タカコアメダル×1
ライオンコアメダル×1
クワガタコアメダル×1
トラコアメダル×2
ゴリラコアメダル×1
バッタコアメダル×2
チーターコアメダル×2
タココアメダル×1
連休が終わりアドシアードが始まった。昨日の後、白雪は学園島の方へは戻らずに忘れ物があるからと言って元の女子寮に帰ってしまった。加えてアンクも昨日は部屋に帰ってきていない。アイツはもしかしたら・・・俺と同じように自分の力を嫌っているのかもしれないな。
「・・・・にしても・・・ヒマだな」
現在進行形でアドシアードをサボっている俺は校舎の裏側にありながらも丁度いいぐらいに太陽の光が当たる木陰でボーっとしてた。本来なら白雪を護衛するべきなんだろうが・・・生徒会のメンバーと一緒にいるはずだから問題ないだろうな。
「ヒマなら俺と受付の仕事を代われよ」
時刻にして午後1時ぐらいだろうか・・・おそらく受付を飽きたので抜けてきたであろう武藤がやってきた。
「だが、断る」
「・・・はぁ、言うと思ったぜ」
武藤は適当に俺の近くに座った。
「で、結局チアに星伽さんは出ないのか?」
「白雪?出ないらしいぞ」
「そうかぁー」
武藤はやたら残念そうに語尾を伸ばす。
「・・・・で?・・・キンジ、お前はどっちなんだよ?」
「あ?何がだ?」
「星伽さんとアリア。どっちが本命なんだ?」
「は?」
いきなり何言ってんだコイツ?わけわかんねぇな。
「・・・・いや、なんでもない。忘れてくれ」
自分で話題を振ったくせにすぐさまやめんのかよ。・・・まぁ、この話を引っ張るのも嫌だし構わんが・・・。
「ところでキンジ。今朝BOKUジャーナルの雑誌を買ったんだが・・・ほら、ここを見てみろよ!」
「何だ?カッコいいバイクでもついてたのか?」
俺は武藤の開いた雑誌のページを見てみると・・・
『武偵制度、廃止すべき!!』
というタイトルで長々と武偵を批判する記事が書かれていた。‘暴力解決’やら‘過剰な戦闘行為’やら・・・名護さんが見たら「これは酷い!」と言ってもおかしくないほどの中傷記事だ。
「この記事を書いたのがBOKUジャーナルの鎌田ってヤツで今まで時々武偵を批判するような記事を書いていたんだが・・・・今回のものはいくらなんでもな・・」
「ああ、限度が過ぎているな」
武偵をやめるつもりの俺でさえこの記事を見ているとイライラしてくる。
「今、この記事についてサバキのおっさんが講義しにいってるらしいぜ」
うわっ・・・鎌田とか言うおっさん終わったな。問答無用で真っ白になるぜ。メンタルが。
「まぁ、話題は変わるけど・・・このバイクかっこ良くないか?」
武藤はまたもや話題の内容を代えてきたので・・・俺も時間潰しにしばらく話題に乗ってやった。
・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
「おいキンジ!!」
「っ!?」
俺はうたた寝をしているといきなり武藤に起こされた。
「どうしたんだ?」
「ケースD7だ!ケースD7が起きた!」
ケースD7ってのはアドシアード期間中の武偵高内での事件発生を意味する符丁だ。この場合は連絡は一部の人間だけで、極秘に調査することになる。
「星伽さんが失踪したらしい。昼過ぎから連絡が取れないようだ」
くそっ!また油断した!・・・そう思った俺は慌てて携帯の画面を開く。そこには白雪からのメールがあった。
『キンちゃん、ごめんね。さよなら』
この文章からして何かあったに違いない。・・・うかつだった。白雪はアリアの言うとおり本当に狙われていたんだ。
「畜生っ!!」
「キンジっ!?」
俺は急いで武偵高の外へと出て行った。
・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
「白雪!白雪ぃぃぃぃ!!」
『p‐』
俺は大量のタカカンドロイドを空へ飛ばすとベンダーのバイクモードに乗って辺りを探しまくっていた。白雪はあの時守ってくれと言ったのに・・・アリアは白雪に危機が迫っていることを直感してたのに・・・くそ、つくづく駄目な俺に腹が立つ。
『ppp』
「もしもし?」
電話がかかってきたので出ると・・・
『キンジさん、レキです』
「レキ!お前も白雪を探すのを手伝って・・・」
「っ!」
俺が最後まで言い切る前に俺の足元のコンクリートに一発の銃弾がめり込んだ。
『キンジさん、落ち着いてください。冷静さを失えば人は能力を半減させてしまう。今のあなたがまさにそれです。・・・落ち着きましたか?』
「あ、ああ。おかげでな・・・レキ、白雪の目撃情報は?」
『車両科の倉庫周辺で目撃証言があります』
「その辺で何か異変は?」
『普段はあまり使われない第3備品倉庫の扉が開いてます』
第3備品倉庫だな。
「分かった。いってみる!」
俺はベンダーをUターンさせて急いで備品倉庫に向かった。
「・・・ここだな・・・ん?あれは・・・」
備品倉庫に到着した俺は怪しげなエレベーターを発見したので生徒手帳でここの地図を確認する。
「地下倉庫だと!?」
その単語に冷や汗が出る。地下倉庫って言えば武偵高でも危ない場所の上位にランク付けされる場所だぞ。・・・地下倉庫ってのは柔らかい言い方なだけでつまりは火薬庫だ。あのエレベーターはその場所に通じている。
「それでも・・・いくしかないな」
俺は念のために階段で足音を立てないように移動をする。最下層につくと電気の光はあるが薄暗く、「KEEP OUT」やら「DANGER」と書かれた警告があちこちにある。銃はこんなところで使えないな。バタフライナイフを構えた俺はゆっくりと奥へと進む。すると巫女装束の白雪がいた。
「ちゃんと1人で来たよ。これで約束は守ってくれるよね魔剣」
「ああ、武偵高の人間には危害を加えない」
まだ動くべきではないと判断した俺は物陰に隠れて様子を見る。
「どうして私なんかをほしがるの魔剣・・・たいした能力なんてない私を・・・」
「謙遜するな。お前は大粒の原石だ。それも守りの浅い原石に手が伸びるのは必然だろう?覚えているか『私が電話をしたのを・・・』」
魔剣は俺の声で白雪に語りかける。白雪があの時シャワールームにいきなり入ってきたのはそのせいか・・・。
「そしてお前や遠山は動き、あの厄介なホームズは離れた」
くそ、すべて作戦の内だったってことかよ!!
「私に続け白雪。私がお前をふさわしい場所へ連れて行ってやる。イ・ウーへな」
魔剣は白雪手を差し伸べ、それに従わないといけない白雪はその手を掴もうとする。・・・いかせねぇ!!
「白雪!!」
俺はナイフを構えて魔剣に向かって走るが・・・
「駄目!キンちゃん!逃げて!」
「うわっ!?」
魔剣が俺の足元に投げつけてきた短剣は俺に刺さりはしなかったが、俺はそのせいで転がるようにこけてしまった。
「くっそっ・・・」
起き上がろうとした瞬間、腕や足に違和感を感じた。
「凍ってる・・・だと」
俺の手足は凍ってしまっていて動かなかった。
「キンちゃん!!」
「終わりだ・・・」
駆け寄ろうとした白雪を掴んだ魔剣は俺に向かって短剣を投げつけてくる。・・・くそ、動けない!!
「だらしないわねキンジ!」
「ア、アリア・・・」
飛んできた短剣は突如としてこの場に現れたアリアの短刀によって弾かれていた。
「あんたのやり方は調査済みよ魔剣!相手が複数いる場合、あんたはそれを1対1にして片付けようとする。だからあたしは白雪の護衛を外れたの・・・あんたをおびき寄せるためにね」
アリアは魔剣に短刀を向ける。・・・アリアはそこまで考えていたのか。
「武偵憲章2条。依頼人との約束は絶対守れ。あたしは任務を絶対に投げ出さない!」
『p-!』
アリアのそのセリフと共に数体のタカカンは俺の周りの氷を砕いた。これなら動けるな。
「まあ、あの時あんたにムカついたのは事実だけどね」
「は、はは」
睨みつけてきたアリアに俺は苦笑するしかなかった。
「・・・・それで勝ったつもりか?」
「「!!」」
魔剣が白雪を連れて闇の中へ消えていくと共にどこからともなく水が溢れ始めた。・・・まずいな、急いで白雪を助けないと・・・。
「白雪!白雪ぃぃぃぃぃ!!」
「キンジ!あそこ!」
俺とアリアは急いで白雪を探す。するとアリアが柱に鎖で繋がれている白雪を見つけた。
「ごめんなさいキンちゃん。だれにも内緒で来ないと、学園島を爆破してキンちゃんを殺すって言われて・・・」
「それ、何時のことだ?」
「花火大会のときの・・・ヤミーとの戦いの前に・・・メールで・・・」
くそ、あのタイミングでヤミーが現れたのもそのせいか!
「アリアもごめんね。私、あんなひどいことばっかしてたのに・・・」
「あ、あたしはあんたに依頼を受けたから守ってただけ!目的は魔剣よ!だから謝んなくていいわ」
アリアは鍵で固定されている鎖を外しにかかる。
「白雪、魔剣はどこに逃げた?」
「えっと縛られた後、天井のハッチが開くような音が聞こえたから・・・」
上を見るとたしかにハッチが開いていた。どうやら上のフロアに逃げたようだな。
「アリア。お前は先に魔剣を追いかけてくれ。お前泳げないだろ」
「違うわよ!浮き輪さえあれば・・・」
「こんなところに浮き輪なんてない!いいから行ってくれ!そしてヤツから鍵を奪ってきてくれ!」
「・・・・・分かったわ」
アリアは急いで上のフロアへと向かった。俺も鍵をなんとかしようとアンロック用のキーを取り出して鍵穴に差し込んで外しにかかるが・・・水はもう白雪の肩の辺りまで届くほどの所まで来ているのに・・・三つある鍵のうちの一つも外せてなかった。
「・・・これで・・・どうだっ!」
ようやく一つの鍵が外れたが・・・俺の実力じゃあ時間がかかり過ぎてる。アンクのアンロックスキルを見習いたいな。
「くそっ、アンクさえいれば・・・」
「・・・もういって。私、キンちゃんをこれ以上危険な目に合わせたくない」
白雪はあきらめたような目をしながら俺に話しかけてきた。
「馬鹿いうな!何言って・・・」
「星伽の巫女は守り巫女。誰かのために身も心も捧げるのが定め・・・だから」
「何言ってんだ!!」
「いいの、きっと私が死んでもだれも泣かない・・・私が星伽だからチヤホヤされてるだけ・・・うっ!?」
やばい!とうとう白雪の口の辺りまで水が迫ってきやがった。
「諦めんな!ちゃんと息をしろ!ボディガードの言うことを聞け!」
「・・・依頼は取り消します。だからキンちゃん・・・生きて・・・」
「っ!!」
悲しげな瞳をしていた白雪の言葉と共に津波のように勢いよく流れてきた水に俺は流される。・・・ふざけんなよ。また俺は手を伸ばさないのかよ!手を伸ばせば・・・助られんだろ!!俺は兄さんがいなくなってから初めて自分の意思でヒステリアモードになることを決めると、流れに逆らうように泳いで白雪のところまで戻る・・・
「っ!?」
あの時白雪にしてやることができなかったキスをしてやった。・・・・この高鳴る鼓動・・・ヒステリアの感覚だ。先ほどまで苦戦していた鍵をあっさり開ける。
「ぷはっ!」
水が天井につく前になんとか白雪を解放できた。
「白雪。さっき言ったな『依頼は取り消します』って」
「は、はい」
「依頼なんて関係ない。俺は白雪を守る。白雪だから助けたいんだ・・・いいだろ?」
「・・・うん」
「さあ、こっちだ」
俺は白雪をハシゴに誘導し上のフロアへと非難させようとすると、再び大きな波が来て白雪は上のフロアへと押し出されるように流されていったが俺はまったく別の方向へ流されそうになった。
「まったく・・・何やってんだキンジ!」
別の場所へ流されそうになった時、ハシゴの上のほうから俺を掴んだのは・・・
「助かったぜ・・・アンク」
俺の手を掴む右腕だけを怪人態にしていたアンクだった。
「ハッ!バカが・・・最近見張っていたヤミーが動き出した。とっととこの事件を解決してメダル回収にいくぞ」
「ああ、分かった」
さぁ、魔剣への反撃開始だ!
・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
「がんばれ~!」
「しっかり狙って~!」
「あたれ~!」
「ん~~?」
俺がアンクに助けられる十数分前、アドシアードの開催されていた会場では観客席の人々を見渡す長身の灰色の服装の男がいた。俺も後々知ることとなるがガメルの人間態だ。
「ここにも、メズール、いない」
「ん~?なんだ~?」
一人の狙撃科の生徒が目標に命中させた。
「カッコいい~!」
ガメルはおもしろそうに周りを見渡す。そして次の選手がライフルを構えると・・・
「あ~た~れ~!」
ガメルも応援を始めた。しかしその応援も虚しく・・・
「「「あぁ~ぁ~」」」
その弾丸は的から外れてしまった。
「あ~・・・あたらなかった・・・もっとあたれ!」
ガメルは自分の欲望を開放するため自分自身にメダルを入れて怪人態になるとガメルの身体から牛のような怪人が現れた。
「「「きゃ~~!!」」」
その瞬間会場はパニックに陥った。その頃さらにアドシアードの会場のゲートでは・・・
「あら?この感じ・・・ガメルかしら?」
「「「シャァァァァァァ!!」」」
「こら、落ち着きなさい」
メズールと共に数十体・・・下手をすると百は超えているかもしれない数のサメの怪人がゲートを通過した。
「はぁ。・・・まぁ、いいわ。あなた達の欲望通りここを滅茶苦茶にしちゃいなさい」
「く、くそ・・・」
サバキ先生の変身した鬼‘仮面ライダー裁鬼’はメズールによって捨てられるように投げられた。どうやらメズールやヤミーにやられたらしくだいぶボロボロだ。
「「「シャァァァァァァ!!」」」
・・・武偵高に様々な欲望の怪人が集まった。