魔法少女リリカルなのはSEED   作:☆saviour☆

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PHASE-17 帰る場所

 

『負傷した局員の回収終了しました』

「……わかったわ」

 

プレシアによって負傷した突入部隊の局員達を無事アースラに送還できたことを管制官の一人が知らせ、リンディが応える。

プレシアが局員には目もくれずに話を続けてくれたのが救いだったが、その結果一人の少女が心に傷を負ってしまった。

 

「フェイトちゃん……」

 

なのはが近くに寄り添い、けれどそれしかできなかった。フェイトの手から落下した『バルディッシュ』は元々ダメージを負っていたこともあり、一部が砕けてしまっていた。

 

『ちょ…大変、見てください!』

 

そんな中、エイミィが何やら緊急事態が起きたように声を上げる。…いやまあ、起きたようにというか起きたからこそあげたのだが。

 

「何事?エイミィ?」

『『時の庭園』屋敷内に魔力反応多数!』

 

その報告とともに、プレシアが映っているモニターに『時の庭園』の内部情報が表示され、そこには突如として強大な魔力反応を感知したことを示す赤い丸が次々と、時の庭園ほぼ全体に渡り出現していった。

 

『なんだ…何が起こってる…?』

「…これは!?」

 

アースラ艦内には観測した魔力反応とその数により、緊急事態を知らせるアラートが鳴り響き始めた。

 

「…魔力反応、いずれもAクラス!」

「総数…60…80…ま、まだ増えます!」

 

Aクラスの魔力反応。それは希少というほどではないが、管理局に務める魔導師が隊長としての役割に抜擢されるほどであり、それはつまり総数80を超える隊長クラスの敵と戦わなくてはいけないということを表す。ちなみに隊員は殆どがBクラスで、指揮官やエース級はAA〜Sクラスが主となるわけで、人数的にはアースラ側は圧倒的戦力不足となる。

そして気になるのはAクラスの魔導師…いや、庭園内に突然現れ、80以上の数となると恐らく傀儡兵と呼ばれる魔導兵器の一種だろう…をここにきて大量に生み出したこと。

 

傀儡兵はその名の意味の通り、術者が魔力の回路を通して操る機械人形となっているのだが、プレシアが用意していたのは80以上の傀儡。それは準備段階の時点で相当な負担がかかったはずだ。

 

「プレシア・テスタロッサ………一体何をするつもり…?」

 

大魔導師がわざわざ大多数の傀儡兵まで用意する程の思惑…ただならぬ予感と狂気を感じてリンディはモニターの先のプレシアに問う。そしてプレシアはフェイトへの次元跳躍攻撃時に回収した9個のジュエルシードを取り出し、高々と答える。

 

 

『私達は旅立つの………永遠の都、アルハザードへ!』

 

 

瞬間、ジュエルシードは自らの輝きとともにその力を解放する。

 

 

 

 

果たしてどのような思惑があって…それともこれは自分に差し向けているのか簡単には倒せない多数の歪な鎧が襲ってくる。数があるだけに接近戦ではなく、遠距離からの攻撃でキラはなんとか牽制していた。

 

「……っく、そ…ッ」

 

けれど、思うように前に進めない。今のキラは時の庭園へと招かれてから気絶を除いて安息できる余裕はなく、ほぼ疲労の残った状態だ。そんな状態で魔導師ランクAクラスの傀儡兵複数相手に戦うとなると苦戦するのも仕方がない。

 

「…っ、やめろ!僕を行かせてくれ!」

 

ビームライフルで少しずつではあるが、押している。けれど、傀儡兵はまるで様子を見るかのように後退しながら魔力弾を放ち続けている。故に、だからこそ、思うように前に進めない。

 

(このままじゃ、僕の方が先に倒れる……なら、一か八か前に出るか…?)

 

数の暴力が襲ってくる中、少しずつ倒すというのは不可能。ならば、突っ切ってしまうのが一番ではないかと考える。だが、それはキラが思うように一か八かの策。何故なら、今キラがいるのは廊下で傀儡兵はそこに敷き詰めるように複数体が佇んでおり、つまり廊下の先はキラからでは殆ど見えない状態なのだ。おまけに傀儡兵と傀儡兵の隙間から見えるのはまだ奥にいるであろう傀儡兵の一部。廊下全体に埋まっている状態なら一気に斬り抜くのも難しいだろう。

 

(斬り抜いて行くのはキツイ…けど、このままっていうのも無理だ…。倒しきるなんて今の僕にはできるわけがないし………)

 

そこまで考えて、ふと気付く。傀儡兵の足元…錯覚に陥ってしまうほどの足の森が見えるが、その隙間は大きい。素早く掻い潜ることができるのでは、と思う。

 

「…『ストライク』。僕の正面に軽く障壁を張って、この前のブースト、噴射し続けることってできる?」

『何か作戦でも?』

 

相変わらず聞きなれたけど何やら違和感すら感じる声を聞いて、キラは薄く笑い。

 

「あの鎧達の足元を走り抜ける。そのために“アーマーシュナイダー”の準備と走行速度を上げるためにブーストをかけてほしいんだ」

 

正面に障壁を張ってもらうのは当然正面からの攻撃に備え、“アーマーシュナイダー”はいざという時の為の護身用とこれならば手に持っていながらでも素早く走れるからだ。

 

「できる…よね?」

『無論です』

 

そうして、キラの手には小型ナイフ…“アーマーシュナイダー”が収まり、キラはリレー選手のように走る構えをとる。そうしている間にも魔力弾は飛ばされてくるがそれらは全て『ストライク』が障壁で弾いてくれた。

そして、ドンッ、という音に押されてキラは床を強く踏んで前に出る。その瞬間、普通の人ならばまず出せるはずのない速度でキラは傀儡兵の足元をスルスルと華麗に抜けていった。

 

全部倒す必要なんてない。

 

「ど、っけえええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

手に持った“アーマーシュナイダー”で邪魔な鎧の足を切り飛ばし駆け抜ける。ただそれだけで傀儡兵は体勢を崩し他の傀儡兵に倒れ込み…それはまるでドミノのようだった。

 

『前方に大型の敵機確認…砲撃型と思われます』

「突っ切るッ!!『ストライク』、ソードを!」

 

傀儡兵が敷き詰める廊下を掻い潜った先には今までの傀儡兵よりも図体が大きく、容姿の違う傀儡兵が、まるで待ち構えていたかのように佇んでいた。だが、その先にあるのは恐らく出口。大型の傀儡兵は上部を廊下に突っ込み、それはさながら小さな穴を無理やり入り込もうとしている猫のようで…しかし、姿形は大型な上に鎧に似た異型である故に恐怖すら感じる光景だ。だが今のキラにいちいち恐怖を感じている暇などない。『ストライク』の言ったように砲撃型ということで今までの傀儡兵よりも強力な魔力弾…いや魔力砲を放ってくるが、キラは装備した“シュベルトゲベール”で砲撃を真正面から突っ込んで行き真っ二つに裂く。

 

「でえぃああああああああああ!!」

 

そしてその勢いでキラは跳躍。右肩にあたる部分を斬り抜き、ガンッ!という甲高い音が鳴った。

 

「…ひゅ、ぅ…はあああぁぁぁぁぁぁ……っ」

 

そして広間へと着地、ようやく足を止めて息を吐く。多くの傀儡兵を斬り抜いた結果、腕がビリビリと痺れ、かつ尋常ではない速度で足を動かし走ったおかげで足はガクガクと震えていた。

 

「これは…少し無謀だった……かな」

 

『ストライク』のブーストにより引き上げた走行速度は速さこそあれど使用者には優しくない。

 

『しかし、危機的状況は打開しましたよ』

 

『ストライク』がフォローする。実際キラの体に負担こそあったが、屋内で飛びながら傀儡兵を回避しつつ進んで行くよりも、隙間のある傀儡兵の足元を走り抜ける方が魔力の燃費も危険も抑えることができたため、現段階では良い作戦と言えるだろう。

 

 

『それに…今のマスターのその状態(・・・・)では魔力の大量の使用は毒ですから』

 

 

…え?、と。

キラが『ストライク』の言った言葉に疑問を覚えたその瞬間、丁度右肩を斬り抜かれた大型傀儡兵が上部を廊下から引き抜き、キラの方へと見遣る。

 

直後に、躊躇いもなく魔力砲撃を放った。

 

「くそっ、まだ動けたのかッ!!」

 

更に言えば。

キラが斬り抜いた右肩は、微かに装甲が剥がれた程度で。

それはつまり大型傀儡兵の鎧は通常よりも硬く、近接において今のキラの最大一手とも言える“シュベルトゲベール”の一撃で擦り傷程度ということは簡単には倒せないことを意味していた。

 

瞬間。

強大な魔力砲を、撃ち込まれた。

 

だが、幸いにも直撃することはなかったようで、キラはすぐにその場から逃走を開始する。

 

「事態がどんどん悪い方向に……とりあえず、プレシアさんの居場所がわかれば………っ」

 

そう言っている間にも、正面から傀儡兵が現れ、射撃してくる。キラはなんとか足場に気をつけながら、魔力弾を傀儡兵へと叩き込む。それを数回行えば、傀儡兵は無力化できた。

 

(大型じゃなければ僕でも簡単に倒せる……けど、それもいつまでもつか…)

 

実際、庭園内はボロボロになり始め、実は先程から轟音が鳴り止まずにいる。更にここまで全力戦闘ではないにしろ、魔力を少しずつ消費してきたキラは限界が近い。正直に言って、このままではプレシアの元には辿り着けないと思ってしまう。

 

(フェイトちゃんが…多分負けて…それを見たあの人は何か言ってて……それからだ。庭園内に異変が起きたのは…)

 

ドゴンッッッ!!!!!、とキラの背後から何か壁を突き破る音が聞こえ、それと同時に丁度廊下を通り抜けたキラは振り返って壁を突き抜けてきた者に魔力弾を撃ち込みながら、思考回路を働かせる。庭園内に傀儡兵の誕生と虚数空間への入口。これがプレシアによる管理局への攻撃なら、既に管理局はプレシア逮捕のため行動しているに違いない。先程から聞こえてくる轟音も、管理局と傀儡兵の対決によるものならば、辻褄も合う。

 

…となると、フェイトはどうなってしまったのだろうか。

 

プレシアが去り際に言い放った、まるでフェイトに対して呆れたような、諦めたような台詞。もしも、プレシアがフェイトに負けたことに対して何か責めたとしたら。

 

 

ギュオッッッ、と。

 

考える時間すら与えまいと、先程壁を突き破ってきた者…大型の傀儡兵がキラに向けて砲撃魔法を放ち、轟音と衝撃がキラに叩きつけられる。直接砲撃をくらったわけではないが、ビリビリとその砲撃の威力を視覚、聴覚、触覚で痛感する。…まともに当たっていれば、もしかしたら一撃で昏倒させられ、最悪体が四散していたかもしれない。そう思ってしまうほどの破壊力。先程真正面から突き破れたのはまぐれか手加減をされたのだろう。後者の可能性が高い気もするがどちらにせよ。

 

防御が硬い上に遠距離砲撃の威力までもが高いというのは強力すぎるのではなかろうか。

 

ならば、真正面からぶつかるのは当然無謀。キラは逃走を続行する。

ただひたすら、長い廊下を走り続けた。背後からは大型の傀儡兵は足が遅いのか、轟音が少しずつ小さくなっていくのを感じる。つまり、距離を離すことに成功しているのだ。しかし。

 

(…もしも。僕があの時、フェイトちゃんの傍を離れなかったら……)

 

脅威から逃げる。それを実行しながらも、キラはただ「もしも」の世界を浮かべてしまっていた。

それは後悔。あの時、アルフに言われた通りにフェイトの傍にいたのなら、管理局との対決で助けてあげられたかもしれない。もしかしたら、ジュエルシードを集める、というプレシアの命令にさえ逆らい、フェイトを戦いから遠ざけることだってできたかもしれない。

そんな「あったのかもわからないIFの世界」のために、キラは脅威に追われているこの時ですら苦悩する。そんな時だ。

 

「…ッ!?キラッ!!」

「え、アルフさん!?」

 

大型の傀儡兵から逃げ、廊下を進むとエントランスへと辿り着き、そこには大量の傀儡兵により足止めをくらっていたアルフと…クロノ達管理局員がいた。どうやら先程から聞こえていた爆音はやはり管理局と傀儡兵によるものだったようだ。

 

「良かったキラ…!生きてたんだね」

「それはこっちの台詞ですよ!僕はてっきり…」

「ああ…まあ気持ちはわかるよ。結構重傷だったし…でも、なのはの友達に助けてもらったから…」

 

アルフはキラに近づくなりそう言って、飛んできた魔力弾を避けるためにキラを抱いて、廊下へと飛び込む。

爆音が鳴り、見れば先程キラが立っていた場所は魔力弾によって大きく削られていた。どうやらキラのみを狙った攻撃だったようだ。

 

「それにしても、アンタ一体今まで何してたんだい!?フェイトの傍に居てくれって言っただろう!」

「そ、それに関してはごめん…けど、あの時はアルフさんが心配で……」

「心配してくれるのはありがたいけど、今はそれどころじゃない。フェイトが倒れてあの鬼ババは“アルハザード”に行くとか言って大変なんだよ!」

 

は………っ、と。キラは『フェイトが倒れた』という言葉を聞き、息が詰まるような感覚に襲われた。嫌な予感が当たったのだと、やはり離れなければ良かったのだと、後悔の念に誘われる。

 

「……アルフ、さん。今、フェイトちゃんは何処に…?」

 

恐る恐る探るように問う。だが、その答えはアルフからは聞かされず、キラとアルフを援護するために近くまできた少年…クロノ・ハラオウンが答える。

 

「フェイトは……彼女はアースラの一室にいる」

 

そう言って、クロノは部下を呼び出し、キラをフェイトの元へ案内するよう命じた。

 

 

 

 

モニターに映し出される映像によって、その部屋は薄暗い。部屋の電気は消されており、その理由は恐らくこの部屋のベッドで横たわる人物を労わってのことだろう。

その人物…フェイトは虚ろな目で、ただ天井を見つめていた。

 

(母さんは…私のことなんか…一度も見てくれてなかった……)

 

考えることは自分を拒絶し、嫌悪し、自分の生きる意味でさえ否定したプレシアのこと。

 

(母さんは…最後まで私には微笑んでくれなかった…。母さんが会いたかったのはアリシアで……私はただの失敗作………けど、どんなに足りないって言われても、どんなに酷いことをされても…認めてほしかった、笑って欲しかった…)

 

『ここ』にくるまで行ってきた幾度の戦いを、戦い抜くことができたのはフェイト自身が母に認めてほしいという願いがあったから。それが生きる目的でもあったからこそ、フェイトは辛くても悲しくても耐えることができたのだ。過酷な道のりを進んだ先には自分が望んだ未来があると信じて。故に。

 

(あんなにはっきりと捨てられた今でも…私、まだ母さんにすがりついてる…)

 

拒絶されても、フェイトの『生きる意味』がそう簡単に消えることは無い。

…ふと、フェイトは『時の庭園』内部の様子を確認できるモニターを視界に入れた。モニターにはアルフがなのは達管理局のメンバーに丁度合流する様子が映されており、そこに以前のような敵意といったものは感じられない。

 

(…ずっと傍にいてくれたアルフ……。言うことを聞かない私に…きっと、随分と悲しんで…)

 

プレシアからの仕打ちに耐えかねて何度も説得され、その度に精神リンクを通じて流れ込んでくるアルフの感情をフェイトは辛いほど分かっているつもりだ。そして。

 

(この子…なんてなまえだったっけ……)

 

モニターに映る、今となっては親しげにアルフと話している白い服の少女を見て、フェイトは教えてくれたはずの名前が思い出せなかった。

 

(何度もぶつかって ……わたし…ひどいことしたのに…話しかけてくれて、何度も出会って……戦って……私の名前を呼んでくれた、あの子……)

 

フェイトは母さんに認められたいと、かつての暮らしを、笑顔を、取り戻したいと思っていた。…それ以外に生きる意味などない。それができない自分は生きている価値も生きる意味も、未来を生きていくこともできないと思っていた。一人で苦しんで周りに…特にアルフとキラには心配などさせぬようにその苦しみを隠しているつもりだった。

けれど。

 

「……っ、フェイト!」

 

突然部屋の入口が開かれて、キラが息を切らして現れた。

その姿は汗だくで、服は…バリアジャケットは酷く汚れており、所々が敗れているのが一目見ただけでわかった。

 

それは、アルフがフェイトを大切に思うように、なのはがフェイトと対等に、真っ直ぐと向き合うように。

キラ・ヤマトという少年もまた、今日までずっとフェイトの傍にいてくれた、フェイトがフェイトであることの、アリシア・テスタロッサのクローンの失敗作じゃない、一人の人間であるフェイト・テスタロッサである証明。

 

「ごめん、フェイト…僕が、君の傍にいたならきっと……っ」

「キラ」

 

今にも泣きそうに話す彼の名を、フェイトは呼んだ。そして語る。

 

「私は…ずっと一人で戦っているつもりだった。どんなに辛くても、私が頑張ってアルフとキラを守らなきゃいけないんだって思っていた。……でも、私は二人に支えられていて…守られていたんだね」

「……」

 

そう話したフェイトの瞳は光を取り戻していた。それは彼女の中で『何か』が変わったことを示しているようで…そんなフェイトを見て、キラは呆然としてしまっていた。

 

「『バルディッシュ』…私の……私達の全ては…まだ、はじまってもいない…?」

 

そしてフェイトは机の上に置かれていた相棒を手に取り語りかける。

 

『Get set』

 

と、突如『バルディッシュ』がフェイトへ答えるように待機状態からアックスフォームへと切り替えた。その姿はボロボロでギギ、ギシッ、と、嫌な音をたてている。刃は欠け、心臓たる宝石にはヒビすら入っていた。

 

「そうだよね……『バルディッシュ』も、ずっと私のそばにいてくれたんだもんね。お前も…このまま終わるのなんて嫌だよね……?」

『Yes sir』

 

フェイトは『バルディッシュ』を抱きしめ、今までいつも近くにいてくれた『答え』に気づけなかったことに涙した。

 

「あの子が言ってた言葉……捨てればいいって、わけじゃない………逃げればいいわけじゃ…もっとない……」

 

魔力を『バルディッシュ』へと注ぎ、ボロボロとなった『バルディッシュ』を修復していく。金色の光が『バルディッシュ』を包んでいき、そして、壊れていた機構は直り、その姿も傷一つないものへと戻っていく。

 

「私たちのすべては…まだはじまってもいない……だから、本当の自分をはじめるために…今までの自分を、終わらせる……決着をつけるんだ」

 

バリアジャケットを身にまとい、決意を固めた彼女は………キラにとって別人のようにも見えてしまって。

 

「………だから、キラ」

 

手をキラに差し伸ばし、先程とはうって変わったフェイトの顔を見て、キラは呆然としたままだ。

だが、すぐに気付く。

 

フェイトは、自分よりも強いのだと。

それこそ、きっと今の自分には届かないくらいに。

 

「私と一緒に…きてくれる?」

 

フェイトはそうキラに問う。

それを聞いた瞬間、キラは何かを決意したように目を瞑り…そして開いてフェイトに微笑んで、フェイトの手を取った。

 

瞬間、フェイトは今までとは違う、正真正銘の笑顔を見せてーーー。

 

キラはそんな彼女を、愛おしく思えてしまうのだった。

 

 

 




なんとか投稿。
構想上、今回の話はしっかりと考えていたのですが序盤の方でだいぶ苦戦してしまい、終盤の方もいっそ変えてしまおうかと思って構想時とは違う内容にしてたのですが…思いつかなすぎて今の形に。

というか新年迎えると前の投稿から次の投稿までの期間が伸びるんですかね私は。

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