IS ~THE BLUE DESTINY~   作:ライスバーガー

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第79話 月下の出撃

背もたれに体重を掛け質素なパイプ椅子の前足を浮かせ口笛を吹いている白衣姿の女。すぐ後ろには同じく白衣に身を包んだ若い男が緊張感を滲ませた表情で手を後ろに組み控えている。

 

「主任、流石にその態度はどうかと思います」

「なんでよー? 対等な立場としてお話するんだから謙る必要ないじゃない」

「いえ、これは常識の問題です」

 

空路にて遥々日本からやって来たのは倉持技研の第二研究所所長を務める篝火 ヒカルノとその部下の男。

とても大人とは思えない態度ではあるがヒカルノに言わせれば脚を机に乗せていないだけ節度を守っているらしいのだが、子供のように椅子の前足をガタガタと揺らすのは如何なものか。

ましてやこの場は自分達の領域ではない。対等な立場と言ってはいるが押しかけている側であり客人になれているかどうかも疑問を感じる程だ。

二人が現在いる場所はIS技師としては限りなく近く極めて遠い場所であるのだから。

 

「失礼、お待たせしました」

 

軽いノックの音が消えるのを待ち、グレーの髭を蓄えた男が姿を見せる。黒い軍服の肩と胸元に輝く階級章が示す意味は軍事の専門家でない二人にも分かる。

顔色に緊張の色が宿っていた白衣の男は更に背筋を固くし、現れた男の放つ雰囲気に一瞬ではあるが萎縮し身を縮める。

軍服を着ているだけで普段は軍に接点を持たない日本人から見れば威圧の象徴と言っても過言ではなく、鋭い眼光も大きな肩幅も戦う為に鍛え上げられた正に軍人と呼べる佇まいは怖さを感じる程。

が、先ほどまでの態度がなかったかのように瞬動術も吃驚の身のこなしで扉の前にまで移動したヒカルノは柔らかく微笑み、男の手を取る。

 

「お会いできて光栄です」

「は?」

 

素っ頓狂な声を上げたのは軍服の男ではなく白衣の男。今まで目の前で堕落していた上司は一瞬で猫を被り謙る所か媚び諂う瞳で年齢を重ねても尚屈強な男を見上げている。

その瞳に一切の揺れはなく、目の前の男の頭の中を覗き見るかの如く視線で刺し貫いている。

 

「ほぉ?」

 

よく言えば柔和、悪く言えば表面上取り繕った笑顔でヒカルノを見下ろす軍人は貫く視線を正面から迎え撃ち見詰め返す。

肉厚な手でヒカルノの手を握り返し、男は瞳を細め浮かべる笑みの中に観察の色味を含ませる。

 

「こちらこそ、かの有名な篝火博士とお会いできて光栄の極み。このような部屋しか用意出来ず申し訳ない」

「突然訪問したのはこちらですもの、お構いなく。それに、私の目に狂いは無かったようで」

 

作り上げた笑みをヒカルノは浮かべ、対する軍人も「お互い様のようで」と今度は裏表なく破顔して見せた。

白衣の二人を着席を促しつつ、軍人は宙に向け軽く手を振る。同時に部屋の周囲に張り巡らされ動向を見張っていた視線が遠退く。

短い視線の交わりだけで敵意がないと見抜いた男の対応に見定めは間違いでなかったと改めてヒカルノは称賛を送っていた。

 

「マジックミラーとは趣味が悪い」

「場所が場所なだけにご容赦下さい」

「失礼、皮肉を言うつもりはなかったのですが。まぁ、手短に済ませる予定ですから。覗かれて困るような真似はしてませんしね」

「ふむ、あの足癖は改善した方が良いと思いますがな?」

 

どちらからともなく小さく笑い声を上げる。

唯一座席につく事を拒んだヒカルノの付き添いで同行している男だけが肩身の狭い思いをしているが、気にする空気ではない。

現在三人がいるのは大きくはないが狭くもない部屋、ヒカルノは片面の壁が反対側からは透けて見えるマジックミラーの類だと見抜いていた。

その上で椅子を揺らし入ってきた男に対し猫を被った。傍観者側から見れば「見られているとも知らずに調子のいい女」と捉えられてもおかしくはない。

が、見られていると分かった上でふざけた態度を取っていたとすれば話は別だ。

鏡越しでは分からないヒカルノの真意を間近で視線を交えた男は読み取っていた。だからこそ隣の部屋で待機していた者達に退室を促したのだ。

 

「さて、余計な目は消しました。手短にと言う事でしたな、本題に入りましょう」

 

パイプ椅子以外には簡素な机だけしかない部屋は取調室と言えなくもなく、話題を提供するのはヒカルノだが主導権は軍人が握っている。

しかし、物理的な攻撃力を除けば手数を多く持っているのはヒカルノ側だ。何せこの白衣を正装だと言い張る女は篠ノ之 束の影に霞んではいるがIS技術者として天才と呼ばれる人間なのだ。

 

「さってと、取り敢えずこれを見て頂けますか?」

 

促されヒカルノの後ろに控えていた男が黒塗りのファイルに収められている資料を軍人に手渡す。

 

「失礼」

 

一言断りを入れてファイルを開いた軍人は静かに資料に目を通し、やがてその瞳を見開き驚きの表情を作り上げる。

 

「これは……」

「次世代のIS運用に関して、と言った所でしょうか」

「私に何をしろと……。いえ、その前に何故私だったのかをお聞きしても?」

「そうですね、一番の理由は貴方がISを運用する上で十分な経験を持っているから、でしょうか」

黒兎隊(シュヴァルツェ・ハーゼ)の事ですな、しかし彼女達は私の直属ではない。便宜上指揮権を持っていた時期はありますが本来私は彼女達に命令する立場ではない」

「存じています。ですが、IS学園一年一組、ラウラ・ボーデヴィッヒは貴方の言葉であれば少なくとも耳は貸す。違いますか?」

「……つまり、彼女の力を必要とする時が来る、と?」

「彼女に限定するつもりはありません。ですが、次の世代、新しい風はいつも若い世代が作り上げるもの。そう思いませんか?」

 

短く息を吐いて軍人は腕を組む。考える必要はないと自分の中で結論は既に出ているが、目を閉じて自分の人生を振り返る。

軍人として長い経歴を誇る人間は死んでいく同胞と新しく芽吹く若者を数多く見てきている。ラウラもその一人と言っていい。

古参として軍に身を置いているが、後釜となりえる若者はいつの時代も熱風と共に現れると知っている。

無論、だからと言って老兵が必要ないかと言われればそうではない。確かな経歴を持つ人間の経験と感を不要と割り切れるものではない。

ヒカルノの言葉は次の世代の為に種を蒔こうと言うものだ。否定する理由はない。

 

「それと、何をして欲しいか、と言う質問でしたね」

 

意味がないと分かりながらも思考に耽っていた軍人が片目を開きヒカルノの表情を伺う。

思考のタイミングに掛けられた声に単純な駆け引きがそもそも上手いと実感せざる得ない。

 

「あえて言葉にしなくとも感じていらっしゃるかもしれませんが、貴方に頼みたい仕事は簡単ですよ。ねぇ、艦長?」

「……やはり、そういう事ですか」

「えぇ、そういう事です」

 

どちらからだったのかは分からないが二人は確かに笑みを浮かべ、互いの手を再び取り合う。

 

「上の判断を仰ぐ必要はありますが、私個人としては貴方に乗りましょう」

「感謝します」

 

部屋の監視を解く程度なら彼の権限でも行えるが軍人が個人に対し介入できるかと言われれば答えは否だ。

ヒカルノも当然理解しているからこそ上に判断を仰ぐ、つまり上層部に自分が求めるものが何かを知らせると言う軍人の判断を否定しなかった。

彼の協力を取り付ける事が出来るのであればそれが最優先事項だと割り切れているからだ。

 

「それで篝火博士はこれからどうなさるおつもりで?」

「中国とアメリカに話をしにいく予定です。倉持技研だけでは少々難しい部分がありますので」

「ふむ、護衛をつけましょうか?」

「お気持ちだけ頂いておきます。騒がしくすれば感づく輩がいるでしょうから」

「そうですか」

「えぇ、後は祭りまでに仕上げるだけです」

「間に合いますか?」

「間に合わせます。土台は完成していますしね」

 

口角を上げ歪んだ笑みを深めるヒカルノの表情は悪巧みを企てる束に非常によく似ていると知る人物はこの場にはいない。

この出会いは後にISの新しい時代を運ぶ事になる。欧州連合海軍所属、巡洋艦の艦長を務める男の目は新しい時代の波が生まれる瞬間を確かに見据えていた。

 

 

 

 

熱を帯び赤み掛かった白い肌に湯が当たっては弾ける。艶かしい吐息と共に張り詰めていた緊張を解きほぐしていく。美しい金髪が暖かい水分を吸水して全身に張り付くが不快感は感じない。

頭上から絶え間なく降り注ぐ温かいシャワーの音を聞きながらセシリア・オルコットは肉体的、精神的な疲労を洗い流す。

 

「……まだ、足りませんわね」

 

思い返すのは先程まで行っていたISの操縦訓練。ビットと併用しての移動技術の向上を目的としたものだ。

現段階のセシリアはビット射撃を行いながら自身で射撃を可能としているが、移動しながらとなれば難易度は格段に跳ね上がり不可能としている。

相手を一撃で粉砕出来るなら遠距離から狙い撃つスナイパーは強力無比だが、IS戦となれば一撃では難しく、その場に留まる行為は致命的な隙を作ってしまう。

ビットで相手を封殺しながらの射撃は瞬間火力として見れば恐ろしい威力を誇るが、ISのスピードを完全に殺し切るのは難しい。その点は一夏とのクラス代表を争った際にみせられた事もあり自覚している。

高火力の射撃と高速移動、空間を支配するビット兵器、この三点を併用する事こそがセシリアが目指すべき場所。セシリアのビットに対する感応値は高いが未だ理想の域には到達出来ている訳ではない。

 

IS学園の専用機持ちや教員、生徒会などの面々には学園祭の裏側で起こった事件の概要にが伝えられている。

一般生徒には混乱を招く恐れもあるが、各国を代表する代表候補生や緊急時に戦力にカウントされる専用機持ちはそうもいかない。

各々が思う所はあるだろうがサイレント・ゼフィルスが現れたと聞けばセシリアの闘志は燃え上がらざる得なかった。

学園祭から数日が経過した今日、学園から車で数時間を移動した先にあるイギリス大使館をセシリアが訪れていたのはその背景が故だ。

各国大使館には代表候補生を持て成す施設が用意されておりISの訓練も可能になっている。これは他国に対し技術流出を防ぐ意味もあり専用機のメンテナンスも主な役割として担っている。

特にイギリスはビット兵器の運用に力を入れており、IS学園で学ぶべき事は多いがビット兵器に関しては専門のスタッフに見てもらうのが一番だ。

 

サイレント・ゼフィルスはブルーティアーズの姉妹機、より実戦に近い形で発展しており軍用ではないが軍務前提と一見して破綻したコンセプトの機体。

セシリアのビットや射撃のデータも使われており後継機と言って差し支えない機体だ。現状ではサイレント・ゼフィルスに誰が乗っているのか確証はないが奪われたまま黙認出来るものではない。

可能であれば奪い返すと言う自国の思惑には全面的に賛成だが、その前に立ちはだかる壁は大きい。何せ相手は殆どの武装を使わずにあの紅椿と渡り合ったと言うのだ。

強襲用高機動パッケージ「ストライク・ガンナー」を得て火力と機動力に磨きの掛かったブルーティアーズではあるが、それだけで対抗出来る相手ではないと睨んでいる。

なにより追加パッケージであるストライク・ガンナーを装着しているとビットが使えなくなる弊害がある。汎用性を求めるならパッケージ無しの方が利便性は高い。

その為現在はストライク・ガンナーは装着せず、自身の腕前を磨くべく授業が終わり次第大使館に出向いて訓練に明け暮れていたのだ。

高貴な者の義務(ノブレス・オブリージュ)を掲げるセシリアに取って愛機の妹機とも言えるサイレント・ゼフィルスの悪用を見逃す訳にはいかない。

学園祭では部外者になってしまったが次はそうはいかないとシャワーを浴びるセシリアはきつく唇を引き締めていた。

 

 

 

「それでは失礼致しますわ。最近は何かと物騒ですからお気を付け下さい」

「お心遣い有難う御座います。オルコット様もどうかお気をつけて」

「えぇ、お互いに」

 

表門にまで見送りに来てくれた大使館の人間の世話をしている執事に微笑みかけセシリアを乗せた黒塗りの自動車が動き出す。

大使館には祭事使われるリムジンも用意されているが目立つ可能性を考慮しファミリー向けの乗用車での移動なのだが、セシリアが後部座席にいるだけで豪奢に見えてくるのは気のせいだろうか。

まだ湿り気の残るボリュームの多い髪を後頭部にまとめ上げ、シャワー上がりの優しい匂いを振りまきながらうなじを披露している姿は本当に学生かと疑いたくなる色香がある。

最も、運転手と助手席に座るボディーガードの二人はその程度で下心を覚える軟弱な男達ではない。

そもそもISを持つ人間にボディーガードは不要と言っていいのだが、時間は既に深夜帯、夜間外出の許可を取っているとは言え女学生一人を帰らせるには不適切な時間。

文字通り飛んで帰る訳にもいかず、大使館が用意してくれた車と護衛を快く受け入れ、手入れの行き届いている後部座席にセシリアはその身を沈めている。

仮にこのまま眠りに落ちたとしても無事に学園に辿り着けると同乗者を信頼しセシリアは目を閉じているが、睡眠欲に負けてはいない。

IS訓練の後にシャワーにて全身を解した後だ、眠気がないと言えば嘘になるが心身ともに限界を越えて参っている訳ではない。

目を閉じ思い描くのはブルーティアーズの操縦訓練。太腿に乗せた指先でリズムを刻み、円舞曲を叩く。

ビットと併用した機動戦術は目指すべき理想。到達点は遥か先であるが諦めるつもりはない。

例えば簪の打鉄弐式が持つ山嵐は独立稼動型誘導ミサイルでその数も一機のISが備えるには圧倒的であるが、演算の殆どを機械的なプログラムで補っている。

ビットの場合は山嵐のミサイルよりも個々の動きが繊細だが機械的に補う事が出来ない。ISと同調し脳波コントロールによるビット操作は思考領域の大半を奪われてしまう。

四つものビットを遠隔操作するだけで脳は悲鳴を上げるに近い状態で演算を行っていると言うのに、そこから更に自分自身の挙動を行うとなれば脳は正に抉られる思いだ。

飛行となれば単純に飛べば良いと言うものでもなく、加減速は元より、周囲の状況を見る広い視野や空気抵抗、エネルギー配分に重力や航空力学、流動波の干渉、飛ぶだけでも行うべき思考は多々ある。

更にセシリアは飛行一つ取っても優雅さを演出しようとする癖があるが、その点はセシリアらしさと割り切るしかない。

 

トン──。トン──。トン──。

指先が叩く一定の間隔はイメージトレーニング中の愛機のリズムに重ねていく。

ビットを動かしながら自分自身も華麗に舞う。所詮はイメージ、されどイメージ。未来の自分を想像し体の中に落とし込む。

が、不意に指先が止まる。

 

「…………?」

 

頭の中に入り込んだノイズに小首を傾げる。

唐突に襲い掛かってくるのは重圧感。プレッシャーと呼んでもいい類の圧迫感に目を見開く。

窓の外に広がる景色は丁度高架道路を降りた所。住宅地からは離れているが無人の地区ではない。

 

「どうかしましたか?」

 

セシリアの様子に気づいた運転手がミラー越しに声を掛ける。

次の瞬間、響いてきたのは雑音ではなく、イヤーカフスの待機形態を取っている愛機からの警告だ。

 

「止めて下さい!」

 

叫んだ時にはセシリアは移動中の車から飛び出しブルーティアーズを緊急展開、腕部の装甲とエネルギーシールドを前面に押し出し襲い来る衝撃を迎え撃つ。

数秒とせずに爆音と爆風が吹き荒れ「ぐっ!」と歯を食い縛るセシリアを爆発が飲み込んだ。

背後に庇った車が僅かに浮き上がり、近くにあったコンクリート壁に激突、ボンネットが跳ね上がる程の衝撃だがセシリアの判断が早かった事もあり爆発炎上するまでのダメージは負わなかった。

 

「くっ、何が!」

 

運転手と助手席の二人も車は動かないと踏んですぐに飛び出してくる。手足や頭を押さえてはいるが致命的な外傷は見当たらず、懐から拳銃を取り出し周囲を警戒する辺りは良く訓練されていると言っていいだろう。

 

「すぐに逃げて下さい、ここは私が引き受けます」

「し、しかし」

「お願いします、守りながらでは戦えません」

「……分かりました、IS学園と大使館に連絡を入れます、無理はなさらないで下さい」

「ご武運を!」

 

女学生に守られているが、その事を責める者も不甲斐ないと思う者もこの場にはいない。

守るべき対象に守られている事態もISを用いなければならない状況であるなら生身の彼等に対処は難しいのだ。

現状で出来うる手を打つのが各々の役目だと分かっているから走り去る男達は自分達に攻撃を仕掛けてきた相手を探す事もせずにその場を後にする。

センサーで二人が安全圏に離脱するまで見守りつつ、セシリアは視線を上げ敵を見据える。

 

「随分なご挨拶ですわね、何者です」

 

が、視線の先、ハイパーセンサーが捉えた存在を確認してセシリアの表情が陰る。眉を寄せ告げられている敵機のスペックデータに喉を鳴らす。

 

「な、なんですの、これは!?」

 

見上げた視線の先、悠然と見下ろす存在がいる。

無骨なフォルムの全身装甲に異様に長い両腕、無機質なセンサーアイから放たれる光に感情の色を感じ取る事は出来ない。

そして何よりその大きさだ。両腕の長さを入れれば有に()メートルを越える巨躯。

ストライク・ガンナーと共に得たセシリアの新しい力であるスターダスト・シューターの全長が約二メートル。そのサイズですらISの武器としては大型の部類に入るのだからアレのサイズが如何に異様かが良く分かる。

月を背景に放たれる機械的な視線にセシリアの背筋を冷たいものが流れ落ちていた。

 

 

 

 

「進路クリア、システムオールグリーン、いつでもいいよ」

「ブルーディスティニー、ユウ・カジマ、出るぞ」

 

生真面目な箒や舌足らずなくーとも違う若干やっつけ感のある束のアナウンスに従い篠ノ之神社の裏山の合間から夜空に近い群青色の機体が飛び出す。

同時に束は気候を含めあらゆる観測を行っている衛生にハッキングを開始、この場所が割り出される可能性を減らす為の細工を施していく。

 

≪金髪が戦闘を開始してるけど遠慮はいらない、アレを潰して≫

「了解した」

 

束は注釈を入れなかったが目指すべき場所は時間帯的にも人通りはないに等しいが、人が住んでいる場所が付近にないわけではない。

周辺への被害、セシリアの存在、発見される危険性を考えれば厄介な立ち回りが要求される事は目に見えている。

単独行動での夜間戦闘の難しさは言うまでもなく熟知しており、戦いである以上緊張感はあるが、月の照らす夜に現れるブルーの恐ろしさをユウは誰よりも良く知っている。

 

「行くぞ、ブルー」

 

この世界に落ちた理由は未だ見当もつかないが、戦うと決めたならば貫くだけだ。




五メートルは誤字にあらず。
ここ最近空気だったユウさんにやっと出番がっ!

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