タカコアメダル×1
ライオンコアメダル×1
クワガタコアメダル×1
トラコアメダル×1
カマキリコアメダル×1
ゴリラコアメダル×1
バッタコアメダル×2
タココアメダル×1
『タカ!カマキリ!タコ!』
「ハアァァァァ!!」
オーズ‘タカキリタ’となった俺はピラニアの怪物・・・ピラニアヤミーをカマキリソードで切り捌いていくが・・・
「ハァ、はぁ・・・くっ!?キリがないな・・・」
「「「シャァァァァァァ!!」」」
・・・正直全然減っているように見えないな。数が多すぎる。
『キンジ!!聞こえる?』
アリアからの無線だ。
「どうしたアリア?ちょっと今は忙しいんだが・・・」
『なんか突然やってきた金髪から事情は聞いているわ。コックピットの人たちはみんな気を失っていて、飛行機は燃料漏れをしているから自衛隊の支持で安全な海上に不時着させるわ!』
横を見ると自衛隊の戦闘機が飛行機の真横についているのに気づいた。バカか、アリア!海上に安全な場所なんてあるわけないだろ!
「それは止めておけ。・・・ここからだと・・・」
「ここからだと学園島の空き地島に着地するべきだぞ遠山!!」
「YES!!」
「思い切り振り切るぜっ!!」
「・・・・・」
「あれは!?」
いきなり空き地島に着地しろと言ってきたのは同じ2年の仮面ライダーナイトこと‘秋山煉’(あきやま れん)。そしてその横でYESと叫んだのは同じく2年の生徒で留学生である仮面ライダーサイガこと‘レオ・アレキサンドル’。そして一人無言だったのが3年の仮面ライダー羽撃鬼こと、ハバタキ先輩の3人がやってきてピラニアヤミーと戦ってくれていた。なんか「振り切るぜ」って言ってる仮面戦士は始めて見るな。・・・まぁ、人手不足だったからありがたい。
「アリア・・・そういうことだからアンクと一緒に飛行機を運転して空き地島に着陸させるようにしてくれ。地面についたらオーズの力で止めるようにする」
『分かったわ!ほら金髪!あんたも運転しなさい!』
『しかたねぇ。ちょっと待ってろ!5秒でこいつの動かし方を理解してやる』
何かを掴んだ音が無線から聞こえた。おそらく機長の記憶を探っているんだろうな。グリードにはそういうこともできるって聞いたこともあるし・・・
『だいたい分かった。・・・それよりも遠山・・・お前はたしかウヴァのコアメダルを4枚持っていたよな?』
「ああ、クワガタとカマキリを1枚づつにバッタが2枚な」
「なら地面に着地すると同時に同じ属性の異なるコアメダルでコンボを発動しろ」
「コンボ?さっきもそんなことを言っていたが・・・いったいそれは何なんだ?」
コンボなんて遠山家の俺ですら聞いたことがないぞ。・・・いったいどんなもんなんだ?
「ハァッ!」
俺はアンクとアリアの2人と通信しながらも片手のカマキリソードでピラニアヤミーの一匹を倒し、セルメダルへと変える。・・・こいつら一匹、一匹は弱いが・・・数が異常なんだよな。見た感じ残り1000近くはいそうだな。不幸中の幸いはヤミーが全部、俺を含む仮面戦士を狙っているってところだよな。もしこの数のヤミーが飛行機のほうを狙ったら大惨事だ。
『まぁ、ヘタすりゃ死ぬな』
『えっ!?』
アリアの驚いた声が聞こえた。・・・にしてもアンク・・・そんなことをサラッと言うなよ。
『その力を制御できれば間違いなくこのヤミー共を殲滅できるほどのとてつもない力だ。・・・どうする?』
『そんなのやめなさい!!リスクが高いわ!!』
「・・・そうだな」
確かにリスクは高い。でも・・・それでも俺は・・・目の前で消し去られそうな命があるのなら、この手で守りたい!だから俺は・・・
「アリア・・・俺は君を死なせたくはない。だから・・・コンボを使う」
そもそも武偵の仕事自体、命がけの仕事だしな。元からリスクが高いんだよ。
『・・・あんたは武偵を辞めるんでしょ?だったら武偵のまま死んだら負けよ。それにあたしもまだママを助けれてないから、死ぬつもりもないわ』
アリアのその約束は俺がここで死ぬことを許されない発言だった。・・・ヒステリアの俺は何が何でも女との約束を守ろうとするんだろ?だったら今回もその約束を守ってくれよ。
「ああ、分かってる」
絶対に失敗できないな。・・・よし、覚悟は決まった。
「神崎!それともう1人の操縦者!もうすぐ着陸だ!」
仮面ライダーナイトは空中で戦いながらも飛行機を誘導してくれている。するとそこに割り込んでくるかのように自衛隊からの通信が入ってくる。
『何をやっているんだ諸君!!我々の指示に従え!!』
「大丈夫かぁぁぁぁ!!遠山ぁぁぁぁぁぁ!!」
「ウェェェェェェイ!」
『っ!? なんだ君達は!?』
いきなり飛んできたギャレンとブレイドのジャックフォームは自衛隊の戦闘機スレスレを横切った。おかげで彼らの注意を引きつけてくれてるな。
「ありがとう御座います橘先輩・・・それと剣崎」
タカヘッドの超視力で暗くても見えている空き地島に飛行機は降りていく。アンクも鳥のグリードだから見えているんだろうな。この飛行機に必要な滑走距離は2050メートル。そして空き地島の長さは2061メートル・・・ギリギリだ。
『おい、着陸するぞ!こいつ等を死なせたくなかったらしっかり止めろよ!!』
「ああ・・・やってやるさ。少なくとも今の俺は・・・仮面ライダーオーズだからな」
飛行機のタイヤが地面に触れたタイミングで俺はタカとタコのコアを外してクワガタとバッタのコアメダルを入れる。そしてすぐさまオースキャナーでベルトの3枚のコアメダルをスキャンする。
『クワガタ!カマキリ!バッタ!ガ~タッ!ガッタガタッキリバ ガッタキリバッ!!』
カマキリアームはそのままにタカヘッドだった頭部はクワガタヘッドに、飛行機に張り付くためのタコレッグはバッタレッグへと変化する。全身に物凄い力を感じる。この姿が緑のコアメダル3枚のコンボ・・・ガタキリバコンボか。
「おおぉぉぉぉぉぉ!!」
俺は叫びながら飛行機の上から飛び降りて飛行機の前に立つ。すると俺が・・・ガタキリバの俺が増殖するように分身した。・・・これがコンボの力なのか!?
『き、キンジが増えた!?』
『ハッ!成功のようだな!』
「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」」
50人まで増えた俺は新体操のピラミッドのように集まり、飛行機を止めにかかる。一つ一つの力は小さいかもしれないけどな・・・重ねればこんな飛行機だって止められるんだよっ!!
「「「「・・・・・・・」」」」
飛行機は空き地島から落ちるスレスレの所で止まった。・・・だけど勝負はここからだ! 俺はすぐさま俺の方に向かってくるピラニアヤミーに立ち向かう。
「「ハァァァァ!!」」
斬る
「「セイッ!!」」
殴る
「「セイヤッ!!」」
蹴る
「「セイッ!!」」
踏み潰す
ガタキリバとなって50人まで実体のある分身をしている俺はピラニアヤミー達に咬まれながらも、無理やり引き剥がしてカマキリソードでピラニアヤミーを斬る。バッタレッグで蹴るなどの戦いをする。
「なんていう力だ・・・」
「・・・WONDERFUL!」
ナイトとサイガからそんなつぶやきが聞こえてきた。・・・こんなに分身してるんだ。同じ仮面戦士だって驚くのは当然だよな。
「「「シャァァァァ!!」」」
ピラニアヤミーは飛行機から離れて空中に集まると一箇所に集まって1つの巨大なピラニアの怪物になる。全部合体したわけではなく、集まって大きな生物に見せているだけだから良く見ると所々でゾロゾロと動いていて少し気持ち悪い。
『おい遠山!そろそろ決めちまえ!』
アンクとアリアが飛行機の操縦席の窓から見える。アリアは何処か不安そうな顔だ。・・・まあ、アンクの言うとおりそろそろ決めないとヒステリアが終わりそうだし、体力のほうも限界だな。
「これで決める!」
『スキャニングチャージ!』
『『『スキャニングチャージ』』』
俺がベルトのコアメダルを再スキャンすると、俺の分身も一斉にベルトをスキャンした。たぶん周りから見ると凄い光景なんだろうな・・・。
「シャァァァァァァ!!」
そんなことを一瞬考えていると巨大ピラニアヤミーは口からビームのようなものを放ってくる。
「セイヤアァァァァ!」
「「セイヤアァァァァ!」」
「「「「「セイヤアァァァァ!」」」」」
総勢50人ものオーズ ガタキリバコンボが一斉に跳び上がりビームを避けると、一斉に跳び蹴り‘ガタキリバキック’を巨大ピラニアに決めた。
「ギエェェェェェェ!?」
巨大ピラニアヤミーは空中で爆発し、大量のセルメダルとなって地面に散らばる。そして俺も1人に戻って着地した。
「ハァ・・・ハァ・・・ヒステリアは・・・終わってんな・・・そ・・れで・・も・・」
俺は・・・今度こそ手を伸ばせたようだ。
「キンジ~~!!」
「遠山!!」
「・・・・・おう」
俺の元に飛行機から降りたアリアとアンクが向かってくるのが見える。それを視界に捉えた途端、オーズの変身が勝手に解ける。・・・そろそろ俺の体力も限界だな。・・・そう言えばアンクから計画のこと聞けてないな。ちゃんとアイツを問い詰めないとな。・・・俺の体力はそこで尽きて意識を失った。
・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
ハイジャック事件から数日が経ち、だいぶコンボの疲れなどが治って武偵病院から退院した俺はアリアに呼ばれてクスクシエに来ていた。アンクにも来てもらって‘計画’とやらを聞きたがったが・・・あいつはあの事件の後、すぐどこかへ行ったらしい。
「キンジ、あの金髪はいったいなんだったのよ?」
「まぁ、知り合いでは・・・あるな」
声には出さないがアリア、お前も一応あってるはずだぞ。・・・怪人体だろうけどな。
「ほんっと、死ぬかと思ったわ」
「まったくだな・・・」
今、振返っても自分のやったことにゾッとするぜ。ライダーシステムにも色々あって分身する仮面ライダーは他にもいるけど俺の変身するオーズの分身数はその中でも群を抜いて多い50体分身だったもんな。しかもあれは負担がでか過ぎてアリアによると、俺は3日間も起きなかったらしい。・・・しばらくコンボは控えるか。幸いなことに情報科の人達ががんばってくれたおかげでマスコミにオーズのことは騒がれなくてすんだが・・・俺が仮面ライダーって言うのは、この武偵高全学年に知れ渡っちまった。今まで、俺の知り合いの一部しか知らなかったのに・・・
「ま、まぁ、とりあえず元気だしなさいよ!あたし達、ちゃんと生きてるんだし!!」
「・・・・・そうだな」
確かに俺達は生き残った。乗客も誰一人死なせずに・・・
「今回の件でママの『武偵殺し』が免罪って証明できたから・・・弁護士の話だと最高裁単位で公判が延びたわ」
「そうか」
おめでとう、と言う空気でもないので、一応そう返しておく。
「ねぇ、あんた、なんで・・・あの飛行機にあたしを助けにきたの?」
その答えは・・・決まっている。
「少し前にも言ったよな?・・・『手を伸ばせば助けられるのに手を伸ばさなければ、死ぬほど後悔する』って・・・」
「べ、別にあたし一人でも何とかできたわ!!・・・ごめん、今のウソ・・・ほんとは理子もヤミーも飛行機も1人じゃなんともならなかったわ。あんたがいなかったら・・・きっとあたし・・・」
アリアは珍しくモジモジとしたしゃべり方をする。
「だから今日はお別れを言いに来たの」
「お別れ?」
「やっぱりパートナーを探しにいくわ。ほんとはあんたならよかったんだけど・・・約束だしね」
「約束?」
何だっけな?・・・自分から言ったはずなのに忘れちまった。
「1回だけ、って約束でしょ」
「あ、ああ・・・」
そういえばそんな約束もしていたな。・・・一緒に依頼を受けるのは1回だけ。『武偵殺し』の事件が解決するまで・・・。
「武偵憲章2条。依頼人との契約は絶対守れ。・・・だから、もう追わない」
アリアはさらに言おうか、言うまいかを迷ってから、俺をまっすぐ見つめてきた。ついでに言うと何気に店の奥の厨房から千代子さんがニヤニヤしながら俺らのことを見ているし・・・
「キンジ・・・あんたは立派な武偵よ。・・・だから・・・もうドレイなんて呼ばない。だからもし気が変わったら・・・その、もう1度会いに来て。その時は今度こそ・・・あたしのパートナーに・・・」
まだ諦めきれてない様子のアリアの申し出を俺は・・・
「・・・悪い・・」
目を逸らしながら断った。・・・俺は武偵になる気はないんだ。・・・兄さんやオーズのこともあるしな。
「い、いいのよ。いま言ったことは忘れて」
アリアは何かを思い出したように時計を確認する。
「あっ、もうこんな時間?そろそろいかなきゃ!」
「約束でもあるのか?」
「うん。お迎えが来るのよ。あんなこともあったしロンドン武偵局からね。だから時間までに女子寮の屋上に行かなくちゃならないの」
ロンドン武偵局・・・そこはアリアが武偵として活躍していた場所だ。
「そうか・・・見つかるといいな。・・・パートナー」
「えぇ。絶対に見つけるわ!・・・じゃあね」
アリアはあっさりと店のドアを開き・・・外に出て行った。そしてアリアは外に止まっていた車に乗って、女子寮へと向かって行った。
「・・・・・」
これでいいんだ・・・これでいいはずなんだ。そう自分に言い聞かせていると厨房から千代子さんがこちらにやってきた。
「アリアちゃん・・・追いかけなくていいの?」
「・・・いいんですよ。・・・これで・・・」
これで俺は‘普通’を手に入れるんだ。あんな台風みたいな出来事なんて・・・とっとと忘れて・・・そう思っているとこの間アリアからもらったレポナンの付いた携帯が視界に入った。
「・・・・アリア・・・」
俺はレポナンを握り締めると千代子さんはすべて察してるように話しかけてくる。
「キンジ君の性格じゃ、アリアちゃんをこのまま独奏曲のままになんてできないでしょ?」
「・・・・・」
俺は外に出てオーラインクロスに跨ると、すぐさまアリアの乗った車を追うように走り出した。俺はこれまでの遠山一族のように‘正義の味方’にはなれない。・・・それでも・・・アリアの味方にはなれるかもしれない!
・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・・
女子寮の屋上、アリアはロンドン武偵局のヘリの前で泣いていた。
「ヤダよ・・・いやよ・・・キンジ・・・あんたみたいな武偵・・・見つかりっこない・・・よ・・・」
「時間だぞ神崎。乗ってくれ」
「うぅ・・・わ、分かったわ」
アリアは黒服のロンドン武偵局の指示で、泣きながらもヘリに乗り込む。・・・そして飛行機が飛び始めたところに・・・
「アリアァァァァァァ!!」
俺は間に合った。
「俺は駄目なヤツだからお前に合わせることなんてできないと思うっ!それでも俺はっ!お前のBGMぐらいにはなってやる。だから・・だから行くな!アリアァァァァァァァァ!!」
ヘリの扉の開く音が聞こえた。うつむいていた俺はその音に反応して上を見てみると・・・アリアが飛び降りてきた。
「来るのが遅いわよ!!バカキンジ!!」
「えっ!?お前っ!?・・・・えぇぇぇぇぇぇ!?」
・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・・
「なっさけないわね~女の子一人受け止めただけでそのザマなんて」
「・・・うるせぇ・・・」
あの後、なんとか俺はアリアを受け止めて男子寮に戻ってきた。ロンドンの武偵を説得するのに時間がかかっちまって、もうだいぶ日が暮れてきている。
「そういえばアリア。理子がお前のことを‘オルメス’って呼んでいたが・・・あれっていったい・・・」
「あんたバカ?‘オルメス’はフランス語の読み方よ。あたしのほんとの名前は『神崎・ホームズ・アリア』・・・シャーロックホームズ4世よ」
「・・・・は?」
俺はアリアを全体的に見る。・・・ありえねぇだろ・・・こんなホームズ。・・・そんな考えを心の中で持ちつつも俺は部屋の鍵を開けようとした。
「あれ?開いてる・・・まさか・・・」
勝手に鍵を開けて入ってくるヤツなんて・・・きっとアイツだ・・・。俺は犯人の目星をつけながらも部屋の扉を開く。
「遅かったな!待ちくたびれたぞ!」
「あっ!あのときの金髪!」
やっぱりアンクがいたよ。つーかなんでアンロックスキルが高いんだよ?800年前の怪人のはずだろ?
「遠山・・・いや、キンジ!お前、俺の計画・・・『コアメダルの総取り』を手伝え!!」
「は?」
あまりにもいきなりのことに一瞬、思考が停止した。
「計画の間は俺のタカメダルは貸してやる!ありがたく思え!」
「ちょ、何言ってんのよあんた!キンジのパートナーはあたしよ!依頼ならあたしにも許可を取りなさい!!」
アリアも状況が理解できていないようで少し焦っている様子だな。・・・そこにさらに追い討ち攻撃がやってきた。
「キンちゃん!どうしてメールの返信をくれないの!?女の子と同棲してるってホントなの!?」
扉を叩く音と共に白雪の声がした。俺は慌てて携帯のメールを見ると・・・メールが49件も来ていた。・・・それも全部白雪から。
「・・・入るよ・・・キンちゃん!!」
鋭い金属音とともに俺の部屋の扉は吹っ飛んだ。・・・グリードのアンクですら壊さないで入ってきたのに・・・。
「やっぱりいた~!神崎・H・アリア~!」
「えっ!?あんた誰よ?今、取り込んでるんだけど!!」
「いや、俺は後でいい。お前らで勝手にやってろ」
そうアリアに告げたアンクは俺の方へ歩いてきた。・・・アンク・・・何でこんな時に空気を読むんだよ。
「そうさせてもらいますっ!・・・キンちゃんを汚した罪・・・死んで償え~!!」
・・・どうやら俺は・・・平穏からさらに遠退いたようだ。
数話前からメダルカウントが一部間違っていたので修正しました。