緋弾のアリア 欲望の交差   作:彩花乃茶

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counttheMedal!現在オーズの使えるメダルは

タカコア×1
ライオンコア×1
クワガタコア×1
サイコア×1
シャチコア×1
トラコア×1
カマキリコア×1
ゴリラコア×1
ウナギコア×1
バッタコア×1
ゾウコア×1


気持ちと焼き鳥とひとひらの粉雪

「粉雪っ!!」

 

「ん?あぁ、思ったより早かったねオーズ」

 

 俺と白雪はノブナガから聞いた工場に辿り着くと・・・そこには予想通りカザリが壁に寄りかかっていた。

「へぇ星伽の巫女も一緒なんだ。これはちょうどいいや。この子はヤミーの『親』以外にも使い道ができたよ」

 

「・・・カザリ。粉雪を開放しろ」

 

「別にいいよ。・・・ただし・・・君の持っている僕のコアメダル2枚と交換しよう」

 

 カザリは粉雪と引き換えに俺の持つライオンとトラのコアメダルを要求してきた。

 

「・・・お姉様を連れ帰さないと・・・お姉様を連れ帰さないと・・・」

 

「粉雪・・・」

 

 俺達がやってきたことに気づいていない様子で何度も同じ言葉を繰り返す粉雪を見た白雪は重苦しい表情で彼女を見つめた。・・・・ヒステリアじゃない俺にどこまで粉雪を説得できるかは分からないけど・・・とりあえずやってみるか。

「粉雪!!」

 

「っ!?・・・遠山様・・・それにお姉様・・・」

 

 俺が大声で叫んだことによって粉雪はようやく俺達の存在に気づいた。

 

「お姉様・・・こんな場所にいてはお姉様もいつか欲望に呑まれてしまいます!星伽に帰りましょう!」

 

 涙目の粉雪は白雪に向かってそう叫ぶ。

「・・・粉雪。・・・それは白雪がそうした言っていったのか?」

 

「えっ?」

 

 どうやら俺の質問が意外だった様子の粉雪はゆっくりとその目線を白雪から俺へと移した。

「たしかに白雪が星伽に帰ってきてほしいのはお前の願いだ。それに関してはゴチャゴチャと言うつもりはない。・・・だけどその願いのこと考えている内に白雪の気持ちを無視していたんじゃないか?」

 

「お姉様の・・・気持ち?」

 

 俺が白雪の方を向くと、白雪は頷いて一歩前に出た。

「粉雪。私はこっちに残りたい。こっちに残って・・・武偵として1人でも多くの人を助けてあげたいの」

 

「お姉様・・・・分かりました。お姉様がそのように仰るなら」

 

 粉雪は納得した表情をするとカザリもゆっくりと前に出てきた。

 

「・・・そろそろどっちにするか決めた?」

 

「ああ!・・・俺の答えはこうだ!変身!」

『タカ!トラ!バッタ!タットッバッ!タトバ、タッ!トッ!バッ!』

 

 俺はオーズに変身するとトラクローを展開してカザリに構える。

「・・・そう。せっかく見逃してあげようと思っていたのに残念だったね!」

 

「緋火星鶴幕!」

 

 カザリが爪を粉雪に振り下ろそうとした瞬間、白雪は燃える折り紙の鶴を数体放ち一瞬だけ注意を引き付ける。・・・その間に俺はトラクローで粉雪を縛っていた鎖を切った。

「粉雪は白雪と下がってろ!・・・後は俺がやる」

 

「わ、分かりました」

 

 

「あ~あ。せっかくの人質が獲られちゃやる気がなくなっちゃった。・・・僕はもう帰るから合成ヤミーと遊んでみてね」

 

「お姉さまぁぁぁぁぁ!!」

 

 白雪と粉雪を下がらせたタイミングでカザリもメズールの能力で高圧水流で鶴を消化すと人間態に姿を変えて外に出て行った。そしてカザリとすれ違いで扉をぶち壊してタコジャガーヤミーが入ってきた。

「あれが私の欲望から誕生したヤミー・・・」

 

 自分の欲望から誕生したヤミーを見た粉雪はどこか辛そうな表情を見せた。・・・仕方ないよな。あんなにヤミーを嫌っていたのに自分の願いからヤミーが作られちまったんだから・・・。

「粉雪・・・欲望ってのは何も汚れたものばっかじゃない。純粋な願いだって言い様によっちゃ欲望なんだ。・・・お前は白雪が大好きだから帰ってきてほしいって思ったんだろ?俺はその願いを汚れた欲望だとは思わないぜ」

 

 そう粉雪に伝えた俺はタコジャガーヤミーに向かって駆け出すとトラクローを振りかざした。

 

 

 

 

・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・

 俺が鎖を切り裂いて粉雪を助け出した頃、以前出会った鎧武者怪人は何故かチェーンソーリザードと戦っていた。

「ハァァァァァッ!」

 

「・・・フンッ!」

 

「ハァッ!」

 

 鎧武者怪人はチェーンソーリザードの振りかざしてきたチェーンソーを刀で真っ二つにするとそのまま刀を振り上げるようにしてチェーンソーリザードを両断した。

「・・・さすがはかつて天下を取ろうとしただけあってお強いですね。・・・とりあえずあなた様をここに引き止めることは成功しま・・・し・・・た」

 

 チェーンソーリザードが爆発すると・・・ちょうどそこにライドベンダーのバイクモードを運転して通りすがったアンクがやってきた。

「お前はこの前の・・・お前はいったい何者だっ!!」

 

「・・・・・・・」

 

 アンクが右腕を怪人態にして指をさすと、鎧武者怪人は無言で立ち去ろうとした。

「待ちやがれ!」

 

 鎧武者怪人が曲がり角を曲がったのでアンクも追いかけてその場所を曲がると・・・

「・・・どうしたのだアンク?」

 

「・・・・ノブナガ・・・どうしてお前がここにいるんだ?」

 

 バースのベルトとバースバスターを持ったノブナガと出くわした。

「先ほどまでプロトバースの力を使い、ヤミーと戦っていた。・・・最も・・・先ほど取り逃がしてしまったがな」

 

「・・・・そうか。・・・ところでこっちに鎧武者の姿をした顔無しの怪人が行ったはずなんだが・・・・見かけなかったか?」

 

「・・・・暗くてよく分からなかったが・・・それらしい影があちらに向かって行ったのは見えたぞ」

 

「・・・分かった!」

 

 ノブナガは細い路地の方向を向くと・・・アンクは一瞬だけノブナガを怪しそうに睨みつけてから、細い路地へと走っていった。

「・・・・嘘をついてすまないなアンク。・・・今、正体をお前達に知られてしまうと動きづらいのだ」

 

 アンクが向かっていった細い路地を見つめていたノブナガは・・・何かを悔いるように小さな声で謝罪をしていた。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・

 

 

「ハァァァァッ!」

 

 俺はトラクローをタコジャガーヤミーに切り掛かるが右手の触手のソードに止められた。

「お姉さまを連れ帰しますぅぅぅぅぅ!!」

 

「うわっ!?だったら・・・」

『タカ!ゴリラ!バッタ!』

 

 ゴリラアームに変えた俺はタコジャガーヤミーをボクシングスタイルで何度も殴りつける。

「オラッ!セイっ!」

 

「あうっ!?」

 

「まだまだいくぜ!・・・オララララララッ!」

 

「あべっ!?」

 

 タコジャガーヤミーにラッシュを決めた俺はトドメと言わんばかりにアッパーを決めて外に弾き飛ばす。

「うぅ・・・お姉さまぁぁぁぁ」

 

 外でもがいているタコジャガーヤミーはあれほどのダメージを与えたはずなのにまだ立ち上がってくる。・・・粉雪はそんなに白雪を連れ戻したかったのかよ。・・・そう思った俺は後ろを振り返って白雪達の方を見る。

「粉雪・・・・お前の願いから誕生したヤミー。このまま倒させてもらうぞ」

 

「はい。・・・他の人の気持ちを考えていなかった時の私の欲望。どうか退治してください遠山様」

 

「分かった。すぐに倒してやるからもう少し待っていてくれ」

 

 とは言ってみたものの・・・今の俺じゃ正直言って亜種形態であのタフなヤミーを倒せそうにないな。・・・少し無理をしてみるか。

 

 

「堪えてくれよ・・・俺の身体」

 

 

 俺はメダルホルダーから緑色の2枚のコアメダルを取り出すとタカとゴリラのメダルをベルトから抜き取ってその2枚をセットしてオースキャナーでスキャンした。

『クワガタ!カマキリ!バッタ!ガ~タッ!ガッタガタッキリバ ガッタキリバッ!!』

 

「喰らいなさい虫けら!」

 

 工場の外に出てからオーズ・ガタキリバコンボに変身するとタコジャガーヤミーが俺に向かってタコ墨みたいな爆弾を複数放ってきた。

「「「セヤッ!」」」

 

 その爆弾を3人に分身した俺はカマキリソードで斬り裁き、工場のほうにあたらないようにする。そしてすぐさま俺はさらに分身をした。

「これで決める!」

 

『スキャニングチャージ!』

 

『『『スキャニングチャージ!』』』

 

 最大人数の50人に分身するのはさすがに負担なので、30人で分身をやめておいた俺はこれ以上コンボで戦っているのもつらいのでそろそろ決めようとメダルを再スキャンする。

「セイヤァァァァァァッ!!」

 

「「「セイヤッァァァァァァ!!」」」

 

「わぁぁぁぁあ!?お姉さまぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 30人のガタキリバキックを喰らったタコジャガーヤミーはさすがに耐え切れずに爆発してセルメダルとなり散らばった。

「ハァ・・・・ハァ・・・・やっぱり完治した訳じゃないからコンボはかなり・・・つらいな」

 

「キンちゃん!」

 

「遠山様!」

 

 キックと同時に1人に戻って変身を解除した俺はふらふらしながらもこちらに駆け寄ってくる白雪と粉雪の方に歩いていった。・・・もしヒステリアモードで合成ヤミーと戦っていたのならコンボを使わなくても何とかなったかもしれないが・・・通常モードの俺じゃあコンボを使わないと勝てないかもな。・・・そんなことを考えながら俺は白雪と共にせっかく星伽から来た粉雪に近くのデパートやカフェなどに案内してあげた。その時の粉雪の緊張したような顔は印象的だった。

 

 

 

 

・・・・・・・・

・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

 翌日、俺の部屋に星伽の運転手を名乗る美人のお姉さんがやってきた。寮の車寄せを見下ろしてみると、そこにはテレビでしか見たことがない長いリムジンが停車していた。・・・さすが星伽。お金あるなぁ。

「粉雪。準備はいいのか?」

 

「はい、大丈夫です」

 

 帰る準備をすっかり済ませた様子の粉雪は、おみやげなどで来たときよりも大きくなった風呂敷包みを運転手に渡すと玄関先で俺と白雪に折り目正しく三つ指をついた。

「逗留中、何から何までお世話になりました。遠山様、お姉様、ごきげんよう」

 

「あ、あぁ。粉雪も元気でな」

 

 そうは言ってみたものの、このままではどこか収まりが悪いので結局車まで見送ることにした。そしてエレベーターを降りると、粉雪は微妙に速度を変えて俺に寄ってきた。

「遠山様。・・・・このたびの私はお姉様が帰って来てほしいとばかり考えていて、遠山様に教えられるまではそのことに気づけませんでした。ありがとうございました」

 

 粉雪はこっちを直視せずに少し赤くなりながら話しかけてきたので、俺も少し反応に困って「気にするな」の一言だけを言ってやった。

「それともう一つ。・・・お謝りすることがあります」

 

「謝る?」

 

「はい。私は武偵高と武偵を侮辱するようなことを言ってしまいました」

 

「あ、あぁ」

 

 何だ。そのことか。・・・たしかにあの時は少しだけイラッときたけど・・・武偵高自体、誤解されてもおかしくないんだから気にしなくてよかったんだけどな。

「でも昨夜、私は認識を改めました。・・・まだ好きという気持ちにはなれませんが・・・・今の世の中には、この仕事も必要になっているのだと・・・」

 

「そうか。まあ気が向いたらまた見学にでも来いよ」

 

 できればそれでまた単位を稼がせてくれ。

「はい。また来ます。次は本当の『学園見学』に」

 

「本当の?」

 

「・・・お姉様は星伽に帰らないと仰るので、逆に考えたのです。それなら私がこちらにくればお姉様と一緒にいられるのではないかと」

 

 俺は粉雪の言葉に顔を引きつらせていると、以外にもアンクも何やら小さな紙袋を持って粉雪の見送りにやってきていた。

「松川屋の焼き鳥だ。うまいから持っていけ」

 

「金髪・・・あなたを不衛生と思っていましたが、それは思い違いだったようですね」

 

 どうやらアンクの誤解も解けたようで何よりだ。・・・お前が鶏肉渡すのは気にするけど。

「そう言えばまだあなたのお名前をお聞きしていませんでしたね。・・・あなたの名は?」

 

「・・・アンクだ。星伽なら知っているだろ」

 

 その名前を聞いた粉雪は「えっ!?」と驚きの声を上げるとすぐさまアンクから遠ざかった。

「あ~。粉雪?・・・こいつは人間を襲うようなグリードじゃなくてだな・・・・」

 

「・・・・まぁ・・・遠山様がぞう仰るのならとりあえずは信じます。しかしアンク。もしあなたがお姉様にケガをさせるようなことをした場合・・・・どうなるか分かっていますよね」

 

「・・・・・・」

 

 粉雪の恐ろしい形相に睨まれたアンクはすっごく引きつった顔をしながら冷や汗をボタボタと垂らしていた。

 

「とりあえず遠山様。今後とも何とぞよろしくお願いしますね!」

 

 粉雪がこちらに視線を移したときに初めて、粉雪が初めて俺に笑顔を向けてくれた。その笑顔はまるで・・・空から舞い降りてきたひとひらの粉雪のように可憐で愛らしい表情だった。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・

 俺が粉雪を見送っている頃、エヴィルの研究所では真木博士が2枚の黒いメダルを持ちながら人間態のカザリと話していた。

「どうでしたカザリ君。合成ヤミーと人造グリードの様子は・・・」

 

「うん。今回の合成ヤミーはいまいちだったけど、人造グリードの方はだいぶ順調だと思うよ。今月の終わりぐらいに残りの2枚のメダルを入れれば・・・ドクターの計画通り世界に終末を与えられるような怪物になるかもね」

 

 俺がノブナガの事実を知ってしまうのは・・・もう少し先のことだった。

 




名前:東條悟

 東京武偵高1年C組所属。仮面ライダータイガに変身する。当初は英雄に憧れる気弱な少年だったがキンジと出会ったことで彼の中の何かが変わり始めた。元々ライダーファンなのもあり今ではすっかり豪快な銀のような性格になっている。自称キンジの戦弟。1年生組では渉や亮太郎を退け主人公格に近いポジションで出番は多め。

名前:矢車俊

 東京武偵高1年C組所属。仮面ライダーパンチホッパーに変身する。エヴィルによって肉体を改造されてしまい、ワームとしての姿にも変わることができるようになってしまっている。一時はエヴィルの刺客として双を襲撃したが無事に和解して武偵高の生徒となった。戦闘力は兄程高くなく、東條よりもやや上程度。

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