IS ~THE BLUE DESTINY~   作:ライスバーガー

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第111話 示される世界

篠ノ之 束は人間を信用していない。他人を、国家を、世界の在り方さえ信用しない。

両親でさえ曖昧な境界線の上に位置しており、正しく認識しているのは千冬、箒、一夏位なもの。

最近になり境界線の内側にユウとくーが加わったがこの二人は特殊な例に過ぎないだろう。

一年生ズやナターシャを名前はともかくとして認識はしている事さえ束を知る者からすれば奇跡のようなものだ。

極めて異常と呼べる人間性であるが束は己の歪さを認識した上で信用しているものがある。

戦争の勝利条件、ISの在り方、ISが浸透した世界、この時代だからこそ待っていた瞬間がある。

 

「こちら米空軍、これより貴官等を援護する」

 

大国の威信、世界の警察、世界最大の武力。

人間不信と言う言葉では言い表せない程に一部を除き興味さえ持ち合わせていない束であるが、この戦いにおいては話は別だ。

ISが根付いている以上はISを切り離して生活していく事など出来はしない。

シルバーシリーズの参戦は束に取っても予想外で、千冬や一年生ズに関しては来てくれるかどうかも微妙な所だった。

だが、かつて空の王者だった彼等は別だ。ISと覇権争いに敗れ世界最強の座を退いて尚も君臨する強者である力の象徴。

彼等は来る、いや、来なくてはならなかったのだ。

 

 

 

 

三日前、世界が脅迫され篠ノ之 束と亡国機業の戦争が口火を切ったあの日。

女尊男卑の時代の象徴と揶揄されても仕方のない立場にいる歴史上初の女性大統領は決断を強いられていた。

会議室にいるのは政治を執り行う大臣達と軍の総司令官である将軍の地位にいる男。

何れも来るべき日が来たのだと悟っていた。彼等はISの時代に対し行うべき警戒を怠っていなかった。

 

ISは非常に有用で、今の世界になくてはならないものだ。だからこその時代の変化なのだ。

例えば天変地異による大災害が起こった場合、軍とISどちらが優秀かは比べるまでもない。

人海戦術や地域復興支援で言えば軍に分が上がるかもしれないが、熱も冷気も関係なく活動でき、空を飛び、紛争地帯であろうが飛び込む事が出来る単機最強戦力であるISは時代を大きく発展させた。

政治家や軍人、企業の人間からすればISはこの上なく有用、銃や戦闘機と同系列で考える者がいる一方でファッションで捉える者もいるが文句の付け処のない超兵器だ。

数に限りこそあるが、町の一つや二つを瞬く間に焦土に変える事の出来るISの危険性を果たして何人が認識しているだろうか。

時代を、女尊男卑を唱えるのは何れも本当にISに関わる事がなく上っ面だけでしかISを見れていない一般人だ。

だからこそ政治と武力の頂点に立つ人間達は何れ来るであろう危険を忘れてはいなかった。

 

「大統領、ご決断を」

「……私は自分が飾りでしかない事を理解しているつもりです」

「…………」

「それでも自分の役目を果たしましょう」

 

彼女は世論に後押しされ地位を登り詰めたが勢いだけの人間ではない。才能溢れた天才でもなければ、美貌溢れる逸材でもない。

それでも構築してきた人脈と必至に学んだ知恵を持ってこの日に対する決断を下す。

 

「防衛戦力の確保が最優先です」

 

呟きと共に大きな深呼吸。

 

「ですが、亡国機業、いいえテロリストの目を欺けるならシルバーシリーズを含め可能な限りの戦力の使用を許可します」

 

熱を帯びたのは将軍だけではない。

この時代、最も危惧すべきであるISによるテロが予測できない人間は政治家になるべきではないのだ。

 

「いけるかね将軍?」

「無論です、その為の我々です」

 

文官と武官、異なる立場は政治的主張において対立もあるが成すべき事は変わらない。

篠ノ之 束に任せておけばテロリストは鎮圧してくれるかもしれない。戦闘機を飛ばせば無用な命を散らせるかもしれない。

だが、見ているだけでは駄目なのだ。

ISを使うテロリストに対し軍が機能しないと証明してしまえば、この先に第二、第三の亡霊が誕生すれば対抗する手段を失ってしまう。

女尊男卑であるとかISに劣る性能の兵器しかないであるとか、そのような事は関係がないのだ。

 

「ですが将軍、長距離通信が使えない以上、他国と連携を取る事もままなりませんよ」

「心配いりませんよ、大統領」

 

最凶でも最強でもない、最大の軍事力を有する軍隊の頂点に立つ男は口角を上げて笑って見せた。

 

 

 

 

「来てくれたのね」

 

来るしかなかったとしても、必ず来れる確証がなかった援軍の到来にナターシャは破顔する。

それほどまでに微妙な綱渡りの末、彼等は辿り着いたのだ。

 

「米軍?」

 

援軍は歓迎であるが、現れたのがISではなく通常兵器である状況に千冬は思考を巡らせずに居られなかった。

ドイツ軍で教鞭を取っていた過去があり、軍が弱体化していない事を知っている一人ではあるが、意外に思わずにはいられなかった。

常識として通常兵器ではISの戦闘にはついてこれない。これは白騎士との経験と世界最強としての認識からも間違いではないからだ。

しかし、たった今自分達が通常兵器により苦しめられおり、戦闘機により救われたと言う事実が視野を広くさせる。

千冬は軍略家ではないのだ、目の前に可能性が転がっているならば勝利の為に貪欲になるべきだ。束が動じていないと言う事はつまり、そういう事だ。この事態は問題ではないのだ。

全身装甲で表情は分からないが同じ前線に立つユウは確信を得た笑みを浮かべていた。

そうだ、軍は動くしかない。束が勝とうが、亡国機業が勝とうが「ISの戦争を黙ってみていました」では軍としての機能を失うも同然だ。

軍が動く事で初めてこの戦争は更に次の段階に踏み込める。

ISがただの兵器ではないと証明する為にはISの時代において軍隊が健在であると言う事を知らしめる必要があるのだ。

 

「戦闘機ですって? 今更そんな物を持ち出して来て何の心算かしらないけれど、二射、三射と続くフレシェット弾は止められないでしょう」

 

篝火 ヒカルノの時とは訳が違う。

ただの軍の介入にスコールの表情が歪むはずもない。

事実、星条旗を掲げる五機の戦闘機は周囲の潜水艦や空母からの射撃に追われて空域からの離脱を計っている。

衛星からの一射目のフレシェット弾を防いだからと言って戦闘機の旋回速度では次に落ちて来るミサイルには間に合わない。

戦闘機の戦闘スタイルは基本的に一撃離脱、戦闘機同士のドッグファイトであっても先制攻撃か後ろを取るのが基本戦術だ。

大火力が撃ち合う戦場に横合いから乗りつけて継続的に戦闘をするものではない。

 

「お嬢さんに忠告だ、余り軍人を舐めるな」

 

空から鳴り響く中年男性の声にはテロリストに対する侮蔑が込められている。

 

「どんな言葉を並べた所で間に合わなければ意味はないのよ」

 

再び降り注ぐフレシェット弾が大気圏を突き抜ける。

身構えるナターシャが息を呑んだ気配が伝わり、遅れて他の面々も次弾に備えるべく視線を上げて目を見開いた。

米軍の戦闘機が突き抜けて向かう先、突入角から正反対の位置から向かってくる一団に気が付いたからだ。

 

「こちらロシア空軍、これより戦線に加わる」

 

米軍の戦闘機とすれ違い様、ハンドサインだけでやり取りした黒い戦闘機からミサイルが放たれ宇宙からの第二射を薙ぎ払う。

 

「え?」

 

ゴーレムや通常兵器との戦闘はそのままにも関わらず、誰もが空に視線を奪われた。

戦闘機の航行速度や飛行維持時間はISの技術の発展に伴い向上している。技師達がISだけに甘い蜜を吸わせる事を良しとしなかった結果だ。

だからと言って戦闘機がISに匹敵するはずもなく、前時代に比べてと言うレベルではある。

しかし、誰も気付かなかった事実に全員が驚きを隠しきれなかった。

ハイパーセンサー、ましてやブリリアントクリアランスや銀の福音であれば気付けたはずだ。隠密性の高い戦闘機だからと言って接近に気付かないはずがないのだ。

 

「管制室! 何をしていたの!」

 

一瞬、誰もが止まった戦場にスコールの声が鳴り響く。返って来るのは震える男の声だ。

 

≪れ、レーダーは正常値のままです! 異常は検知出来ません!≫

 

それはもはや悲鳴に近かった。

 

「あはははは! 本当に気付いてないの?」

 

ゴーレムや通常兵器は未だ束を目掛け攻撃を継続中。

守られる立場でありながら煽る事を忘れないのは一種の才能なのかもしれない。

極上の笑顔を振りまいた束がスコールの目を見据えたまま両手を広げて見せている。

 

「この辺りのレーダーはとっくに私が掌握してるよ、今頃気付いたって遅いんだよ、ばーか」

 

その言葉にティナがハッと記憶を遡る。

ヒカルノが鈴音達を連れてきた時、シルバーのセンサーより機影に自分が気付く方が早かった。

ステルス性能を持っていたとしてもジャンボジェットの接近に気付かないはずがない。

だが、あの時から既に天災の掌の上だったとすれば話は変わって来る。

あぁ、そうか、勝てない。勝てるはずがないのだと今更ながらに湧き上がった実感にティナは苦笑を抑える事が出来なかった。

 

「くっ、たかが十機の戦闘機でいつまでも邪魔が出来ると思わない事ね!」

「だーかーらー その足りない頭をかっぽじって良く考えてみなよ。アレで終わりだって誰が言ったの? まぁ、正直私も驚いているんだけどさ」

「まさかっ!!」

 

この場のレーダーが掌握されていると言うならば、この海域に接近してきている者達に気付けているのは束だけだ。

目視を怠り、ただレーダーを睨んでいるだけでは気付けない。北極の地は天災の作り上げた監獄に移り変わっている。

 

「こちらオーストラリア空軍、これより援護に入る」

「こちらスペイン、パーティ会場はここであっているか?」

「お嬢さん方は健在だろうな、イタリア軍も手伝わせて貰う」

「中華連合空軍、攻撃を開始する」

「南アジア連合は各国のフォローに入る、各機散開」

「対空に注意しろ、潜水艦も忘れるな、南アフリカは外側から回り込むぞ」

 

空を戦闘機が覆い隠していた。

それは有り得ないはずで、全ての戦士達が憧れていたはずの光景だった。

色も形状も、搭載している武装も掲げている国旗も全てが異なる。

ある意味で異常で、ある意味で夢にまでみた世界が広がっていた。

 

「こちら欧州連合ドイツ支部、うちのお姫様は無事なんだろうな?」

「同じく欧州連合フランス支部、お嬢、助けに来ましたぜ」

 

他に僅かに遅れて現れた声に顔を上げたシャルロットが頬を引くつかせる。

 

「わっ! わーっ!! 何てものを持ってきてるのさ!!」

 

ハイパーセンサーが捉えたデュノア社と関わりがあるであろう軍服の男は操縦桿を片手にサムズアップで応えている。

フランスから来た戦闘機の尾翼には水着姿のシャルロットが大きく貼り付けられていたからだ。

 

「……シャルロットさん、流石に品がありませんわ」

「ち、違うんだよセシリア、あれも仕事だからね!」

 

顔を赤くして否定的な肯定を口にするが、代表候補生の立場ではそういった仕事が舞い込んで来る事はある。

ましてやデュノア社の社長令嬢、看板としての役割を果たすならこれ以上ない逸材だろう。

 

「あー こちら欧州連合イギリス支部。申し訳ありません、オルコットのご令嬢。タイミングが悪かったみたいで」

「へ?」

 

シャルロットに冷めた視線を向けていたセシリアの表情がみるみる青褪め次第に羞恥に赤みを帯び始める。

 

「……セシリア?」

「し、仕事ですわ!」

 

大空に現れたイギリス軍の戦闘機には軍服に鞭を振り上げる金髪令嬢の姿。

念の為補足しておくが、味方機を鼓舞する意味合いで戦闘機に特殊なカラーリングやイラストが施されるのは珍しい事ではない。容姿端麗で将来有望であれば尚の事。

今回は参戦していないがドイツ軍の輸送機には銀髪のウサミミ少女が描かれているとかいないとか。

 

「戦闘中だぞ、集中しろ!」

「わ、分かってるよ!」「納得いきませんわ!」

 

銀髪少女からの言葉にややふてくされ気味の返事をしながらも思考を切り替える辺りは流石と言えるのだろう。

 

瞬く間に空を覆い隠した戦闘機の群れは宇宙から落ちて来るミサイルだけでなく、空母から競り上がって来る砲台や潜水艦への攻撃を開始、北極の地は大混戦を見せ始める。

軍人達は来るしかなかった。例えそれが天災の思惑通りであったとしても。

だが、束は軍人の全てを読み切れてはいない。

彼等がここにいるのは世界情勢を加味して束の掌の上で踊らされたからだけではないのだ。

 

「死なせるなよ」

「誰一人殺させやしませんよ」

「国籍が違おうとも、あそこで戦っているのは我々が守るべき市民だ」

「娘と同じ年の子供だ、守ってやるのが大人の仕事だろう」

「まぁ、こっちが守ってもらいたい所ではありますがね!」

「それを言ったら締まらないだろうが!」

 

戦闘機から聞こえて来る音声を拾い驚いたように束は目を丸くする。

自分が世界から、ましてや軍人から好かれているとは夢にも思っていないがまさか守る対象に含んで来るとは思っていなかった。

それどころか彼等はIS乗りが簡単に手に入れる事の出来ない実戦の心構えを持ち合わせている。

同時に宇宙世紀を駆け抜けた男達はこの軍人たちと同種の性質を持っているのではないのかと思わざる得なかった。ユウが異質なのではなくIS乗り達が未熟なのだと納得をするしかなかった。

 

≪たかが戦闘機です、数が増えようとゴーレムで対処可能です≫

「分かっているわ、何機か向かわせなさい、これ以上奴等を調子に乗らせないで」

≪了解しました≫

 

管制室がスコールに告げるたかが戦闘機との認識は間違いではない。

何十、何百集まろうともたった一機のISに敵わないからこそのISの時代なのだ。

 

「行かせると思うか?」

 

だが、今回は白騎士事件とは違う。

戦闘機を討つのがISモドキならば守るのはISだ。

上昇しようとしたゴーレムの一機をシュヴァルツェア・レーゲンの停止結界が阻み、横合いから突っ込んできたラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡが灰色の鱗殻で穴を押し開き破壊する。

束を狙う通常兵器を戦闘機が引き受け数が減ったならばISが動けるようになるのは道理だ。

しかし、ゴーレムは未だ健在であり、油断は許されていない。

 

「ミサイルを山嵐で迎撃して、ゴーレムを……」

 

飛来した戦闘機の集団に胸をときめかせた度合いで言えば簪は他の比ではないはずだが、その一方で現状への対処が明らかに遅れてもいる。

通常兵器の対処とゴーレムの対応を同時に行いつつ戦闘機と束を守りながら味方機と並列で戦闘しようとすれば思考回路が破綻し混乱の坩堝に陥るのも当然だ。

同じように目の前で起こった奇跡を上手く呑み込めずにいる一夏もオータムとの戦闘に集中しきれずにいる。

 

「ラウラッ!」

 

その状況をいち早く察知した千冬が目の前のゴーレムを両断しつつ声を上げる。

師が何を伝えたいのかを即座に理解した少女は戦場全体に響かせるように大にした声量で宣言する。

 

「通常兵器は全て無視しろ! 倒すべき相手を間違うな!」

「む、無視しろって言ったって」

 

ゴーレムを夢現で押し返しつつ、自分を抜いて束に迫るミサイルに表情を歪ませている簪にそんな余裕が生まれるはずもない。

勿論一人で守っている訳ではないのだから、ミサイルが抜けたからと言って即危機に繋がる訳でもないのだが、パニック寸前の頭で考えが追い付かない。

 

「任せな、お嬢ちゃん」

 

が、守り切れなかったミサイルを別方向から飛来した戦闘機が機銃で叩き落としたのであれば話は別だ。

氷の大地に対し低空ギリギリを飛んできた戦闘機が迎撃した後、再び高度を上げていく。コックピットから見えるのは親指を立てる男の姿。

銃弾飛び交う激戦地の真っただ中を飛ぶのは自機を危険に晒す行為だが、そもそも彼等は山間部や海上だけでなく都市部での戦闘も考慮された実戦部隊、シルバーシリーズを初めとするIS達がゴーレムの相手を引き受けてくれているなら、戦闘機もいないこの空を飛ぶのは難しくあっても不可能ではない。

 

「分かっただろう、今我々の頭上には世界で最も頼りになる男達がいる、我々の背中には偉大な戦士達がついている! だが、彼等はゴーレム一機で壊滅してしまう、そんな危険を背負ってまでここに来てくれたんだ! その心意気に応えて見せろ!」

 

言葉は想いであり力である。

友人の軍人としての言葉が胸に染み込むと少女の瞳から困惑が消え、炎が灯る。迷いは消え、戦う意志だけが残された。

 

「織斑! 篠ノ之 箒! 篠ノ之博士は必ず守り通す、その蜘蛛女を任せるぞ!」

 

忌み嫌った相手でもクラスメイトでもなく、ただこの場を任せる戦士としての言葉に織斑 一夏が奮い立たないはずもない。

 

「任せろ!」「引き受けた!」

「このガキ共ッ! 調子に乗るんじゃねぇ!!」

 

 

 

「対空攻撃、目障りな羽虫を叩き落として、ゴーレムは引き続き篠ノ之 束への攻撃を中心に少数は空へ上げなさい。フレシェット弾は全部使って構わないわ、潜水艦は一時潜航、タイミングを見て対艦ミサイルを狙って行きなさい」

 

思考回路の切り替えと言う点ではスコールも決して負けていない。

センサーが奪われ、エムが落とされ、バーサーカーを失い、フレシェット弾が防がれたとなってもゴーレムと言う絶対的優位条件がある以上は簡単に逆転される戦局ではない。

たった一人を殺せば済む戦場で戦闘機が割って入った所で焼け石に水なのだ。

事実、既に何機か戦闘機は落ちており、安全装置が働いた機もあれば水面へ落ちた機もある。

幾度となく死線を越えてきたスコールからすれば非常に危うい均衡であったとしても、渡り切る要素はまだ十分に残されている。

 

「まだ負けてないわ、最後に笑うのはこの私よ」

 

スコールの視線が真っ直ぐに束を射抜く。

だが、視線を当てられた束はスコールを無視する所か、遥か海の先を眺めて呆然と視線を彷徨わせていた。

まるで信じられない亡霊を見たと言わんばかりの態度にスコールが首を傾げる始末だ。

 

「何を見ているの……?」

≪ス、スコール様≫

「なによ?」

≪あ、あの、それが……≫

「報告はハッキリとしなさい」

≪水平線上に艦影多数、数え切れません≫

「…………はぁ!?」

 

今度こそ本当にスコール・ミューゼルの仮面は剥がれ落ちた。

亡霊の求めた戦場、天災の作った戦争、少女の願い、男達の誇り、蒼い異物の物語。

戦士達は大海原を越えて決戦の地に集う。

世界の意志は示された。




ユウ所かISさえ目立っていない……。
更に次回にも続くんです。

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