サブタイトル通りです。ここには健気で可愛いヒナミちゃんはいないです。ある意味健気です!一途とも言います!
こんなだったらいいなという妄想炸裂していますのでご注意を!
一応一人称で書いてますが難しいですね。
ハイセ = カネキ の設定です。
お兄ちゃんが私の前からいなくなって、二年の月日が経った。
この二年で、私は力と権力を手に入れた。
二年我慢した。
二年耐え抜いた。
これでやっと、お兄ちゃんを取り戻せる……!
二年前の20区で起きた[CCG]による大規模な喰種討伐戦。その日に私は、お兄ちゃんを失った。
その事実を受け入れたくなくて、それでもお兄ちゃんは帰ってこなくて、私はたくさんたくさん泣いた。
皆と住んでいたアジトは引き払われて、私たちは居場所すらも失った。これで、お兄ちゃんが『帰ってくる場所』も、『帰ろうとしていた場所』もなくなった。
もうお兄ちゃんは帰ってこないんだと、そう思った。
それでも、ほんの少しだけ希望があった。だって、その後のニュースではこう言われていたから。
ーー作戦区域における喰種殲滅率99%……
……100%じゃない。
ということは、もしかしたらお兄ちゃんは生きてるかもしれない。
今まで、お兄ちゃんのために何かしてあげられたことなんてなかった。
お兄ちゃんを一人にしちゃだめだと思って、お兄ちゃんと一緒にいてあげたくて、トーカお姉ちゃんのところを出てきたのに、結局何もできなかった。いつもいつもお兄ちゃんに助けてもらってて、ずっとずっとそれに甘えてたんだ。
だから今度は、私がお兄ちゃんを助けないといけないんだ!
お兄ちゃんがひとりでいたら、私が側に行かなくちゃだめだ。
お兄ちゃんが助けを求めてたら、私が助けなくちゃだめだ。
お兄ちゃんがかなしんでいたら、私がはげましてあげなくちゃだめだ。
そのためには、まずお兄ちゃんを探し出さないといけない。生きているかも分からないけど、とにかくこのままじゃまた何もできない。何もできないのは、もういやなの。
必要なものはたくさんある。情報、お金、権力、力。私にはどれもどれも、全部足りない。時間だって多くあるわけじゃない。
どうしようか悩んでいた時に、ふと思い出した。高槻さんに名刺をもらっていたことを。
高槻泉。
世間一般の説明の仕方だと、今をときめく話題の小説家である。その作品には根強いファンも多く、実際に私やお兄ちゃんも好きだった。
でも、私は気付いていた。正確には、あの事件があったから分かったんだけど。
高槻さんと初めて会ったのは、お兄ちゃんと一緒にサイン会へ参加したときのこと。久しぶりにお兄ちゃんと一緒にお出かけできて、すごくうれしかったのをよく覚えている。
会場に行くまではとてもわくわくした気持ちでいた。同じ本を持った人をいっぱい見たときは少し驚いた。そして、いざ高槻さんと会った時に、あれ? って思った。
ーーお兄ちゃんと同じ匂い?
高槻さんはお兄ちゃんと匂いがよく似ていたからだ。更に不思議なことに、店長とも似たような感じの匂いだった。
最初は勘違いかなって。だって、こんな有名人が喰種なわけないって思ったから。だからそのときは、お兄ちゃんには何も伝えなかったんだ。
でもその考えが変わったのは、月山さんに連れられて行った喫茶店で高槻さんと再会したとき。改めて接して分かったんだ。この人、喰種だって。しかもお兄ちゃんと同じ隻眼の喰種なんだということが、なんとなく分かった。
それで頭が良くない私でも、高槻さんの正体が分かった。隻眼の喰種で、店長と匂いが似てて、店長の正体は梟と呼ばれる喰種。
高槻さんは隻眼の梟なんだ。
喰種組織『アオギリの樹』のリーダー・隻眼の王なんだ。
『どうしようもなく行き詰まっちゃうときがあると思う。だからそうなったときは気軽に連絡しておいで』
まさかこうなること見越して、こんなことを言ったのかは私には分からない。でも、今がそのときだと思った。
『アオギリの樹』はお兄ちゃんの敵。だから本当は頼りたくなんてない。でも、もうなりふり構っていられなかった。利用できるものならなんでも利用する。お兄ちゃんのためなら、私は悪魔に魂を売ってもよかったんだ。
だから私は『アオギリの樹』に入った。これが、お兄ちゃんを失ってすぐのこと。
入ってから、私はずっと『樹』で働いていた。トーカお姉ちゃんの弟のアヤトくんと一緒に色々なことをして、その経験の中で私は喰種としての闘い方を学んだ。自由に赫子を出せるように練習したし、元から優れていたらしい嗅覚を含めた五感を鍛え上げた。それでも、なるべく人を殺すのは避けてきた。だって、お兄ちゃんは人を殺すのは嫌がってたから。
全部、全部全部全部全部! お兄ちゃんのため!
高槻さんもといエトさんが言うには、私は才能の塊だったらしい。そのお陰もあって、私は『樹』の中で徐々に力を付けていった。
そうなるまでに大体一年くらい。
そして、そのくらいのときに転機が訪れた。
お兄ちゃんもお世話になっていた、情報のやり取りをしているホリチエさんから連絡があったんだ。『樹』にばれないようにとった連絡の内容。
『
[CCG]捜査官、佐々木琲世
狂科学者嘉納の実験による被害者。
半喰種。
鱗赫。
あんていく襲撃事件後に保護された。
記憶喪失。
etc.
』
読んだとき、私は文字通り飛び上がりそうになった。
これは所詮紙の上に記されている記号でしかないけど、一つ一つのピースが合わさったとき、出る答えがある。もしそれが本当に私の思っている通りなら、それはつまり、わずかに残されていた"希望"が"奇跡"に変わるということだ。
興奮しないわけがない。200万円なんて安過ぎるくらいだ。本当にホリチエさんはすごい。
私はすぐさま行動に移した。そう、この目で直に"佐々木琲世"を見て、そして、
ホリチエさんの情報網は広く正確で、佐々木琲世が暮らしている居住地まで把握されている。そこに帰ってくることが分かっているのなら、方法は簡単だった。暗闇に紛れて気配を消し、視認出来る距離まで近づけばいいだけなんだから。『樹』の任務をこなすうちにこの程度は朝飯前である。
ーー来た!
現れたのは生え際が黒、毛先が白というツートンカラーの髪を持つ、温和な表情をした優しそうな青年。歳は二十くらいで、中肉中背。私はその人を見て確信した。
………あぁ! あぁ! お兄ちゃんだ! 間違いない、あれは絶対にお兄ちゃんだ!
面影もある。何より、匂いを覚えている。忘れるわけがない。私がお兄ちゃんのことを、お兄ちゃんの匂いを、忘れるわけがない!
嬉しさのあまり涙が滲みそうになる。とりあえずその日は、家に入るまではずっと眺めていた。その後も暇があるときはずっと陰からお兄ちゃんを見てた。いろいろして、お兄ちゃんの『私物』も手に入った……えへへ。
でも、………本当は会って話がしたい。ずっと一緒にいたい。勉強を教えて欲しい。頭を撫でてもらいたい。………だけど、ホリチエさんの情報にはこう書いてある。
記憶喪失。
ホリチエさんの情報は確実のはずだ。それについては疑ってすらいない。つまり今のお兄ちゃんは、私のことを……覚えていないんだ。………どうして、どうして……。……そうだ。そんなの一つしかない。
………[CCG]のせいだ。あの人たちが、
「………許せない」
心の奥底からどす黒い感情が湧き上がってくる。こんなことは、お父さんとお母さんが殺されたときにもなかったことなのに。あの時は、ただただ悲しくて寂しかっただけだったのに。
でも、今は違う。湧き上がるこの感情は憎しみとか殺意とか言うんだよね………ふふ。このまま、この感情に身を任せてみるのもいいかもしれない、なんてことも思った。
でも、それは流石に無理なんだ。敵はたくさんいるし、何より私はまだまだ弱いから。このままじゃお兄ちゃんを取り戻すことも、お兄ちゃんを守ることも出来ない。もっともっと、力を付けないと。
私は更に『樹』の任務に精力的に動いた。私個人の力ももちろん必要だけど相手はたくさんだから、私一人じゃどうしようもない。私に従ってくれる人たちがいっぱい必要なんだ。私と
「………もうすぐだよ。もうすぐで会えるからね、お兄ちゃん」
今度の"オークション"が最高の機会だ、動くならここが一番。
今までは誰かを殺すことは出来るだけ避けてきたけど、……でも、もういいや。
邪魔をする人たちはみんな殺そう……。
こっそりと、出来るかぎり早く、お兄ちゃんに知られないように、邪魔なヤツはみんな消し去ろう……。
もう二度と、お兄ちゃんを盗られないように。大丈夫、私ならできる。
………その中でも一人、絶対に殺さないといけないヤツがいる。
『真戸暁』
私の両親を殺した『真戸』の娘。お父さんの赫子を元にしたクインケを使って、『背骨使い』なんて呼ばれてる喰種捜査官。[CCG]に囚われているお兄ちゃんの直属の上司。
お父さんを殺したのも『真戸』
お母さんを殺したのも『真戸』
そして今、お兄ちゃんを奪い続けているのも『真戸』
お兄ちゃんのとなりは私の居場所なのに! 私がいるべき場所なのに! それなのに、両親の仇の娘がずうずうしく居座っている!
「………許さないッ!」
絶対に、殺すッ……!
「うふふふ、えへへへ、楽しみだなぁ♡」
やっとお兄ちゃんを取り戻せる。
やっとお兄ちゃんのそばにいれる。
「まっててね、お兄ちゃん……すぐに助けてあげるからね……」
お兄ちゃんは記憶をなくしているから、最初は嫌がるかもしれないけど……逃がしてなんてあげないんだから。それに、記憶だってもどるかもしれない。……そうだよ、絶対にもどるよ。だって……。
だって、お兄ちゃんは、
「今までひとりにしてごめんね……。今度は、ずっとそばにいるからね」
楽しみだなぁ……楽しみだなぁ!
「ヒナミがそばにいるからね❤︎」
という感じでオークションが始まってるんですね分かります(俺得)
いや、こうなっててもそこまでおかしくはないと思うんです。何も悪いことをしていないのに、両親を殺されて、アニメの演出的に初恋のひとがいなくなって。今まで愛されて育てられたヒナミちゃんだからこそ、壊れちゃうんじゃないかなーって。まぁ流石にこれはないですかね(笑)
あと期待?しているのはそうですね……サッサンが六月く…六月ちゃんのフラグを立てまくっているので、そこから愛憎取り巻くドロドロ……東京喰種らしくないか。
ネタが尽きてきました……。次は病んでるヒナミちゃんをアヤトくん視点で見てみるとかですwww