緋弾のアリア 欲望の交差   作:彩花乃茶

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4世と自由と吸血鬼

「・・・・これだろ?望みの物は」

 

「わ~!それだよ!理子の十字架は~~!!」

 

 俺とアリアとアンク、そして正太郎と陽はバイクで横浜ランドマークタワーに来ていた。みなとみらい21の中核を成すこのオフィスビルに、理子はアジトを置いているからだ。そしてその屋上に俺たちは到着するして理子に十字架を渡した。

「理子、あんたも約束を守りなさいよね!」

 

「くふ、アリアは理子のこと分かってな~い」

 

 理子はそう言いながら俺にゆっくり近づいてくる。

「ねぇ、きーくん。お礼をしたいからぁ、プレゼントのリボンを解いてください」

 

 俺はテキトーに理子のリボンを解いた瞬間だった。

「「「「っ!!」」」」

 

何が起きたのか、わからなかった。・・・完全に不意打ちだった。いきなり理子がキスをしてきたのだ。

「・・・悪い子だ・・・理子」

 

「りりりりりり理子!?あんた何やって!?」

 

 俺は一瞬にしてヒステリアモードになってしまった。そしてすぐさま理子の考えを理解した。

「ごめんねみんなぁ。理子ぉきーくんの言うとおり悪い子なの。これさえ戻ってくれば、理子的にはほしいカードは全部揃っちゃったんだよね」

 

 理子はそう言いながら首に掲げた十字架を俺達にちらつかせる。

「理子のシナリオには無駄はないの。きーくん達を使って十字架を取り戻して・・・そのまま二人を倒す。きーくんも頑張ってね。せっかく理子が始めてのキスまで使ってお膳立てをしてあげたんだから!!」

 

 俺はゆっくりと理子から離れると正太郎達が銃を抜こうとしたのを止めた。

「正太郎、陽、それとアンクも下がっていてくれ。・・・どうやら理子は俺とアリアだけに相手をしてもらいたいらしい」

 

「・・・分かった」

 

 正太郎と陽が下がるとアンクも下がってくれた。

「風穴開ける前に教えなさいよ。何でそんな十字架をほしがっていたの?ママの形見って理由だけじゃないわよね?」

 

 アリアは理子に銃を向けながら質問をする。

「・・・アリア、腐った服と泥水しか与えられない狭い檻の中で暮らしたことってある?・・・ふざけんな!!あたしはただの遺伝子かよ!!数字かよ!!あたしは数字の4かよ!!あたしは理子だ!!峰・理子・リュパン4世だ!!5世を生むための機械なんかじゃない!!」

 

 アリアは理子の気迫に驚いたらしく少し後ろに下がった。

「この十字架はリュパン一族の秘宝・・・だからブラドに捕まってた間もこれだけは絶対に盗られないように口の中に隠していたんだ」

 

 理子の髪の毛がゆらやらと蛇のように動かし始めた。

「ある夜あたしは気づいた。この十字架は・・・この金属は理子に力をくれる。そして理子はある夜、檻を抜け出したんだよ・・・この力で・・・」

 

 理子の左右のテールが隠し持っていた大振りのナイフを握った。そして両手には銃・・・アリアとは違った意味の双剣双銃の姿だ。

「理子はお前達を倒して・・・理子は今日・・・曾御爺様を越える!!それを証明して・・・自由になるんだ!!」

 

 理子がそう叫んだ瞬間、小さな雷鳴の音が聞こえた。

「なんで・・・お前が・・・」

 

 理子はのめりこむように前に倒れると・・・暗闇の中から一人の男がゆっくりと歩いてきた。

「小夜鳴・・・先生?」

 

 アリアに名前を呼ばれた小夜鳴は足元にスタンガンのようなものを捨てた。

「動かないほうがいいですよ。みなさんが余計なことをすると襲い掛かるように仕込んでいます」

 

「「ガルルルル」」

 

 俺達を取り囲むようにコーカサスハクギンオオカミが数匹やってきた。・・・この前の保健室の襲撃も小夜鳴の仕業だったってことか。

「まったくレキさんの優秀さには驚きましたよ。やはり強引にでも血を貰っておくべきでしたね」

 

 血を貰う?・・・どうゆうことなんだ?

「保健室のこともお前の演技だったってことか」

 

「みなさんの学芸会よりは良かったと思いますよ?」

 

 最初からバレバレだったってことか・・・。

「それに比べてリュパン4世・・・君は相変わらずですねぇ。・・・遺伝子とは気まぐれなものです。父と母の長所が遺伝すれば有能な子、短所が遺伝すれば無能な子になります。この子はその後者の見本ですね」

 

「うっ!?」

 

 小夜鳴は理子の腹部を足で踏みつけた。

「10年前・・・私はブラドに頼まれてこの子の遺伝子を調べましたが・・・」

 

「い、言うなっ!!」

 

「この子にはリュパンの優秀な遺伝子が引き継がれていない。この子は遺伝学的にはまったくの無能だったんですよ!」

 

 理子がその言葉のせいで泣き始めると・・・小夜鳴は理子の髪の毛を掴んで俺達がすり替えておいた偽者の十字架を取り出した。

「またしても無能ということを証明してくれましたね。4世さん!!」

 

 小夜鳴は理子を仰向けにすると十字架を理子から奪い取った。

「人間は遺伝子で決まる。優秀な遺伝子を持たない者は、どんなに努力をしても無駄なのですよ。今のあなたのようにね!!」

 

「~~~~~!!?」

 

 小夜鳴は偽者の十字架を理子の口の中に無理矢理入れる。・・・ふざけやがって・・・どうしてそこまで理子を罵る。

「あなたにはこっちのガラクタのほうがお似合いなんですよ!」

 

 小夜鳴はさらに理子の顔面を何度も踏みつける。

「もう我慢なんねぇ!!」

 

「正太郎!気持ちは分かるが今、動いては駄目だ!!」

 

「・・・くそっ!」

 

 正太郎は小夜鳴に殴りかかろうとするが・・・狼がいるため陽は正太郎を止めた。

「うまくいったと思いましたか?わざと一度盗ませてあげたんですよ!あなたを絶望させるためにね!」

 

「・・・もう・・・許して・・・」

 

「いいかげんにしなさいよ!!理子をイジメてなんの意味があるのよ!!」

 

 アリアは甲高い声を上げて叫んだ。

「絶望が必要なんですよ。・・・ブラドを呼ぶためにはね・・・ああ!いい感じになってきましたねぇ!!」

 

 眼鏡の奥の小夜鳴の眼が細まった。

「遠山君・・・それと明智君・・・よく見ておいてくださいよ。私は人間に見られているほうが掛かりがいいものでしてね!」

 

 あの切り替わる感じを俺達は知っている。・・・あれはまるで・・・ヒステリアに切り替わるみたいじゃないか。

「そうですよ遠山君!これがヒステリア・サヴァン・シンドローム!」

 

 言いやがった。よりにもよってアリアの前で・・・でもアリアはその意味が分からず首を傾げているから大丈夫そうだが・・・。

「ふふ、ハハハハハハッ!!」

 

 小夜鳴の身体は・・・どんどん人間のものとは思えない姿にと変わっていく。

「まさか・・・あんたがブラド!!」

 

「少し違いますねぇ。私はブラドの中の大量の遺伝子によって作られた外側の人格なのですよ。人間に擬態するための人格・・・さあ 彼が きたぞ!」

 

 轟く雷鳴と共に小夜鳴の姿は完全に人間の面影をなくした。・・・その姿はまるで・・・

「狼男かよ・・・」

 

 正太郎の言うとおり全長2メートルは軽く超えている狼男となった。・・・あのジャンヌの描いた絵・・・下手だが嘘じゃなかったな。

「キンジ!あいつがヤミーの親だ!どうやら擬態して気配を消していたらしい!!」

 

「ヴヴヴヴヴゥゥゥ」

 

「キンジ!援護して!」

 

 アリアはブラドに向かって銃を連射するが・・・すぐに銃弾は抜け落ち傷が回復していた。

「・・・まずはあの狼を何とかしよう」

 

 俺は拳銃を取り出すと狼たちの背中に銃弾をかすめて神経を麻痺させた。・・・まぁ、レキの真似事だけどな。

「ブラド!ママに着せられた99年分はあんたの罪を絶対に逮捕して証言台に引きずりだしてあげるんだから!!」

 

「俺を逮捕するだと?・・・おもしろいことを言うじゃねぇかホームズ家の娘。せっかくだ、お前の血も貰おうか?」

 

 アリアは再び銃を連射してみるも・・・やはりすぐに回復されてしまう。そしてゆっくりとブラドはこちらに歩いてきた。

「ブラド・・・ルーマニア・・・吸血・・・そうゆうことだったのね。あんたの正体はドラキュラ伯爵!!」

 

 ドラキュラだと!?・・・空想上の化け物だと言いたいが・・・いろんな怪人がいるんだからいたっておかしくはないな。

「・・・初めまして・・・だな、日本語ではよぉ。ひさびさに暴れさせてもらうぜ・・・変身!」

 

 ブラドが上を向くと置物だと思っていた変なデザインの蝙蝠が飛んできた。

「あれは!?キンジ!!急いであの蝙蝠の動きを止めろ!!」

 

『もう遅いよどろろ~ん!へんし~~ん!』

 

 白いタレ目の蝙蝠はブラドの腰に出現したベルトに逆さに止まった。するとブラドの前に魔方陣のようなものが出現しゆっくりとブラドを通過すると・・・ブラドはまるでバフォメットと呼ばれる悪魔のような角をした3,2メートルほどの姿に変わった。

「ひさびさの変身だぁ。ちょっとは足掻いてみろよお前ら」

 

 ブラドが変身してしまったアークは理子の頭を摘み上げる。

「ちっ!最悪な展開だぞ・・・キンジ!急いで変身しろ!!」

 

 アンクは怪人態に変わると変身するように言ってきた。

「正太郎、陽・・・Wに変身してくれ。・・・俺一人じゃどうにもならない」

 

「ああ、いくぜ陽!」

『JOKER』

 

「・・・まるで仮面戦士のような姿をしているね」

『CYCLONE』

 

 正太郎はコーヒー飴を噛み砕きダブルドライバーを腰につけると2人はメモリを起動する。

「「変身!」」

『CYCLONE JOKER』

 

 二人はWに変身するとすぐさま倒れる陽の身体を受け止める。

「今回はちゃんと受け止めれたね」

 

「当然だろ・・・いくぜ?」

 

 Wは変身してアークに向かっていこうとしたその時だった。

「ハァァァァッ!」

 

「うわっ!?」

 

 Wは突如奇襲してきたヤブカヤミーのレイピアを喰らってしまった。

「くそっ!この前の蚊か!!・・・変身っ!」

『タカ!トラ!バッタ!タットッバッ!タトバ、タッ!トッ!バッ!』

 

 俺はすぐさまオーズに変身して展開したトラクローを振るうが・・・ヤブカヤミーはあっさりと避けた。

「血を持ってきたぞ」

 

 ヤブカヤミーは集めた幾つかの血をそれぞれ結晶化したものをアークに渡すとアークはそれを胸に押し当てるように吸収した。

「・・・一つあまり優秀じゃねぇのが混ざってんぞ!!虫けらが!!」

 

「うおっ!?」

 

アークはその巨大な拳をヤブカヤミーに振り下ろして1撃でヤミーを倒してしまった。・・・うそだろ?・・・俺と剣崎があんなに苦戦したんだぞ・・・。

「きーくん・・・アリア・・・助けて・・・」

 

 アークに掴まれたままの理子が・・・俺達に向かってそう言った。

「キンジ・・・俺達があいつを引き付ける。・・・理子を助けたら陽の身体と理子を安全な場所に頼む」

 

「分かった・・・アンク!!」

 

「ほらよ!!」

 

 俺はアンクからジャリバーを受け取るとすぐにセルメダルを1枚入れる。

『シングル・スキャニングチャージ!』

 

「セイヤッァァァァ!!」

 

 アークの右腕にジャリバーを振り下ろしてみたが・・・その鎧には1枚程度のセルメダルの力では傷一つつけられなかった。

「こいつでどうだ?」

『LUNA TRIGGER』

 

Wはルナトリガーに変わるとすぐさまトリガーマグナムにトリガーメモリをセットする。

『TRIGGER MAXIMUM DRIVE』

 

「「トリガーフルバースト!」」

 

「きかねぇな・・・かゆいくらいだぜ?ゲララ!」

 

 Wの大量の光弾すらも耐え凌いだアークには余裕すら感じられる。

「この女がほしいのか?こんな失敗が欲しいならくれてやるよ」

 

「理子っ!!」

 

 理子はアークによって空に放り投げられた。あんな高さから生身でここに落ちれば確実に死ぬぞ!

「くっ!?」

 

 俺はバッタレッグのジャンプ力で跳び上がり理子を受け止めて着地すると、すぐに陽の身体も抱えて隣のビルの屋上に跳んだ。

「餓鬼ども・・・遊び方ってものを教えてやるよ」

 

『HEAT METAL』

 

 Wはメタルシャフトでアークのパンチを何とか防ぎ、アリアは銃で攻撃、アンクも空中からある程度加減している様子の火弾を放っている。アンクは俺たちが近くにいたら細大火力を出せない。・・・俺もすぐに戻らないとな。

「理子・・・ここにいろ」

 

 俺はゆっくりと理子達を降ろして戦いに向かおうとすると・・・俺の左腕が理子に掴まれた。

「キンジ・・・今すぐアリア達を引かせて。・・・ブラドは強い・・・強すぎる。今のキンジだって勝てない。過去にそれは証明されて・・・」

 

「・・・理子、伝説は塗り変えるものだよ」

 

 俺は昔、師匠・・・みたいな人からの教えを理子に伝えると十字架を理子の手に置く。

「取り戻しておいた。さっき理子を助けたときにね」

 

「キンジ・・・・!」

 

 理子はこれまでには見たことのない表情で微笑んだ。・・・ジャンプしたときにさり気なく落ちていた偽者とすり替えてやったんだ。・・・ホントよくできたな。・・・ヒステリア・オーズの俺。

「あんな怪物を放っておくわけにもいかない。・・・理子、自由がほしいんだろ?」

 

「うん。・・・でも・・・あいつに勝てるはず・・・」

 

「お前は泥棒だろ?自分の自由が奪われたままでいいのか?」

 

「そんなの嫌に決まって・・・!!」

 

「だったら俺達がアイツを倒してお前の自由を取り戻す!!」

『ライオン!トラ!バッタ!』

 

 俺はオーズ・ラトラバに変わると再び戦いの場に戻っていった。目の前で助けを求める命がいたら・・・どんなに勝ち目がなくても、たとえヒステリアじゃない俺でも助けに行く。・・・二度と後悔しないためにな。

 

 

 

 

・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・

 

 

「俺のヤミーの気配が消えた?・・・あの上に向かった瞬間にだと?」

 

 ウヴァはヤブカヤミーの気配が一瞬で消えたことが気になりW達がアークと戦っている屋上にやって来るとその戦闘を眺めていた。

「・・・なるほど・・・アークの巻き添えを喰らったということか・・・それならば納得だ。・・・近くにオーズもいるな。・・・せいぜい潰しあって貰おうか」

 

そこにさらに・・・

「あれぇ?アークだぁ。それにウヴァもいるぅ。ウヴァも、メズールのメダル、取り戻しに来たのかぁ?」

 

「うっほっ?」

 

ガメルとゴリラヤミーもやって来てしまった。

 


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