俺の事が好きなのであろう人形使いが毎回付きまとってくるのだが一体どうすればいいのだろうか? 作:エノコノトラバサミ
「私思うんです。今の私の剣の実力は、まだまだ半人前……このままでは、生きている内に達人と呼べる域に到達出来ないかもしれません。だから、私は考え直しました。日頃の行いを全て見直し、剣士として、そして女として、膜を破らなければならないと思うんです!!」
開始冒頭下ネタぶっこいてんじゃねぇ変態剣士が。
新太郎くんのおばあちゃんの霊を探しに、一人白玉楼へ訪れた俺。勿論何でも屋の巫女さんに連れてって貰いました。アイツ多分お金さえくれれば何でもすると思うんで、未だ独り身の孤独な男性諸君は札束を差し出しながら求婚すれば婚約出来るんじゃない?
金で左右される愛なんて俺は嫌だけどね。
「あら、いらっしゃい。最近よく来るわねぇ」
好きで来てる訳でも無いんですけどね。
「無視しないで下さい!」
おやおや、放置プレイは嫌いかね妖夢ちゃん。残念ながら俺は放置プレイ専門だからひたすら放置するぜ!
「斬りますよ?」
ごめんなさい。
「ところで、今日はどんな用なのかしら?」
「実は、里の新太郎って子のおばあちゃんの霊を探しに訪れたんですけど……」
「そうなの……いるとは思うけど、ここには沢山の霊がいるからねぇ……見付かるかしら……」
確かに、ふと空を見上げると、薄暗い中に幾つもの霊がふわふわ漂っている。それが冥界のほぼ端から端までいるのだから、相当な数だ。下手すれば一日二日では終わらないかもしれない。
……ていうか、幽霊の識別方法わかんねぇよ。
「まあ、丁度暇してたから、手伝うわ。ねぇ、妖夢?」
「…………幽々子様は?」
「今からヨガの時間なの」
今だけは同情するぜ、妖夢。そしてありがとうな。
「じゃあ二人とも、頑張ってね~」
「……すまん妖夢、助かるよ」
「…………」
妖夢?
「……デートみたいですね♥」
……ま、いっか。
「この後一緒にラブホでも行きませんか♥」
無ぇし行かねぇよ。
という事で、妖夢と二人でおばあちゃんの霊探しを始めたのだが、この大量の幽霊の中から、どうやって一人の霊を探し当てるのだろうか?
「どうするんだ?」
「簡単です。新太郎くんのおばあちゃん、いませんか~」
うわ、それでいいのかよ。
「あ、ちょっとそこの霊。新太郎くんのおばあちゃん知りませんか?」
「ん? 知らねぇべさ」
「そうですか、ありがとうございます」
幽霊、喋るのかよ。
「そこの霊、新太郎くんのおばあちゃん知りませんか?」
「ワン!」
「そうですか……」
犬だし。しかも話通じたのか?
「お兄さんも聞き込みしてください」
「ああ、えっと……ちょっとそこ、新太郎くんのおばあちゃん知らないか?」
「そんな事より貴方に乗り移りたいです♥」
「あ、それ私の半霊です」
ぶん殴りてぇ。
「えい♥」
「あ、ちょっと!! 俺に入るんじゃねぇ!! おい妖夢、お前の半霊体に入ったぞ!! どうすりゃいいんだよ!?」
「無害な筈ですし、大丈夫じゃないですかね?」
「考えろ!! 今の俺は半分お前で今のお前は半分俺になったって事だぞ!! それで良いのかよ!?」
「……不束者ですが、宜しくお願いします♥」
チクショウ、予想通りだよ!!
そんなにカッカしなくても良いじゃないですか、旦那様♥
な、お前半霊か!?
妖夢ですよ、今はお兄さんですけどね。
入って来んじゃねぇ!! どうすんだよこれ!?
俺の一人称の筈なのに俺と妖夢の一人称になってるぞ!!
なんか矛盾してるじゃねぇか!?
新しい手法の開拓ですね!
んな技術誰も使わねぇよ!
「お、飛脚。頑張ってるな」
「貴方は……蓬莱人の魂!?」
「妹紅、どうしてここにいるんだよ……」
「いやぁ、どうやら飛脚の事を考えながら死んでたら、気が付いたら飛脚の近くに魂が飛んでったんだ」
怖ぇよ。取り憑かれてるみてぇじゃん。
幾ら何でも流石にそれは無いですよね。
……そういや取り憑かれてるんだったわ。
違います! 宿っているだけです!
どうでもいいよ。
「あ、そういえば、あそこにやけにババアの霊が集まってる場所があったから、そこに行けば見付かるとんじゃないか?」
妹紅、ありがたいけど、ババア扱いはやめとけ。
お前そのババアより遥かに長く生きてんだぞ。
私だって人間の年齢からすればあと数十年でババアです!
そこはどうでも良いわ、黙っとけ。
嫌です! 折角私も主人公と同じ様な扱いを受ける事が出来たんですから、今の内に目立たないと!
『オリキャラ×妖夢(半霊)』とか誰得だよ。
俺得です!!
勝手にやってろ。
ああ、妖夢……君が恋しい。君の事を思うと、夜中に何度もトイレに行ってしまうんだ……
ヤメロ! しかも意味わかんねぇよ!! 頻尿か!?
「お兄さん、新太郎くんのおばあちゃんいましたよ~」
「……取り込んでるな」
「どうします? 何故か死んでる蓬莱人さん」
「ほっとけ」
※あ、次回も取り憑かれてるまんまです。