【バカテスト 科学】
酸化鉄を還元する際に必要なものを答えなさい。(酸化鉄を除く)
姫路瑞希の答え
「炭素」
中川涼子の答え
「水素」
教師のコメント
正解です。
炭素の場合は 2CuO+C→2Cu+O2 となり、
水素の場合は CuO+H2→Cu+H20
となります。覚えておきましょう。
土屋康太の答え
「H」
教師のコメント
正解ですが、君の場合誤解を招くのでできるだけ元素記号でなく物質名で書いてください。
吉井明久の答え
「脱酸素剤」
教師のコメント
言いたいことは大体わかりました。
堺翔太の答え
「おせんべの袋の中に入ってるアレ」
教師のコメント
せめて名前で答えてください。
☆
「一体どうなっているんだ…!?」
「どうやら単純に二つの教科を足した点数になっておるようじゃのぅ…」
「あ、ウチの点数が高いのって、そう言うことなんだ。」
そっか。美波は数学が得意なんだっけ。
『古典+数学 Fクラス 島田美波 501点
VS
Bクラス 高田庄司 429点
&
Bクラス 大山結城 475点』
よくわからないけど、これだと美波の苦手な古典を、数学でカバーする形になっている。
「これなら行けるわ!アキ、木下!突破するわよ!」
「うんっ!」
「承知!」
『古典+数学 Bクラス 高田庄司 0点
&
大山結城 0点』
「やったぁ!さすが美波!」
これなら行ける……!
そう思ったその時。
「吉井部隊長、代表から伝令です。」
そう言って、須川くんが走ってきた。
「何ていってた?」
「『今すぐに戻ってこい』と。」
「えっ!?何で?このままなら突破できそうなのに?
「それについても説明するそうです。『とにかくはやく来い』とのこと。」
説明はしてくれるみたいだけど、このこっちが有利な状況で、どうして…?
「うーん…」
「ホラ、早く行きなよ? こっちはあたしたちが守っとくからさ。」
そこに、涼子が交代に来てくれた。
「…うん!」
そう言って、僕たちはFクラスの教室へと走っていった。
『古典 Fクラス 中川涼子 325点』
『やぁあーーーーーーっ!!』
そして、後ろでは涼子達が、僕がいなくなったことで科目が古典だけになった渡り廊下で、戦っていた。 なんだ。
もう操作にも慣れてるじゃんか。
☆
ほどなくして、僕たちはFクラスに到着した。
「で、雄二、これはどういう事?」
「明久、まずは状況を説明してくれ。」
「えっ? ああ、えーと…」
僕は雄二にすべてを説明した。
干渉が発生しなかったこと。
そして、フィールドの科目が『古典+数学』に変わったこと。
「で、どういう事だ?ババア」
「そうだね…説明し忘れt」
「いつからいたんですかババアっ!?」
「アタシゃさっきからずっといたよ!?」
流石は妖怪…行きなり現れやがった…
「ババア。こいつに構うな。話が進まない。」
「そうだね。じゃあ話を続けるよ。」
そう言って妖怪…もといババアは僕たちに説明を始めた。
内容はこうだ。
・この間のシステムメンテで「複合教科」システムが追加されたこと
・複合教科フィールドは、異なる教科のフィールドが重なったときに発生すること
・点数は、単純にその教科の合計点数になること
「そう言う訳で、今後は干渉が使えないからね。気を付けな。」
そして、ババアは教室を出ていった。
「さて、島田、秀吉。二人は作戦通り古典の補充試験を受けてくれ。」
「「了解(じゃ)」」
「えっ?僕ら、それほど消耗してないよ? 美波だって得意科目の数学をやったほうがいいとーーーー」
「大丈夫だ明久、これも作戦だ。」
「でも、いくら点数が高いとはいえ、涼子も長くは持ちこたえられないよ?」
そう。いくら点数が高くとも、ある程度の操作技術がなければ簡単に倒せてしまう。
この前の召喚実習で練習はしたものの、やっぱり半年以上やっている僕らには劣っている。
「そこはお前が盾になれ。」
「やっぱりか畜生!」
「あと、明久。話がある。」
「何?」
「今回の作戦のことについてなんだがーー」
☆
「涼子!助けに来たよ!」
「明久!」
僕が渡り廊下に戻ってきたときには、涼子の点数もかなり削られていた。
『古典 Fクラス 中川涼子 156点
VS
菊地亜美 304点』
状況は、やっぱり厳しいものだった。
…なら!
「教科指定:日本史、
これでここのフィールドは古典+日本史。そしてーーー
「試獣召喚!」
『古典+日本史 Fクラス 吉井明久 537点
VS
Bクラス 菊地亜美 523点』
日本史は僕の得意科目だっ!
「ちなみに古典の点数は?」
「…2桁です」
「…………………」
「あぁもうっ!日本史でカバーしてるんだからいいじゃん!」
頑張って450点近くとったんだから許してよ!
「それっ!」
『古典+日本史 Fクラス 吉井明久 527点
VS
Bクラス 菊地亜美 523点』
先手をとられたか… でも!
「涼子!行くよ!」
「うん!」
「それっ!」
『古典+日本史 Fクラス 吉井明久&中川涼子
527点 & 635点
VS
Bクラス 菊地亜美
0点 』
『あ、亜美!?』
『Aクラス並みの人がもう一人いるとは…!』
『中川さん結婚してください』
『次は俺がいく!試獣召喚!』
『古典+日本史 Bクラス 佐藤優 537点』
くっ、まだまだいるのか……
その時。
『今だ、明久!』
Fクラスの方から、あのバカの声が聞こえる。
遅かったじゃないか、雄二!
「
『なっ!?』
あとの僕らの仕事は、ここからBクラスの人たちを一歩も通さないこと。
元々僕らの仕事は、ある一人の生徒を除いて、Bクラスをここに集めることだ。
そうすれば、「ある一人の生徒」は、連戦を避けるため、下の階を通ってくる。
その「ある一人の生徒」とは……もう分かるよね?
☆
~side 雄二~
「よぉ、代表自らおでましか、根本。」
「他のやつらはそこで苦戦しているからな。」
そう言って渡り廊下を指差す根本。一応ここも召喚範囲内だが、明久たちがBクラスを阻んでいる。
「ああ。これも作戦のうちだ。」
今回の作戦の要は明久。黒金の腕輪を使えば、有利にことが進められる。正直複合教科は予想外だったが、結果、こちらの面倒がなくなっただけだ。
「そうか。じゃあさっさと終わらせようじゃないか。試獣召ーー」
そして、
「待つのじゃ。」
「まずはウチらを倒してからにしてくれる?」
そう、秀吉と島田だ。
「……いいだろう。」
「じゃあ、決まりね。」
「「「試獣召喚!」」」
『古典+日本史 Fクラス 島田美波&木下秀吉
219点 &350点
VS
Bクラス 根本恭二 523点』
「フッ、大したことないじゃないか!このくらいの点数なら……」
かかった!
「今だ、明久ぁ!」
俺はあのバカに全力で叫んだ。
そして、こんな声が帰ってきた。
『
そして、フィールドに流れる文字列の日本史の記号の部分が、数学に変わった。
つまり、古典+日本史から、古典+数学になったわけだ。
「あとは頼んだぞ、島田、秀吉。」
「了解!」
「うむ!」
そうして、俺は教室の中に戻った。
~side 秀吉~
「ハ、ハハ!!だからなんだ!木下は知らないが、いくら島田が数学を得意としたって、古典の点数が無いようなものじゃーーーー」
根本が嘲笑する。
まあ無理もないじゃろう。「普段の」島田なら、古典の点数などあってないようなものじゃ。
じゃが今回はーーー
「誰が、日本史だけで点数をとっているなんて言ったかしら?」
島田の点数が表示される。
『古典+数学 Fクラス 島田美波 724点』
今日の島田は、いつもとひと味違う。
そしてーーー
「ワシもじゃ。」
『古典+数学 Fクラス 木下秀吉 684点』
「なっ……!?」
もちろん、不正行為を働いたわけではない。
正真正銘ーー
「お主、ワシらを甘く見ておったじゃろう?」
ーーワシらの努力の結果じゃ!
☆
~side 雄二~
「よくやってくれた。明久、秀吉、島田。」
その後の結果は言うまでもないだろう。圧倒的な点数を持った島田と秀吉が根本を倒し、戦争は俺たちFクラスの勝利で幕を閉じた。
「そんな、バカな…………」
根本はその場で崩れていた。
今回の作戦は簡単だ。
今朝の補充試験では島田と秀吉にわざと低い点数をとらせ、『島田と秀吉は点数が低い』という情報を流す。
あとは簡単。島田と秀吉にもう一度補充試験を受けさせ、点数を更新する。
そして、油断していた根本を倒す…という寸法だ。
全く…秀吉は演劇の影響で多少できていたからよかったものの、島田の教えにくさといったら…ここまでするのに本当に苦労したぞ。
「なんで…何で負けたんだ………」
俺はその場に崩れている根本の元へ行き、こう言った。
「根本。…明日Bクラスの教室を引き渡してもらう。」
こうして、Fクラス対Bクラスの戦争は終わり、俺たちは初めて教室を交換することにした。