俺の事が好きなのであろう人形使いが毎回付きまとってくるのだが一体どうすればいいのだろうか? 作:エノコノトラバサミ
あの時、私は家の目の前まで津波が来ているにも関わらず、混乱しまくっていました。(宮城在住)もう少し津波が大きければ、私も呑まれていたかもしれません。
あの日の事はきっと忘れないでしょう。
さて、関係ない話は置いといて……
今回はみっじかい話が二本です。
「どうか……私にお恵みを……」
「…………」
深夜、物音がすると思って出てみたら、尻尾が九本ある痩せこけた女の人が倒れてました。
「あぁ、ありがとう!! こんな極上のいなり寿司を食べたのは本当に久しぶりなんだ!!」
「あ、うん、よかったね……」
仕方なく夕飯の残りであるいなり寿司をあげると、涙を流して貪る始末。これって確か八雲んとこの式さんだよな?
「なぁ、一体どうしたんだ?」
「ほぼおほぼおひばはふはふおふししははべへはふへ……」
飲み込んでから話せ。
「あぁ、すまん。ここのところ、しばらく鰹節しか食べてなくて……」
貧し過ぎるだろ。
「あ、いや、決して貧しい訳じゃ無いんだが……」
「じゃあどうして?」
「実は──」
私は今までは、普通に八雲家で過ごしていたのだが……
「ちぇぇぇん!! 私と一緒に禁断の愛の儀式をしようね!!」
「来るなクソ女」
「あ、待ってよ! ちぇぇぇん!!」
と、何故か私は橙に嫌われ続け、挙げ句の果てには毎朝顔を会わせると中指立てられる様になってな……
そんなある日、紫様が暇潰しにこんな提案をしたんだ。
「暇だし、王様ゲームでもしましょう」
私は、これをチャンスだと思った。私が王様になって、橙と愛を育めば、きっと仲直り出来ると思ったんだ。
だが、王様は橙だった。橙の指名した番号は、私が持っていたんだ。
そして、橙は言ったんだ。
「私が許すまで食事は鰹節のみ。それ以外を口に入れたら殺す」
「あれから約二ヶ月……もう、無理だった……私は家を飛び出してきたよ……」
……ほぼ自業自得じゃねぇか。
「頼む、お願いだ! 橙の怒りが収まるまで私を匿ってくれないか!! 見付かったら何されるか分からないんだ!!」
アイツお前の式だろ。なんでそんな怯えてんだよ……
そして脚を掴むな、そんな眼で見るな。
「……ダメって言ったら?」
「殺す」
もうヤダぁ……
「という事で、しばらくお世話になる八雲藍だ。宜しく頼む」
「わぁ狐だ! しっぽモフモフ~♪」
「あ、ご主人様ばっかずるい! 私も~!」
「あやややや、モッフモフですね~♪」
「あらあら、皆してはしゃいじゃって。すみません」
「いえいえ、慣れてますから」
……この短期間でスゲー家族増えたな。
こいし、モミー、文、お空さん、藍に俺を合わせて六人か……
家、そんな広くないんだけどなぁ。
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ある日の夕暮れ、一人の農夫が畑仕事を終え、自宅に帰ろうと歩いていました。
この場所は里の近く。時折妖怪の姿も見られるが人を襲うこともほとんどなく、安全な道でした。
そんな道で彼は、ふと気配を感じたのです。
「妖怪か?」
しかし、肝心の姿が見当たりません。彼は気のせいだと思い、歩き出したその時でした。
「アハっッ!!」
「──!?」
木陰から飛び出した一つの影。それは彼のすぐ横を通り過ぎると、彼の肩に刃物で切り裂かれた傷跡が作られていたのです。
「アハハッ、驚けぇ……」
オッドアイの少女の手に握られていたのは傘ではなく、鉈。それも、禍々しく血で染められ、所々錆びている。
「ひ、あぁ……誰か!!!」
肩を抑え、彼は一目散に逃げて行きました。
「逃げちゃった……ま、いっか」
そして彼女は森の中へと身を潜める。
「次は誰を斬って驚かせようなぁ……アハハ♥」
小傘たん可愛い(о´∀`о)