緋弾のアリア 欲望の交差   作:彩花乃茶

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サイコア×1
シャチコア×1
トラコア×1
カマキリコア×1
ゴリラコア×1
ウナギコア×1
バッタコア×1
ゾウコア×1

サソリギジ×1
カニギジ×1
エビギジ×1



夢と風と疑似的コンボ

「ソ、ソンナ姿ナンテ見カケ倒シネ!!」

 

「セイヤッァ!」

 

 リモコントンボヤミーの拳を長刀で受け止めた俺はそのままその攻撃を逸らして左腕のリモコンを斬りつける。

「マ、マサカッ!?」

 

 そのリモコンは真っ二つにこそできなかったものの、トラクローではできなかった傷がついていた。力こそサゴーゾコンボ以下だが切れ味はトラクローやカマキリソード以上って感じだな。

「ナラ、コレデドウネ!!」

 

リモコントンボヤミーが羽根を振動させた途端、俺に向かって数台の車が迫ってきた。・・・何となくあのヤミーの能力が分かってきたぞ。あいつは羽根から特殊な電波を受信して周囲の機械を操るのか。

「・・・・だけどこの姿に機械を特攻させるのはミスったな」

 

 俺は左肩の短刀も抜くと左右の刀をぶつけ合わせる。そうした途端、数台の車は磁石がくっつくみたいに1つに集まってぶつかった。

「ナ、何ヲシタネ、オ前!?」

 

「別に・・・・ただ車を1つだけ磁石にしただけだ」

 

 電磁力操作・・・これは暴走したノブナガが使っていた能力で物体に電気を注ぎ込んで電磁石にして、くっつけたり離したりすることのできる力だ。ノブナガの時は地面とタジャドルコンボの俺をS極とN極の関係にして地面に叩きつけたり、その逆に羽根手裏剣を自身と同種の磁極にして俺に跳ね返すって技をやられたな。

「ナラ、直接攻撃ネ!」

 

 リモコントンボヤミーは空中に飛び上がると急降下して拳を振りかざしてきた。

「セイッ!」

 

 その攻撃に対して俺はエビレッグの両足を揃えてエビの尾のようにさせると尾から放たれる磁力と空気中の金属元素と反発させて浮かび上がりリモコントンボヤミーを弾き飛ばした。

「クッ!?ココハ、引カセテモラウネ!!」

 

「逃がすか!」

 

 俺は逃げようとするリモコントンボヤミーに短刀をブーメランのように投げつけてダメージを与えると長刀との引き合う力で短刀を回収する。

「逃ガシテクレナイナラ、ヤッパリコノ場所デ倒スネ!ハイィィ!」

 

「ハッァ!」

 

 それに激怒したリモコントンボヤミーはかかと落としをしてきたので俺は両手の刀をクロスするようにして受け止める。

「セイヤッ!」

 

「アウッ!?」

 

 そして横に身体を逸らしながらその攻撃をはらうと長刀と短刀で十字にリモコントンボヤミーを斬って怯ませるとオースキャナーを手に取る。

「そろそろ決めさせてもらうぞ」

『スキャニングチャージ!』

 

「ハァァァァァッ!」

 

 ベルトを再スチャンしてエネルギーを溜め込んだ俺はサソリヘッドの先端の‘サソリテイル’を伸ばしてリモコントンボヤミーに磁力を流し込む。・・・・ノブナガと違って俺のこのコンボは無機物以外は直接電磁力を流し込まないと流しこまないといけないんだ。もしかしたら直接じゃなくても出来るかもしれないが・・・・少なくともこのコンボになれていない今の俺にはできない。

「クッ!?何ナノネ!?身動キが取レナイネ!?」

 

「ハァァァァッ!」

 

 そしてその磁力の影響で浮遊状態となったリモコントンボヤミーに俺は長刀と短刀を合体させて蟹のようなハサミ・・・‘カニシザー’を構えて走り出す。

「っセイヤァァァァァァァァッ!!」

 

「唖ァァァァァァァ!?」

 

 そして身動きの取れない状態のリモコントンボヤミーを俺はカニシザーで一閃すると、鋼のような強度を持っていたリモコントンボヤミーの外殻は割れるように砕けてそのまま爆発してセルメダルへとなった。

「はぁ・・・はぁ・・・・レキ、こんなところで・・・・死んじゃいけない。お前はさっき、確かに笑ったんだ」

 

 その笑顔が最後であっていいわけないだろ。・・・お前はようやく成長し始めたんだ。そんな最初の一歩を踏んだばっかりなんだ。風のドレイじゃなくて、人間としての新しい人生はまだ始まったばっかりなんだ。・・・だから死ぬな。

「とりあえず今は逃げようぜ。ヤミーは倒しても、まだ狙撃手からは逃れられていないんだろ?」

 

 変身を解除した俺は予想以上に身体に負担が掛かったサカエコンボの疲労でふらふらしながらもレキを抱えて森の中をがむしゃらに走りだした。

「はぁ・・・・はぁ・・・・」

 

 しかしコンボの疲労がこんなにあっちゃそれほど遠くまでは走れない。・・・・かといって止まってしまうと狙撃手や猟犬の餌食になってしまうことは間違いないから止まることはできない。俺は少し冷静に自分達の置かれている状況を再認識しているとこちらに一台の高級車がやってきた。・・・・・するとその車からは俺の知っている人物が降りてきた。

「キンちゃん!何があったの!?」

 

 ホトギアゲハを指に乗せた白雪だ。

「白雪・・・助かったぞ。・・・・よく気づいてくれたな」

 

「こっちの方で何度も爆発音が聞こえたから悪い予感がして・・・・蟲術で辺りを調べていたの。それと、キンちゃんに電話したら繋がらなかったから・・・・私、私、ふえぇぇぇ」

 

 涙目でやってきた白雪は、俺の無事を確かめるように抱きついてくる。そしてすぐにボロボロの状態のレキに気づいて「大変・・・!」と傍らに立った。

「レキは遠くの狙撃手にやられたんだ。はやく手当てを・・・・」

 

 と言う俺と両手で口を押さえて目を見張る白雪の横に・・・・

「蕾姫?」

 

 小声で呟きながら車を降りてきたもう1人の少女がこちらにやってきた。スラッとした美人に成長していて一瞬分からなかったが・・・1歳下の白雪の妹の風雪だ。この子は昔からレキ並みにクールだったが相変わらずだな。そして無表情の彼女が白雪に耳打ちすると・・・・

「そ、そんな。間違いないのですか?」

 

 白雪は慌てて振り向く。そしてこくりと頷いた風雪は・・・・できれば知りたくなかったレキの正体を告げてくる。

「この御方は源義経様・・・・チンギス・ハン様の末裔。大陸の姫君です」

 

 レキが・・・・源義経、チンギス・ハンの子孫だと!?・・・いや、今はそんなことを気にしている暇なんてない。はやく手当てを・・・

「白雪、お前、レキを治療する術か何かは使えないか?」

 

 俺の問いに白雪は首を横に振る。

「普段なら、少しは出来るんだけど・・・・いま、私の力は不安定なの」

 

「不安定?」

 

 眉を寄せた俺に風雪が横から解説してくれる。

「最近、日本中・・・・いえ世界中であらゆる超能力が弱まり、成功率が下がる原因不明の現象が起きているのです。星伽でも、特に人を癒す巫術は使わないようにしています。あれは失敗すると人を殺める可能性がありますから」

 

 俺はそっち関係のことはよく分からないが・・・・簡単に解釈するとゲームの回復魔法のように単純のものじゃないってことだな。

「体温も下がってきてる。はやく病院に・・・・」

 

「病院は駄目だ。狙撃手に狙われる可能性がある」

 

 今、こっちには狙撃手がいない。もし街にある病院を襲撃されてしまえば手も足もでないぞ。

「それでは星伽神社にレキ様をお連れしましょう。そこに医師を呼びましょう」

 

「頼む!」

 

 俺は白雪達が乗ってきた車にレキを乗せて星伽神社へと向かった。

 

 

 

 

・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

 俺達が星伽神社へと向かっている頃、アンクは辺りを散策していた。

「チッ!・・・逃げられたか」

 

 アンクがココを取り逃がしてしまい辺りを見渡していると何か大きなものに足を引っ掛けてしまう。

「何だ?・・・コイツは・・・」

 

 そこには猟犬に噛まれたり爪で引き裂かれたりして血だらけになったハイマキが倒れていた。

「・・・確かレキの武偵犬のハイマキ・・・だったな。まだ息はある。仕方ない・・・運んでやるか」

 

 アンクは怪人態の右腕でハイマキを担いだ途端、後ろから物音が聞こえたので振り返る。そしてそこから出てきたのは・・・・

「・・・ようアンク・・・・」

 

 ところどころの装甲が砕けて火花が出ているキックホッパーだった。

「・・・お前、何があったんだ?お前の実力なら完全体じゃないウヴァならトドメはさせないながらも、そこまでダメージを受けるはずがないだろ?」

 

「・・・・俺はグリードやヤミーに詳しくないから完全体の戦闘力はよく分からないがこれだけは言える。・・・・あのミドリムシはガイアメモリを使うことで・・・ぐっ!?」

 

 アンクの予想以上にダメージを負っていたキックホッパーはその場に倒れるとそのまま意識を失ってしまい変身が解除されてしまった。

「・・・・ガイアメモリはヤミーだけじゃなくあの虫頭も強化したってことか。・・・・矢車をここまで追い詰めるってことは少なくとも戦闘力はメズール達のメダルを取り込んだカザリ並はあるってことか。・・・・やばくなってきたな」

 

 ハイマキの上に矢車を乗せたアンクはそのまま病院に向かおうとしていたが、その途中で足を止める。

「・・・・たしかキンジ達は狙撃手に狙われているんだったな。・・・・さっきの戦闘もあることだし俺たちも狙われている可能性があるな。・・・・仕方ない。ここから一番近い星伽神社にコイツらを置いてくるか」

 

 アンクは進む方向を変えるとため息をつきながら再び歩き始める。

「・・・・それにしても何でアイツが俺のコアメダルを作った・・・を知っていたんだ?800年前でもそのことを知る人間は10人といなかったはずだ。・・・・まあいい。どっちみち次はとっ捕まえて尋問科に突き出してやる」

 

 俺はこれからさほど遠くないうちに知ることになる。800年前アンクのメダルを誕生させた‘真紅の錬金術師’と呼ばれた人物を・・・。

 

 

 

 

 

・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・

 俺やアンクが別行動ながらも同じ場所を目指している時、森の中ではココが何者か達と合流していた。

「逃げられちゃったネ。それに緑色の変な怪人が作った怪人がやられちゃったネ!」

 

「今回は仕方なかったネ。それにまだこっちにはその怪人はいるんだし・・・・」

 

「「・・・・・・」」

 

 そう言った謎の人物達の後ろには両手に拳銃のような武器を持ったリモコントンボヤミーと左腕が狙撃銃になっているリモコントンボヤミーが立っていた。

 

 

 

 

 

・・・・・・

・・・・・・・・

・・・・・・・・・・

有力な神社には会社のように本社と支社がある。その支社にあたる神社のことを分社という。星伽神社も京都に大きな分社を構えていて、俺達がそこについた頃・・・・白みつつある朝明け方からは生暖かい雨が降り始めていた。そしてレキが担架で運ばれていくと俺と白雪、そして先ほど情報を聞くために連絡を取ったジャンヌも駆けつけ、俺達は星伽神社の救護殿という和風の診療所へと向かった。

「おーおー、やられたなぁ」

 

 フチ無し眼鏡をかけ直しつつレキを迎えた女医は拳銃を携えていた。どうやら星伽に呼び出されたプロの衛生武偵らしい。

「血算、血液型判定・交差適合試験、生化をチェック・・・・大至急輸血を開始や」

 

 すぐさまレキの容態をチェックしてすぐさまナース達に指示を飛ばした女医は・・・・

「ぼん、ここはウチに任せてお前も休め。死体みたいな顔をしてるで」

 

 流し目で俺の事を見て、そう告げる。

 

「助かるんですか?レキ・・・彼女は?」

 

「大丈夫だよキンちゃん。この方は星伽の嘱託医さんなの。京都でも一番の名医さんなんだよ。たまにちょっと変わったことを仰るけど・・・」

 

「聞こえとるぞ~白雪ぃ」

 

 レキの治療をする女医の手つきは恐ろしく手馴れてる。きっと日常的に負傷した武偵を治療しているんだろうな。とりあえずは大丈夫そうだ。・・・・そう思った瞬間、緊張の糸が切れたような感覚と共に・・・・

「うっ・・・」

 

 視界がぐらりと歪んだ。

「キンちゃん!?」

 

「遠山!?」

 

 白雪とジャンヌの声がやけに遠く聞こえる。その時の俺にはさっきまで立っていた床板が・・・目の前にあるように見えた。

 

 風の音が聞こえる。俺は広大な草原と遠い山脈が見ている。これはたぶん夢だろうな。夢であるころが自覚できる夢、明晰夢って奴だ。乾いた草原には何頭かの馬が見える。その馬達には色鮮やかな民族衣装を着た凛々しい女性達が狙撃銃を背負って乗っている。その先頭には他の女性よりも絢爛な髪飾りを頭に載せた少女がいる。あの横顔・・・・間違いない。

「レキ!」

 

「・・・・・」

 

 俺がレキに向かって走り出した途端、黄色い爪が俺の前に立ち塞がった。この虎のように鋭利な黄色い爪を俺は知っている。

「・・・・・・」

 

「くっ!?」

 

 今の回し蹴りをしてきた飛蝗のような緑色の足を知っている。・・・あの黄緑色の複眼をした鷹のような赤い頭部の戦士を俺は知っている。・・・・だけど、知らない。こんな毒々しい殺気を放つ仮面戦士を知らない。

「何なんだ、お前は?」

 

「・・・・・・」

 

 これが夢だと言うのは分かる。分かっているつもりだ。だけど目の前の仮面戦士の殺気に飲み込まれてしまいそうだ。

「・・・・欲望を抑えるな・・・」

 

「っ!?」

 

 ようやくしゃべった仮面戦士の一言によって・・・・俺の中にあるヒステリア以外の何かが表に出てくるような感覚になる。

「欲望の王の力を持つものなら、全てを求めろ。世界を支配しろ。鷹の目で世界を見渡し、飛蝗の足で障害を跳び越え、虎の爪で邪魔者を切り殺せ。・・・・そのための力が貴様にはあるのだろう?」

 

 やめろ。それ以上しゃべるな。・・・・俺がそう思った瞬間、広大な草原の風景は一転して紫色の不思議な空間に変化した。

「欲望こそ力の源、世界の糧となるエネルギー!!その力を押さえるな!・・・・このようにな」

 

 虎の爪から放たれた斬撃は紫色の空間の奥に立っている人物へと飛んでいく。

「レキィィィィィィ!!」

 

 その瞬間、その世界は真っ黒に染まった。

「っ!?」

 

 冷や汗をかきながら俺の目が覚めた。風じゃなく雨の音が聞こえる。世界もちゃんとした世界だ。どうやら俺はあの後、予想以上に反動がきたコンボの疲労で倒れてしまったらしいな。それにしてもなんだったんださっきの夢は?・・・・いつの間にか練絹色の寝間着に着替えさせられていた俺は、枕元に綺麗にたたまれていた洗濯済みの制服に着替え、障子を開けて部屋の外に出た。鶯張りの廊下では俺を警護していてくれた様子の帯刀した白雪が正座して座っていた。

「キンちゃん、キンちゃん、急に倒れちゃったから私、心臓が止まるかと思った・・・・」

 

「ああ、おかげさまでもう大丈夫だ。俺は少し疲れていただけだからな。それよりもレキはどうなった?」

 

 ぴょんと正座体勢から立ち上がって飛びついてきた白雪を微妙に押しのけつつ尋ねると・・・・

「レキさんは一命を取り留めたよ。でも絶対安静にしていないと駄目みたいなの。まだ意識がないみたいだし・・・・これ以上無理したら本当に命が危ない状態だったみたい。キンちゃんもまだ無理はしないで。お布団で休んでいて。・・・何かちょっと鳥居の辺りから変な気配がするの」

 

 レキの容態を告げて俺を守るように鳥居の方を向いた。すると神社の階段を上がって鳥居にやってきたのは・・・・

「そう警戒するなよ。俺だ」

 

 怪人態の右手でハイマキと矢車を抱えてやってきたアンクだった。そしてその横には少し警戒するような視線をアンクに送る風雪が立っている。

「白雪!ハイマキ・・・この狼と矢車も手当てしてもらえるように頼んでくれないか?」

 

「うん、分かった」

 

 そして風雪の合図ですぐさまレキを運んだ幼い巫女達がハイマキと矢車を担架に乗せえて運んでいく。・・・しかし謎が残った。

「・・・・ハイマキは猟犬と戦ってくれていたからこの傷は分かるが・・・・矢車はどうしてこんなに傷を負っているんだ?矢車ならウヴァにここまでダメージを受けないはずだろ?」

 

「ウヴァのヤミーがガイアメモリの力で強化されたのは知っているだろ。どうやらガイアメモリの力はヤミーだけじゃなくウヴァ自身も強化していたらしい」

 

 マジかよ!?だとしてもウヴァ単体が東京武偵高の生徒で最も戦闘能力が高い矢車をここまでダメージを与えるなんて信じられないぞ。

「・・・それよりも・・・・」

 

「「っ?」」

 

 俺とアンクは会話の中に割って入ってきた白雪の方を振り向くと・・・・白雪は持っていた刀を抜いていた。

「神聖な私とキンちゃんの愛の神社に入ってこないでぇぇぇぇぇ!!」

 

「うおっ!?ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

「アンクぅぅぅぅぅぅぅ!?」

 

 そして白雪の刀をギリギリのところで回避したアンクは・・・・運悪く階段の段差を踏み外してしまいそこから転げ落ちていってしまった。この状況であんまり気にすることでもないと思うが別にここは俺と白雪の愛の神社なんかじゃないぞ。

「・・・お姉様、あの御方を放置していいのですか?」

 

「気にしなくていいよ!」

 

 風雪の質問に答えたときの白雪の笑顔に俺は内心では恐怖を感じていた。

 

 

 

 

・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・

 豪華な食事を出された俺は早々に食べ終えて救護殿へと向かうと、そこでは布団で寝ているレキを籠巫女達が見守っていた。そしてそこで俺はジャンヌからウルスがロシアとモンゴルの国境付近、バイカル湖南方高原に隠れ住む少数民族のウルス族で、祖先が弓と矢でアジアを席巻した蒙古の帝王チンギス・ハンの戦闘技術を受け継いだ部族だと聞かされた。そして以前レキが言っていた『ウルス47女』というのが生き残っているのが47人の女性しかいないって意味だったことも分かった。

「最後に1つ聞いておくが・・・レキが負傷してお前たちが追い詰められた時に、レキは非常識な行動を取らなかったか?」

 

「非常識?」

 

 こいつはある意味いつも非常識だぞ。

 

「たとえば銃で自分を撃とうとしたりだ」

 

「よく・・・分かったな。そうだ。レキは負傷して追い詰められた時、たしかに自爆しようとしていた。自分は逃げる力がないから置いていけ、なんて言ってな」

 

「やはりな」

 

 そう言うとジャンヌは、俺が布の上に並べていた銃弾に目を移す。

 

「ウルスはサムライの切腹と同じ文化がある。『最後の銃弾』・・・・銃弾が残り一発になって、それでも活路が見出せないほどに追い詰められた時・・・あるいは自分が主人の足手まといになったと判断した時、その弾で自決するのだ」

 

「・・・・っ!・・・」

 

「サムライは短刀で腹を切るが、ウルス族は自分を撃つ。それを主人に殉した名誉ある死としているからだ。彼女らは一発の銃弾のように、目的に向かって一途に生きる。そして戦い続けるのだ。・・・最後の銃弾で、その人生を閉じるまで。刀に殉じた古のサムライ達と同じようにな。遠山、レキはそうゆう女なのだ。気をつけておけ」

 

 そう言い残すとジャンヌは縁側から星伽の運転手が待つ渡り廊下へと歩いていった。俺も遠山家の末裔・・・・一応だが侍の子孫だけどな。最後の銃弾だと?・・・ふざけんなよ。レキがいっつも口走っている言葉・・・『私は一発の銃弾』・・・あれだっておかしいだろ。

「お前は銃弾なんかじゃない。お前は人間なんだ。・・・・お前がそういうの・・・苦手だってことは分かっている。だから今すぐに人間らしく自由に振舞えなんて言わない。だけど自分を銃弾なんていうのはやめろ」

 

 お前の中の『風』がどんなに偉いかは知らないけどな、本当に偉いのは自分の道を自分で考えていける奴なんだ。そうやって『風』にすべてを任せるより、自分で考えるほうが難しいかもしれない。・・・お前は機械じゃなくて人間なんだから。

 

 

 

 

・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・

 俺が救護殿でジャンヌとウルスの話をしている頃、後藤はホテルの一室でノートパソコンを開き何かを調べていた。

「・・・・これが伊達さんのカルテか。・・・・なっ!?これは真実なのか?」

 

「よう後藤ちゃん!ゲームしようぜ!ティガ狩りにいこうぜ!」

 

 後藤がその画面に書かれていたことに驚いていると部屋の扉が開くとPSPを持ったテンションの高い伊達さんが入ってきた。

「・・・・伊達さん。どうして今まで黙っていたんですか?」

 

「えっ?何のこと?もしかしてハンターランクが後藤ちゃんよりも高いこと?」

 

「とぼけないでください!!・・・・この前、伊達さんが頭痛のような様子で倒れかけたので病院のデータベースから伊達さんのカルテを調べさせてもらいました!そしたら・・・・こんなものを発見しました」

 

「っ!?」

 

 後藤がノートパソコンの画面を伊達さんの方に向けると・・・・伊達さんは焦ったような表情をする。

「どうして伊達さんのレントゲンの左後頭部に銃弾が写っているんですか!!」

 

「・・・・あ~あ。とうとうばれちゃったかぁ。いいよ、説明してあげるよ」

 

 こうして後藤は伊達さんの真実を知ることになった。

 

 




仮面ライダーオーズ・サカエコンボ

 本作オリジナルの疑似的コンボ。ノブナガから託された黒い疑似メダルであるサソリ・カニ・エビの3枚で変身する。全体のカラーは黒で、サソードのような頭部であるサソリヘッド。ガタックのような肩のカニアーム。ゾウレッグの黒版であるエビレッグで構成されている。特殊なメダルであるため亜種形態にはなれない。固有能力はノブナガと同じく電磁力操作で対象を電磁石状態にして動きを封じたり、引き寄せたりした戦術をすることができる。両肩には長刀と短刀の2刀一対の刀であるカニブレードが装備されていて合切させてカニシザーにもできる。能力発動によりエビレッグが変化し、人魚のような尾となり電磁浮遊も可能。必殺技は電磁力で動きを封じた相手をカニシザーで両断する「ラクイチラクザ」。

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