魔法少女リリカルなのはSEED   作:☆saviour☆

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PHASE-10 人の『夢』

 

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時空管理局本局第一研究部観測レポート

-file-17「指定遺失物(ロストロギア)について」

 

これは我々、第一研究部が観測した、発見された複数の謎の物質についてを記録したレポートである。

滅亡ーあるいは破滅というべきかーの道を辿った世界で発見された謎の物質はある条件を満たすと様々な危険な次元災害、あるいは自然災害を引き起こすことを確認した。また、これらの物質は総じて消滅した世界の遺産、また後述の理由により指定遺失物(ロストロギア)と名付けることにした。まず指定遺失物(ロストロギア)というのは実に厄介な代物であることが判明した。何故なら“それ”自体に危険な機能が備わっているためである。また旧暦の時代に起きた次元災害が記された“無限書庫”の資料からは我々が確認した指定遺失物(ロストロギア)の記述があったため、旧暦時代の次元災害はこれらが原因だと思われる。

また指定遺失物(ロストロギア)は物質によって様々な種類の特性が存在する模様。

今回の報告では我々が確認した指定遺失物(ロストロギア)の特性を大きく分けて記述する。

 

1.複数の同じ物が存在する物。

 

これはいくつも同じ物が存在する指定遺失物(ロストロギア)ということである。この特性を持つ物は一つの場所に集まった状態で発動すると、次元世界を一つか二つ、悪ければ九つも世界を消してしまうほどの次元震を引き起こす場合がある。

いわば、火薬が積んである爆弾が複数集まれば、その火力は倍増する、と言ったような非常に危険な物である。

 

2.何か、特殊な力を感じると力を発揮する物。

 

これは一定の条件を満たす能力、いわば特殊能力を観測するとその力を自動発動するという非常に厄介な物である。

更に言ってしまえばこれは巨大な魔力に反応して暴走する危険性のある物でもある。

現段階では未観測の能力や魔力、強大な魔力を持つ者、あるいは生物が多く存在するが故に知らずして自動発動してしまう可能性のあるこの特性を持つ物が一番厄介だと考えられる。

 

以上が我々が観測した指定遺失物(ロストロギア)の特性である。

今のところ、発動の危険性は無く、また例え発動しても次元災害を必ず引き起こすとは限らない。しかし、時として次元災害を引き起こす可能性があるので油断は禁物である。

また。

だからこそ、指定遺失物(ロストロギア)は安全に、厳重に管理しなければならないことを忠告する。

 

 

-記述日:新暦12年…月………-

 

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(時空管理局本局資料保管室で保管されていた研究資料より)

 

 

 

 

ガキンッ、と。

金属の、斧と杖が交差する音が夜の街に響いた。

 

…それだけなら、まだ良かったのかもしれない。

ただの鍔迫り合いだったのなら(・・・・・・)、何も起きなかった。

 

そう。

フェイトの“バルディッシュ”となのはの“レイジングハート”はジュエルシードを中心に交差した。

してしまった。

故に。

直後に、

光が、魔力が、解放された。

 

「きゃあああああああッ!!」

「…っ!?」

 

なのはは吹き飛ばされ、ビルの壁に叩きつけられ、フェイトは後方へと飛んでジュエルシードのそばを離脱。

 

「うわあァァァァァァァァァッ!?」

 

また、ジュエルシードの近くにいたキラも勢いよく飛ばされた。まるで邪魔者を振り払うかのように。

 

そして、ジュエルシードからはムチのような、蛇のような、蠢く光を発せられていた。

 

ドクンッ、と。

 

まるで心臓が動くような、そんな音が聞こえる。その性なのか、ジュエルシードが生き物のように見えた。

そんな、普通ではない石だということを改めて思い知らされた。

そして、そんな普通ではない石は今こそ強大な魔力を解放し、暴走しようとしている。

故に。

 

「…ごめん、バルディッシュ。戻って」

 

今やヒビが入り、ダメージを負った戦斧をフェイトは右手の黒のグローブの甲についた金色の逆三角形の宝石に回収する。

 

そして。

 

異様な光を放つジュエルシードを見据え、地を蹴り、低空飛行で接近した。

 

そして。

 

手を伸ばし、魔力を解放しているジュエルシードを両手で掴みとる。

 

「フェイト!ダメだ、危ないっ!!」

 

アルフがそう叫ぶもフェイトは聞く耳を持たなかった。

そして、ジュエルシードを包むようにして、側から見ればまるで祈っているような姿勢になると、フェイトは両手で包んでいるジュエルシードに今持つ魔力の全てをぶつける。

 

「………ッ止まれ…」

 

まるで風船を握り潰そうとした時に中に入った空気が内から外に出ようとする時の力のように、魔力が暴走する。

しかし、フェイトはそれにより手から血が出ても、自分の体力と魔力が削られようと、手を離すことはしなかった。ただ、自身の魔力をジュエルシード封印のためにあて続ける。

 

「止まれ…止まれ、止まれッ!!」

 

ジュエルシードの強大な魔力で手を削られようが、倒れそうになろうが、フェイトはその手を決して離さなかった。

 

やがて、ジュエルシードの魔力の出力は小さくなる。封印に成功したのだ。

しかし。

フェイトは立ち上がり、ふらふらとした足取りでアルフのもとへと歩いて行こうとする。だが、今にも倒れてしまいそうだった。

 

「フェイトォォォッ!!」

 

アルフが倒れてしまいそうなフェイトのもとに駆け寄り、抱きしめる。それと同時に、フェイトは意識を手放したのか目は閉ざされていた。

 

「アルフさんッ!」

 

先程、ジュエルシードの暴走により、吹き飛ばされビルの壁に叩きつけられてしまったキラが怪我御構い無しに近寄る。

キラは近寄ると、すぐにフェイトを心配そうに見つめた。

フェイトの顔からは汗が流れ、悪夢でも見ているような、うなされているような表情をしていた。

 

「………キラ、帰るよ」

 

アルフはそう言うと、なのは達のいる方を睨み、飛び立っていく。

キラはそれに後から着いて行った。

アルフと同様、なのは達のいる場所を見ながら。

ーーー違うのはキラは睨んでいたのではなく、悲しげな表情で見ていたところだろうか。

 

 

 

ガラガラ、と身体の上に乗っていた瓦礫をどかし、なのはは起き上がった。

 

「なのはっ!大丈夫かい?」

 

ユーノがなのはのもとに近寄り、心配の声をかける。

 

「だい、じょうぶだよ、ユーノくん」

 

そう言いながらも、どうやら背中が痛いようで立ち上がるのもやっと、と言った感じだ。

それでも、大丈夫なのだと、平気なのだと言って立ち上がる。

 

高町なのはは強かった。

 

能力としてでも、魔力値としてでもなく、一人の少女として。

そして、ユーノはその少女をただ見つめることしかできなかった。

 

そして、また。

なのはも既に夜の空へと消えていったフェイト達を思うことしかできなかった。

 

フェイトと呼ばれた少女のことを。

そして、急激に動きを変えた(・・・・・・・・・)あの少年のことを。

 

 

 

 

フェイトを抱えたアルフとキラが結界の消えた夜の街の遥か上空を飛び、拠点であるビルへと帰っている時のことである。

今回のジュエルシードを巡る騒動は意外にもアルフ達に大きなダメージを与えた。物理的にも精神的にも。

それに今回の事でジュエルシードの危険性を改めて思い知らされた。

 

「フェイトちゃん…大丈夫ですかね…?」

「大丈夫に決まってる。フェイトは…こんな事で倒れるような子じゃないさ」

 

アルフは未だに眠ったままのフェイトを悲しげに見つめながら、言う。見ればフェイトの手のひらからは血で真っ赤に染まっていた。面積はさほど大きくないものの、皮が剥げただけではなく、恐らくは多少肉も削られたのであろう。また、魔力も限界まで使いはたしてしまったのだ。目を覚まさないのも無理はないかもしれない。

 

「………っ、あの白い服の子が、あの子達が介入さえしなければ、もしかしたらこんな事にはならなかったかもしれないのに………っ」

 

悔しそうに、唇を噛みしめながらアルフは呟く。そんな言葉を聞いたキラは思うことがあり、アルフに問う。

 

「…アルフさん、あの子達と…あの子達と話し合って平和に解決することはできないんですか…?正直、僕はもうあの子達やアルフさんとフェイトちゃんが戦ったり傷つけたりするところを見たくないんです!アルフさん達が、プレシアさんがどんな理由でジュエルシードを集めるかなんて具体的に知ってるわけじゃないけど、でもそれでも戦わなくてもいい方法だってあるはずだ!だから、アルフさん。あの子達と話し合って………」

「無理だね」

 

アルフはキラの言葉を遮り、しかもその言葉を否定する。

 

「例え、ここ一ヶ月で力になってくれたアンタの頼みでも、さ。あたし達は必死でここまで来た。平和なんて、優しさのある世界なんてものから外れてまでここまで来たんだ。優しい世界で過ごしてきた奴ら(・・・・・・・・・・・・・・)なんかに話すことなんて何もありゃしないよ」

 

そう言ったアルフはそれでも寂しそうだった。辛そうだった。逃げたそうだった。

ただ、そうするには何かを捨てなければならない、そんな雰囲気が言葉の中にはあったような感じがした。

だからこそ、キラは見捨てることなんてできなかった。

ここは平和だ。少なくとも、いやきっと殺し合いなんてしていた自分の『世界』よりも。アルフはそんなことなど知らない。キラは自身の『世界』で戦争をしていることなど話してはいないのだから。

故に、『戦い』こそあっても平和に暮らしていける『世界』に居る彼女達には優しくて暖かい世界にいてほしいと思った。

 

「だけど、きっと傷つかなくてすむ方法があるかもしれないんだ………だから、諦めないでくださいよ…」

「……………それでもさ、同じ物を追い続ける者同士、ぶつかることになるなら戦うしかないだろう?互いに『敵』であるかぎり、どちらかが滅びるまで、さ…」

「……………っ」

 

結局、その通りかもしれない。

キラ自身、話し合いという方法で解決した覚えなど殆どない。少なくとも戦争中、説得したり、されたりもした。でも、結局はそれぞれ歩く道は違い、ぶつかり合って、殺し合って。その結果がキラがフェイト達と会う前の、直前の悲劇。

故に言葉に詰まる。

 

「…そういえば、さ。アンタあの時…」

 

アルフは何かを思い出したのか、キラに問い、キラはそれに首を傾げることで反応する。

しかし、

 

「………いや、今はキラ、あんたも疲れてるだろ?早く部屋に戻って休みな…」

 

アルフはそう気遣った。

言ってしまえば、話をそらすために気遣ったという方が正しいだろう。

 

 

結局のところ、キラがアルフ達の事情に介入することは許されなかったのだ。

 

 

 

 

「お土産?あの人、そういうの喜ぶのかなぁ」

 

日は既に変わって、前日の夜の騒動とは裏腹に今は戦いも何もない平和な時間。フェイト達はフェイトの母であるプレシア・テスタロッサに会いに行くために準備をしていた。

ちなみに、フェイトの手のひらの怪我はやはり決して浅くはなく、昨日の晩のうちにアルフによって治療はされていた。完全には癒えてないが。

 

「わからないけど、こういうのは気持ちだと思うよ」

 

そう言うフェイトの手にはケーキが入った箱がある。先程、フェイトはキラとともに近くのスイーツ店に行き、イチゴの乗ったショートケーキを買ったのだ。それは前述の台詞通り娘から母へのお土産。

お土産を手渡した時の母の喜ぶ顔が目に浮かぶのか、先程から笑顔のフェイトにキラも微笑ましく思う。

 

「じゃあ、キラくん。行ってきます」

 

笑顔でそう告げるフェイトにキラも笑顔で見送る。

そう、キラはプレシアのいる“時の庭園”には行かず、留守番ということになった。母と娘とその使い魔の家族水入らずの時間を過ごさせてあげたいというのが理由である。

 

「行ってらっしゃい、フェイトちゃん」

 

だから、キラはフェイトとアルフを優しい笑顔で見送るのだった。

 

 

 

 

喜んでくれれば良かった。

笑ってくれたら良かった。

それだけで良かったのだ。求む物など、他にない。喜んで、笑ってくれて、それだけで。

なのに、現実とは、運命とは残酷なもので喜びも笑顔もなかった。必死に働いて、戦って、傷ついて。

それでも神様は、運命は何も与えてはくれなかった。

…いや、何もではない。ただ一つ与えてくれたものはある。

それは、、、

 

 

振られるムチ

飛び散る鮮血

悲鳴

痛み

 

 

…………………結局、また手に入れられなかった(・・・・・・・・・・・・)

だけど、それでもいつかきっとーーー。

 

 

あの人は、きっとーーー。

 

 

 

 

「フェイトッ!!」

 

アルフはそう叫びながら、今しがた部屋からよろよろとふらつきながら出てきたフェイトを抱きかかえた。その体はそこら中に痣があり、血が出ており、跡が残っていた。こうなった理由はわかっている。アルフはわかっていた。

だからこそ、怒りを覚える。

 

「なんで、だよ…」

 

何もできなかった、扉の前でただ耳を塞いでいることしかできなかった。

 

(“あの人”の『コレ』は今に始まったことじゃない…でも今回のはあんまりじゃないか!?お土産も用意してジュエルシードもこの短期間で三個も手に入れた!なのに、なんで…どうして…ッ!!)

 

アルフは拳に力を入れながら、そう思う。悔しかった。フェイトが『欲しかった物』を手に入れさせてあげることができなかったことが。嫌な思いをさせてしまったことが。

そして何より。

 

フェイトを助けられない自分が情けないことに。

 

…気付けば、爪が食い込んだのか手のひらからは血が外へと流れていた。

 

 

 

 

「……………………………………………嘘、でしょ…?」

 

キラが話を聞き終わって、まず始めにそんな一言が気付くことなく口から出ていた。

話、とは『“時の庭園”へ母に会いに行ったフェイトとアルフの身に起きたこと』である。こんな話をする羽目になったのはフェイト達が帰ってきてすぐだ。

当然、部屋で留守番を頼まれていたキラは真っ先に傷だらけのフェイトに目がいった。どうしてこうなったのか、その原因をアルフに問い詰めた結果が前述した通りのこと。

 

「でも、そんな……なんで…っ」

 

今はフェイトを寝かせて安静にさせているが、キラは事の事実を信じることができなかった。

何かの間違えであってほしい。嘘であってほしい。そんな気持ちで心が埋め尽くされる。

「嘘じゃない、ほんとの事なんだ。紛れも無い事実さ」

心の中を見透かされたように、アルフは確かにそう言った。

 

「でも、だけど………プレシアさんがフェイトちゃんに虐待(・・・・・・・・・・・・・・・・・)なんて…」

 

アルフは言った。フェイトは魔導師として外に出ることが出来た頃から母であるプレシアから酷い仕打ちを受けているのだと。それは虐待と呼ばれる行為のはずだ。

キラにとって、プレシアとはまだ何も知らない人物でしかない。たった一度会っただけだ。だが、キラが見たプレシアは『娘を心配する母』の面影があったはずだ。

彼女は言った。『娘を助けてあげて』と。

 

(あの人のあれは本心からの言葉じゃなかったっていうの…?)

 

いや、違う。フェイトに酷い仕打ちはしているようではあるものの、あの時は確かにそう言った。故に、本当は心配しているに違いない。大切に思っているに違いない。

今は研究で忙しいから、仕方ないから(・・・・・・)、フェイトに酷い仕打ちをしてでも仕事を急がせたのではないか…?

 

そこまで考えて、体がゾクッと。

嫌な悪寒がはしる。

 

気付けば、自分の体はぐっしょりと汗で濡れていた。

 

「こん、な…」

 

掠れたような声で、一言。

何故だか、キラは自分の体が重く感じた。

 

「………あんなことをされてもさ。フェイトは『母さんのために』って…『もしかしたら、ジュエルシードを全部集めたら、“あの人”はずっとそばにいてくれるんじゃないか』って、フェイトはそんな『希望』を抱いて今『ここ』にいる。あたしはあの子の力になりたいよ…」

 

アルフが独り言のように、呟く。

希望。

フェイトが見ていたのは『それ』だった。どんなに苦しくても、たった一つの可能性という『希望』を、フェイトはずっと追いかけていたのだ。弱かった自分を捨てて、強い自分になって。

アルフもそんなフェイトを見て、助けたいと思ったのだ。

使い魔として。

あるいは、家族として(・・・・・)

ならば、自分はどうすればいい?何を望めばいい?

 

「僕は………」

 

別の『世界』に飛ばされ、そこで出会って助けてくれた彼女達を助けたい。力になりたい。守りたい。

そんな気持ちがキラの心の半分以上を占めていた。

だけど、それは何か違う気がした。他にやるべき事がある気がしてならなかった。

しかし。

それでも、キラは。

 

「………アルフさん。僕も…一緒に戦います。アルフさんのためにも、フェイトちゃんのためにも…」

 

戦うことを選んだ。

 

それと同時に。

時計の針が0時を指した。

 

 

 

 

それから、ジュエルシードの捜索はすぐに始まった。

フェイトは未だ傷が癒えていないのだが、アルフに無理を言って捜索を行っている。キラは心配し、止めたのだが、フェイトは言うことを聞かなかった。傷付いていても、傷つけられても、フェイトは母親のために戦うのだ。

 

ーーー純粋で素直な性格故か。

 

「あった、ジュエルシードの反応だ」

 

行動を共にしていたフェイトがそう言った。

今はフェイトとキラが一緒に行動しており、アルフは別の場所を捜索中だった。故に、キラはすぐにアルフを念話を使って呼ぶ。

 

「(アルフさん、ジュエルシード見つかりました…場所は座標を送るのでそちらを確認してください )」

「(オーケー、了解した)」

 

キラは“ストライク”に命じる。今しがたキラが言った通り、ジュエルシードを確認した座標ポイントを送るということを。

 

「行こう、キラくん。…あの子もきっと待ってる」

「………うん」

 

キラの脳内で一昨日の映像が流れるように思い出される。

 

去り際に見たあの、白い服の子ーー名前を高町なのはと言ったかーーの表情は悲しみこそあったものの、諦めた、というような顔ではなかった。…はずだ。

また、フェイトも白い服の子の今までの行動からして再び現れると思っているようだ。

 

…キラとしては二人には戦って欲しくはないと思っていた。

 

 

 

 

やはり…、と言うのが正解だろうか。

フェイト達の予想通り、白い服の子…高町なのははそこに居た。

正確には同じ場所に辿り着いたのはほぼ同時であるからして、『来た』というのが良いだろう。

 

さて。今現在、フェイト達がいる場所はコンテナが沢山置かれているコンテナヤードである。

辺りには人の気配は特になく、恐らくはフェイト達以外の人物は居ないと思われる。

 

そして、フェイトとなのはは向き合っていた。手には自分達の『(つえ)』、それが示すのは戦いは避けられないという、運命だろう。

コンテナの上にアルフと共に立って二人を見るキラは思わず拳に力が入る。

 

「だから言ったろ、『戦わないで済む平和な解決方法』なんてそう簡単にできやしないのさ」

 

アルフのその言葉を聞いたが故。

だが、見てるだけなんて事は嫌だった。

できない、できやしない、そのように決めつけて何もしないまま終わるのは嫌だった。

 

(…なら僕は、二人の戦闘に介入してでも、この戦いは終わらせてみせる…っ)

 

決意。

今できる事はそれしかないのだと。

 

そして、なのはとフェイトは魔力で形成する魔導師の防具の役割を果たすバリアジャケットを装着。

それと同時にキラもあくまでアルフに止められないためにも内緒で行動するため、バリアジャケットを装着せずにこっそりと武器-魔力刃のサーベルを構える。

 

直後に。

 

少女二人が動き出した。

故に。

キラは二人の間に入り、無理矢理戦闘を止めるために動こうとする。

…しかし、異変は起きた。

 

なのはとフェイトの丁度中心にあたる位置に『光』が介入した。

 

「ストップだッ!!」

 

その言葉とともに、なのはとフェイトは動きを止めた。いや、止められた(・・・・・)

 

『光』の正体は少年だった。杖を持ち、見た事のない服装をした、明らかに普通とは違う雰囲気を持ち合わせた少年が。

 

少年はなのはとフェイトを『バインド』と呼ばれる魔法で拘束。

そして、空間モニターによる身元証明を天に掲げた手のひらに出現させ、告げる。

 

「時空管理局次元渡航部執務官、クロノ・ハラオウンだ。詳しい事情を聞かせてもらおうか」

 

 




二ヶ月くらいここを放置したまま遊びまくっていた作者です、どーもお久しぶりです。なんとか投稿できた…待っていてくれた方々、ありがとうございます、申し訳ありませんでした。
さて、今回の話は「この台詞はもしや…」と思うような台詞をぶち込んだり、意味深な言葉を入れました!
…読み直しててちょっと恥ずかしくなりました。

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