(午後十時三十六分、海鳴市、槇原動物病院敷地内、『結界内』監視カメラの映像より)
フェイト、アルフ、キラが第97管理外世界へと転移した同日。海鳴市の動物病院付近で騒動があった。
そこには、茶髪のツインテールの10歳くらいの少女と、おそらく新種のフェレットがなにやら黒く蠢く生物に襲われていた。
『な、なになに!?一体なに!?』
少女が、木に突進した黒い生物を見て、混乱していた。
その少女の腕の中には一匹の赤く丸い宝石を首からさげているフェレット。
生物が木に突進した理由はフェレットを攻撃した際、避けられたからなのだろう。
『来て…くれたの?』
少女の腕の中で、『何か』が喋った。確か、そこにはフェレットがいたはずだ、と少女はフェレットを見て…
『しゃ、喋った!?』
当然の反応だった。少女は、取り乱した心をすぐに落ち着かせる。
すると、目の前で先ほど木に突進してもがいていた黒い生物が起き上がるのをみた。
少女は急いで立ち上がり、病院の敷地内から出て、黒い生物から距離をとる。
『何が何だかよくわからないんだけど、一体何なの、何が起きてるの!?』
少女は焦りながらも、先ほど喋ったフェレットに質問した。
『君には…資質がある!だから、お願い、少しだけ僕に力を貸して!』
焦っている少女とは裏腹に、フェレットは意外と冷静に言う。
資質とか、急に言われた少女は何の資質を自分は持っているのか、何故このフェレットは喋るのか、あの黒い生物は何なのかで混乱している。
しかし、一応話はしっかりと聞いているようだ。
『僕はある探し物のために、ここではない別の『世界』から来ました。でも、僕一人の力だけじゃ思いを遂げられないかもしれない…だから、迷惑かもしれないけど、資質を持った人に協力してほしくて…』
そこまで言うと、フェレットは少女の手から離れ、地面に立った。
『お礼はします!必ずします!だから僕の持っている力をあなたに使ってほしいんです!僕の力を…魔法の力を!』
『魔法…?』
急に魔法とか言われても、と少女は困ったような顔をした。
直後に、少女とフェレットの上空から黒い生物が襲いかかってきた。
ドゴンッと道路のコンクリートが割れた。
少女はフェレットを抱き抱えながらも、避けれたようでとりあえず、電柱に寄りかかる。
『お願いです!お礼は必ずしますから!』
『お礼とか、そんなこと言っている場合じゃないでしょ!?』
喋るフェレットには慣れたよう、というか黒い生物のせいで少女は焦っていた。
すぐ近くからは黒い生物の呻き声が聞こえる。どうやら、割れたコンクリートの間に体が挟まっているようだ。しかし、今にも襲いかかってきそうな黒い生物を見て、少女の心は不安でいっぱいとなった。
『どうすればいいの…?』
不安そうな声で少女は呟く。
すると、フェレットはある物を少女に差し出した。
『これは…?』
差し出された物を受け取ると、それは、赤く丸い宝石は、暖かく感じた。フェレットの体温で暖かくなったのではなく、その宝石から、光が、熱が放出されている。
『それを手に、目を閉じて、心を澄まして!僕の言う通りに繰り返して』
フェレットがそう言うと、少女は黒い生物の方を見る。モゾモゾと動いて、今にもコンクリートから抜け出しそうだった。
『いい?いくよ!』
『うん』
フェレットと少女はともに目を閉じ、心を澄ました。
『我、使命を受けし者なり』
『我…、使命を受けし者なり』
それだけで、少女の赤く丸い宝石を握ってある手からは光が漏れていた。
『契約のもと、その力を解き放て』
『えっと…、契約のもと、その力を解き放て』
ドクン、と音がした。普通に耳から聞こえた音ではない。心で聞き取った音だ。
『風は空に、星は天に!』
『風は空に、星は天に』
『そして、不屈の心は…』
『そして、不屈の心は…』
『『この胸に!!』』
光が、あった。
少女が受け取ったのは不屈の心。手にしたのは魔法の力。
『レイジングハート、セットアーップ!!』
直後に。
少女は、高町なのはは。
魔法少女となった。
本文はとある小説の新約3巻に影響されて書いたものです。パクッた…というわけでなく時系列的にこの書き方が1番最適でして…ね?