タカコア×1
ライオンコア×1
サイコア×1
シャチコア×1
トラコア×1
カマキリコア×1
ゴリラコア×1
ウナギコア×1
バッタコア×1
ゾウコア×1
サソリギジ×1
カニギジ×1
エビギジ×1
「フンッ!」
「くっ!」
マシーン・ウヴァのチェーンソーをジャリバーで防いだ俺は後ろに跳んで下がる。
「セイヤッ!」
そして俺はマシーン・ウヴァにウナギウィップを連続で振るうが・・・・
「フンッ!そんなもの効かないな」
「なっ!?うわっ!?」
マシーンウヴァの鋼の外装にウナギウィップは通じずにその先端を掴まれて勢いよく投げ飛ばされてしまった。
「くっ!?」
ただでさえ足場が悪い新幹線の上で投げ飛ばされて振り落とされそうな俺は、慌ててウナギウィップを使って落とされてしまわないように堪える。
「遠山っ!くっ!?」
バースは左腕のショベルアームでリモコントンボヤミーを掴みながらも右手に持ったバースバスターでマシーンウヴァを狙撃するが・・・・それすらも通じない。
「・・・どうした?痛くも痒くもないぞ?」
そう言ったマシーンウヴァの左腕に大量のセルメダルが集まるとアイロンだった左腕はバースのショベルアームよりも建設現場のショベルに近い大きなバックホーへと変わった。
「お~。・・・いい趣味してんじゃん・・・・」
「虫けらが・・・」
「ぐあっ!?」
バックホーで叩かれたバースはその衝撃でリモコントンボヤミーを放してしまい状況はさらに俺達が不利になってしまった。
「伊達さん!?」
『サイ!ウナギ!バッタ!』
「セヤッ!」
ようやく新幹線の上に再び足をつけた俺はオーズ・サウバへと変わると拳銃を持つリモコントンボヤミーの両腕をウナギウィップで押さえてバッタレッグの脚力で一気に距離を詰めながらサイヘッドで頭突きを決める。・・・・本当はコンボで戦うのが一番いいんだが・・・・今、コンボになれるのは電磁力のサカエコンボだけだ。だけど戦っている場所が新幹線の上だから下手に電磁力を使うと運転席の無線や爆弾の無線とかを壊して大惨事になりそうだからサカエコンボは使えない。
「伊達さん、大丈夫ですか?」
「ああ、だけどこの状況・・・・やっぱりきっついわ」
ショベルとキャタピラの装備を解除したバースの隣に立った俺はこの状況を逆転する方法を考える。せめてもう1人仮面戦士が入ればいいんだが・・・・世の中そんなに甘くないってことか。
「まずは1体ずつ倒しましょう」
「そうだなっ!」
まずは拳銃のリモコントンボヤミーに狙いを定めた俺とバースはそいつに向かって走り出したが・・・・
「・・・・うっ・・・」
バースはリモコントンボヤミーを殴りつける寸前で頭を抱えながら膝をついてしまった。
「伊達さん!?」
「い、いいからメガネウラを倒せ!・・・・」
「は、はい!」
『スキャニングチャージ!』
突然倒れてしまったバースに動揺しながらもベルトのメダルを再スキャンして再びリモコントンボヤミーにウナギウィップを巻きつけた俺はバッタレッグで足元を強く蹴って急接近する。
「セイヤァァァァァァァッ!!」
「亜ァァァァァァッ!?・・・・ハイヤァァァ!!」
「っ!?」
しかしその攻撃を鋼のように硬いリモコントンボヤミーは耐え抜くと、まるで痛みで我を失ったかのように羽を振動させて新幹線全体を揺らした。・・・・まずいぞ。このままじゃ脱線するかもしれない。
「させるかぁぁぁっぁ!!」
『ダブル・スキャニングチャージ!』
「セイヤァァァァっ!!」
セルメダルをジャリバーに2枚入れた俺は後ろに下がりもせずに剣先をリモコントンボヤミーにねじ込む。
「唖ァァ!?」
「ハァ・・・ハァ・・・」
亜種であるサウバのスキャニングからのジャリバーの突きで拳銃のリモコントンボヤミーを倒すと剣をそのままマシーンウヴァに向ける。
「・・・これで2対2だ。・・・そのメモリも砕いてお前を倒すぜ」
「フンッ。ヤミーに苦戦する貴様らに俺を倒すなんぞできるはずがないだろう」
マシーンウヴァの右腕がチェーンソーから懐中電灯のような形に変化させると、ウヴァ本来の電撃能力が加わり、いわゆるビームサーベルのようなものになる。・・・・おいおい、どこのモビルスーツだよ?
「俺のメダルをよこせぇぇぇぇ!!」
「くっ!?」
「づぁぁぁぁぁあぁ!?」
そのビームサーベルを俺はジャリバーでガードするが・・・・その刀身は簡単に言うと電気を集束させたものだ。物理的には止められても電撃が俺に伝わってくる。
「さぁ・・・貴様に取っておきを見せてやろう」
マシーンウヴァは頭部のスタンガンに電撃を収束し始める。・・・まずい、こんな場所こんな電撃を撃たれたら確実に新幹線の運転室の機能、いやそれどころか新幹線全体がやばいぞ!
「喰らえ!」
「うおおぉぉぉぉぉ!!」
『スキャニングチャージ!』
俺は3度目のスキャニングで突進をして何とかマシーン・ウヴァのレールガンともいえる電撃破の軌道を空へと逸らすが・・・・俺はそれを回避しきれずに変身を解除されて先ほどのマシーンウヴァのバックホーの攻撃で開いた穴から新幹線の中へと落ちていった。
「・・・・落ちたか。まぁいい、この中では逃げ場なんぞないだろうからな」
レールガンの衝撃で空中に吹き飛んだサイとウナギ、そしてトラとバッタのコアメダルをキャッチしたマシーン・ウヴァはメモリを身体から取り出して通常のウヴァに戻った途端にぐらりとふらついていたが本人はあまり気にしていなかった。
・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
俺がマシーン・ウヴァと戦っている頃、アンクは爆弾のようなものを喰らって服が少しだけ焦げていた。
「チッ!・・・おい理子!今のアレは何だ!」
「さっきのは爆泡!シャボン玉が弾けて中身が酸素と混ざって爆発するんだっ!迂闊に近づいたらそれの餌食に・・・・」
「ハッ!それだけ分かれば十分だ!」
理子はアンクに向かって忠告をするも、アンクはそんなことを気にせず再び右手だけで殴りかかる。
「アンコ!お前がメダルを何枚か奪われてから、他のグリードのように怪人態になることができない理由もお前の生みの親が原因、知っているネ!」
「黙れ!アイツのことは軽々しく言うんじゃねぇ!」
「「「っ!?」」」
アンコの拳がココに届く寸前、リモコントンボヤミーのせいで新幹線が揺れてしまい、その場にいる全員のバランスが崩れかかる。すると先ほどの穴からバースが落下してきて変身が解除された。
「~~~っ!」
「・・・っ!・・・伊達さん!!」
「今のうちに行くネ!」
ようやく意識を取り戻した後藤は頭を抱えて倒れている伊達さんに駆け寄る。そしてこれをチャンスだと思ったココは先ほどのミサイルをアンクに放って縛ると先ほどワイヤーで縛ったアリアを引きずって16号車の前方、その自動ドアの奥へといってしまった。
「無茶をしすぎです!これ以上戦ったら本当に死んでしまいますよ!!」
「・・・ハハ、そうかもな。・・・だけど後藤ちゃんの答えを見つけるまではもう少し戦うぜ」
伊達さんは苦笑しながらも根性で再び立ち上がる。
「後藤ちゃん・・・心の中では自分に自信がないんだろ?俺のサポートをしていて2ヶ月くらいになるけど・・・・仮面戦士にならなくても俺のサポートで充分って納得しちゃったんじゃないの?俺のピンチは・・・後藤ちゃんのチャンスなんだから自分を信じろ。自分を信じればきっと答えが分かるぞ。・・・あと、これ、借りてくから・・・」
伊達さんは後藤の持っていたバースバスターを掴むと再びバースに変身した。
「さぁて、最後のお仕事開始だ!後藤ちゃんはまずアンコの拘束を解いてから神埼の救出を頼むよ!」
「・・・了解しました。・・・だけど最後の仕事にはしないでくださいね」
「早くほどきやがれ!!」
後藤がアンクのワイヤーを解き始めると・・・・バースは再びウヴァの元へ向かった。
・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
「うわぁぁぁぁっ!?」
俺が変身を解除されて16号車の前方へと落ちたが・・・どういう訳か不思議とあまり痛くはなかった。・・・・心なしか少しいい匂いがするぞ。
「あれ?それになんか柔らかい感触が・・・・」
「う、う~~!」
下の方から何やら声がしたので振り向いてみると・・・・そこにはワイヤーで縛られたアリアがいた。
「ア、アリア!?どうしてここに!?」
「どうしてじゃないわよ!?ココにワイヤーで縛られて運ばれかけているのよ!とりあえずそこを退きなさい!」
中空知さんの3倍の速さで赤面するアリアの上にいる現在の俺の体勢は・・・・簡単に説明するとワイヤーで縛られたアリアに覆いかぶさっているような感じで・・・・他の人がこの状況を見ると勘違いしそうな上、ヒステリア的にもヤバイ感じだった。しかも落下の衝撃でワイヤーが俺にも絡まってしまい退いてやろうにも動けない。
「か、顔近い!近い近い!」
「お、落ち着け!」
アリアが自分の頭を押し付けて俺の頭を人間の首が動かないところまで動かそうとしたので抵抗すると・・・・またもや新幹線の速度が上がってしまい車内が揺れる。するともう一押ししようとしていたアリアの唇が俺の頬にあたった。
「っ!」
俺の脳は今のを『ぶつかった』と認識してヒステリア的な意味では大丈夫だったんだが・・・・アリアは『キスしちゃった』と認識してしまったらしい。
「ななななななな!?ぷぇ!?うまぁ!?」
もう何を言っているのか分からないアリアはまるでウナギのようにくねくねと動き始めて少しずつだがワイヤーから抜け出し始めた。・・・・災い転じて福となすってこういうことだと思うぜ。・・・・だけどそれは俺にもう1つの問題を与えた。
「うおっ!?」
密着したアリアが上へ上へとずれていくので俺の口や鼻が・・・・アリアの首や肩、鎖骨などが押し当てられてしまった。しかもそれはどんどん下へと向かっていて・・・。
「おい!アリア!ストップだ!」
「んっ!う~!」
アリアが俺の警告を聞かないせいで・・・・俺はとうとうアリアの胸に埋めさせられてしまった。
「っ!!みゃあぁぁぁぁぁぁ!?」
とうやく2人の姿勢が大変なことに気づいたアリアはヤマネコみたいな声を上げてワイヤーから開放されるが・・・・俺の方はすでに・・・な。
「・・・・・・」
「キンジ!アリア!」
ようやく開放された俺とアリアのところにアンクが駆けつけてきた。すると俺は先ほど開けることができなかった洗面室に目線を送る。
「アンク・・・あの洗面室・・・密閉されているんだがどう思う?」
「ハッ!どうやら変わったらしいな。・・・・たぶんそこにあるのは爆弾だろうな。それも密閉されているってことは・・・・おそらくは俺がさっき喰らった気体爆弾だ」
気体爆弾か。それはまた厄介なものを。
「遠山!」
「後藤・・・どうした?」
人間の姿でもそれなりに足のはやいアンクから少し遅れて後藤がやってくる。その手にはいつものバースバスターではなくデザートイーグルが握られている。さらに反対側の手には見たことない弾が3つほど握られていた。
「伊達さんが1人で怪人と戦っている。手伝いに行ってくれ!」
「伊達さんが!?・・・分かった!行ってくる!アリア、アンク!ココ達の方は任せたぞ!」
俺の推理が正しければ・・・・アンクの言ったとおりこの事件はココは1人の犯行じゃない。アリアは少し「どういう事?」と言いたげな表情をしていると、アンクは無言で頷いて怪人態の右腕から何かを取り出した。
「キンジ!これを使え!」
俺がベルトを腰につけるとアンクはコンドルのコアメダルを渡してくる。
「変身!」
『タカ!トラ!コンドル!』
オーズ・タカトラドルに変身した俺は先ほど落ちてきた穴から再び新幹線の外へと出て行った。
「伊達さん・・・・どこまでできるかは分かりませんが・・・俺も戦いますよ」
後藤はそう小さく呟くと出入り口近くの簡易梯子を昇っていき怪人達のいる戦場へ出て行った。
「アンク・・・・あいつを止めなくて良かったの?」
「・・・・さぁな。少なくとも今の後藤を止めたら、アイツの決めた決意の妨害になっちまうだろ。アイツは自分の殻を破って変わろうとしてるんだ。それを止めるのは野暮ってもんだろ」
俺がアリアの巻きつけられたワイヤーに絡まってしまいもがいている頃、バースに変身した伊達さんは両手にバースバスターを持ちながら数メートル離れてウヴァと向かい合っていた。
「セルメダルの戦士・・・・また来たのか」
「おうよ。・・・悪いがお前はこの新幹線から降りてもらうぜ」
「何度やっても同じことだ」
『MACHHINE』
ウヴァは再び額にメモリを挿入してマシーン・ウヴァへと変わると右腕を戦争用の武器であるM60マシンガンに変化させてバースに向けて放つ。
「さぁ・・・いくぜ虫野郎おぉぉぉぉぉぉ!!」
マシーン・ウヴァの攻撃を喰らいつつもバースは両手に持ったバースバスターで可能な限り銃弾を打ち落としながら突っ込んでいく。
「うおらぁぁぁぁ!!」
『『セルバースト』』
そして2つのバースバスターの銃口をマシーン・ウヴァの腹部へと押し当てると0距離から強力な光弾を放った。
「ぐっ!?」
しかしマシーン・ウヴァの異常なまでの強度を持つ外装にはそれほど大きなダメージを与えてはいなく、少し怯んだだけだった。
「所詮セルメダルの力ではその程度だな」
「うわぁぁぁぁ!?」
マシーン・ウヴァの左腕がまたもやバックホーに変化すると・・・そのバックホーはバースを3号車の辺りまで吹き飛ばした。
「まだまだぁ!!」
2つのバースバスターを投げ捨てたバースはセルメダルを2枚ベルトに入れてレバーを回転させる。
『ドリルアーム』
『クレーンアーム』
「おらぁぁぁぁぁ!!」
バースはクレーンアームの先端にドリルアームを組み合わせた装備でクレーンアームのワイヤーを伸ばし、再びマシーン・ウヴァの腹部を狙う。
「フンッ!そんなものが俺に効くとでも思っているのか?」
「やってみないとわかんねぇだろうが!!」
「なにっ!?」
クレーンアームの先端についたドリルアームはマシーン・ウヴァの腹部の鉄板を少しずつだが削り始めた。
「くっ!?それ以上やらせるか!」
「おおおぉぉぉぉ!!」
バースはマシーン・ウヴァのM60の弾丸を喰らいながらもドリルアームで鉄板を削るのをやめない。
「セル・・・メダルの力の分際でぇぇぇぇ!」
右手を懐中電灯のようなものに変化させたマシーン・ウヴァはビームサーベルのようなものでドリルアームを弾くと・・・・
「フンっ!」
「ぐわぁぁぁぁ!?」
そのままバースに駆け寄って斬りつけた。
「これで終わりだ!」
「さぁな。そう簡単に終わらないぜ」
『ブレストキャノン』
マシーン・ウヴァの振り上げた右腕を掴んだバースはクレーンアームとドリルアームを解除してブレストキャノンを装備する。
「さすがにこの距離じゃお前の装甲でも無理だろ?」
「貴様、正気か!?」
「もちのろんだ!ブレストキャノン、シュゥゥゥゥト!!」
この一撃の直後、新幹線のスピードがさらに加速した。
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
「伊達さん!」
オーズ・タカトラドルに変身した俺は穴から新幹線の上に上がっていくと・・・そのには腹部の鉄板に亀裂が入っているマシーン・ウヴァと変身が解除されて倒れている伊達さんがいた。
「大丈夫ですか伊達さん」
「ああ、あばらの2~3本はいってると思うけど大丈夫、大丈夫」
そんなに大丈夫ではないよな。・・・その怪我。
「・・・・伊達さんは少し休んでいてください」
「オーズ。ようやく来たか。残りのメダルも貰うぞ」
「セイッ!セヤッ!ハァァッ!」
俺はマシーン・ウヴァに駆け寄って連続パンチをするが・・・・外装が硬すぎて通用しているように見えない。
「セヤァァァッ!」
コンドルレッグの回し蹴りを決めるも・・・やはり大したダメージにはならない。
「今の俺にそのような攻撃は効かないぞ」
「うわっ!?」
マシーン・ウヴァのチェーンソーに吹き飛ばされた俺は変身が解除されてしまった。俺はヒステリアの頭脳でどのように戦えばいいのかと考えていると、伊達さんは1つのバースバスターを拾いあげて俺に渡してくる。
「・・・・次のデカイ一撃であの鉄板を完全に砕く。それと同時に遠山はあいつからメダルを奪い取れ。・・・・それまで上のメガネウラの足止めを頼むよ」
「・・・了解しました」
伊達さんの言葉に頷いた俺は内ポケットからカニのメダルを取り出してベルトにセットするとオースキャナーでスキャンする。それと同時に伊達さんもベルトにセルメダルをセットしてレバーを回す。
「「変身!」」
『タカ!ゴリラ!コンドル!』
俺はオーズ・タカゴリドルに変身してバースバスターを上空にいるリモコントンボヤミーに向けると、伊達さんも再度バースに変身してマシーン・ウヴァに向かって走り出した。
・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
俺とバースがそれぞれ怪人と戦っている頃、アンクとアリアは新幹線の外に出てココと向き合っていた。
「やっぱり、そういうことか」
しかもアンクの目の前のココは1人ではなく・・・・
「炮娘!餡子来了!」
青竜刀を持ったココと・・・・
「猛妹!抓住!」
サブマシンガンを持ったココがいた。
「こいつ等・・・姉妹だったのね」
「まったく・・・・俺はアンコじゃなくてアンクだ。いい加減、その呼び方をやめてもらおうか」
アリアが両手に拳銃を持つと、アンクは近くに落ちていたバースバスターを拾い上げる。
「アンク、あたしが拳銃の方を相手にするから、あんたは青竜刀を持った方の相手をしなさい」
「言われなくてもそのつもりだ。・・・・アイツがどうして800年前のことを色々知っているのか聞き出してやる」
「っ?」
アンクは猛妹と呼ばれていた方のココに向けてバースバスターの銃口を向けて引き金を引くも・・・・どうやら弾切れのようで何も出なかった。
「・・・・まぁ・・・これで叩いたら痛いだろ。・・・うおらぁ!」
「ハイヤッ!」
猛妹に駆け寄ったアンクはバースバスターを本来の使い方とはまったく違う方法で攻撃をしようとするも、猛妹はすぐさま青竜刀でそれを防ぐ。
「舐めてもらっちゃ困るネ!」
後ろに下がって体勢を立て直した猛妹はアンクに青竜刀を振り下ろせるように構える。
「これで終わりネ!」
猛妹の袖からは先ほどアリアを縛ったようなワイヤー付きの小型ミサイルが放たれるが・・・・
「・・・・楽しそうだな。・・・・俺も混ぜろよ」
「なっ!?」
突如やってきた矢車が靴についているスパイクの部分の部分を利用して、小型ロケットをかかと落としで破壊した。
「な、何突然現れているネ!とっとと帰レ!帰レ!」
「・・・はぁ、登場早々帰れコールかよ。・・・どうせ俺なんて・・・」
「隙アリネ!」
矢車が落ち込んでいる隙に猛妹は青竜刀を振り下ろすが・・・・
「はぁ・・・」
俯いている矢車はため息をつきながら回し蹴りでその攻撃を弾いた。
「おいおい、この中にいたときの威勢はどうしたぁ!」
「っ!?」
アンクは怪人態の右腕から火球を放ち・・・・猛妹は青竜刀で防ぐと・・・青竜刀はそのまま砕けてしまい、その反動で猛妹は新幹線から転げ落ちそうになる。
「おっと!・・・まだお前には聞きたいことがいくつもあるんだよ」
『『『UNAGI~!』』』
「くっ・・・」
猛妹を捕まえたアンクはウナギカンを3つほど取り出し、それで猛妹を縛り上げた。
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
「アンク達も外で戦いを始めたか」
アンクが青竜刀を持ったココと、アリアがサブマシンガンを持ったココと抗戦したのを視界に捉えた俺は再び空に視線を送る。
「・・・・さぁて・・・」
そしてタカヘッドの複眼を紅く光らせるとリモコントンボヤミーの羽根・・・・その付け根を狙う。
「くっ。外したか」
しかし2キロは離れている相手をいくら視界に捉えても始めて使うバースバスターではうまく狙撃することはできなかった。・・・・こういう時、レキの狙撃の援護があればいいんだけどな。・・・・そう思った矢先のことだった。
「亜ゥ!?」
遠い発砲音と共に、リモコントンボヤミーの一枚の羽根の付け根に銃弾があたり、バランスを崩してしまったリモコントンボヤミーは近くの茂みへと墜落した。・・・さっきの音・・・・忘れもしないぞ。何度も何度も神経に刻まれるように聞かされた音・・・ドラグノフの狙撃音だ。飛んで動いている怪人を名銃とはいえ旧式のドラグヌフで狙い撃つことができる人物を俺は1人しか知らない。
「・・・レキ・・・」
新幹線を追尾してきたヘリコプターはOH-1。星伽神社のガレージにあった川崎重工の高速ヘリだ。そのハッチには身体のあちこちに包帯を巻いたままのレキが身を乗り出して狙撃銃を構えていた。撃ち落されたリモコントンボヤミーに警戒していると・・・・俺の足元にバッタカンがやってくる。
『キンちゃん!あ、あのもしもし、作戦中ごめんね!』
「白雪か。どうした?」
何やら慌てた様子の白雪だ。
『星伽の蒔江田さん・・・・運転手からキンちゃんにお電話ですっ!』
お電話?・・・するとバッタカンからは白雪の携帯がケーブルでバッタカンと繋げられたような音が聞こえた。
『遠山様、申し訳ありません。星伽の蒔江田です。今・・・のぞみ246号の後部を飛んでおります』
この声・・・・俺達を星伽に送ってくれた運転手の声か。あの高速ヘリから白雪を経由して話しているのか。
『これは私共の失態です。テレビで報道されていた新幹線を見た幼い籠巫女達が騒ぎ立て、それをお聞きになったレキ様が銃を取り、このヘリで白雪様の救護に向かおうとしていた風雪様を降ろし、自分を乗せて飛ぶように命令したのです』
後方車両を見れば・・・ヘリはすでに新幹線に接触してしまいそうなところまで近づいている。そのハッチから半身を出したレキは・・・・ショートカットに髪を風に暴れさせながら列車の最後尾を見下ろしている。そして何やら操縦席に何かを命令し・・・・
『なりませんレキ様、もう超過禁止速度を超えております。これ以上は機体が持ちません!』
蒔江田さんがレキに言い返したような声が聞こえ・・・それでもレキが蒔江田さんにドラグノフを向けてさらに指示するのが見えた。そしてヘリは加速をしながら、さらに降下してくる。まさか乗り移ってくる気なのか?・・・駄目だ、お前は傷ついているんだから戦うな!
「キンジ!ヘリを退避させるのよ!前にトンネルが!!」
星伽の運転手と俺の会話を聞いていたらしいアリアは、5号車の辺りで拳銃を持ったココと戦いながらも俺に叫んでくる。進行方向を振り返れば、車両は緩やかなカーブを描きながらトンネルへと向かっていた。トンネルの上は山だ。このままだとヘリが斜面にぶつかってしまうぞ。
『キンジ!あと10秒で加速だ!300キロを超えるぞッ!』
さらに別のバッタカンを使って武藤がさらに事態に追い討ちを掛けてくる。次の瞬間、もう耐えられなくなったヘリが山を避けようと機首を上げた途端・・・・それを感じたレキが空中でヘリから飛び降りて新幹線の最後尾に銃剣を突き立てた。・・・・そしてトンネルの中に突入し、外から爆発音はしなかったのでヘリが平気だったことに安心していると、再び白雪と通信が繋がる。
『キンちゃん!大丈夫!?』
「ああ、俺は大丈夫だ。それよりもレキがヘリから飛び移ってきた。・・・あいつは瀕死の重傷だ。戦わせちゃ駄目だ」
『レキさんが電車に!?』
新幹線がトンネルから飛び出してレキの方を振り向くと・・・レキはもう最後尾の車両から渡ってきていた。・・・・仕方ない。止まれといっても聞かないしな。最後の手段を使うか。
「白雪、レキを戦わせないためにも、乗客を救うためにも頼みがある」
『私に頼み?』
「俺達が戦っている16号車と15号車を切り離してくれ。お前の手で。実はそのために、お前にそこに立ってもらっていたんだ。気体爆弾は先頭車両、この16号車にある。乗客は14号車以降に集めているから、被害は最小限に食い止められる」
『でもキンちゃん。敵と爆弾と残るなんて・・・・アンクは別にどうなってもいいけど』
俺の身を案じる白雪は、すぐには新幹線を切ってくれなそうな雰囲気だ。仕方ない。あまりやりたくなかったが、ヒステリアの技を使わせてもらおう。
「白雪、聞こえてるかい。白雪」
俺は少し低い声で、白雪の潜り込むように語り始める。これは遠山家に伝わる『呼蕩』・・・・ある種の催眠術だ。人は独特の声色や息遣いを交えた異性に弱い。ヒステリアモードを持つ遠山家は代々この技を伝えているんだ。・・・そして数十秒後、完全にその虜になった白雪は・・・・
「星伽候天流、緋緋星伽神・斬環!」
抜刀音以外が聞こえないほど素早く、接続部分を切り離した。
「っ!」
お見事・・・としか言い様がないな。・・・すると切り離された14号車からレキが風を掻き分けるようにしてこっちへ駆けてきた。
「レキ!止まれ!」
レキは切り離された14号車を駆けながら、胸ポケットから何かを取り出した。武偵弾、それもあの着色は炸裂弾。爆発を引き起こす、超小型の燃料気化爆弾だぞ。レキ、お前は何をするつもりだ!?
「源義経・・・八艘跳び・・・」
15号車の方でウナギカンに動きを封じられているココが青ざめて何かを口走った時、レキはその場で一回転をしながら空中、自分の背後に武偵弾を放ち・・・・その爆風を利用してこちらに移ってきた。
「レキ!」
その身体の包帯には、今の衝撃で傷口が開いたようで血がにじみ出ている。
「どうして駆けつけたんだ!こんな場所へ!」
俺は車両の中央から叫ぶ。
「駆けつけた理由ですか?・・・キンジさんも駆けてくれましたから。・・・コンボで疲労した身体で無理をしながら・・・。それに私は誓いました。『主人に仇為す者には一発の銃弾となり、必ずや滅びを与えん事を誓います』と・・・」
焦げた靴と靴下を脱ぎ捨てたレキは抑揚のないしゃべり方でそう応える。・・・あの時、レキは意識を失っていると思っていたが意識があったのか。
「オーズ!覚悟スルネ!」
するといきなり森の中から飛び出てきたリモコントンボヤミーは・・・・
「亜ゥ!?」
何やら通常の弾丸とは違う特殊弾丸の‘武偵弾’と思われる弾丸に狙撃されて羽根が一枚千切れて俺の前に墜落した。
「・・・・鴻上ファウンデーション製、磁力断裂弾・・・・バースのセルメダルを引き付ける力とは逆に、セルメダルを引き離す特殊な磁力を放つ弾丸だ。試作段階のを3発ほど貰っていたんだが・・・ようやく役に立ったな」
「後藤・・・ナイスアシスト」
後ろでデザートイーグルを構えていた後藤は次にバースと戦っているマシーン・ウヴァに銃口を向ける。
「後藤ちゃん!?来ちゃったの!?」
「ええ、来ちゃいましたよっ!」
「ぐおっ!?」
後藤のデザートイーグルから放たれた磁力断裂弾はマシーン・ウヴァの腹部のヒビに直撃すると・・・・それまでの蓄積していたダメージもありマシーン・ウヴァの腹部の鉄板は砕け散った。
「伊達さん!今です!」
「オッシャァ!もう一度喰らえぇぇぇ!!」
『ドリルアーム』
『クレーンアーム』
「ぐおぉぉぉぉぉお!?」
クレーンアームの先端についたドリルアームは鉄板のなくなった腹部からセルメダルを奪い取り、そこにコアメダルが数枚見えた。
「貰ったぞウヴァ!!」
そこに颯爽と走ってきたアンクはウヴァの腹部に手を突っ込んでコアメダルを何枚か奪い取った。
「キンジ!受け取れ!」
「っ!」
アンクから投げ渡されたメダルはトラとバッタ、そしてサゴーゾ1式のメダルだった。これでサカエ以外のコンボができるな。
「オノレ、オ前タチ皆殺シテヤルネ!!」
「・・・・それは無理だぜ・・・」
『サッゴーゾッ!サッゴォォゾォ!』
オーズ・サゴーゾコンボに変身した俺は再び立ち上がったリモコントンボヤミーの前に立って・・・・
『スキャニングチャージ! 』
「セイヤァァァァ!!」
「亜ァァァァァ!?」
下が新幹線なので地面に拘束もせずそのまま両拳と頭突きを同時に決めて撃破した。するとバースのドリルアームを振り払ったマシーン・ウヴァは俺とアンクの方を睨みつける。
「くっ!?おのれオーズ!!・・・だが鉄板なんぞ、メダルさえあれば・・・ぐっ!?」
その途端、マシーン・ウヴァの銀色に輝いていた鋼の部分は赤く錆付いた色に変わり始めた。
「な、俺の身体に何が起きているというんだ!?」
「ハッ!バカが!・・・・機械の記憶のガイアメモリを使った反動でお前の中のセルメダルが急速に減っているに決まってんだろ」
「くっ!?・・・こ、今回はこれぐらいにして置いてやる!覚えてろっ!」
ガイアメモリを取り出して通常のウヴァは、ふらふらしながら新幹線から飛び降りて何処かにいってしまった。
「うっ!?」
「伊達さん!?」
変身を解除した伊達さんはこれで役目を終えたかのようにその場に倒れる。その表情は何かに苦しみながらも笑顔を作っているような感じだ。後藤はそんな様子の伊達さんに真っ先に駆け寄る。
「・・・後藤ちゃん。・・・・受け継ぐって意味・・・分かった?」
「はい。・・・・本当に受け継がないといけないのは力じゃなく魂だったんですね。ただ単純に力を受け継いだだけでは間違った使い方をしてしまう可能性も・・・」
「もういいよ後藤ちゃん。・・・・そんだけ分かってれば充分・・・後は任せたよ・・・」
バースドライバーを右手に握らせた伊達さんは静かに目を閉じると・・・・
「伊達さん!?伊達さあぁぁぁぁぁぁん!!」
全身から力が抜けてしまったようにベルトから手を離していた。
名前:南光太郎
仮面ライダーBLACKとしてゴルゴムと戦い、仮面ライダーBLACKRXとしてクライシス帝国と激闘を繰り広げた戦士。渉の父親である音也とも知り合いで、一時期彼を預かったこともある。現在はステーキ屋を経営している。
名前:風祭真
「財団」によって改造人間レベル3に改造され過酷な運命を背負わされた戦士。海外活動組の1人で世界各地を転々としてる。見た目もせいで仮面戦士科の生徒にすら怪人と間違われることもあり、結構そのことを気にしている。