緋弾のアリア 欲望の交差   作:彩花乃茶

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counttheMedal!現在オーズの使えるメダルは

タカコアメダル×1
ライオンコアメダル×1
シャチコアメダル×2
トラコアメダル×2
ゴリラコアメダル×1
ウナギコアメダル×1
バッタコアメダル×2
チーターコアメダル×1
タココアメダル×2


風と切り札と無限罪

 本来なら自分の部屋ってのは安らぎの場所のはずだ。だが今の俺の部屋はあいかわらず住み付いているアリアと、合鍵を貰ってから堂々と夕飯を作りに来るようになってしまった白雪のせいで安らぎなんてなく落ち着くことなんてできない。

「ボルシャックでシールドを攻撃!」

 

「ハッ!スクラッパー!」

 

 だから俺は最近・・・できるだけ時間を潰せるように自習室でカードゲームの自習をしている。ここにいる面子は俺とアンク、矢車にサボり仲間の乾匠(いぬいたくみ)と武藤と不知火だ。・・・俺とアンクはともかく・・・こいつら暇人なのか?

「・・・ロストソウルだ・・」

 

「ちっ、手札も何もかも失っちまった・・・どうせ俺なんか・・・」

 

 矢車はタクミに押され気味で悔しそうだな。俺はもうアンクに負けてしまったので矢車とタクミの勝負を見ていると・・・

『pppp』

 

「あ、悪い・・・」

 

 俺の携帯が鳴った。・・・知らない番号だな。一体誰だ?

『キンジ、今すぐ女子寮に来て!』

 

 電話をしてきたのはアリアのようだな。アリアは俺のアドレスを知ってるはずのにワザワザ別の携帯から掛けているってことは何かあったのか?

「・・・分かった!すぐに行く、場所は?」

 

『1011号室よ』

 

「分かった!・・・悪いお前ら、俺は抜けるわ!」

 

俺は急いで自習室を出て指示された女子寮の部屋へ向かった。

 

 

 

・・・・・・

・・・・・・・・

・・・・・・・・・・

 指定された場所へと到着して俺はゆっくりと扉を開けると・・・

「もうっ!遅いわよキンジ!でも許してあげる」

 

「っ!?」

 

 アリアがいきなり俺を掴んで部屋に引き入れた。桃色に照らされた部屋には大量の衣服が足の踏み場もないほどにあった。

「キンジ、どれがいい?」

 

「は?」

 

「だから~、どれを着てほしいかって言っているのっ!」

 

「っ!?」

 

 足技でベッドに倒されてしまった俺に・・・

「キンジ~~!!」

 

アリアは胸の部分を俺の顔にすり当てるように抱きついてきた。・・・間直に感じる女の子の香りと感触で俺は一瞬にして・・・ヒステリアモードになってしまったが・・・ようやく理解したぞ。

「・・・なんのつもりだ理子」

 

「ふふ、やった~!クララが立った~!」

 

 理子はアリアの変装メイクを剥ぎ取った。

「その通り!理子りんで~す!ただいまキ~くん!」

 

「どうして戻ってきたんだ?」

 

 俺は冷静に俺に跨る理子に質問するが・・・

「きーくん。理子を助けて」

 

いかん!?今の俺は女子を絶対に助けようとしてしまうヒステリアモードだ!理子は明らかにそのことを分かっているな。

「てゆうかそもそも~、せっかく武偵高とイ・ウーのダブルスクールをしてたのにアリアとキーくんのせいでイ・ウーを退学になっちゃったんだよ~。プンプン!」

 

 何?・・・イ・ウーを退学だと?・・・どうゆうことだ?

「今から理子は~男の子が絶対に言う事を聞いてくれる魔法の言葉を使っちゃいま~す!」

 

 理子はそう言いながら自身の顔を俺の顔のスレスレに近づけると・・・誘惑するように耳元で告げてきた。

「き~くん、えっちいこと、しよっ!」

 

 どうする俺!どうやってこのピンチを乗り切る!。

「きーくん。好き、好き、だ~い好き!・・・だからきーくんも理子の好きを受け止めて」

 

それは無理だな理子。『武偵殺し』として幾つもの事件を引き起こし、かなえさんに罪を擦り付けた・・・そして何より俺の兄さんを手に懸けたお前の言葉をそう簡単に信じるわけないだろ。

「冗談がうまくなったな理子」

 

「え~、き~くんヒド~い。ただ、理子は泥棒さんだからアリアからきーくんを奪おうとしただけなのに~」

 

「・・・君は俺から兄さんも盗んだ」

 

 俺はそう言いながら理子に鋭い視線を送るが・・・意外な答えが返ってきた。

「まだ殺したと思ってる?」

 

「・・・どうゆう意味だ?」

 

「言葉通りの意味。理子がきーくんラブになる前の理子の恋人さんだし。あ、でも安心して。こんなことはしてないから!理子は穢れない乙女なのです~」

 

 だろうな・・・。兄さんはこんなことをできる人間じゃない。

「証拠はあるのか?」

 

「それはもうすぐ・・・」

 

「違う。兄さんが生きているっていう証拠だ」

 

「H・S・S」

 

 何っ!?なんで理子がそのことを知っている!!・・・まさか・・・本当に兄さんは・・・

「『武偵殺し』なんて間違いだよ~。理子は一人も殺してないもん。正確には『武偵攫い』かな~」

 

たしかに『武偵殺し』の被害者で全員死体のようなものは発見させてはいない。もしかしたら本当に・・・

「は~い!ここできーくんに選択肢で~す!もしここで理子の‘好き’を受け入れてくれるならお兄さんのことをい~っぱい話してあげる。・・・どうするキンジ?」

 

 くそ・・・理子は俺が兄さんを尊敬してるってことを知っている上でこんな選択肢を出してるな。・・・俺がその選択に悩んでいるその時だった。

「あたしのドレイを盗むなっ!!」

 

 アリアはSWATのごとく窓ガラスを蹴り割って突入してきた。

「アリア~。イベントシーンに別のヒロインが乱入してくるなんて駄目でしょ~」

 

理子はそう言いながら腕時計を外してこちらに投げつけると・・・それは強烈な光を放った。

「閃光手榴弾か!?」

 

「きゃっ!・・・あれ、理子は?」

 

その光で目を閉じてしまった間に理子はすでにこの部屋から姿を消していた。

「ドアを開ける音はしなかったぞ」

 

「ってことは・・・」

 

ベランダに出て辺りを見渡すと、上に伸びる動力つきのワイヤーで屋上に向かっている理子を発見した。

「屋上よ!いくわよキンジ!」

 

「ああ!」

 

 俺とアリアは屋上へと向かうと月明かりに照らされた理子がこちらを向いて笑った。

「・・・峰・理子・リュパン4世!今度こそ逮捕してやる!」

 

こうして21世紀のホームズとリュパンの子孫による英仏戦争が開幕した。横からで悪いが日本も参戦させてもらおうと俺は拳銃を構えようとしたその時だった。

「ギィィィィィィ!!」

 

「「「っ!?」」」

 

 俺達のいる屋上に1体の蟹の怪人が現れた。

「キンジ!」

 

「ああ、変身!!」

『タカ!トラ!バッタ!タットッバッ!タトバ、タッ!トッ!バッ!』

 

 俺はオーズに変身してトラクローで切りかかろうとすると・・・

「待てよキンジ。そいつは‘俺達’が相手をするぜ」

 

 仮面ライダージョーカーのようだが何やら違う仮面戦士が俺と蟹の怪人の間に割って入ってきた。

「・・・緑の仮面戦士?」

 

 アリアは右側からその仮面戦士を見て、そんな言葉を呟く。

「・・・黒の仮面戦士?」

 

 アリアの反対側からその仮面戦士を見た理子はそう呟いた。

「黒?・・・緑でしょ?」

 

「どっちもだ」

 

右側が緑色、左側が黒の仮面戦士は二人の言葉を肯定した。・・・この声、やっぱり正太郎か。

「「俺達(僕達)は‘仮面ライダーW’」」

 

 何やら二人分の声が聞こえる仮面戦士・・・仮面ライダーWの台詞とともに、ダブルを中心に強い風が巻き起こる。

「「さぁ、お前の罪を数えろ!」」

 

ダブルは蟹の怪人をゆっくりと指差すと・・・そんな台詞を告げた。俺はこの日始めて・・・正太郎と陽・・・二人で一人の仮面ライダーを目撃した。

「「さぁ、お前の罪を数えろ!」」

 

 そう言い放ったWは蟹の怪人に駆け寄ると風を纏った跳び回し蹴りを真っ先に決めた。

「ギィィ!?」

 

 その一撃で蟹の怪人から何枚かセルメダルが散らばる。・・・やっぱりあの怪人はヤミーか。・・・いや、今はそんなことが問題じゃない。問題なのは正太郎が変身しているあの2色の仮面戦士‘仮面ライダーW’の方だ。

「「ハッァ!!」」

 

「ギィ!?」

 

右側から発生しているあの風・・・ベルトのメモリを見る限りサイクロンメモリの能力だろうな。そして左側のジョーカーの身体強化との組み合わせでキレのある素早い攻撃をしているようだな。

「ギィィィィッ!!」

 

「おっと!?」

 

 カニヤミーはダブルから一度距離を取ると無数の泡をダブルに放った。するとその泡は何か物体に触れた途端に次々と爆発した。

「正太郎、どうやらあの泡は物体に触れると爆発してしまうらここでの爆発はやっかいだ。・・・僕のメモリを変えよう」

 

「ああ、お熱いのを咬ましてやろうぜ!」

『HEAT』

 

ダブルは一人で二つの声を出しながらサイクロンメモリを外すと別の赤いメモリを起動した。

『HEAT JOKER』

 

 独特のメロディとともにダブルの右側は緑から赤へと変わり、マフラーも消えた。

「赤くなっちゃった・・・何なのあの半分こ・・・」

 

「キカイダーみたい・・・」

 

 アリアはダブルのチェンジを見ながらそんなことを呟く。・・・理子・・・たしかにテレビで入っているヒーローに似ているがそれは言っちゃ駄目だ。それにもし言うとしてもせめて01だ。

「・・・分からない・・・でも、俺の知り合いが変身してることは確かだな」

 

 あの2つの声・・・正太郎は確実としてもう1人の声は・・・陽だろうな。しかし二人で変身する仮面戦士なんて聞いたことないぞ。

「ギィィィィィ!!」

 

「正太郎、周りの物に触れる前に・・・分かってるね?」

 

「ああ、分かってるぜ・・・おらっぁ!!」

 

「とりゃぁぁぁっ!!」

 

 ダブルは炎が灯るほどに熱くした右拳で次々と泡を蒸発させる。・・・たしかにあれなら爆発はしないな。ヒート・・・熱の力か。・・・ヒートメモリの熱の力とジョーカーメモリの格闘能力だからこそできる方法だな。

「さぁて・・・そろそろ蟹との戯れは終わろうぜ?」

 

「ああ、せっかくだしさっき名前を決めた技で倒そう」

「おっ!いいな!・・・なら・・・」

『CYCLONE JOKER』

 

ダブルは再び右側を緑色の姿に変えるとすぐさまベルトからジョーカーのメモリを外して、右腰のマキシマムスロットにメモリをセットした。

『JOKER MAXIMUM DRIVE』

 

 ダブルは緑色の竜巻を発生させると、その力で宙に舞い上がった。

「「ジョーカーエクストリーム!!」」

 

「っ!?」

 

「「割れたぁ!?」」

 

ダブルは正中から分割されながらカニヤミーに向かってキックを決めにいく。・・・幾らなんでも半分に割れるのはないだろ・・・予想外すぎる・・・アリアと理子なんて声を出して驚いているし・・・。

「「ハァァァァァッ!!」」

 

「ギィィィィィ!?」

 

 時間差で放たれた二発のキックが直撃したカニヤミーは爆発し辺りにセルメダルが散らばった。

「よし、とりあえず蟹は倒したし・・・」

 

 ダブルはW型に開いたベルトを閉じて変身を解除すると・・・そこには正太郎一人だった。・・・どうゆうことだ?てっきり二人の声がしてたから二人で変身していたと思っていたんだが・・・。

「いったい今の仮面戦士・・・仮面ライダーWって何なんだ?お前と陽の声が聞こえたがどうゆうことだ?」

 

「まぁ・・・このことは説明が長くなるし明日にさせてくれキンジ」

 

「あ、ああ」

 

 俺は正太郎の言葉に頷きつつもオーズの変身を解除した。

「しっかし、ヤミーを倒した後のメダル回収ってメンドイよな~。なんかこう・・・ガ~~って回収できるのってないのかよ?」

 

「さぁな。・・・・アリア、理子、場所を変えるぞ・・・」

 

 一人セルメダルを集める正太郎をその場に残して俺達は先ほどの1011号室に移動した。・・・正太郎は理子が『武偵殺し』であることを知らない。・・・可能な限り武偵高の生徒にそのことを知ってほしくはないしな。

「・・・アリア・・・一応言っておくが理子と戦っては駄目だ」

 

「何でよっ!?」

 

 銃を握っていたアリアに俺はそう告げる。

「おそらく理子は司法取引をしている。武偵高に戻って来られたのもそれでだろ」

 

「あったり~!さっすがき~くん!理子のこと分かってる~~!」

 

「嘘よ!そんな手にあたしが引っ掛かるわけ・・・」

 

「だが事実なら・・・正当な理由なく理子に危害を加えることはただの犯罪だ」

 

 ん?・・・よく考えてみれば俺って・・・正当な理由なくアリアから危害を受けてないか?・・・まあ、今はそんなことは気にしないでおこう。

「もし俺達が逮捕されればかなえさんを助けることができなくなるぞ」

 

「う、うう。で、でも、ママに濡れ衣を着せたのは別件よ!最高裁で証言しなさい!」

 

「いいよ~」

 

「いやってんなら力づくでも・・・・え?」

 

 理子の意外な言葉にアリアは固まった。

「証言してあげる」

 

「ほ、ほんと!!」

 

アリアは笑顔で理子に詰め寄った。

「アリアもお母様が大好きなんだね。理子もお母様が大好きだから分かるよ・・・ごめんねアリア・・・う・・・うう」

 

「ちょ!?泣かないでよもう!!」

 

 泣き始めた理子にアリアはどうすればいいのか分からなそうな表情をする。だがその一瞬、理子がにやけたことに気づいた俺は演技だと確信した。

「しかもアリア達に負けたからってブラドに理子の大切な物まで奪われて・・・」

 

 矢車ほどではないが俺も人の心の闇があるかないかが何となく分かる。この悔しそうな表情・・・おそらくそれは本当のことだろうな。

「ブラドってまさか『無限罪のブラド』のこと!?」

 

「そうだよ。だから理子はブラドから宝物を取り返したいの。・・・だから理子を助けて!」

 

「助けてって言ったって・・・いったい何をすればいいんだ?」

 

 正直ブラドというのもどんな奴なのかも分からないが・・・見捨てることはできそうにないな。

「きーくん、アリア。理子と一緒に泥棒やろうよ!」

 

 ベランダに向かいそう言ってから振り返った理子は・・・まるでいつものおバカモードの理子だった。

 

 

 

 

・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

「で、あんたはやるの?泥棒の手伝い」

 

「まあな・・・少し気がかりなこともあるしな」

 

 俺とアリアは部屋に帰ると一応アンクにもそのことを話した。アンクは「お前がやるって言うなら手を貸してやる」と言ってくれた。・・・あいつは無駄にアンロックスキルが高いからきっと役に立つだろうな。

「気がかりなこと?」

 

「お前には関係ないだろ・・・」

 

 できれば兄さんのことは・・・アリアには言いたくない。

 

「・・・まぁいいわ。あたしもやってあげる。・・・あたしのドレイを好き勝手使われるのも嫌だしね」

 

「助かる。・・・・にしても・・・」

 

 俺はベランダのほうを見るとアンクは深刻な表情で夜の外を見ていた。

「いったいどうしたんだアンク?カードゲームをやってたときとは感じが違うぞ?」

 

「あ、ああ。・・・・何か嫌な感じがするんだよ。・・・800年前にも経験した黒い化け物の力をな・・・」

 

「・・・・なんだそれ?」

 

「・・・もしアイツがこの時代にもいるっていうならカザリとメズールのじゃ対抗できない。・・・最低でもガメルのコンボは手に入れておきたいな」

 

この時の俺には・・・‘黒い化け物’の意味は全く分からなかった。・・・まさかあんな化け物と戦わないといけなくなるとは思っていなかったもんな。

 

 


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