俺の事が好きなのであろう人形使いが毎回付きまとってくるのだが一体どうすればいいのだろうか? 作:エノコノトラバサミ
最近真面目な現代入りを連載し始めたのですが、一瞬そっちに次話投稿して焦りました(笑)
現代入りも読んで頂けたらありがたいです!
「ねぇお兄さん、一つお願いがあるのだけど……」
「ん?」
ある日、お空さんが俺に話し掛けてきた。
「この腕の奴、外すの手伝ってくれない?」
「いいですけど、それ何ですか?」
「制御棒」
「制御棒?」
「ああ、これはね──」
「──という訳なのよ」
「つまり『太陽の力が欲しいと厨二病を患わせていた頃に神様にお願いしたら付けて貰った』って事?」
「そうなんだけど、最近は邪魔で仕方がないのよねぇ……核融合もする機会も無いし」
「ちょっと見てみたい」
「里が吹き飛んじゃうわよ♥」
「やめて下さい」
という事で今日一日、お空さんの制御棒を外す事になりました。
「しかし、これどういう構造してるんですかね。引っ張って抜ける様な物じゃ無さそうですし」
「それが私も分からないのよねぇ」
何で分からないんだよ。
「つーかやっぱ無理じゃ無いですかこれ」
「でも……やっぱ外したいのよねぇ」
今までずっとそれを付けて生活してきたのに、今になって外したいという事は、何か大きな悩みがあるのだろうか?
「最近これを見るとまるでお兄さんのアレみたいに思えてきて、私や文さんの体が火照って来ちゃうんです♥」
「今すぐその腕ごと切るか」
「そ、それはらめぇ!」
何だよその言い方は。
「じゃあどうすれば……」
「捻ったりすれば外れるかなぁ」
その容器のキャップみたいな発想はどこから出てきた。
「あ! そういえば、お湯に浸してから捻ると外れやすいって聞いた事があるわ! やってみましょう!」
といえ訳で風呂場に行き、お空さんの腕をしばらく浸す。
「どうですか?」
「うん、そろそろ外れそうだわ!」
その自信は一体どこから湧いてくるのだろうか?
「えっと、それじゃまずは右に捻りますよ」
「準備OKよ!」
「せーのッ」
俺は容赦なくお空さんの制御棒を右側に捻った。
「い、痛い、ちょストップ!!」
五秒と持たなかった。
「やっぱ無理じゃ……」
「き……きっと逆なのよ……」
という事で、今度は左側に捻る事に。
どうしてこんな事で外れると信じ込んでいるのだろうか。
「いきますよ……せーのッ」
またもや容赦なく左側に捻る。
すると、ポキッと不吉な音がした。
「あ」
肘がブランブランになっている。
「──ッッッ!?!?!?」
お空さん、悶絶。声の無い悲鳴を上げている。
「えっと……ごめんなさい」
俺、悪いのかなぁ……
一応悪いよなぁ……
「腕って外れても簡単にくっつくんだなぁ」
「私は痛かったけど……」
「ご、ごめんなさい……」
お空さんの外れた肘も何とかくっ付け、話を本題に戻す。
結局、外し方は分からないまんまだ。
「もっとその棒を詳しく調べてみるしかないな」
俺はお空さんの制御棒を手に取り、色々と触ったり眺めたりして確認する。
「あぁ、そこは敏感なのぉ♥」
感覚あんのかよ。
「まってぇ、棒の先っぽはらめぇ♥」
色々と聞きたいがまずは黙ってくれ。
「もうダメ、イっちゃ──」
「黙れ」
「すみません」
一通り確認してみたが、特に何かあるわけでは無さそうだ。
「もう、お兄さんったら、あんなに激しくしちゃって♥」
「……一応聞くけど、その棒感覚あるの?」
「無いわ」
嵌めやがったコイツ!
「紅くなってるお兄さん可愛い♥」
クッソォ……一発殴りてぇ……
「今夜一緒に寝ましょう?♥」
絶対嫌です。
「……それで、結局その棒外す方々あるんてすか!?」
「ああこれ、実はね──」
するとお空さんは、棒の後ろ半分を捻った。
カチッと音がして、ロックが外れる。
「──前じゃなくて、後ろを捻るのよ」
「……何で俺に相談持ち掛けて来たんですか?」
「お兄さん可愛いからイタズラしたくって♥」
俺がもう一度お空さんの肘関節を外したのはそれから十秒後の事。