俺の事が好きなのであろう人形使いが毎回付きまとってくるのだが一体どうすればいいのだろうか?   作:エノコノトラバサミ

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薬を下さい……お願いします……

 今日は永遠亭への便りを届ける事になった。

 幻想郷で最も高い医療技術を持ってる永遠亭には、毎回多くの便りが来る。そのほとんどが次に売りに来る時の薬の注文やら、ツケの支払いだ。希に危篤患者の診察依頼が来たりもするが、速達の印が無いので今回はマイペースで大丈夫だろう。

 

 永遠亭に行くには迷いの竹林を通らなければならない。そこで、一つ問題がある。うん、言わなくても分かるな。分からない奴は永夜抄買え。

 その問題を解決するのに必要なのが、藤原妹紅。不老不死の人間だ。竹林の入口近くの小屋に住んでいる。

 今、俺はその小屋の扉を開けたのだが……

 

 ギィ……ギィ……

 

 何の音かはこれだけじゃ分からないだろう。俺の目の前には、天井からぶら下げられたロープに首を吊って舌出したまんま顔を蒼くして白目を剥いたモンペの少女がいる。

 

 ……また死にやがったよコイツ。

 

 脚立を使って天井のロープをほどいて、彼女を降ろす。首のロープを取って舌をしまって瞼を閉じさせた後……

 

「ドラァッ!!」

「──ぐえッ!?」

 

 思いっきり腹を踏んづけた。

 

「何いっつも死んでんだよ無駄なんだから死ぬなよ」

「気持ち悪ぅ……あぁアンタか……なんか用か……」

「道案内に決まってんだろバカ」

「そんなことよりさ……最近あの閻魔に会うと嫌な顔されんだけどさ……なんでかな……」

「裁いても意味ねぇからだろ察しろよ」

「あ、そうだ……」

 

 妹紅が懐から何かを取り出す。

 

「良い青酸カリが手に入ったんだ……どうだい?」

「要らねぇよ!!」

 

 コイツ見ると毎回生きてると実感させられるよ。

 

 

 妹紅の案内で竹林を進んで行く。まあ、辺りは竹竹竹で特に何もないから大丈夫だろう。あ、後ろのストーカーは論外でお願いします。

 という訳で永遠亭に到着。こう見えて一時間ぐらいかかってんだよな。時の流れって怖い怖い。

 

「お届け物です」

「はーい!」

 

 奥から出てきたのはウサ耳長髪の少女。確か名前は鈴仙って言った気がする。

 

「あれ、永琳さんは?」

「師匠なら今ラリってるので出られません」

「またか……」

 

 あの月の医者、いくら不死だからって毎度毎度ヤク使うとか医者の面目丸潰れだぞ……

 

「それじゃ、これお願いします。ところで……」

「はい?」

「その手に持ってる物何ですか?」

「ああこれですか? 面白いですよ~。見ます?」

「……遠慮し」

「いいからいいから」

「うおッ!?」

 

 断ってる人無理やり引きずるなよ……

 

「師匠~、お客さんですよ~」

「あぁ鈴仙! 何処行ってたのよ!?」

「おやおや師匠、どうしたんですか~」

「薬! 薬を早く渡しなさい!!」

 

 どうして檻に入れられてるんだよヤブ医者……

 

「そんなヤク中に易々と薬渡すわけねぇだろ!! 礼儀を弁えなさい! ほらどうしたの? 薬欲しいんでしょ? どうするか分かってるんでしょ?」

「く、薬を下さい……お願いします……」

「なら、ハイ」

 

 そう言って鈴仙が渡したのは……足?

 

「舐めなさい♪」

「はい……」

 

 うわ、舐めてるよ……どっちが師匠だよ立場おかしすぎじゃねぇか……

 

「フフ……ウフフフ♪ ほら、足の裏も舐めるのよ」

 

 もうさっさと帰──

 

「鈴仙~お腹すい……あらお客さん?」

「おや姫様ぁ、どうかしたんですかぁ?」

 

 おい、なんでコイツは全裸なんだよ……

 

「な、なに……私の事をじろじろ見て……興奮するわ!」

 

 そんなに見てねぇよ勝手にしてろアホ。

 

「あ、もう帰るんですかぁ? もっとゆっくりしていって下さいよぉ。ほら、檻の中に入りなさい♪ 一緒に飼ってあげるから♪」

 

 ご遠慮します。

 

 

 

「妹紅、帰るぞ」

「ゴフッ……ゲフッ、ガハッ……」(遅かったな)

 

 なんで舌切ってんだよ地面汚れるだろ。

 

「早く進めよ頼むから」

「ブエッ、ガフッ」(はいはい)

 

 今日はもう帰って寝るか……

 

 

 

「お帰りなさい、ダーリン♥」

「誰かぁ!! 変態魔女が襲ってきた!! 助けてくれェ!!」

「変態じゃないわ! 未来のハニーよ!!」

「お前と結婚するとしたら来世だよコノヤロウ」

「私と貴方は結ばれる運命なのね……」

「もう出てけよ」

「なら、せめて私の手料理食べて!!」

「手りょ……おい」

「なぁに?」

「この料理なんだ?」

「肉じゃがよ?」

「まあそれはいい」

「別に変なところ無いじゃない。具材も色もちゃんと肉じゃがよ」

「そうかそうか……ほら、目瞑って口開けて」

「私は貴方の言われるがままに……熱ッ!?」

「飲み込め!!」

「ウグッ……何するのよ!?」

「お前、ちゃっかり永遠亭に居ただろ!!」

「当たり前じゃない!」

「なら、そこにある小瓶はなんだ?」

「これはアレよ、魔法の調味……あれ、体が熱くなってきた……」

「思いっきり媚薬って書いてあるぞテメェ」

「ダメ……私もう我慢出来ない♥」

「外で勝手にやってろ」

「酷い♥」


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