バカとテストと召喚獣さんっ!?   作:大雪

7 / 8
番外編 「少女の夢とすべての始まり」

 

【バカテスト アンケート】

 

試験召喚システムについて何か意見などがあれば書いてください。

 

 

姫路瑞希の回答

『もっと装備を可愛くしてほしいです』

 

教師からのコメント

女の子らしい意見ですね。

点数と強さの関係が崩れない以上は問題ないでしょうし、

今度学園長に相談してみましょう。

 

 

吉井明久の回答

『せめてもっとまともな装備にして!』

 

教師からのコメント

もっと点数を取ってください。

 

 

中川涼子の回答

『点数回復とかのオプションがほしいです』

 

教師からのコメント

面白い意見ですね。

今後の試召戦争での展開がもっと面白くなりそうな意見です。

ぜひ検討してみましょう。

 

 

堺翔太の回答

『壁に触れなくて不便です』

 

教師からのコメント

それはシステム上どうにもならないので、我慢してください。

 

 

土屋康太の答え

『…服が破けるようにしてほしい』

 

教師からのコメント

そう言うと思ってました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある公園。

 

そのベンチで、二人の兄妹が話をしていた。

 

 

『ねぇ、お兄ちゃん。』

 

『ん、どうした?』

 

『あのさ、私、大きくなったら、世界をあっと言わせるようなもの、作りたいな…。』

 

『例えば?』

 

 

 

 

 

『たとえば……何か、魔法みたいな!』

 

 

 

彼女の名は、藤堂カヲル。

 

 

その夢が、すべての始まりだった---

 

 

 

 

         ☆

 

 

 

とある研究室にて。

 

「試験召喚獣召喚、試獣召喚!」

 

そう叫んだ女の足元に、魔方陣のようなものが出現した。

 

「ふう…まあ第一段階成功、かな?」

 

 

今から40年ほど前。

一応、試験召喚システムはすでに存在していた。

 

「いや、もう消えてるけど?」

「あちゃ~、消えちゃったか。」

 

 

…一応、だが。

 

「やっぱ今の技術力じゃ無理かなぁ?もう一回大学に行って勉強を・・・」

「いや無駄だってば」

「じゃあ魔術を使って悪魔と契約を」

「そんな不確定なものに頼るな。それにもし呪われたらどうするんだ?」

「大丈夫、私呪われない体質だから」

「おまえはどっかの箱を届けられた少年か?」

 

 

 

この研究室には、二人の人間がいた。

一人は藤堂カヲル。

もう一人は、その兄、藤堂竜也。

 

 

「まあいいや。今度は召喚フィールドに問題があるみたいだし、フィールド展開用システムの5番サブルーチンの4行目をーーー」

 

二人で、子供のころの夢を追っていた。

 

「よし…フィールド展開!」

「うわっ!なんか火花が!」

「まずい逃げろ!」

「なんか召喚獣がいっぱい出てきた!?」

「どーやって止めるんだよアレ!?」

「うわぁぁああああ!またご近所さんに叱られるっ!?」

 

 

 

 

 

 

…前途多難である。

 

 

 

 

       ☆

 

 

<<17 years old>>

 

彼女たちは、子供のころからシステムの開発を始めていた。

 

「いやだから、召喚の前に召喚者の意思を読みとるシステムを」

「でも召喚獣がいないと意味ないだろう?」

「うーん、でも召喚獣の操作は?」

「そこはしばらくはコンピュータ制御にすりゃいいだろう。」

「あ、そっか。」

 

子供といってももう高校生だが、まあ今の彼女たちから見たら、子供なのだろう。

「じゃあこの立体映像投影ユニットと音声認識用マイクを繋いで……試獣召喚!」

 

そう叫ぶと、彼女の目の前に、小さな召喚獣らしきものが現れた。

 

「うーん、やっぱり見た目薄いなー。立体映像だし……」

 

<<25 years old>>

 

「あれっ?なんだろ、これ…」

 

8年後。

 

あの後あまりに無茶な計画だと思い直したカヲルたちは、計画を諦めつつあった。

そんな彼女は、会社帰りにおかしな機械を拾った。

 

「なにこれ……『異界生物召喚装置』……?」

 

その奇妙な形をしたその機械が、彼女たちの幼い夢を実現させる鍵になった。

 

 

「ホラ、このケーブルをここに挿して、これを繋げば…できた!」

 

「本当に大丈夫なのか?これ拾い物なんだろ?」

「まあまあ、試してみようよ? えっと、召喚ワードは…召喚…さもん…そうだ、試獣召喚(サモン)だ!」

 

「英訳か…結構かっこいいな。」

 

「よし、完了! いくよ………試獣召喚!」

 

ヴォオオオン…

声に反応し、音をたてて、機械が動き出す。

そしてーーー

 

「出た!召喚獣だ!」彼女の姿をデフォルメした姿の召喚獣がでてきた。

 

「おお……でも、どうやって動かすんだ?」

 

「あ」

 

 

 

 

 

 

このあと、また思考読み取り装置やら何やら色々作られることになった。

だが、不思議とできるのは早かった。

きっと、「召喚獣」という存在が、彼女たちのモチベーションを大きくあげたのだろう。

 

「でも、これを一体どうするの?」

「うーん……。」

 

「あ、そうだ。」

「何?」

「この召喚獣の強さをテストの点数で決めるようにして、学校に導入したらいいんじゃない?」

「なるほど……学校を作ろうってか。」

ちなみに彼女たちはこの研究のお陰で、かなり頭よかったりする。

 

 

 

 

 

 

そしてまた数年たってーー

 

 

『ご覧ください、こちらが今話題の、文月学園です!』

『この学園では、テストの点数に比例した強さを持つ[召喚獣]というシステムがありーーー』

 

彼女たちの作った文月学園はあっという間に人気を博し、近隣どころか引っ越してまで入学するものもいるほどになった。

そしてもちろんーー

 

 

「試獣召喚!」

『総合科目 Aクラス 田中綾香 2736点』

 

試験召喚システムも導入されていた。

 

 

 

 

「こんな人気になるとは、予想外だねぇ…」

「そうだな。」

「……まさか、あのときの夢が、現実になるどころか、こんなことにまで発展するとは。」

「ああ。俺もここまで来るとは思わなかった。」

「…おっと、もう時間だ。入学式に遅れちゃまずいからね。」

「そうか。」

「じゃあね、()()先せーーいや、兄さん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今年も、たくさんの入学生が来た。

 

 

「えー、あたしがこの学園の学園長のーーーーー」

「変態だあああーーーーーーーーーー!!」

「僕の話を聞けえええーーーーーーーーーーーーー!!!」

 

 

あの"バカ"も含めて。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。