タカコアメダル×1
ライオンコアメダル×1
サイコアメダル×1
シャチコアメダル×2
トラコアメダル×1
ゴリラコアメダル×1
バッタコアメダル×1
チーターコアメダル×1
タココアメダル×2
「何のようだカザリ」
「ふふ、せっかくだから良い話を持ってきてあげたよ」
俺が強襲科の屋上に急ぐ頃、港区の俺の知らない何処か。それぞれ人間の姿をしたウヴァとカザリは数メートル離れて向かい合っていた。
「今から5日後・・・セルメダルが5000枚詰まれた車が通るんだ。せっかくだからグリードみんなで襲撃をしようよ。もうメズールとガメルは参加するって言ってるよ」
「ほう、5000枚か・・・・いいだろう。俺もその計画に参加しよう」
「そう、よかった。あと・・・この前君のコアメダルをオーズから奪い取ったんだけど・・・君も僕のメダルを持っているよね?交換しようよ!」
「フン!いいだろう」
ウヴァとカザリは怪人の姿に変わると・・・ウヴァはトラのコアメダルをカザリに投げつけ、カザリもウヴァにクワガタのコアメダルを投げつけた。クワガタのコアメダルを取り込んだウヴァは上半身に再び緑の鎧を纏い、カザリも再び胴体のセルメンにメダルの鎧を纏った。
「・・・君の残りのメダルは実験に使わせてもらうよ・・・」
「何か言ったかカザリ?」
ウヴァはカザリが何かを言った気がして振り向いた。
「いや、何も。・・・空耳じゃない?」
「そうか。ならいい」
「それじゃ、僕は帰るね」
カザリはそう言いながら人間の姿になりその場を離れると・・・古い車に乗った。
「作戦通りに行きそうですか?」
「うん。・・・・これは予定よりも面白いことになるかもね」
車内で真木博士と話していたカザリは怪しげな笑みを浮かべていた。
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
「どうせ俺になんて・・・何も残っていない・・・」
「おい!そこはオレたちの住み家だぞ!勝手に上に座るな!」
矢車は何もかもに絶望した眼でどこかの橋の真下にある壊れた車の上に座っていると2人の小学生ぐらいの少年がやってきた。
「・・・あ?」
「ひぃ!・・・アニキ・・・無理だよ怖いよ!!」
矢車が少年達のほうを見ると、1人の少年は睨まれたと思って怯えた。
「大丈夫だ峻!俺がついてる!」
「・・・シュン・・・か」
矢車はたまたま・・・弟の方が自分の弟と名前が似ている孤児の兄弟に出会っていた。
・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
「どうして止めたのよ・・・あんたがジャマしなければ・・・いくらでも勝つ手段はあったわ」
戦いからしばらく経ち・・・アリアは保健室で明日夢に傷の手当てをしてもらってから帰宅途中にそんなことを呟いた。
「嘘つくな。カナとお前の力量差は誰から見ても明らかだったぞ」
生身の人間が仮面戦士には勝てない。・・・それは周知の事実だ。
「アリア・・・たしかにお前は強い。それはよく分かっている。でも世の中にはお前よりも強い奴がたくさんいるんだ」
俺はそう言いながらアリアの肩に右手をポンと置いてやった。
「だから負けを受け入れる強さを持て。あいつを相手にしたら・・・次は殺されるぞ。お前はカナと戦うな・・・分かったか?」
カナと戦って傷つくのは・・・俺1人で十分だ。W・・・正太郎も戦える状態じゃないぐらい落ち込んでいる。けれどきっと陽がいるから何とかなるだろ。・・・あいつ等は2人で1人の仮面ライダーだからな。
「キンジ・・・あたし、ちょっとももまんを買ってくるから・・・」
「ああ、念のためアンクもついて行ってくれ」
アンクは「しょうがないな」と呟きながらも男子寮の真下にあるコンビニに向かった。とりあえずこれで1人になったわけだが・・・正直、カナとかの件をどうすればいいのか未だに悩んでいる。・・・できれば戦かわずに解決したいしな・・・。
「はぁ・・・こんな時・・・あの人はどうするんだろうな?」
俺は頭の中で今もどこかで冒険しているだろうある人を思い出しながら部屋のドアを開けると・・・
「・・・っ!!」
緋色に燃える夕焼けを背景にソファーでカナが昼寝をしていた。・・・カナは一度眠ると信じられないくらい眠り続ける習性がある。・・・それは神経系、特に脳髄に負担をかけるヒステリアモードを長時間使用しているせいだ。数十分しか使えない上にオーズに変身するとさらにタイムが短くなる俺のヒステリアでも終わった後はなんだか眠くなる。しかし兄さんのヒステリアはカナになっている間は継続されているため、長時間睡眠で一気に回復をする仕組みになっているらしい。カナはそろそろ10日前後の『睡眠期』に入ると思っていたが・・・まさか俺の部屋で寝ているとはな。
「ん・・・キンジ?」
カナはドアを開けた音で起きてしまった。
「何しに来たんだ・・・」
俺は警戒しながらも少しづつカナに近寄る。・・・俺の知っている兄さんは人を傷つけるよりも傷を治療する方が得意だ。怪我人や病人を放っておけない人だ。・・・そもそも兄さんが美女に化けてヒステリアモードになれることに気づいたのも・・・子供のころ、母さんが亡くなって泣き続ける俺をあやすために母さんのフリをしたからだ。・・・そんな兄さんがアリアを狙う理由が分からない。・・・その理由を聞かなければならない。・・・だけど聞くことが怖い。・・・聞いてしまえば・・・俺の中の兄さんが壊れてしまいそうで・・・聞くことができない。
「気をつけなさいキンジ。あなたたちには敵が迫っているわ。・・・それも・・・強大なのが2つも・・・」
「・・・それはどうゆうことだよ?」
カナにアリアのことを聞くことができないまま部屋の雰囲気がピリッとしたものに変わると、一瞬にして龍騎にそっくりな黒いベンタラ型ライダーシステムの‘仮面ライダーオニキス’に変身して窓ガラスからミラーワールドとはまた違う世界のベンタラに入っていった。そんな矢先に・・・・
「ただいま~」
「く、くるなアリア!!」
ひどいタイミングでアリアとアンクが帰ってきやがった。
「どうかしたのかキンジ?」
「・・・・いいから入って来るな」
今、アリアが入るとオニキスに殺されてしまう可能性が高い。・・・そう判断した俺は玄関の前のアリアに入らないように説得しようとした。
「・・・・怪しいわね。入るわよ」
まずいっ!!入って来やがった!・・・俺が1人焦る中・・・ベンタラにいるオニキスはそのまま話を続ける。
「それとアリアちゃんだけど・・・『第2の可能性』がある限り殺さないわ」
『第2の可能性』・・・なんだそれ?
「覚えておきなさいキンジ。アリアは危険な子。誰かが導いてあげないといけない子。・・・その『誰か』があなたなら誇らしいのだけど・・・」
「おい待てっカナ!!・・・くそっ!」
オニキスは俺の目の前の窓ガラスの中から見えなくなり・・・カナを追いかけることも不可能だった。
「・・・どうゆうこと?・・・今、カナって聞こえたけど・・・」
「・・・・どうもしない」
「どうもしないわけ無いでしょ!!あんたもしかしてカナと組むつもりなんでしょ!」
「なっ!?」
そんなことはしない。・・・できるはずもない。兄さんと俺が組むなんて不釣り合いにもほどがある。
「そもそもカナってあんたの何よ!あんたの元カノ?」
「そんなはずないだろ!」
「じゃあどういう関係なのよ?」
「・・・・・・・」
あんな姿をしているけど俺の兄さんだ。・・・なんて言える訳もなく・・・俺は黙り込んでしまう。
「・・・キンジの・・・キンジのバカァァァァァ!!」
アリアはそう俺に向かって叫ぶと・・・部屋を出て何処かに行ってしまった。
「何やったんだお前?」
「・・・さぁな」
アリアと入れ違いで部屋に入ってきたアンクはアイスを食べながら俺に冷たい視線を送っていた。
・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
あれから2日が経った。アリアはあれから部屋に帰って来ていないし、教室でも口を聞いてもらえない。さらに今日は終業式で、正太郎は昨日は学校を休んでいたが今日は来ている。・・・それでもショックは大きいようでかなり元気がないように見える。・・・この様子・・・半年前の姉の死にショックを受けていた時と同じだ。
「よお、キンジ・・・」
「正太郎・・・確かに認めたくない気持ちは分かるが・・・周りが心配しているから元気を出せ」
「・・・そんなことできたらこうなってねぇよ・・・」
「・・・・・・・」
たぶんこの様子じゃ・・・俺がいくら言っても無理だな。
「・・・陽・・・後は任せる」
「・・・ああ、きっと正太郎を復活させるよ。僕の大切なパートナーだからね」
正太郎も陽が入ればきっと立ち直ってくれるだろうな。・・・とりあえず2人は警備に誘うのはやめておこう。
「アンク・・・結局あの警備に行くのは俺達以外に決まっていないんだよな?」
「ああ。単位不足者は少なくないんだが・・・その依頼で輸送される物は怪人が狙ってくるほどの代物が運ばれるから危険だとか言う噂が立ってて受ける人が出てこないらしいぞ」
そんなやばそうな噂が立つ依頼を俺はなんとなくで受けちまったのかよ。急に嫌になってきちまったよ。そんなことを考えていると後藤がこっちの方に歩いてきた。
「遠山・・・お前も警備に参加するんだな?」
「ん?ああ、そうだけど・・・」
「ならば俺も参加させてくれないか?・・・単位のこともあるが・・・やはり噂のほうも気になる」
おお!なんかいきなり頼もしい人物がやってきたぞ!!
「ああ!参加してくれ!噂を聞いて少し不安だったんだ」
「それじゃあよろしく頼む」
とりあえずこれで4人集まってくれて・・・あと2人か。できれば狙撃科で感覚が鋭いレキを誘って置きたいな。・・・正直・・・今回の依頼・・・なんか嫌な予感がする。
・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
「遅いわよバカキンジ!」
「あ、ああ・・・」
翌日、7日の午後7時・・・あれからアリアは帰ってこなかったため、もしかしたら祭りに来ないと思いながらも何となく足が進み緋川の神社にやってくるとアリアが約束通りにやって来ていた。アリアの格好はピンクと赤を基調とした浴衣で、所々に金魚の絵がついていて・・・かなりアリアに似合っている。
「あたしを30分も待たせるんじゃないわよ!次にこんなに待たせたら風穴ヴォルケイノ!」
え?・・・俺は5分前には着くようにしていたのに・・・それよりもアリアは30分も早くここに来ていたってことか。
「とりあえず・・・警備に行くか」
俺は一緒に周るかと言うのも恥ずかしかったために少し遠まわしに伝えると・・・
「そ、そうね!あくまで警備に、警備に」
アリアも理解したようで恥ずかしそうについてきた。それにしても・・・なんで2回も言ったんだ?
「・・・その・・・ごめんね」
「ん?・・・いきなりなんだよ?」
アリアに綿飴や金魚すくいなどを教えながら中間ぐらいまで進んでいくと・・・アリアがいきなり謝ってきた。
「あたし・・・カナに勝てなかったせいでムシャクシャしていた。それでカナと一緒にいたキンジにあたっちゃったから・・・・」
ああ・・・そうゆうことか。
「別にそんなこと気にすんなよ」
「カナってやっぱりキンジの元カノなの?」
「この前も言ったけど違うって・・・」
「かと言ってキンジとカナが他人だとは思えないの・・・なんとなくだけど・・・」
やっぱりアリアはシャーロックホームズの子孫なんだな。俺と兄さんの関係を鋭い洞察力でほぼ言い当てやがった。
「キンジはカナと組みたいの?」
「いや、そんなつもりはない。レベルの差があり過ぎる。それに俺はそもそも4月には武偵を辞めるつもりなんだぞ」
「・・・・・・」
俺の言葉にアリアは黙り込む。・・・おそらく剣崎と同じで腑に落ちない気持ちがあるんだろうな。
「まぁ、それでも・・・もう俺はイ・ウーの3人も倒したんだ。俺もイ・ウーに狙われていると考えるのが自然だな。『武偵憲章8条 任務は裏の裏まで完遂すべし』・・・だから少なくともイ・ウーの件を解決するまでは何があってもお前とパートナーだから心配すんな」
「キンジ・・・・う、うう・・・」
アリアはあからさまに嬉しそうな顔をしたと思うと・・・うれし泣きで涙を流し始めた。そうゆうの・・・どうすればいいのか困るんだけどなぁ・・・。
「おい、アリア・・・泣くなって・・・」
俺は泣き始めてしまったアリアを泣き止ませようとトラくんとは違うトラカンを取り出したその時だった。
「ウェ!?」
ん?・・・・・ウェ?
「ウェェェェェェイ!」
アリアは剣崎が戦闘中に言い放つ掛け声?のような奇声を上げながら暴れ始めた。
「服の中に、む、む、む、虫がぁぁぁぁぁ!?」
「おい!落ち着けアリア!」
仕方がないから慌ててるアリアのかわりに浴衣を緩めてやると・・・コガネムシのような虫が背中のほうから出てきた。・・・よく見るとコガネムシとは違う虫だな。
「まったく・・・何なのよあの虫は・・・」
アリアはその場にへた~、と膝をつけると・・・足元にアリアの武偵手帳が落ちた。そしてその武偵手帳は中途半端に開いて20代ぐらいの若い男性の写真が見えた。その写真を見た瞬間俺は不知火がだいぶ前に言っていた「ライバルがいるかもしれないよ」という言葉を思い出す。
「アリア・・・その人は?」
俺は理由の分からない不安を感じながらアリアに写真のことを聞いてみる。この写真の人・・・・どこかで見たことがあるような・・・教科書でそっくりな人がいたような気がする。
「この人は・・・あたしの憧れの人・・・・そしてもうこの世にはいない人。・・・曾御爺様・・・シャーロックホームズ1世」
「シャーロックホームズ・・・1世・・・」
アリアの言葉に「この写真の人物が若い頃のシャーロックホームズ1世か」という驚きと、よく分からない安心感を感じていた。
「尊敬してるんだな」
「ええ、心から・・・・この写真はお父様から頂いて、いつも持ち歩いているの」
「そんな大事なものを俺なんかが見てよかったのか?」
「キンジじゃなきゃ見せないわよ・・・キンジはあたしのたった一人のパートナーなんだから」
俺はアリアの優しい表情と一緒に放たれた言葉に反応に困りながらも連なる屋台の先へと進んで行くと・・・
「「いらっしゃいませ~!」」
右側の一番奥の屋台でマーボー豆腐の屋台をやっている2人の少年達と共に・・・
「・・・・・・よう、相棒」
「や・・・矢車?」
「・・・・・笑えよ・・・」
矢車がどういうわけかマーボー豆腐を作っていた。
・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
「もっと・・・もっと稼ぐ・・・」
俺が矢車と偶然出会った頃・・・カジノでは数日前にカザリにセルメダルを入れられた男はここ数日ずっと帰らずに稼ぎ続けていた。その金額はおそらく3億は超えていそうな感じだ。
「もっと・・・もっとだぁぁぁぁぁぁ!!」
男はセルメダルに包まれると・・・ハイエナのようなヤミーに変わってしまった。
「これで準備は整ったね・・・」
男がハイエナヤミーとなる光景を見物していたカザリはクスクスと笑いながらカジノの外に出て行った。