バカとテストと召喚獣さんっ!?   作:大雪

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第五問「冬と料理と聖なる夜っ!前編」

 

【バカテスト 日本史】

 

日清・日露戦争前後のできごとについて、以下の文の()を埋めなさい。

 

三井、三菱、住友などは、金融行以外にも多角経営を行い、( )へと成長していった。

 

 

 

吉井明久・姫路瑞希・中川涼子の答え

『財閥』

 

教師からのコメント

正解です。これらの会社は今も現存しているので、それと関連させて覚えておくといいでしょう。

 

堺翔太の答え

『生命保険会社』

 

教師からのコメント

一つ当てはまらない会社があることに気づいてください。

 

土屋康太の答え

『一言では名状しがたいもの』

 

教師からのコメント

わかりました。後ほど職員室でゆっくりと説明してもらいましょう。

 

 

 

 

 

 

 

     ☆

 

 

 

 

 

僕らがBクラスに勝利してから一ヶ月くらいたった。

 

 

12月24日。世間はすっかりクリスマスムードとなり、

Fクラスも例外ではなかった。

 

 

 

 

 

『諸君。この季節は異端者が特に増加する。皆、この季節だからこそ、異端者をいち早く一人残さず発見し、一人残さず処刑するように。』

 

『『『Yeah! Let's party!』』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………違う意味で。

 

Fクラスメンバーの大半は、

『歳末特別警戒実施中~異端者を摘発せよ!~』

とか書いてある旗のもとに集まり、大量の殺気を発しながら気合いを入れていた。

 

「……ねえ、明久。あの殺気だらけの人たちは……?」

そう話しかけてきたのは、最近転入してきた涼子。

銀髪セミロングの美人さんです。

 

「ああ。あれはFFF団っていう、彼女がいない人たちの集まりでーー」

 

「じゃあそこにいないってことは、明久には、彼女が………?」

 

ギギギギギギギ………

「頼むから言葉に気を付けてよ涼子。みんなの殺気がこっちに向いちゃったじゃない。」

 

なんかすごい殺気がこっちに………

 

「ああ、ゴメンゴメン。」

 

『よシいあキヒさ、おマえハ ワタしたチ ヲ うらギる と イウ ノか………?』

 

「違うよみんな。僕に彼女なんているわけないじゃない?」

『だガ、イマもコウやっテ、リョウコさマトなかヨくはなシテイるデハないか……?』

 

まずい。殺気がどんどん増幅されている。しかも涼子"さま"って…

 

『オマエ、まサカ すデニ、デキテいる の か………?』

 

「な、なな、何いってるのよ!そんなことないじゃない!ねえ明久!?」

 

「えっ?う、うん。いったい何を焦ってって危なぁっ!!」

 

なんか3方向からカッターが飛んできた!?FFF団はあっちにしかいないのに……って!?

 

『あキヒサくん。イマ ノ おはナし ゆっクりキカせて もらエませんか……?』

 

『ソウね。あキ、ユックりはナしを………』

 

まずい。なぜか姫路さんと美波まで殺気立ってる。

 

「怖いよ、明久……(ギュッ)」

 

そう言って涼子が僕の腕に抱きついてきた。まあこの状況なら無理もな………ってえぇっ!?

 

「ってちょっとぉー!?何してんの涼子!?」

 

涼子は怖がっているのか、何も答えない。

 

『『『『…………………っ!?!?!』』』』

 

まずい。この状況はとてもまずい。しかも姫路さんや美波までいるから、涼子も危ないかもしれない。

 

「りょウこちゃん……いったいなにヲ……?」

「ソうよ……ワたしたちをさシオいて………」

 

「………(ガタガタガタガタ)」

 

まずい。涼子のSAN値がどんどん削られている。

 

さて………

 

 

 

 

 

 

「逃げるよ涼子っ!」

「…………!(コクコク)」

僕らは全力でFクラスの教室を飛び出した。

 

 

 

 

 

 

「ふう……やっと撒いたか……」

 

「明久?」

 

「うわっ!……って翔太?なんでここに?」

 

「いや、なんか涼子と幼馴染みだっていったら、覆面の人におい回されて………」

 

「なるほどね…この時期はFFF団はその手の話題に敏感になるから、気を付けたほうがいいよ。」

 

「そう……」

 

「さて、これからどうしy」

 

『吉井がいたぞ!追え!』

『堺もいる!ついでに処刑しろ!』

 

「まずい、見つかった!逃げるよみんな!」

 

 

 

 

 

          ☆

 

 

 

「はぁ……やっと騒ぎが収まった……」

 

あのあと、みんなでどうにか説明して、騒ぎは終息した。

 

………でも、雄二の

『こいつらに彼女ができるわけない』って言う発言にはちょっとカチンと来たけど。

 

 

さて。今日は終業式の日。

よって、そこら中から

 

『今日の帰りどっか寄ろうぜ?』

『ゲーセンととかいいんじゃないか』

『いやカラオケも』

『お前ら……ひとつ忘れてないか?』

『?』

『ネトゲだよ』

『『『!?』』』

 

なんて会話が聞こえてくる。まったく…まず人が多いのにそこに30人も一気に集まったらサーバーが重くなるだろうに…

 

そんな中、

 

「皆さん、良かったら今日、私の家でクリスマスパーティをしませんか?」

 

なんて提案をして来た。

 

「えっ、いいの?」

 

「はい、お父さんやお母さんも一度私の友達に会ってみたいって言ってましたし。」

 

「じゃあ、みんなでいこうか。ねえ、雄二?」

 

 

ガシッ

 

 

その場から逃走しようとする雄二の肩をつかんで、問いかける。

 

「いや、すまんな。今日はお袋に早く帰ってこいと言われてーーー」

 

なるほど、そうきたか。

なら。

 

PiPiPi………

prrrrrrrr………

 

『はいもしもし、坂本ですー』

「あ、もしもし2年Fクラスの吉井明久ですー。雄二のお母さんですか?」

『そうですよー。なにかご用ですか?』

「今夜みんなでクリスマスパーティをするんで、雄二を誘いたいなーと」

『あら、いいわねー。どうぞ、存分に遊んでらっしゃいって伝えておいてください~。』

「ありがとうございます。では~」

 

ピッ

 

 

 

「…(キサマヲ殺ス)」

 

「…(大丈夫だよ。今日はご両親もいるし、そんなひどい料理は出てこないと思うよ。)」

 

雄二を諭すついでに、みんなにもアイコンタクトしておく。

 

「……まあ、そうだな。あまり問題ないだろう。」

 

「でしょ?」

 

「じゃあ姫路さん。お言葉に甘えて、おじゃまさせてもらうよ。」

 

「わかりました。楽しみに待ってますね♪」

 

 

 

 

 

 

今になって思う。

 

 

なぜあんな判断をしてしまったのかと。

 

 

 

 

         ☆

 

「いらっしゃい、皆さん!」

 

時は飛んで夕方。僕らは、姫路さんの家に来ていた。

 

「「「おじゃましまーす」」」

 

そう言って僕らは中に入った。

家の中はかなり豪華で、それこそ以前に行った霧島さんの家に匹敵するほどだった。

 

 

……流石に雄二の部屋(牢屋)みたいなのはなかったけど。

 

 

「へぇ~っ。なんかすっごい広いね。」

「おや、いらっしゃい。君たちが瑞希のお友達かね?」

「あ、はい。お邪魔してます。えっとーー」

 

「瑞希の父だ。いつも娘がお世話になっているね。」

 

「あ、どうも。姫路さんのクラスメートの吉井明久です。」

「同じく、坂本雄二だ」

「木下秀吉じゃ。」

「島田美波です。」

「…土屋康太」

「中川涼子です。」

「あ、堺翔太です。」

「…霧島翔子です」

 

と、みんなで自己紹介してみた。

「おい待て!何で翔子がここにいる!?」

「さっき吉井に誘われた」

「あの野郎…っ!」

 

 

 

そして。

 

 

「あら、いらっしゃい。私、姫路瑞穂と言います。」

キッチンでは、一人の小柄な女の子が料理を中断して、こちらにお辞儀をして来た。

 

「あれっ?お姉ちゃんやお母さんの代わりにご飯作ってるの?偉いね~」

 

なんでお母さんが調理してるんじゃないか疑問だけど、まあ姫路さんが調理するよりはいいだろう。

 

「お姉ちゃんやお母さん?いえ、私はーー」

 

「私の妻だ。」

 

ここでお父さん登場。

妻…?

 

 

小柄な体格、あどけない笑顔。

 

 

 

ふむ…

 

 

 

 

「雄二。」

 

「何だ?」

 

 

 

 

 

 

 

「ー念のため、警察に通報を」

「了解」

「警察なら間に合っている」

と言って、姫路さんのお父さんが僕らの腕をつかんできた。

くっ!ロリコンはロリコンでも場馴れしたロリコンか…!

 

「…君たちは私を何か誤解していないかね?」

「でも、ロリで始まってコンで終わるアレじゃーー」

「そこまで言うならいっそはっきりいってくれ。」

 

「ロリコンなんですか?」

「意外と…傷つくものだな…」

存外繊細な人なのかもしれない。

 

「ともかく、これを見たまえ。」

そう言って僕らに免許証を差し出す。

これは瑞穂さん(ちゃん?)のーーって!

「バカな!40代だって!?」

 

信じられない…!!でも公的証明書だから…信じるしかないか…!

「私も年相応の姿の方がありがたいのだが…何度犯罪者扱いを受けたことか」

「私、そろそろ成長期が来てもいいと思うんですけど~。」

 

その歳だともう成長期は来ないだろう。

 

「あれ?ところで姫路さんは?」

 

 

『あとは、これに塩酸を加えてーー』

 

まずい。これはかなりまずい。

「お母さん!早くキッチンに戻って!」

 

「?…まあ、確かに料理を放っておいたら冷めちゃいますもんねぇ。」

と言って、キッチンに戻っていった。

ふう…あぶなかった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、このときは誰も考えていなかった。

 

 

瑞穂さんの料理力についてを。

 


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