緋弾のアリア 欲望の交差   作:彩花乃茶

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 前回、プレビューを押し間違えて投稿を押してしまい、予定よりも早い1話になってしまいました。予定とは違いますが2話目です。


変身と不可抗力と仮面戦士

「変身!」

 

ベルトのメダルを入れた部分を傾けて右腰についているものを右手に持ってスキャンすると、俺の周りを無数のメダルが包み込む。

 

『タカ!トラ!バッタ!タットッバッ!タトバ、タットッバッ!!』

 

俺は上下3色。赤、黄色、緑・・・タカの視力、トラの腕力、バッタのジャンプ力を合わせ持つ戦士の姿、オーズ タトバコンボへと変身した。

 

「さて、俺もおもちゃで遊ばせてもらうよ」

 

 そう呟いた俺はセグウェイの待ち構える外にその身を出していく。ご丁寧にもセグウェイどもは横1列に並んでいた。

「っ・・・」

 

 セグウェイは一斉にサブマシンガンを連射してくる。しかしその銃弾は当たらない。当たるわけがない。‘今’の俺にははっきりと視えるからだ。 俺は‘トラ’に力を込めると鉤爪・・・トラクローを展開し飛んできた銃弾をすべて‘切り裂いた’。・・・もしも変身しないでよけなかったら頭を撃ちぬかれていたな。

 

「いい狙いだ。でも・・・」

 

俺の目・・・‘タカ’の黄緑色の複眼を紅く輝かせた俺は相手を完全に捉え・・・

 

「動きが単調で狙いやすい」

 

 ‘バッタ’の足で高く跳び上がり・・・

 

「セイヤァァァ!」

 

トラクローから放った金色に輝く‘斬撃’で退避しようとしていたセグウェイをさっきの銃弾のようにすべて切り裂く。

 

「ふぅ・・・」

 

正直・・・銃さえあれば変身しなくても‘ヒステリアモード’の俺でもなんとかなっただろうな。この程度の相手は話にならない。と・・・そんなことを考えながらも俺は体育倉庫に戻る。アリアは今の出来事に目を丸くして跳び箱の中に入っていた。何でか怒っているようにも見える。俺は傾いているベルトを横にして変身を解いた。

 

「お、恩なんか着けないんだからねっ!私一人でもなんとかできたっ!これはほんとのホントっ!」

 

強がりながらアリアは跳び箱の中でうごめく。どうやら服の乱れを直してるらしいな。・・・だけどそれは難しいだろうな。さっきお姫様抱っこをした時に気づいたんだが、アリアのスカートのホックは爆風で壊れていたんだから。

 

「それに今のでさっきのことをうやむやにしようとしたってそうはいかないんだから!あれは強制わいせつ!れっきとした犯罪よ!」

 

・・・うわー。すっげぇこっち睨んでる。・・・跳び箱の隙間から。

 

「・・・アリア、それは悲しい誤解だ」

 

俺は制服のベルトをはずして跳び箱の中に投げ入れる。

 

「あれは不可抗力だ。理解してほしい」

 

 

「あ、あれが不可抗力ですって!?」

 

跳び箱の中から俺の普通の方のベルトでスカートを押さえつけたアリアが出てきた。その姿は予想以上に小さい。・・・だいたい142センチくらいか?

 

「は、ハッキリとあんた・・・」

 

 アリアは顔を真っ赤にしながらこっちを睨んでくる。

 

「あ、あたしのふ、服を脱がそうとしてたじゃない!!そ、それにあんた・・・む、胸見てたあぁぁぁぁ!!これは事実!このっ!ヘンタイっ!!」

 

さらにアリアは赤くなる。耳まで真っ赤だ。

 

「あ、あんた、い、いったい何するつもりだったのよ!責任取りなさいよ!」

 

 なんだよ、責任って。

 

「よし、アリア、冷静に考えよう。俺は高校生、今日から2年だ。中学生を脱がしたりするわけないだろう。年が離れすぎだ」

 

「あたしは中学生じゃない!!」

 

・ ・・まずいな。どうやら説得を失敗したらしい。・・・そういえば女ってのは実際より年上に思われると怒ってしまうって橘先輩から聞いたことがあるな。・・・ってことは・・・「・・・悪かったよ。インターンで入ってきた小学生だったんだね。助けられた時からそうなんじゃないかと思っていたんだ。しかしすごいな、アリアちゃんは」

 

勇敢な子だね。と付け加えようとしていたらアリアは顔を伏せて両ふとももに左右のてをつけた。

「こんな、こんな奴・・・助けるんじゃなかったっ!!」

 

「っ!?」

 

なんだ?!この子撃ってきた。しかも2丁拳銃で・・・

「あ た し は 高 2 だ !!」

 

えっ・・・マジ?・・・見えねぇ・・・。橘先輩の嘘つき!裏切り者っ!逆じゃないっすか!!

「っと・・」

 

 俺はアリアの至近距離から撃ってくる銃弾をギリギリかわす。普段の俺には変身しない限り不可能なことだが、ヒステリアモードの俺なら可能だ。数発放った後、弾切れになったようで、これででなんとかと思ったが・・・

 

「・・・んっ・・・やぁ!!」

 

 体をひねったかと思うと、アリアは体格の差などものともせず俺を投げ飛ばした。

「うっ!」

 

この子、徒手格闘もできるのか?しかもやたら巧い。とりあえず受身を取った俺だったが、勢いを殺しきれずに体育倉庫の外に転がっていった。

「逃げられないわよ!あたしは逃走する犯人を逃がしたことは1度もないんだからっ!・・・あ、あれ?あれっ?」

 

アリアはスカートの中をわしゃわしゃとさぐる。再装填する弾倉を探してるんだろうな。

「ごめんよ」

 

 俺はさっき投げ飛ばされた際に予備の弾倉をスリとっておいた。そしてそれをあさっての方角へ放り投げる。

「もう許さない!泣いて跪いて謝っても許さない!!」

 

アリアは拳銃をしまうとセーラー服の背中に手を突っ込んで2本の刀を出してきた。どうやってしまってやがる!4次元ポケットでも持ってんのか?

「うりゃ!」

 

「っと!」

 

 俺はなんとか彼女の刀をよけると・・・

 

「っわっ!?きゃっ!?

 

 見えない相手にバックドロップを喰らったかのように、盛大にぶっ倒れた。その足元にはアリアの弾倉から抜いておいた銃弾と数枚の銀色のメダルが散らばっている。さっき弾倉を放り投げた時にばら撒いておいた物だ。

 

「こ、この・・・みゃあ!?」

 

あっ、またこけた。なんか漫画みたいに勢いよくこけたな。今のは、怪我とかなかったか心配だな。まぁ・・・でもせっかくのチャンスだし今のうちに逃げよう。俺はFBIの捜査官からも逃げ切れる自信があるヒステリアモードに対し、アリアは怒りと羞恥心で取り乱している。逃げ切れないはずがない。

「この卑怯者おぉぉぉ!ぜぇぇったい!風穴!開けてやるんだからぁぁぁぁ!」

 

後ろからそんな声が聞こえたが、俺は気にもとめない。俺が今、気にするべきなのは先ほどヒステリアモードの俺がやってしまった行動・・・‘変身’だった。

 

 

平凡な日々を過ごしたい俺、遠山キンジはこの日後に『緋弾のアリア』として世界中の犯罪者を振るえ上がらせる少女・・・『神崎・H・アリアと出会ってしまった。

 

 

 

 

『仮面戦士科(ライダー)』・・・ライダーシステムを持つ生徒は、この科目を取ることを義務づける。基本は徒手格闘、剣術、銃術などの強襲科と同じような実習訓練と共に自動二輪の運転の基本、応用を行う。仮面戦士科の生徒は在学中に自動二輪の免許を取得することを義務づける。尚、仮面戦士となる者は以下の決まりを守ること。

 

1、 仮面戦士は自身の欲望のためにその‘力’を使わない。

 

2、 仮面戦士は生身の人間に、その‘力’を使ってはいけない。

 

3、 強くあれ。鍛えぬけ。ただし、力に飲まれるな。

 

以上の三つは国際協定で決められたルールである。その三つを決して破ってはいけない。

 




 次回からカウントザメダルを復活させようと思います。

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