IS ~THE BLUE DESTINY~   作:ライスバーガー

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タイトルに~されどこの掌は烈火の如く~まで入れたら行数が合わなかったので少し短くしました。


第43話 Loreleiの海/我が心 明鏡止水

色欲、物欲、性欲、食欲、強欲、睡眠欲──。

人間はあらゆる欲望を持ち合わせ、それらを理性で抑え込んでいる。

知的能力の一つとして数えられる理性は人間が無意識のうちに持つ能力。欠落すればヒトは獣と変わらない。

 

「ガァァアアア!!」

 

眼前に迫った拳に箒は咄嗟に反応出来なかった。

気が付いた時には銀の福音が振り抜いた拳が鼻っ面を捉え、衝撃が頭を揺さ振っていた。鼻の奥が熱くなり遅れて来た振動を感じてから箒は殴られたのだと実感した。

反射的に左手の空裂を振るが刃は空を斬るだけに終わり、次の瞬間には身を屈め刃を回避した銀の福音の拳が腹部を痛烈に殴り付けていた。一撃目もそうだが衝撃が体内に徹る程に大きい。

 

「っ!?」

 

銀の福音を行動不能に追い込み、勝利の余韻に浸っていた思考回路を切り替える。

目の前にいるのは既に天使の殻を捨てた獣だ。頭部パーツに拘らずとも打ち倒さねば自分も含めて全滅する光景が脳裏を過ぎる。

再度眼前に迫る拳。今度は視認が間に合っているが驚異的なスピードは変わらず、直感で跳ねるように飛び上がる。

速度重視の形態を維持していた展開装甲から溢れんばかりの輝きを放出しながら獣に負けず超スピードで離脱。握り締める二刀を意識しながら空中で振り返るが、目の前に銀の福音の膝が迫っていた。

 

「なっ、速い!」

 

空裂と雨月を交えて受け止めるが一点集中した衝撃が手を通し全体に重く圧し掛かる。

射撃武器たる銀の鐘は砕け、広域殲滅型の面目を失っているにも関わらず押し止まる所か一歩でも前に出て食い破らんと迫ってくる。

戦闘様式こそ違えど紅椿と拮抗し、自意識がなくとも少なからず楽しげな様子のあった銀の福音の姿は既にない。

鋭い爪で動きを封じ、猛る牙で血肉を喰らう。引き剥がす事を許さず、接近戦で殴打を繰り出す銀の福音の姿はヒトの使う兵器ではなく、本能のままに暴れまわる猛獣だ。

 

「ガァアア!」

 

膝を引き、拳による乱打が叩き込まれる。僅かに遅れながらも猛攻に反応し箒も二刀で応戦。

正面から当てられる気迫に宿るのは怒りも悲しみもなく相手を打ちのめそうとする暴力。

 

「自分を見失って振るう暴力では何も生み出さない、銀の福音! お前が欲しかったのは本当にそんな力か!」

 

今でこそ束に対する認識を改めているが、全てを狂わせた束を箒は恨まなかったわけではない。

唯一捨てなかった剣と共に我武者羅に過ごす日々で暴力として剣を振るった過去もある。だからこそ、後に残る虚しさを知っている。

一喝し拳を鋭角な脚部で蹴り上げ空裂で薙ぎ払う。エネルギー刃が衝撃波となり近距離で炸裂し銀の福音を中心に空が爆ぜる。

命中し全身を打ったはずの衝撃をものともせずに爆煙の中から姿を見せた銀の福音は更に前進し、紅椿に拳を叩き込む。

鞭のようにしなる拳が二刀による防御の上から紅椿の装甲に強打撃を浴びせ掛け、徐々に防御が追いつかなくなる程に銀の福音の乱打の速度は上がり続ける。

ついにはハイパーセンサーを持ってしても拳の速度を捉える事が出来なくなる。瞬時加速相手に生じる遅延ではなく、完全に反応が出来ておらず、瞬く間にエネルギーが削られ、割れるようにシールドが砕ける。

 

「ガァッ!」

 

トドメとばかりに硬く握り合わせた両手を紅椿の背中に突き落とす。

視界が反転、真っ逆さまに落下する紅が大きな音をあげ海面に衝突。巨大な水柱を立て最新鋭第四世代機が撃墜される。

 

「箒ーーっ!」

 

 

 

移動に割くエネルギーすら余力がないにも関わらず、紅椿と銀の福音の戦いに割って入ろうとしていた一夏だが、鈴音が白式の肩を押さえ込み強引に制止を促していた。

何が起こったのか判断はつかないが、銀の鐘が破壊された後、雄叫びを上げる獣となり紅椿と再激突した。無論、代表候補生達は何もしていなかったわけではない。

ガーデン・カーテン以外に損傷の少ないラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡの残っていたエネルギーの一部をシュヴァルツェア・レーゲンに分配しセシリアは海面を漂っていたシュヴァルツェア・レーゲンのレールカノンを回収。

本来得意にしている中距離で戦える状態ではないラウラはセシリアからパージしていたレールカノンを受け取り、肩部への装着ではなく手動で使えるように両手で持ち直し再接続。

ビットを破壊されたセシリアはレールカノン回収後に狙撃体勢に入り銀の福音を狙ってはいたが、肉薄する二機を相手では狙いが定まらない状態だった。

再集結したIS学園組はラウラ同様に白式にもラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡからエネルギーを分配し一応は全機行動可能状態だが、お世辞にも万全とは言えない。

紅椿を叩き落し空中で呻き声を上げる獣を相手に血路を見出すのは難しいが再び戦いを挑まざる得なかった。

 

「落ち着きなさい一夏、今は目の前の敵から目を逸らすんじゃないの」

 

海に落ちた箒が気になって仕方が無い一夏を鈴音が叱責し諌める。第四世代機を頼れなくなった今、状況は最悪に近く、銀の福音の半狂乱的な状況も想定外だ。

箒を心配する一夏の気持ちも分からないではないが、それどころではないのが正直な話。

 

「とにかくやるしかなかろう」

 

零距離で銀の鐘を受けボロボロのシュヴァルツェア・レーゲンを纏いレールカノンを両手で構え直したラウラが上空の銀の福音を見据る。

銀の福音の広域射撃を凌駕する攻撃力を持った獣が海上ではなく本土に乗り上げればどうなるか想像に難しくない。

ハイパーセンサーが海に沈んでいく紅椿を捉えている以上、今はまだ無事だろうと無理矢理納得させて一夏も視線を上げる。

勝てるかどうかではない。止めなくてはいけないのだ。世界最強の戦力であるISが五機もありながら敗北する事は許されない。

 

「ァァァアアアア!!!」

 

強く頭を振って銀の福音が吠える。その視線が海面付近で集結しているIS学園組みを捉え、牙を剥いた獣が標的を補足し恐怖が襲い掛かる。

 

 

 

 

 

海上で五機のISが狂戦士と戦いを再開した頃、紅椿はゆっくりと海の中を落ちていく。意識を保ってはいるが、目の焦点が合わず押しかかる敗北の重圧と水圧に身が軋む。

全方位を水に囲まれ、音のない世界。静かに逆らう事なく身体と意識が沈んでいく。薄れ行く意識の中で先ほどの戦闘を思い出す。獣の咆哮が残響している、勝てなかったのだと思い知らされる。

天災の用意した規格外を使っておきながら情けない、と思いすぐにその考えを否定する。敗北を機体のせいにするなど言語道断。一瞬でも責任のありかを求めようとした自分を恥じる。

 

「姉さん、ユウさん、くー、一夏。私は……」

 

苦難続きの人生だ。挫折など何度も経験してきた。辛い過去に新しい敗北が蓄積されるだけだ。

いっそ全てを諦めて、このまま沈んでしまえば楽になれるのだろうか。負の感情だけが積み重なっていく。

 

今の世界は楽しいですか?

 

それは姉に問うた自分の言葉。反芻され何度も何度も問い掛けるてくる。

あの時、姉は何と答えた?「楽しいはずがない」と、この世界を創ったと言っても過言ではない人物が世界を否定したのではなかったか。

ならば、自分はどうだと言うのか。箒自身がこの世界をどれだけ憎んだか考えるまでもない。

姉の起こした災いにどれだけ苦労を強いられただろう。だが、保護と言う名の束縛を打ち砕いてくれたのも姉だ。

 

今の世界は楽しいですか?

 

また繰り返される。自分自身の言葉、姉に向けたはずの言葉が自分の胸を打つ。

自問自答でありながら、客観的に言葉を受け止めている自分がいる。

 

「あぁ、そうか……。紅椿、お前なのか」

 

乗り手、搭乗者、ISの使い手を示す言葉は多々あるが、ISコアに何故同調率等と不確かな要素があるのか知る者はいない。

兵器としてみる場合には使用者を選ぶ武器等扱い難くて仕方がない。本来目指すべき形は別なのだと、箒は理解した。

ISに自意識があり搭乗者を理解しようとする特性を考えれば辿り着くのは容易。主人を理解し望みを叶える為に共に歩み成長する。

最終的に目指す場所、兵器でもスポーツでもなく、インフィニット・ストラトスと言う存在。

同調するとは、一つになるとは、そういう事だ。互いに違う存在だから分かり合える。分かり合おうと努力できる。

身体の中を空にして、もう一人の自分を受け入れるだけでいい。

こんな所で眠り落ちていく場合ではない、望むべき世界を手にする為に、自分の問い掛けに、紅椿の問い掛けに答えよう。

他の誰でもない、篠ノ之 箒の願いを叶える為に力を欲する。

 

深い群青に包まれ、周囲は無音にも関わらず、水滴の音が聞こえるような気がした。

視線の先、海上で行われているだろう戦闘の様子は既に視認出来ないが、海面から差し込む光が道を指し示している。

 

「見えた……」

 

剣道、将棋、競技としてのIS、銃弾飛び交う戦場、状況は如何様にもあり得るが研ぎ澄まされた感覚が時間を引き延ばす程の集中力を生み出す場合がある。

視覚も嗅覚も聴覚も自分のものではないように錯覚する。自分だけの空間。自分の身体であって自分ではない。失われつつあった意識が急激に浮上し全神経が鋭敏に反応する。

 

「楽しいさ、姉さんがいて、一夏に会えて、楽しくないはずない。だから……。そんな世界を脅かす敵と戦うんだ」

 

知らず箒は遥か先に遠のいて行く海面の光に手を伸ばしていた。

 

「私が……。私達が、紅椿だ。共に行こう!」

 

光を掴み、呼応して紅椿が黄金の粒子が溢れる。

 

 

 

 

 

全力で振り乱し接近を許さずに高機動を意識して五機のISが飛び乱れている。

銀の福音の速度は圧倒的だが狙いを一機に絞らせないように複雑な軌道を描けば拳は届かない。

が、元々少なかったエネルギー残量を分け与えた状態で満足に動けるはずもなく、瞬時加速は愚か零落白夜さえ使えない。

全機無事と言えば聞こえは良いが、無事なだけに過ぎず、各々の主力武装も破損しており決定打は与えられない。

欧州連合組の三機が射撃武器により弾幕を張り、銀の福音の制空権を奪い、一夏と鈴音がヒット・アンド・アウェイにて接近しては離れるを繰り返している。

一撃でも貰えば紅椿同様叩き落される可能性があり、接近戦を仕掛ける二機も単機で仕掛ける真似はせず、互いの死角を補う事を重視している。

 

「ガァッ!」

 

しかし、残念ながらどれだけの策を弄しても力にて粉砕する輩は存在する。場合によってはエースと呼ばれる突破口を開く者。

下から強襲した鈴音の脚をすれ違いざまに銀の福音が掴み、対となる上から仕掛けた一夏に向けて放り投げる。激突した二機に対しては放置したまま、的確な射撃を行っているセシリアを急襲。

狙撃スコープ越しに見ていたセシリアが銀の福音を確認する事なく、肩に脚がめり込み短い悲鳴と共に蹴り飛ばされる。

フォローに回ろうと突っ込んできたシャルロットの放つ散弾に対し防御もせず突貫。勢いを殺さず超スピードのまま拳がシャルロットの腹部を穿つ。

正に刹那だった。

海面付近でレールカノンを構えるラウラの表情が悔しげに歪み、空中で体勢を立て直した一夏と鈴音も現状を理解し呆然とする。

決して油断はしていなかった。一夏と鈴音も文句なしの機動力を見せ息も合っていた、セシリアの間合いの取り方もシャルロットのフォローも間違っていない。

だが、そんなものは関係ないと一蹴された。これがエースとだと言わんばかりに正面から力技で。

 

「くっ、残りエネルギーが二割を切ったか……。限界か、止むを得んな。織斑、鈴、良く頑張ってくれた。撤退しろ。殿は私が勤める」

 

苦渋と言わざる得ないが、現場指揮を預かる身としてラウラは決断する。

引くことの出来ない局面だとしても全滅と言う最悪だけは回避しなくてはならない。

 

「……了解」

「何言ってんだよ、鈴! ボーデヴィッヒ!」

「ぐだぐだ言ってんじゃないわよ! 作戦は失敗、私達の負けよ。少しでも情報を持ち帰って上の指示を請うの。納得出来なくても聞き分けなさい」

 

一夏とて分かっているのだ。この状況からの逆転は不可能。この場において最も役立たずなのは遠距離攻撃手段も零落白夜も使えない自分だと。

頑張ればどうにかなる。そんな無責任な言葉を吐ける程に一夏も子供ではない。この場が戦場ではなく学園のアリーナであれば別だったかもしれないが、何かが起こってからでは遅いのだ。ラウラの判断は間違っていない。

 

「ゥゥウァアアア!!!」

 

「逃げるわよ、一夏!」

「ちょっと待った鈴!」

「なによ!?」

 

逃走を計ろうとする鈴音を制止。一夏が気付いたのは銀の福音の視線の先だ。

セシリアとシャルロットを落とした銀の福音はラウラにも一夏達にも攻撃を仕掛けてこなかった。

優しさや油断では断じてない。その理由、銀の福音は海中から急浮上してくる何かを見ている。

 

「何だ、アレ」

 

一夏の呟きに応じてか、辺り一面の海が金色に染まり黄金の水飛沫と水柱が立ち昇る。飛び出してきたのは全身を金の輝きに包み二刀を構えた紅椿。

 

「箒!」

 

紅椿はそのまま銀の福音に突撃。二刀で弾き飛ばして強制的に距離を作る。

ISと一つになると言う意味。ISが手足の延長等と安易な感覚ではない。全てが繋がり同調する。今正に紅椿の剣は箒の剣となった。

 

「一夏、それにIS学園の皆に頼みたい。銀の福音の頭部パーツを破壊する。手伝ってくれ」

 

振り返る事なく呟く台詞。頭部パーツに何の意味があるのかは分からないが、この状況下において疑う余地はない。だが、残念ながら手伝いたくとも動けない。

 

「篠ノ之 箒、残念だが我々では援護すら出来そうにない」

「いや、出来るはずだ」

 

ラウラの言葉を両断。同時にラウラもその意味を知る。

否、ラウラだけではない。海面を漂っていたセシリアとシャルロット、空で肩を寄せていた鈴音と一夏も気付く。

消耗さ限りなくゼロに近くなっていたエネルギーが回復していっている事に。

 

「これはっ!?」

 

紅椿 単一仕様能力 絢爛舞踏 発動。

 

様々な武装を見てきた代表候補生達が信じられないと疑問を浮かべるのも無理はない。自機だけでなく、宙域の味方機のエネルギーを回復させる等ありえない。

IS間同士でのエネルギー分配も簡単ではないのだ。ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡはありとあらゆる状況を想定しているが故に可能な特殊性だ。

外部エネルギーパックを用いて戦地で補給する手段もないわけではないが、基本的にはISのエネルギーは使い切りだ。

他機にエネルギーを分け与えるのではなく、回復させる手段等聞いた事がない。

 

「あ、ありえないわよ。こんなっ!」

「鈴」

「なによ!」

「納得出来なくても聞き分けろ、じゃなかったか?」

 

ガンと金属音を立てて甲龍が白式の脛を蹴り飛ばす。

 

「生意気言ってんじゃないわよ」

 

先ほど言った自分の言葉で反論された事に愚痴りながらも鈴音の顔は笑っている。否、鈴音だけではない、一夏もラウラもセシリアもシャルロットも同様だ。

金色に輝く紅椿を筆頭に全機のエネルギーが完全に回復する。破損したパーツを復旧は出来ないが、十分過ぎる。

輝く金色の光は場を満たし続けているのだから、この状況が示すのはエネルギーが永続的に回復を続けると言う事だ。瞬時加速も零落白夜も遠慮する必要がない。

 

 

 

「近頃めっきり良い所がないが、ドイツを、シュヴァルツェア・ハーゼの隊長を、ラウラ・ボーデヴィッヒを侮るなよ。行くぞ、シュヴァルツェア・レーゲン」

 

黒は何ものにも染まる事はなく。

 

「私はセシリア・オルコット、高貴な者の義務(ノブレス・オブリージュ)を果しますわよ。ブルーティアーズ」

 

雫は輝きを失わず。

 

「しっかりしろシャルロット・デュノア、僕達はこんな所で立ち止まるわけにはいかないんだ。もう一度行くよ、ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ」

 

風は何度でも息吹を取り戻し。

 

「一夏の知り合いは変人ばっかりね。私も同類かもしれないけど、いやいや、大分マシじゃない? まぁでも、ひとつだけ言えるわよね。凰 鈴音を舐めんじゃないわよってね! 行けるわね、甲龍」

 

龍は泳ぐ事を止めず。

 

「俺はまた助けられてるんだな。でも、俺も一緒に行くさ。お前も付き合ってくれるだろ、白式」

 

白き翼を持つ騎士は抗い続ける。

 

 

 

「一気にケリをつける!」

 

箒の声に全員が頷きを返し宙に飛び上がる。

基本的な戦略は先ほどと同じ。セシリア、シャルロット、ラウラが銀の福音に対し一斉射を放ち、鈴音と一夏が接近戦を挑む。

今回はプラス一枚、箒が近接に加わり、後衛三人、前衛三人と理想的な構図が出来上がる。ISと言う武力で見た場合では驚異的な構図とも言える。小国に戦争を仕掛ければお釣りが来る戦力だ。

相手は銀の福音。油断は出来ないが、狙いを頭部パーツに絞り込んでの短期決戦。零落白夜も大盤振る舞いだ。

 

「決めますわよ!」「行くよ!」「終わらせる!」

 

息の合った三機の射撃が密度を高め射撃武器を持たない銀の福音の行動範囲を奪っていく。いかに強力な拳を持っていようとも当たらなければどうと言う事はない。

おまけに連戦状態の銀の福音のエネルギーも相当に削がれている事だろう。動きさえ封じてしまえば、飛来する前衛組みが決めてくれる。

 

「ガァァアア!」

 

縦横と細かく回転しながら射撃を避ける銀の福音に対し、正面から一夏が切り込み、左右を鈴音と箒が休ませずに攻め立てる。包囲網に隙はなく、全周囲を刃が踊る。

 

「これで、終わりだぁ!」

「一夏ァ! しっかり決めなさいよ!」

「任せろぉ!!」

 

空裂と雨月が銀の福音の右腕と右足を切り込み、短く二つに分けた双天牙月が銀の福音の左腕と左足を切り込む。

それぞれの斬撃が銀の福音のエネルギーを奪い、身動きを取らせない。

 

「メェェエエン!!」

 

真正面。全力で放たれた零落白夜のエネルギーの光刃が銀の福音の頭を捉えた。




最後の一撃は、せつない。
絢爛舞踏がエネルギーの手渡しではなく宙域全体と強化されておりますが、後に補足します。
ヒロインズの誰がどうと贔屓目にするつもりはないのですが、立場的に箒さんが圧倒的じゃないか、状態に。

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