 

「「「セイヤァァァァっ!」」」

 

 50体にまでガタキリバを分身させた俺は力には数で攻めるためにも一斉にガラ・怪物態へと立ち向かっていく。

「「「うわぁぁぁぁぁぁっ!?」」」

 

 しかしいくら数では勝っているとしても相手の大きさやその力にはさすがに敵わず、次々とガタキリバが振り払われてしまう。・・・いくら分身といっても感覚は共有で実質ダメージは50倍になるからめちゃくちゃ辛いな。

「はぁ・・・はぁ・・・何とかしてチャンスを作らないと・・・」

 

 最初は50人もいたガタキリバの分身も、次々と振り払われたりしてしまい、この場に残されている数は本体である俺も含めて10人まで減らされてしまった。

「何やってるのキンジ!しっかりしなさい!」

 

「頑張ってキンちゃん!」

 

 俺は声の方向に振り向くと・・・そこにはアリアと白雪が立っていた。2人とも手に何かを持っているな。あれは・・・もしかしてメダルか?

 

「きーくん!せっかく数で勝ってんだからはやくハントしなよ~~!」

 

「負けないでくださいキンジさん」

 

 反対側には理子とレキまでもがやってきた。2人もそれぞれメダルらしきものを持っているな。

「トオヤマ、ボク達も持っているよ」

 

「これを使え!」

 

 NEW電王とバースも手に持っていたメダルを俺に見せてくる。なるほどな。お前らの言いたいことがなんとなく分かったぜ。なら要望通りに前にエヴィル首領・・・ダークディケイドがやっていた荒技ってのを俺なりにやってみるか。

「深い意味はないけど・・・」

 

『クワガタ!カマキリ!バッタ!ガ~タッ!ガッタガタッキリバ ガッタキリバッ!!』

 

 ベルトから一度コアメダルを抜き取ったガタキリバのは、再びそのメダルをベルトにセットしてから、ベルトを再スキャンしてカマキリソードを上段から振り下ろせるような構えをした。

「キンちゃん!」

 

「ありがとな白雪!」

 

『ライオン!トラ!チーター!ラッタッ!ラッタッ!ラトラ~タ~~!!』

 

 白雪から黄色の猫系コアメダル3枚を受け取ったガタキリバはベルトのメダルを外して、そのメダルをセットしてスキャンし、オーズ・ラトラーターコンボに変身してトラクローを展開した。

 

「きーくん!」

 

「サンキュー理子!」

 

『サイ!ゴリラ!ゾウ!サッゴーゾ・・・サッゴォォゾォ!!』

 

 理子から灰色の重量系コアメダル3枚を受け取ったガタキリバは、ラトラーターコンボに変わったガタキリバに続いてオーズ・サゴーゾコンボへと変身して両腕のガントレットをぶつけて音を鳴らした。

「遠山!」

 

「あぁ!」

 

『シャチ!ウナギ!タコ!シャッ!シャッ!シャウ~タ~!シャッ!シャッ!シャウ~タ~!』

 

 バースが投げつけてきた青色の水槽系コアメダル3枚を受け取ったガタキリバはオーズ・シャウタコンボへと変身して電気ウナギウィップで地面を叩いた。

「・・・これは自分でだな」

 

『タカ!クジャク!コンドル!タ~ジャ~ドル~~!!』

 

 アンクのコアメダル3枚をメダルホルダーから取り出したガタキリバはオーズ・タジャドルコンボへと変身してタジャスピナーを正面に構えた。

「キンジさん、お使いください」

 

「サンキューレキ!」

 

『サソリ!カニ!エビ!サッカッエッ!サッカッエッ!サッカエ~~ロ~!!』

 

 レキからノブナガの形見である黒のメダルを受け取ったガタキリバは擬似的なコンボ形態であるオーズ・サカエコンボへと変身をして2本の刀を構えた。

「トオヤマ!受け取れッ!」

 

「げっ!?恐竜メダル!?」

 

『プテラ!トリケラ!ティラノ!プットッティラ~ノザウル~ス!』

 

「ガアァァァァァァァウッ!」

 

 NEW電王から紫の恐竜コアメダルを受け取ったガタキリバは厄介なメダルである恐竜コアに驚きつつも、そのメダルを使って最も凶暴な形態であるオーズ・プトティラコンボに変身をして咆哮をした。

 

「これももう1回!」

『タカ!イマジン!ショッカー!タマーシー!タマシー!タマッシーー!ライダァァァッ!魂(タマシー)ぃ!!』

 

「ハァッ!」

 

 再度オーズ・タマシーコンボへと変身をした俺は1号の変身ポーズと同じようなポーズをした。

「はいパス!」

 

「あぁ!」

 

『コブラ!カメ!ワニ!ブラカ~~ワニッ!』

 

 タジャドルコンボからメダルホルダーを受け取って橙色の爬虫類系コアメダルを取り出したガタキリバは、そのメダルを使ってオーズ・ブラカワニコンボへと変身をした。

「キンジ!ここまで来て負けたら風穴だからね!」

 

「分かってる!」

 

『タカ!トラ!バッタ!タットッバッ!タトバ、タッ!トッ!バッ!』

 

 アリアからタカのコアメダルを受け取った俺はトラとバッタのコアメダルもセットしてタトバへと変身をした。・・・これで全部のコンボが揃ったな。ブラカワニコンボの回復能力のおかげで疲労感もほとんど感じない。

「わ~~~お!オールコンボだぁ!まさに負ける気がしない!」

 

 オールコンボが横一列に並び立った光景を目にした理子は興奮しながらこちらに活躍を期待するような視線を送る。

「キンちゃんが・・・キンちゃんがいっぱい・・」

 

 白雪は・・・先ほどまでガラが身体を乗っ取っていて鋭い視線を送っていたことが嘘のように、よだれを垂らしながらデレっとした笑いを見せていた。

「・・・・・」

 

 無言でこちらに視線を送るレキの口は・・・黙っているときは開いていない口が少しだけ開いている。・・・あれで驚いているのか?

「キンジ!決めちゃいなさい!」

 

「「「「あぁ、分かった!」」」」

 

 アリアが俺にそう告げてきたのでオールコンボの俺は、アリア達の方を振り向きながら頷くと一斉にオースキャナーを手に取った。

 

『『『『スキャニングチャージ!』』』』

 

オールコンボの俺は一斉にオースキャナーでベルトを再スキャンすると・・・それぞれのコンボの俺は、それぞれの身体にコアメダルの力を溜め込む。

 

「ハァァァァッ!セイヤァァァァッ!!」」

 

 真っ先にブラカワニコンボが駆け出すと・・・そのままスライディングをしながらガラ・怪物態へと跳び上がって噛み付きエフェクトのキックを決め込んだ。

「オオオオォォォォ!」

 

「ハァァァァッ!」

 

 続くサゴーゾコンボはドラミングで重力操作をして地面にガラ・怪物態を押し付けて動けないようにさせると・・・サカエコンボも電磁力を操ってしてガラ・怪物態の両翼をくっつけた。そしてそのままサゴーゾコンボは頭突きと両拳を同時にガラ・怪物態へとぶつけると・・・サカエコンボも2本の刀を重ねてブーメランのように投げつけた。

「セイヤァァァァァっ!!」

 

 そこにタマシーコンボはタカとイマジン、そしてショッカーのメダルのようなマークのようなエネルギー弾を放つ技、タマシーボンバーを放った。

 

「ガァァァァァウ!!」

 

 プトティラコンボは翼を羽ばたかせてガラ・怪物態の足を凍らせると、羽ばたきながら特攻していき、振り下ろした尻尾でその頭部を力いっぱい地面に叩きつけた。

「セイヤァァァァァァっ!」

 

 ラトラーターコンボは跳び上がり際に両爪をクロスさせるようにしてガラ・怪物態を切るつけると、地面へと落ちるタイミングでもさらにクロスをさせるようにしてさらに切りつけた。

 

「「「ハァァァァッ!」」」

 

「セイヤァァァァァっ!」

 

 本体である俺が変身しているオーズ・タトバコンボに続いてタジャドルコンボ、ガタキリバコンボ、シャウタコンボは一斉に空中に飛び上がると・・・シャウタコンボはタコレッグの触手をドリルのように回転させてガラ・怪物態へと蹴り込んだ。

「セイヤァァァァァっ!」

 

「セイヤァァァァァァっ!」

 

 1体だけのガタキリバコンボはそのまま単体でのキックを決めると・・・続くタジャドルコンボも空中で一回転をしてからコンドルレッグが変化した炎のツメで両足蹴りを決め込んだ。

「ハアァァァァッ!セイヤァァァァッッ!!」

 

 そして俺はタカコアの力を解放して半透明な赤い翼を広げながら最後にガラ・怪物態へと蹴りこんだ。

「ギャァァァァォォォォォォ!?」

 

 オールコンボの必殺技をまともに喰らったガラ・怪物態はそのまま爆散して周囲には数千枚はありそうな大量のセルメダルが雨のように周囲に降り注いだ。

 

「わ~~お大量大量!!」

 

 理子は降り注ぐセルメダルを地味に痛がりながらも、大量のセルメダルを幾らか手に掴んで空にばら撒いた。

 

「欲望の・・・雨だな」

 

 ガタキリバコンボの分身が変身したコンボが消えてその場にそれぞれのメダルが落ちると・・・恐竜コアメダル3枚は俺の身体へと戻ってきた。

「やっぱりこのメダルからはもうしばらく開放されないか・・・」

 

「キンジ!あれを見て!」

 

 

 アリアが指差す場所に視線を向けると・・・アンクのコアメダル6枚が一箇所に集まり出して周囲のセルメダルで形を作り出していた。よかった・・・これでアンクも戻って全部解決だな。

「待って・・・何か様子が変よ」

 

 赤いコアメダル6枚はアンクの怪人態の形を構成し始めたが・・・その姿は部分的にショッカーグリードの装飾をつけていた。

「アンク・・・?」

 

「・・・っ!?」

 

 様子がおかしいと思った俺はゆっくりとアンクに近づこうとすると・・・アリアは後ろから飛んできた何かに気づいた。

「キンジ!後ろッ!」

 

「なっ!?・・・ぐあっ!?」

 

 アリアの声で俺は後ろを振り返ろうとしたが・・・高速で飛んできたそれを回避することは間に合わず、それは俺の身体の中に入ってきてしまった。

「ぐっ!?・・・ガァァァッ、くっ・・・まさかこのタイミングで紫のコアメダルがもう1枚入るなんて・・・」

 

 入る直前に見えたマーク・・・たしかトリケラコアメダルだったな。・・・やばいぞ。今までは3枚だったから慣れとかのおかげで押さえ込めてたけど、いきなりメダルが増えたせいで力が抑えきれない。

「ガァァッ・・」

 

 このままじゃまた暴走してしまう。

「いったい誰が紫のコアメダルを・・・」

 

「ワイらやで」

 

 アリア達は周囲を見渡して紫のコアメダルを投げつけた人物を探すと・・・近くの建物の屋上からはカザリとアックスが飛び降りてきた。

「お前は少し厄介なんでせっかくの恐竜コアやけど、それで足止めさせてもらうで」

 

「・・・よくも相棒を・・」

 

『RIDER JUMP』

 

 カザリへと駆け出したキックホッパーはライダージャンプで跳び上がると空中でキックの体勢になって急降下しようとする。

「ライダーキック・・・・っ!?」

 

 

 そしてキックホッパーがライダーキックをカザリに決め込もうとするも、カザリの操る風に妨害される。

「ぐっ・・・アン・・・ク・・」

 

 紫のメダルを必死に押さえ込みながらも俺はアンクにゆっくりと近づこうとするが・・・アンクはこちらも振り向かずに俺の足元に火球を放ってきた。

 

「何をやってんのよアンク!」

 

「「「・・・・・」」」

 

 アリアは怒鳴りながら2丁のガバメントをアンクに向けると・・・白雪も刀を抜いて、理子もふざけてる表情ではなく‘裏’のような真剣な目つきで双剣双銃で構え、レキもドラグノフでアンクを狙った。

 

「・・・アンク?それはこの欲望によって作られた身体に宿っていた‘物’の名前か?」

 

「アン・・・ク?」

 

 様子があきらかにおかしい。・・・こいつはアンクだけどアンクじゃない?いったいこいつは何者だ?

「ようやく乗っ取りきったんだ。だいぶ長かったんだね・・・ショッカーグリード」

 

「なっ!?」

 

 ショッカーグリードだと!?ショッカーグリードはエヴィルの城で本郷さんと一文字さんが確かに倒したはずじゃあ?

「どういう・・・ことだ?」

 

 俺はショッカーグリードと呼ばれたアンクを睨みつけると・・・アンクは自身の身体についている蛇のような装飾を動かす。

 

「イザと言う時のために私が取り込んできた赤のコアメダル3枚に、思念をバックアップを用意していたのだ。思った以上にあの‘物’もしぶとかったが・・・自分の意思でメダルとなって崩れてくれたおかげで、そこからは難なく乗っ取ることができたぞ。それに乗っ取るまでに時間が掛かったおかげでそれぞれの仮面戦士の戦闘力もおおよそ把握した。余興だ・・・少し相手をしてやるから掛かって来い」

 

 ショッカーグリードが意識を乗っ取ったアンク・・・S(ショッカー)アンクは指で俺達を挑発すると・・・バースとNEW電王が前に出た。

「ワトソン・・・あいつを一度倒せばアンクに意識は戻ると思うか?」

 

『ブレストキャノン』

 

「可能性は無くはないね。・・・だからまずは・・・倒す!」

 

『セルバースト』

 

『FULL CHARGE』

 

 バースはブレストキャノンを装備してセルバーストを放ち、NEW電王もフリーエネルギーを溜め込んだマチェーテディでSアンクを倒すために攻撃をする。

「それが攻撃か?・・・攻撃というのはこうやるのだ」

 

「ぐわぁぁぁっ!?」

 

しかしバースのセルバーストは火球によって相殺され、そのまま2発目の火球を喰らって変身が解除されてしまった。

 

「良くて幹部クラスだな。だがその程度では私は倒せん。・・・貴様はどうだ?」

 

「うわぁぁっ!?」

 

 続くNEW電王はSアンクの操る蛇が鞭のような攻撃をしてきて変身が解除されてしまった。

「へぇ・・・さすがだね」

 

 その戦いを少しは離れた場所から見物するカザリは猫系コアメダル3枚を拾い、自身の身体に取り込むと・・・いつの間にかやってきたメズールとガメルもそれぞれのコアメダルを拾い上げて自身の身体に取り込んだ。

 

「アンク・・・ウオォォォォッ!!」

 

『プテラ!トリケラ!ティラノ!プットッティラ~ノザウル~ス!』

 

 プトティラコンボに変身した俺は地面からメダガブリューを取り出してSアンクへと斬りかかるが・・・俺はそれを振るう途中で以前アンクに「俺と戦うことになったら?」と聞かれたことを思い出してしまった。

 

「・・・っ!」

 

 そしてガブリューがSアンクへと直撃する寸前で俺の手は止まってしまった。・・・半年以上一緒に戦ってきたアンクを攻撃することができなかったからだ。

 

「畜生ッ・・・起きろよアンク!」

 

「呼びかけても無駄だぞ。もうあの‘物’に意識などはない。この身体は私のものだ」

 

 そう言ったSアンクは俺を殴り飛ばすと血のように赤い翼を広げて空中に飛び上がったので、俺も翼を広げて空中に飛び上がろうとしたが・・・いきなり飛んできた大量の火球に吹き飛ばされてしまった。

「余興は終わりだ。数々の首領が成し遂げることのなかった世界侵略・・・このショッカーグリードが達成してやろう」

 

 Sアンクは俺達にトドメを刺すために先ほどまでとは比べ物にならないほどの火球を放とうとすると・・・それを放とうとしている右腕の動きがいきなり停止して形成中だった火球は放たれる前に消えてしまった。

 

「くっ!?まだ完全に乗っ取りきったワケではなかったか。・・・ここはひとまず撤退するとしよう」

 

「だったら僕達のところに来ない?協力者がいるだけ楽だと思わない?」

 

 空中で自身の欲望・・・世界侵略を語り出したSアンクにカザリは何かを企んでいる雰囲気で話しかける。

「・・・何かを企んでいるのは分かっているが・・・ここはあえて乗ってやろう。お前達の拠点に案内しろ」

 

 そう言ったSアンクはカザリ達と共にその場を立ち去ってしまった。

 

「アンク・・・アンクゥゥゥゥゥゥ!!」

 

「キンジ・・・それ以上無理をしちゃダメ!」

 

 地面に倒れている俺は必死にSアンクに手を伸ばすが・・・無意識のうちに半ば暴走しかかってたせいでアリアに制止させられてしまう。

「アンク・・・」

 

 普段はボコボコにしていた白雪もいなくなるといなくなるでアレなのか、心配と悔しさが混ざり合った表情を見せる。

「「・・・・・・」」

 

 理子は暗い雰囲気で俯くと・・・その隣で立っているレキは無表情なのは変わらないが、どこか悔しがっているような感じでノブナガのメダルを3枚拾い上げた。・・・そう言えば2回目になっちまうのか。・・・大切な・・・仲間を失うのは。

 

「・・・追え」

 

『ppp』

 

 その一部始終を目撃していたキックホッパーはタカカンとバッタカンを取り出して捜索を開始させると、俺達の方へと歩いてきて変身を解除した。

「「・・・・」」

 

 だいぶボロボロの様子で歩いてきた後藤とワトソンも・・・やはりどこかやるせない表情だった。

「ハァ・・・ハァ・・いったいどうなったんだ?」

 

「たくさんメダルが落ちているけど・・・ガラは倒したのかい?」

 

 どうやら恐竜の方は何とかなったらしい正太郎と陽は俺達の表情を見て、何かを察しながらもどうなったのかを聞いてきた。だけど俺はアンクがショッカーグリードに意識が乗っ取られていしまったことを認めきれずにいるのか、正太郎達に説明する気には全然なれなかった。

「それがね・・・」

 

 アリアは俺達はガラの計画は阻止することに成功し、白雪も救い出してガラも倒したことを説明する。そしてさらにアンクは再生と同時にショッカーグリードに意識を乗っ取られてしまい、その上ほとんどのメダルを失ってしまったことまで正太郎達に説明した。

「・・・何だよそれ?・・・どういうことだよ!ふざけんなよ!」

 

「落ち着いてくれ正太郎!」

 

 様々な感情がこちゃごちゃになって拳を何度も壁に打ちつける正太郎を、陽が止めにかかる。しかし落ち着いているようにも見える陽もその手は震えていて動揺を隠せないのが明らかだった。

「・・・くっ・・」

 

 変身を解除して残されたアンクの意識が宿っていないタカのコアメダルを握り締めた俺は紫のコアの力を引き出して、先ほどの様子を見るかぎりまだ残っているはずのアンクの気配を探ろうとすると・・・疲労からかは分からないけど、一瞬だけ視界が灰色になってしまったので俺はフラリと倒れ掛かってしまう。

「キンジ!?」

 

「キンちゃん!?」

 

 倒れ掛かった俺をアリアと白雪が左右から支えてくれた。だけど今のは何だったんだ?コンボチェンジの疲労か?・・・いや、それとは何となく違う気がするな。

「・・・アンク」

 

 こうして俺は以前からアンクが言っていた「自分が敵になったら?」というたとえ話を最悪の形で実際のことにされてしまった。さらには俺の身体に紫のメダルの影響が発生しつつあったが・・・俺はそれよりもアンクのことが気がかりで自分の身体の異変のことはほとんど気にしてはいなかった。

 

 


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